超次元インフィニット ネプテューヌ・ストラトス   作:友(ユウ)

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第17話 ブロンド貴公子(ジェントル)の真実

 

 

 

 

 

屋上でのランチライムの出来事から少し日が流れて…………

ある日の放課後、紫苑達はネプテューヌを連れて生徒達が練習をしているアリーナを訪れていた。

ISに興味を持ったネプテューヌ達がもっと間近で見てみたいと言い出したのだ。

なので紫苑は、割と出入り自由な放課後のアリーナにネプテューヌ達を連れてきた。

アリーナの各所で練習している生徒達を観客席から眺めていると、

 

「……………何かISって、こうしてみると女神の力の劣化版だよね~」

 

訓練を眺めていたネプテューヌがそう漏らす。

 

「ああ、それは私も思ったわ。女ならだれでも使えるって所が劣化版らしいわ」

 

「ふぇ? ISは量産型女神さんってことですぅ?」

 

アイエフの言葉にコンパが首を傾げる。

 

「量産型女神…………安っぽい女神だな…………」

 

コンパの言葉にそのような感想を漏らす紫苑。

すると、

 

「見て見て! 織斑君とデュノア君が模擬戦するみたいよ!」

 

周りの生徒達が騒ぎ出した。

みると、一夏とシャルルがISを纏って相対している。

開始早々一夏はシャルルに向かって斬りかかるが、シャルルは余裕の表情でそれを躱すと、距離を取りながらライフルで攻撃する。

一夏はそれを避けることが出来ずに攻撃を受ける。

その後も果敢に攻め込もうとするが、シャルルは上手く距離を取って接近を許さない。

 

「イチカって、戦闘センスはあるみたいだけど、圧倒的な経験不足よね…………」

 

終始押され続ける一夏を見てアイエフはそう漏らす。

 

「ああ。後は本人の性格と、憧れである姉の織斑先生の戦い方も相まって動きが直線的になり過ぎてる。あれじゃあ格好の的だ。織斑先生の現役時代の動画じゃ、傍目から見ると一直線に接近して一太刀で決めてるようだが、実際にはあらゆる駆け引きがあったことに、一夏は気付いて無いからな」

 

紫苑が説明している間に勝負は付き、結果は言わずもがな一夏の完敗であった。

 

 

 

 

「ええとね、一夏がオルコットさんや凰さんに勝てないのは、単純に射撃武器の特性を把握していないからだよ」

 

現在、シャルルが一夏に説明し、一夏はそれを真剣に聞いている。

何故なら、一夏にとってシャルルの説明は分かりやすい。

シャルルの説明していることは、一応箒、セシリア、鈴音から何度も聞いている。

だが、擬音ばかりの説明や自分の感覚で表現しようとしたり、あまりにも具体的過ぎて逆に分からい説明ばかりであった。

シャルルが話を進めていき、一夏が実際に射撃武器を使ってみることになった。

一夏がシャルルの補助を受けながら、ターゲットを撃ち抜いていく。

一通り撃ち尽くすと、

 

「おお~」

 

一夏は何やら感心した声を漏らす。

 

「どお?」

 

シャルルが感想を聞くと、

 

「ああ。 なんか、あれだな。 とりあえず、速いって感想だ」

 

一夏がそう言ったとき、

 

「ねえ、ちょっとあれ」

 

周りの生徒達がざわつきだす。

一夏達がふと見上げると、そこには黒いISを纏ったラウラの姿。

 

「嘘っ。 ドイツの第3世代じゃない」

 

「まだ本国でトライアル段階だって聞いてたけど………」

 

ラウラは、ピットの入り口から一夏を見下ろし、

 

「織斑 一夏」

 

一夏に呼びかけた。

 

「何だよ?」

 

一夏は少々不機嫌気味に答える。

 

「貴様も専用機持ちだそうだな。 なら話が早い。 私と戦え!」

 

そう言うラウラ。

 

それに対し、

 

「嫌だ。 理由が無ぇよ」

 

一夏はそう断る。

 

しかし、

 

「貴様には無くとも、私にはある」

 

「今じゃなくていいだろ? もうすぐ学年別トーナメントがあるんだから、その時で」

 

一夏はそう言って断ろうとした。

だが、

 

「なら………」

 

ラウラが呟くと同時に右肩のレールガンが発射された。

 

「なっ!?」

 

一夏にしても、いきなり撃って来るとは思わなかったため、反応が遅れる。

しかしその瞬間、シャルルが一夏の前に割って入り、シールドでその弾丸を弾いた。

 

「シャルル………!」

 

「………いきなり戦いを仕掛けるなんて、ドイツの人は随分沸点が低いんだね!?」

 

シャルルは両手にライフルを展開し、臨戦態勢になる。

 

「フランスの第二世代(ロートル)如きで、この私の前に立ちはだかるとは………」

 

「未だに量産化の目処が立たないドイツの第三世代(ルーキー)よりかは動けるだろうからね!」

 

お互いに牽制し合っていると、

 

「……………そこまでにしておけ」

 

その言葉と共に、ラウラの背筋に冷たいモノが走った。

 

「ッ!?」

 

ラウラが驚愕しながら振り向くと、ラウラのすぐ後ろには紫苑がいた。

 

「こいつ………私の背後をこうも容易く…………!」

 

その事実にラウラは紫苑に対する警戒心を強める。

 

「お前と一夏の間に何があったのかは知らないが、戦闘意思の無い相手に向かっていきなりぶっ放すのは尋常じゃないな」

 

紫苑は淡々と語る。

ラウラが自分の頬に冷や汗が流れるのを感じていると、

 

『そこの生徒! 何をやっている!?』

 

担当の教師が放送で呼び掛けてきた。

 

「………フン、興が削がれた。今日の所は引いてやろう」

 

ラウラはそう言ってISを解除する。

そして一夏をもう一度見ると、その場を立ち去って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

その夜。

紫苑が自室で、ネプテューヌ、アイエフ、コンパと共にイストワールに定期報告を行っていた。

すると、コンコンと珍しく来客を告げるノックが鳴る。

 

「珍しいな………誰だ?」

 

紫苑が扉を開けると、そこに居たのは一夏だった。

 

「一夏? こんな時間に何の用だ?」

 

「あ、ああ…………少し相談があるんだけど…………俺の部屋に来れないか?」

 

「俺は構わないが…………」

 

紫苑はネプテューヌ達に視線を向ける。

 

「………秘密を守れるって誓ってくれるなら彼女達も一緒で構わないよ」

 

「それなら…………」

 

結局全員で一夏の部屋に押し掛けることになった。

 

 

 

一夏の部屋に入ると、一夏は扉の鍵を閉める。

部屋の中には、シャルルがベッドに座っていた。

だが、その胸には男子にはない女性を象徴する膨らみが2つ。

 

「「「「……………………」」」」

 

それを見て何も言わない一同。

 

「あの……さ………驚いたと思うんだけど、見てわかる通り…………シャルルは女………だったんだ…………」

 

少し言いにくそうに一夏が言うと、

 

「「「「ふ~ん(ですぅ)…………」」」」

 

余りにも呆気ない返事が返ってきた。

 

「あ、あの………何かな? その薄い反応は…………?」

 

驚く反応を予想していた2人は呆気にとられ、シャルルはそう聞き返す。

 

「「「「だって女だと思ってたし」」」」

 

4人揃って返事を返す。

 

「ええっ!?」

 

一夏が盛大に驚いた。

 

「むしろあれで隠し通せると思ってたことが、逆に驚きだわ………」

 

アイエフが後頭部を掻きながら呆れた声を漏らす。

 

「普段の言動や仕草はともかくとして、咄嗟の時の反応は完全に女の子だったですぅ」

 

コンパはニコニコと笑いながらダメ出しを行い、

 

「私がしゃるるんって可愛いあだ名をつけた時にも嫌がって無かったしね」

 

ネプテューヌが追い打ちを掛けるようにそう言った。

 

「じゃ、じゃあ紫苑はいつシャルルが女って気付いたんだよ!?」

 

一夏が慌てたようにそう言う。

 

「初めて見た時から」

 

「「はい?」」

 

紫苑の答えに2人は揃って声を漏らす。

 

「男にしちゃ体格がまんま女だったし、声も高かった。一夏に手を握られた時の反応も同性と言うより異性に手を握られた女だったし…………何より大勢の女子生徒に追われてる理由に気付かなかった時点でほぼ女だと確信したぞ。まあ、女っぽい男という可能性もあったが、それでも9割以上の確率で女だとは思ってたけど…………というか、少し鋭い奴なら普通に気付くと思うぞ?」

 

「ぼ、僕の苦労はいったい……………」

 

渾身の男装をあっさりと見破られていたことに、打ちひしがれるシャルル。

 

「あ、安心しろシャルル! 俺は全く気付かなかったぞ!」

 

一夏がシャルルをフォローしようとそう言うが、

 

「鈍感筆頭がそんな事言っても説得力ゼロだぞ?」

 

紫苑がそんな事を言った。

 

「失礼だな!? 俺の何処が鈍感だ!?」

 

一夏はそう言い返すが、

 

「そんな事を言っている時点で自分が鈍感だと主張しているようなもんだぞ?」

 

紫苑は更にそう言う。

 

「なっ!? じゃ、じゃあ聞くぞ? 俺が鈍感だと“思う”奴は挙手!」

 

一夏がそう言うが、誰も手を挙げない。

 

「ほら見ろ! 誰も俺が鈍感だと思って無いぞ!」

 

一夏が勝ち誇るようにそう言うと、

 

「それじゃあ、一夏が鈍感だと“確信”している奴は挙手」

 

紫苑がそう言った瞬間、一夏を除いた全員が手を挙げた。

ガクっと項垂れる一夏。

因みにシャルルも遠慮がちに手を挙げていた。

 

「シャルル~~~~…………!」

 

一夏はシャルルに恨みがましい視線を向ける。

 

「あはは…………普段の一夏を見てると否定できないかな~………なんて…………」

 

シャルルは苦笑しながら視線を逸らす。

 

「んで、相談って言うのは? 多分シャルルに関わることだと思うんだが………」

 

紫苑がそう言うと一夏が気を取り直し、事のあらましを説明しだした。

シャルルは、ISのラファール・リヴァイヴの開発元であるデュノア社の社長と愛人の間にできた娘であること。

シャルルの母の死後、父に引き取られたものの冷遇され、デュノア社の社長の正妻には『泥棒猫の娘』と会った瞬間に引っ叩かれ、父であるデュノア社社長とは数える程度しか会っていないという。

IS適性の高さから、シャルルはテストパイロットとして使われていたが、会社が経営危機となったため、第三世代型ISの開発が急務となり、社長の命令で一夏の白式のデータを盗むために男装して一夏に近付いた事を話した。

 

「このままだとシャルルは最悪牢屋行きになっちまうんだ。俺はシャルルにそんな目に合わせたくない! 幸運にも特記事項第21で、在学中の3年間はどうにかなるんだ。その間にシャルルを何とかして助ける方法を見つけたいんだ。頼む、協力してくれないか?」

 

一夏が頭を下げる。

すると、

 

「それって、何もする必要無くね………?」

 

ネプテューヌが人差し指を頬に当てながら首を傾げ、そう呟く。

 

「なっ!?」

 

一夏が驚いた声を上げるが、

 

「俺も同感」

 

紫苑もネプテューヌの意見に賛同した。

 

「何でだよ!? シャルルがどうなってもいいって言うのか!?」

 

一夏が怒鳴るようにそう言う。

 

「一夏、仕方ないよ。無理を言ってるのは僕の方なんだから………」

 

シャルルが一夏を宥めるように言う。

 

「だけど…………!」

 

一夏がそれでも何か言おうとした時、

 

「そーじゃなくてさ。データ云々なんて、どう考えても後付けの理由でしょ?」

 

「「えっ…………?」」

 

続けて言われたネプテューヌの言葉に、一夏とシャルルは呆気にとられた声を漏らした。

 

「後付けって………どういう………?」

 

シャルルが呆然としながら訪ねる。

 

「あくまで推測だがな。その為にシャルルにいくつか聞きたい」

 

「う、うん………」

 

紫苑がシャルルに問いかける。

 

「まず、デュノア社はお前の父親の代に代わってから急激に衰退したとかそういうクチか?」

 

「え? ううん…………IS事業に手を出したのも父の判断って聞いてるし、第三世代型の開発こそ遅れてるけど、IS関連事業世界第3位の実績は伊達じゃない筈だよ」

 

紫苑の質問にシャルルは首を振って否定する。

 

「そうか…………次に、社長と正妻の間には子供はいるのか?」

 

「………えっと、居ない筈だよ? 少なくとも世間一般には公開されてないし、僕も会ったことは無いよ」

 

「なるほど、これで推測の信憑性が増したな」

 

「…………今ので何か分かったの?」

 

今の質問に何の意味があったのか理解できないシャルルは首を傾げる。

 

「ああ。まず、さっきの話を聞いていて腑に落ちない点は、白式のデータを盗むために、シャルルを使った点だ」

 

「それがどうかしたのか?」

 

意味が分からない一夏はそう漏らす。

 

「あのなあ、データを盗むなんて大仕事………というか犯罪を、男装が素人のシャルルにやらせること自体がおかしいだろ? バレた時のリスクが高い上に、どう考えても3年も誤魔化せるとは思えん。俺だったらその道のプロを雇うぞ」

 

「あっ………!」

 

シャルルがその事に声を漏らした。

 

「例え人材が居なかったからシャルルを使ったとしても、焼付刃の男装なんて手段じゃなく、普通に女性として転校させて、ハニートラップでも仕掛けさせた方がまだ成功確率は高いと思うぞ」

 

「ハ、ハニートラップ………!?」

 

その言葉を聞いて顔を赤くするシャルル。

 

「それに、経営者として並以上のデュノア社の社長が、一夏でも気付いた特記事項を見逃すはずはないだろ? むしろ、3年間はIS学園に居て欲しいとしか思えないな」

 

「な、なんで……………………?」

 

「そもそも、デュノア社の社長は何故シャルルを引き取ったのか? だ」

 

「そ、それは………僕のIS適性が高かったから…………」

 

「愛人の娘なんて、大会社からすればスキャンダルになりかねん火種を抱えるなんて、リスクとリターンが釣り合っているとは思えないがな? 第一、シャルルがどうでもいい存在なら引き取らなければよかっただけの話だ。正妻との仲も険悪になるしな」

 

「…………………………そ、それって………」

 

シャルルが信じられないといった表情で、震える唇で声を絞り出す。

 

「結論から言えば正妻はともかく、少なくともデュノア社の社長はシャルルを嫌ってはいない、むしろ大切に思っている。だから、シャルルの為に理由を付けてIS学園に送り込んだ。って言うのが俺達の見解」

 

紫苑の言葉にネプテューヌとアイエフが同意する様に頷く。

コンパだけは分かっていないようだったが。

 

「嘘だっ! なら…………それなら何でシャルルの親父さんはシャルルと数えるほどしか会って無いんだ!?」

 

一夏が我慢できなかったのか叫ぶ。

ヒートアップする一夏に対し、紫苑は冷静に淡々と続けた。

 

「それは社長と正妻との間に子供が居ないことが理由になる。シャルルは、愛人とは言えデュノア社の社長の娘。普通に考えればデュノア社の後継ぎとなる可能性が一番高い。そして、デュノア社長がシャルルを大切に扱っていれば、それは誰もが予想できる。そうなれば、デュノア社の後釜を狙い、シャルルに対して政略結婚の相手を送り込むなら未だしも、最悪はシャルルの暗殺なんて事を企てる馬鹿も出てくる」

 

「ッ!?」

 

その言葉を聞いて、シャルルの顔から血の気が引く。

 

「そんな…………そんな事の為にシャルルを殺すなんてことあるわけ…………」

 

現実から目を逸らそうとする一夏に対し、紫苑は溜息を吐く。

 

「一夏、お前はテレビで今までに何度強盗殺人のニュースを見た?」

 

「そ、それは…………」

 

「数百万、数十万………果てはたったの数万円ですら金欲しさに人を殺す奴がいるんだ。それがデュノア社の社長なんていう立場だったら、一体どれだけの金が動くと思う?」

 

「う………………」

 

「日本円で何千万所か何億と言う金が動く。下手をすれば、兆の値が動くかもな。小娘1人殺すだけでその立場が自分のものになるかもしれないんだ。馬鹿な奴なら馬鹿な選択を迷わずに取るだろうさ」

 

「……………なら、紫苑はこう言いたいのか? シャルルの親父さんは、シャルルを守るためにシャルルを傷付け、突き放したと…………?」

 

「その通りだ」

 

一夏の言葉に紫苑は即答する。

 

「そんなの…………守るって言えるのかよ!? シャルルが大切なら自分の手で守ればいいじゃないか! なんだってそんな………!」

 

一夏は自身の持つ『守る』姿とかけ離れているデュノア社に対し、怒りを感じる。

だが、紫苑はそんな一夏を見て、呆れたように溜息を吐いた。

 

「一夏…………お前がそんな事を言えるのは、お前に心の底から『護りたいもの』が無いからだ」

 

「なっ!?」

 

紫苑の言葉に、一夏はカッと頭に血が上った。

 

「もう一回言ってみろ!?」

 

一夏は紫苑の胸倉を掴みそうな勢いで詰め寄る。

 

「何度でも言ってやる。お前には心の底から護りたいと思うモノが何もない。だからデュノア社長の行為に対してそんな事が軽々しく言えるんだ」

 

そんな一夏にも、紫苑は冷静に言い返す。

 

「そんなことは無い! 俺にも護りたいものはある!」

 

「それは何だ?」

 

「………『仲間』だ! 俺は『仲間』を護りたい!」

 

「なるほど…………」

 

一夏の答えに紫苑は一呼吸置くと、

 

「気付いていないようだからここで教えておく。それはお前が心の底から思っていることじゃない。あくまで『護る』事に対する憧れから、『護る』立場に立ちたいから、その理由に『仲間』を使っているだけだ」

 

「なっ!? そ、そんな事…………!」

 

「その思いが偽物とは言わない。だけどな、その思いには『芯』が無い。剣で例えるなら焼入れを行っていない唯の鈍らだ」

 

「ぐっ……………それならお前はどうなんだ!? シャルルの親父さんと同じことをするのか!? ネプテューヌを『護る』ために彼女を傷付けることが出来るのか!?」

 

言い負かされそうになった一夏は、紫苑にとって『護る』存在であるネプテューヌを引き合いに出す。

だが、

 

「ああ、やるね。ネプテューヌ自身を『護る』ためなら、ネプテューヌを傷付ける事すら厭わない。それしか方法が無いのなら迷うことは無い」

 

紫苑はハッキリとそう言い切った。

 

「ッ…………! そ、そんなの口ではいくらでもっ…………!」

 

「口だけじゃないわよ」

 

一夏の言葉に口を挟んだのはアイエフだ。

 

「シオンは実際にやったわ。ネプ子を護ろうとするあまり、ネプ子を突き放す選択をね…………」

 

「なっ!?」

 

「あの時はホントショックだったよ~! シオンてばいきなり傍から居なくなるなんて言い出すんだもん」

 

ネプテューヌも言い方は明るいが、アイエフの言葉を肯定する言動を放つ。

 

「…………………………………」

 

ネプテューヌ自身に認められては一夏からは何も言えない。

 

「話が脱線したが、シャルルに関しては絶対とは言えないが安心してもらっても大丈夫だろう。おそらくどっかの馬鹿が暗殺計画でも企んだから、避難先としてIS学園を選んだんだと思う。IS学園のセキュリティはかなり高いし、自分の元に置いておくよりかは安全だという判断だろう」

 

「月影君…………」

 

シャルルが半泣き状態で呟く。

紫苑は立ち上がると、項垂れる一夏に視線を向ける。

 

「一夏、俺は決してお前の思いを否定したいわけじゃない。だけどな、その事を自覚せずにいけば、いつか思いがけない所で躓き、その思いは容易く圧し折られる…………だから、お前の本当に『護りたいもの』を、思いの『芯』を見つけろ。そうすれば、お前はもっと強くなる…………」

 

紫苑はそう言い残して部屋を出て、ネプテューヌ達もその後へ続いた。

 

「……………俺の本当に『護りたいもの』……………」

 

一夏は呟く。

紫苑の言葉に一夏は反論したかった。

しかし出来なかった。

紫苑の言葉は一夏も驚くほどすんなりと一夏の心に入ってきたからだ。

それは、紫苑の言葉が間違っていないことを意味していた。

 

「一夏……………」

 

そんな一夏を、シャルルは心配そうに見つめていた。

 

 

 

 

 

 






第17話完成。
いや~休みは気楽でいいねぇ………
筆が進む進む。(途中、過去作のコピペを使ったが………)
今回はリアリストな紫苑君が大活躍。
と言うか半分一夏責めになった気がする。
言っておきますが、作者は一夏アンチのつもりはありません。
ただ、一夏の思いについての作者なりの見解なので…………
一夏は一皮むけることが出来るのか!?
さて、次回はいよいよ…………?
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