超次元インフィニット ネプテューヌ・ストラトス   作:友(ユウ)

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IS編
第9話 望まない帰郷(カムバック)


 

 

 

 

紫苑がゲイムギョウ界に来て3年の月日が流れた。

この間にも少女ピーシェ、別次元のプラネテューヌの女神プルルートとの出会いや太古の国タリの女神であったキセイジョウ・レイとの戦いなどもあったが今は置いておこう。

彼が所属するプラネテューヌの問題の1つとして、4つの国の中で最もモンスターの襲撃による被害が多いというものがある。

その為、今日もモンスターの群れが襲撃してきているわけだが…………

 

「マジカルエフェクト! バーンエクスプロード!!」

 

モンスターの群れの真下に大きな魔法陣が描かれると、無数の爆発が魔法陣の中で起こり、最後に上空から炎の剣が落下してきて魔法陣の中央に突き刺さると大爆発を起こしてモンスターの群れを消し去った。

バーニングナイトになった彼は、地上に降りてくる。

 

「お疲れ様です! 騎士様!」

 

衛兵の1人が敬礼しながら労いの言葉を掛けてくる。

 

「被害はどの程度だ?」

 

バーニングナイトがそう聞くと、

 

「軽傷者が数名のみで、死者、重傷者は居ません! これも騎士様がすぐに駆け付けてくださったお陰です! ありがとうございました!」

 

「プラネテューヌの国民を護るのは俺の使命。礼は不要だ」

 

そう言ってバーニングハートは飛び立ってプラネタワーへと戻っていく。

それを見送った衛兵は、

 

「く~~~~~っ! 流石騎士様! クールでカッコいい! 憧れるな!」

 

何やら興奮した面持ちで叫んでいた。

 

 

 

バーニングナイトはプラネタワーの展望デッキに着地すると、光に包まれ紫苑に戻る。

因みに現在の紫苑は17歳だが、守護者になった事で成長と老化が止まり、紫苑の背は3年前と変わりないため、変身すれば伸びるとは言え、背の低さだけが紫苑の不満である

そのままプラネタワー内に入って居住スペースに向かうと、

 

「あ、お帰りシオン~~!」

 

ネプテューヌがクッションに寝っ転がりながら何時ものごとくゲームで遊んでいた。

 

「って、ネプテューヌさん!? モンスターの襲撃の時ぐらいちゃんと働いてください!!」

 

イストワールが傍らで怒鳴っている。

 

「え~? でもシオンの様子から見るに大したこと無かったんでしょ~?」

 

「まあな、そこまで大きな群れでも無かったし…………被害は軽傷者が数名のみだ」

 

「さっすがシオン!」

 

ネプテューヌは紫苑を褒める。

だが、

 

「ネプテューヌさん! そう言う問題ではありません! 最近働いてるのシオンさんばっかじゃないですか!」

 

「え~? でも、シオンに対する信仰は直接私の信仰になってるんでしょ? なら問題ないじゃん!」

 

「そうは言ってもネプテューヌさん自身の信仰を集めなければ、シオンさんに何かあったときにシェアが急激に低下する可能性だってあるんですよ!? それを防ぐためにもネプテューヌさん自身がシェアを集めなければ…………」

 

「まあまあイストワール。こうやってネプテューヌがだらけていられるのも平和な証拠なんだし…………逆にネプテューヌが働いたらその分この国がヤバいってことで」

 

「良く分かってる~! 流石私の愛する旦那様♪」

 

「はぁ~~…………シオンさんはネプテューヌさんに甘すぎます………」

 

2人のやり取りにイストワールは呆れるように溜息を吐いた。

因みにこれらのやり取りは既に毎日行われる通例である。

 

「んじゃ、俺は昼飯の支度でもするか」

 

そう言うと、紫苑はキッチンへ向かう。

ネプテューヌの守護者となってからは、食事の用意も紫苑が行うようになり、今やネプテューヌも絶賛するほどの腕前である。

更には、掃除、洗濯、その他もろもろの家事も請け負っており、主夫も同然であった。

因みにその間、ネプテューヌは遊び惚けているだけなので、これだけ見るとグータラな嫁と、しっかり者の夫である。

余談だが、2人は時折デートに出かけるが、その時の気分でそのままの姿でデートするときと、変身した姿でデートする場合とがある。

そのままの姿でデートしていると、主に老人たちから微笑ましい子供のデートと見られて温かい視線で見守られ、逆に変身した姿でデートしていると若い世代から美男美女の憧れのカップルとして切望の眼差しで見られている。

 

 

 

 

閑話休題(それはともかく)

 

 

 

 

昼食を終えると、紫苑はクエストを受けに行く。

その際には「行ってきます」と言って「行ってらっしゃい」と送り出されて出ていくのがいつもの通例なのだが、

 

「それじゃあ行って………………」

 

「うわぁぁぁっと! 危ない!」

 

今日は偶々ネプテューヌがゲームに熱中していて、言い出すタイミングを逃してしまう。

紫苑は楽しそうなネプテューヌを見て邪魔するのも悪いと思い、

 

「…………行ってきます」

 

小さな声でそう呟いて静かに部屋を出た。

これが、今しばらくの別れになるとも知らずに……………

 

 

 

 

 

紫苑の受けたクエストは、プラネテューヌ近郊にある遺跡に住み着いたモンスターの討伐である。

討伐対象のモンスターの中にはエンシェントドラゴンも確認されており、かなり高ランクの依頼だ。

 

「この場所なら変身した状態で行けるな」

 

紫苑は展望デッキに立つと手を前に翳し、

 

「シェアリンク!」

 

そう叫ぶと同時に、その手に機械式の剣が光と共に現れる。

紫苑はシェアリンクで女神の変身前の身体能力と同等のそれを発揮することが出来るようになる。

更に、

 

「シェアライズ!!」

 

その叫びと共に剣を空へと投げ、その剣がある一定の高さに達すると急に向きを変え、一直線に紫苑へと向かってきた。

だが、紫苑はそれを避けようとはせず、その剣に身を貫かれると、紫苑を中心に大きな火柱が燃え上がった。

その火柱はすぐに消え去り、その中から『バーニングナイト』に変身した紫苑の姿があった。

 

「騎士バーニングナイト………推参………!」

 

誰に言うでもなくそう呟く紫苑。

すでに変身時の口癖になっていたりする。

 

「行くか!」

 

バーニングナイトは空を見上げると、地面を蹴って空へと舞い上がった。

 

 

 

 

 

 

「はぁああああああああっ!!」

 

バーニングナイトはエンシェントドラゴンに向かって斬りかかる。

紫苑は既に遺跡内部をほぼ回り終えており、現在は最奥でエンシェントドラゴンと対峙している。

とは言え、モンスターの中では上位に位置するエンシェントドラゴンとは言え、女神と同等の力を持つバーニングナイトの前には大した存在ではない。

むしろ、紫苑の元々の戦闘技術を鑑みれば、女神を超えていると言っても過言ではない。

バーニングナイトは、一撃を与えてエンシェントドラゴンを怯ませると、一旦距離を開けて武器をナックルグローブに変形させる。

そして、

 

「ギガンティックブロウ!!」

 

両拳を地面に叩きつけると、炎の塊が一直線にエンシェントドラゴンへと向かい、

 

「ギャォオオオオオオオオオッ!?」

 

断末魔の叫びと共に爆散させた。

 

「これで終わりだな………」

 

辺りのモンスター気配を探りながら変身を解除し、元の姿に戻る。

 

「帰るか………」

 

そう言って踵を返そうとした時、

 

「ん?」

 

後方からバチバチと電気が放電するような音が聞こえて紫苑は振り返った。

すると、遺跡の祭壇らしき場所に光が灯り、その中央の空間に電撃の様な光が走って空間が歪んでいく。

 

「な、何だ!?」

 

紫苑は思わず叫ぶ。

歪んでいく空間は、やがてブラックホールの様な黒い穴となって辺りを吸い込み始める。

 

「吸われる!? くっ!!」

 

紫苑は床に剣を突き刺して吸い込まれまいと必死に耐える。

だが、

 

「ぐ………ううっ…………!」

 

吸引力はどんどん強まり、紫苑の身体が引っ張られ、剣が徐々に床から抜けていく。

 

「く………そ……………!」

 

紫苑は足を踏ん張って吸引力に耐えようとしたが、遂には剣が床から抜けてしまい、支えを失った紫苑は勢いよく穴に吸い込まれていく。

 

「うわぁあああああああああああっ!?」

 

穴に吸い込まれる寸前、

 

「ネプテューヌ…………!」

 

紫苑の口から出たのは、やはり愛する女神の名前だった。

そして紫苑は知らなかったが、この遺跡こそ3年前に紫苑がこの世界に来た時に倒れていた遺跡であった。

 

 

 

 

 

 

同刻、

 

「ッ…………!?」

 

ネプテューヌが異変を感じて持っていたコップを取り落とした。

 

「お姉ちゃん!?」

 

ネプギアが心配そうに尋ねるが、ネプテューヌは胸に穴が開いたような感覚がして胸の部分の服を握りしめている。

 

「…………………シオン?」

 

紫苑の存在がプラネテューヌから…………

いや、ゲイムギョウ界から消え去ったことを感じ取っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫苑は黒い穴に吸い込まれた後、あまり時間を置かずにどこかの部屋に放り出されるように現れた。

 

「ッ………! ここは!?」

 

紫苑は辺りを見渡すがこの部屋は薄暗く、目が慣れていない今はまだ状況判断が出来ない。

 

「ッ!? ネプテューヌ!?」

 

紫苑も自分の胸に手を当てる。

いつも感じていたネプテューヌの存在が感じられない。

 

「まさか………リンクが切れたのか!?」

 

紫苑はより深く感じるために目を閉じる。

 

「……………………」

 

暫くそうしていると、

 

「いや…………僅かだが感じる…………ネプテューヌとの繋がりを…………」

 

僅かだがネプテューヌとのリンクを感じ取れた紫苑はホッとする。

紫苑は徐々に目が慣れてきたため、辺りを確認することにした。

この場所はどこかの倉庫の様な部屋らしく、紫苑の正面には高さ、横幅がそれぞれ2mほどある大きな何かが鎮座していた。

 

「何だ?」

 

まだハッキリとは確認できない『それ』に紫苑は手を伸ばす。

そして、それに触れた瞬間、それが淡い光を放った。

それを確認した時、紫苑は目を見開いて驚愕する。

 

「こ、これ………は……………」

 

紫苑は狼狽えるように一歩後退った。

紫苑の目の前にあったのは、忘れもしない存在。

妹の………翡翠の命を奪ったモノ。

 

「…………う………『打鉄』………」

 

量産型インフィニット・ストラトス、『打鉄』がそこに鎮座していた。

紫苑が呟いた瞬間、フラッシュバックの様にあの時の光景が蘇る。

 

「うぐっ…………はぁ……はぁ……はぁ!」

 

紫苑は吐き気を催し、動悸と呼吸が荒くなっていく。

 

「はぁ! はぁ! うぷっ…………! おえぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?」

 

紫苑は耐えきれなくなって嘔吐してしまい、意識が遠くなっていく。

それに抗う事は、今の紫苑には出来なかった。

 

 

 

 

紫苑が気絶したすぐ後に、

 

「何者だ!?」

 

黒髪にスーツを着た女性が扉を勢い良く開けて入ってきた。

そして、その状況を目にすると、

 

「誰だ………? 子供………?」

 

嘔吐により床が汚れ、そのすぐ横に紫苑が倒れている。

それより目を引いたのは、

 

「ISが………起動している…………?」

 

その女性は再び紫苑を見下ろす。

 

「まさか………2人目………?」

 

その女性は目を見開き、驚きの表情で呟いた。

 

 

 

 

 

 






さて、ようやくIS編の突入したので投稿できました。
何だかんだでオリジナル設定色々ぶっこみました。
どの様な皆様からの反応があるか今から戦々恐々です。
その前にどれだけ需要がある事やら?
あと、ネプテューヌのキャラがちゃんと表現できているか心配な所。
とりあえず週一で更新できるように頑張りたいです。
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