超次元インフィニット ネプテューヌ・ストラトス   作:友(ユウ)

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第43話 学園祭への準備(インターミッション)

 

 

 

 

刀奈が春万を完封した翌日の放課後。

春万は早速刀奈により特訓を受けさせられていた。

その内容は、

 

「はぁ………ひぃ………はぁ………」

 

息も絶え絶えにISを纏った状態でアリーナ内を走る春万。

ISを装着しているのに何故息が上がっているのかと言えば、動きを補助するためのPICを作動させていないからだ。

PICを作動させていなければ、ISは単なる重しに過ぎない。

 

「糞っ…………何で俺がこんな事………!」

 

春万が思わず愚痴を言うと、

 

「ほらそこ! 愚痴ってないで早く走る! じゃないと……………」

 

ミステリアス・レイディを纏った刀奈が監督役として空中から注意を飛ばした。

すると、

 

「お先」

 

「春万、しっかりしろよ」

 

紫苑と一夏が同じようにPICを切った上でISを纏った状態で春万を追い抜いた。

 

「はい春万君! 今ので紫苑さんと一夏君に対して五周遅れだよ!」

 

「ぐっ………!」

 

刀奈の言葉に悔しそうに声を漏らす春万。

 

「遅いぞ愚兄!」

 

「ほら、春万君ファイト!」

 

「失礼しますわ」

 

「トロトロ走ってんじゃないわよ!」

 

「あはは………お先に」

 

マドカ、翡翠、セシリア、鈴音、シャルロットと続き、

 

「はぁ………はぁ…………」

 

簪も少し息を乱しながら春万を追い抜いていく。

因みに翡翠のISはモンスターにかみ砕かれたが奇跡的にコアは無事だったので束に頼んで修理してもらっていた。

そして、

 

「はぁ………ふぅ………流石は………代表候補生と言った所か…………」

 

箒にまで抜かれていく春万。

因みにマドカ以下5名の代表候補生達は春万を3周遅れにし、箒は2周遅れにさせている。

 

「皆―! がんばれー!」

 

「がんばれ~!」

 

観客席から声援を送るネプテューヌとプルルートを始めとした女神達。

そんな中、

 

「ぐ…………くそぉ…………!」

 

悪態を吐く春万。

 

「はい、そこまで!」

 

刀奈の合図で全員が走るのを止める。

それぞれが身体に負荷が掛からないようにウォーキングを続ける中、春万だけは膝に手を着いて息を切らせていた。

 

「はぁ………はぁ………うっぷ………」

 

更には吐き気まで込み上げている。

すると、その春万の近くに刀奈が降り立ち、

 

「どう? 君の弱点その1。君は動きに無駄が無さすぎるから最低限の体力しか付いてないんだよ? だから紫苑さんや一夏君は元より、軍人並みの訓練を受けてた代表候補生の子達はもちろんの事、あくまで剣道の一選手に過ぎなかった箒ちゃんにも劣る」

 

春万の弱点の一つを上げる。

 

「俺が………箒にも劣る………!?」

 

春万はギロリと刀奈を睨み付けようとするが、ゼイゼイと息を切らせている状態では全く凄みは無い。

 

「体力はいくら才能があっても何もしなければ衰える一方だからね。これは努力を怠ってた自分の自業自得」

 

「…………でも、体力が無くなる前に片を付ければ…………」

 

「そんな事を言ってられるのは中学レベルまでだよ? 高校生にもなれば身体は大人とそう変わらないし、それに伴って身体に付く筋力なんかも子供と比べれば多くなる分、努力をする人としない人の差はますます大きくなるから。君の技は確かに達人級だし、織斑先生の『型』を完璧に模倣出来てるけど、その『力』の差は歴然だし、その技を扱う為の『心』も未熟だから、織斑先生と君の剣は見た目が同じなだけでその差は正に月と鼈だよ」

 

「ち、『力』はともかく、『心』は関係ないだろ!?」

 

春万は苦し紛れに反論するが、

 

「まあそう思うのも無理ないけどさ、気合や根性っていうのも案外バカに出来ないものなんだよ? 私の持論だけど、『心』っていうのは、自分の中の『力』と『技』を引き出すための鍵だって思ってる。相手より『心』が臆すれば、自分の中の『力』と『技』を十分に引き出せず、結果自分より『力』も『技』も劣っている筈の相手に負けてしまう。逆に、『心』で相手に勝れば自分が劣っていようとも『力』と『技』を100%引き出し、気圧されて実力を引き出せない相手を倒す事も可能になる。更には人が自身の力で壊れないように無意識にセーブしている力のリミッターを『心』が外し、限界以上の『力』を引き出す事さえある。君は努力不足っていうのもあるけど、相手を侮ったり簡単に頭に血が上ったりするから自分の実力を十分に発揮できていないっていうのも君が勝てない理由の1つでもあるんだよ」

 

「でも、こんな地味なトレーニングなんてしなくてもこのIS学園にある機器なら他にもやり方が…………」

 

「『走り続ける』っていう事は一番単純でありながら一番辛い事でもあるんだよ? そんな辛い中で『諦めずに』走り続ける。これは体力を付けると同時に『心』を鍛えるためでもあるの」

 

春万の反論をピシャリと黙らせる刀奈。

 

「理由は如何あれ君は私との賭けの負けたの。反論は許しません!」

 

「うぐ…………」

 

その後も、筋力トレーニングを中心に行っていく。

尚、今更ではあるが、紫苑や一夏達がこのトレーニングに付き合っているのは春万の反骨心を煽る為である。

しかしある時、

 

「くそっ! やってられるかこんな事!!」

 

遂に我慢の限界に来たのか、春万は叫んだ。

 

「3日どころか1日も持たないとは…………」

 

観客席で見ていたラウラが呟く。

 

「あの子、我慢強さが無いね~!」

 

ネプテューヌが笑っているが、

 

「ねぷちゃんは人の事言えないよ~?」

 

プルルートがそう言うが、

 

「あの、失礼ですけどプルルートさんも余り人の事は………」

 

ネプギアも突っこむ。

そのままアリーナの外へ出ようとする春万の前に刀奈は降り立つ。

 

「何処へ行く気?」

 

刀奈はそう聞くが、

 

「うるさい! 俺を強くするんだろ!? こんなことを続けて強くなれるかよ!?」

 

春万はそう叫ぶ。

 

「少なくとも、私は君に必要なトレーニングを中心にメニューを考えているつもりだけど?」

 

「嘘を吐くな! 強くなってる実感何で俺には無い!」

 

「そりゃ今日始めたばっかりだし。一朝一夕で強くなれるほど努力は甘いものじゃないよ? 実感が湧かなくても自分の努力を信じ続けてそれを続ける。それが強くなるために必要な事。まあ、天才の君には縁の無かったことかもしれないけど………これ以上強くなるためには避けては通れない道だよ」

 

「くっ…………」

 

「まあ、『凡人』の私達に出来ることが『天才』の君に出来ない筈は無いよね?」

 

「くそっ! 分かったよ! やればいいんだろやれば!」

 

「うん、素直で宜しい」

 

その様子を見ていた一夏や箒、鈴音などの昔から縁のあるものは、

 

「あの春万が言うこと聞いてるよ…………」

 

「信じられん……………」

 

「見事な手腕ね。あの春万を手玉に取るなんて………」

 

と、妙な事に感心していた。

 

 

 

 

 

 

それから数日後。

1年1組の教室では、学園祭で行う出し物について話し合われていた。

進行を務めるのは一応クラス代表の春万である。

春万は外面は良いので真面目に進行を行っている。

 

「え~、今度の学園祭の出し物についてですが…………」

 

黒板にはクラスメイト達が出した案が書かれている。

内容は、

『男子のホストクラブ』、『男子とツイスター』、『男子とポッキー遊び』、『男子と王様ゲーム』という女子生徒の欲望丸出しの内容だった。

 

「………いいのかこれ?」

 

俺は大歓迎だが、と心の中で本音を漏らす春万。

 

「皆には悪いけど誰彼構わずそういうことをする気にはならないな」

 

「同じく」

 

一夏と紫苑がそう言うと、クラス中からブーイングが飛ぶ。

 

「折角、大、中、小の男子皆がそろってるのよ! どんな女子でも満足できるのに!」

 

「そうだそうだ! 女子を喜ばせる義務を全うせよ!」

 

「男子生徒は共有財産である!」

 

「他のクラスからいろいろ言われてるんだってば。うちの部の先輩もうるさいし」

 

女子達がそうブーブーと文句を口にする。

すると、

 

「ほう? なら皆は彼氏がいるのに不特定多数の男達とそう言う事を言われて快諾できるのか?」

 

紫苑がやや威圧感を出しながら皆に問いかける。

 

「あ、いや………それは…………」

 

「ちょっと無理………かな?」

 

紫苑の威圧感にビビりながら発言を引っ込める女子生徒達。

 

「落ち着けよ紫苑………皆ビビってるから………」

 

一夏が紫苑を宥めると、

 

「ここは無難に喫茶店とかやっとけばいいんじゃないか? うまくやれば経費の回収もできるし……………」

 

「え~? でも、ただの喫茶店じゃつまんなくない?」

 

クラスメイトの1人から不満の声が上がる。

すると、

 

「じゃあ、メイド喫茶は如何かな?」

 

翡翠がそう発言した。

 

「丁度身近に本物のメイドさんが居るし…………」

 

翡翠はそう言いながら一夏に視線を向ける。

 

「本物のメイドって………フィナンシェの事か?」

 

「うん」

 

一夏の言葉に翡翠は頷く。

 

「えーっと………皆はどう思う?」

 

春万が皆に訊ねると、

 

「いいんじゃないかな? 紫苑達には執事や厨房を担当して貰えばオーケーだよね。もちろん、執事の場合は学生レベルの触れ合いが許可できるレベルで………だけどね」

 

シャルロットが同意を示す。

同時に皆への釘を刺すことも忘れない。

「織斑君と月影君の執事………いい!」

 

「春万君は普通に似合いそう! 一夏君や紫苑君達は背伸びしてる感じがまたいい!!」

 

女子達はその姿を想像して興奮している。

 

「背伸びしてるって言うか…………俺はこのクラスの中で一番年上なんだが…………?」

 

男子どころかクラス内でも背が低い紫苑。

しかし、その実年齢は17歳である。

まあ、体の成長は14歳で止まっているが。

 

「メイド服と執事服は如何する? 私、演劇部衣装係だから縫えるけど!」

 

クラスメイトの1人がそう発言すると、

 

「あ~、それは多分フィナンシェに頼めば全員分作ってくれると思うぞ。簡易的のなら、そこまで時間は掛からないと思うし。流石に作成の為の生地代ぐらいは出してもらうと思うけど………」

 

一夏がそう言う。

 

「なら問題ないわね!」

 

瞬く間に意見がまとまり、メイド喫茶改め『御奉仕喫茶』として、1年1組の出し物が決定した。

 

 

 

 

 

 

 





第43話の完成。
春万の特訓開始。
ああいう天才は体力が全く無いと思います。
そんで努力をしなければ筋力も付かないわけで………
刀奈が言ってた強さ云々は全部自分の持論なので悪しからず。
それで学園祭の出し物も原作通り御奉仕喫茶に。
まあ、ラウラがメイド喫茶に行かなかったのでなんやかんやでああなりました。
次回は学園祭の回。
オータム味方だしどうしよう?
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