超次元インフィニット ネプテューヌ・ストラトス 作:友(ユウ)
「あたしぃ~、プルルート~。よろしくね~」
そう挨拶するプルルート。
「「「「「「「…………………………………」」」」」」」
そんな彼女を何とも言えない表情で見つめる千冬、真耶、一夏、箒、セシリア、鈴音、シャルル。
そんな視線の中でもプルルートはニコニコとしていた。
「………………で? 彼女は何者なんだ?」
千冬がやや呆れた口調で問いかける。
「えっと………彼女はピーシェと同じく別次元の知り合いでプルルートといいます……………それで、どうやってこの世界に来たんだ?」
紫苑が千冬の質問に答えながらプルルートに訊ねた。
「え~っとね~、一ヶ月ぐらい前に~、ピーシェちゃんが突然いなくなっちゃって~、皆と一緒に探し回ってたんだけど~、その途中で~、いきなり現れた~、黒い穴に吸い込まれちゃって~、気が付いたら~、空の上に居たんだ~!」
「黒い穴…………俺の時と似たような感じだな………空の上じゃなくて良かったよ………」
もし紫苑が空の上に現れていたのなら、命は無かっただろうことは容易に予想がついたので内心冷や汗を流した。
「………………彼女は、お前が前に言っていた異世界の住人と考えていいのか?」
千冬がそう聞くと、
「あ~、前はややこしくなると思って黙ってたんですけど、プルルートとピーシェは、正確には俺が居たゲイムギョウ界とは、更に別の次元のゲイムギョウ界の住人です」
「…………………どういうことだ?」
やはり頭がこんがらがったのか、そう問いかけてくる千冬。
「え~っと…………簡単に言えば、俺はこの『世界』から『ゲイムギョウ界A』と言う世界へ転移しました。ピーシェとプルルートは、そことはまた別の『ゲイムギョウ界B』という世界の住人です。ピーシェとプルルートは以前に『ゲイムギョウ界B』から『ゲイムギョウ界A』に来たことがありまして、その時に俺達と知り合ったんです」
紫苑は紙に簡単な図を書きながら説明する。
「なるほど…………」
とりあえずは理解してくれたらしい。
「あと…………気になっていたことがあるのですが…………」
セシリアが話が一段落したことを見計らって控えめに挙手しながら口を開いた。
「プルルートさんが現れた時、わたくしの聞き間違いでなければこうおっしゃいました。『プラネテューヌの女神』だと………」
「そうそう! それにISを纏ってた一夏が無事だったことはともかく、生身のプルルートが相当な高さから落ちて無事ってありえないでしょ!?」
鈴音も便乗する様に聞いてくる。
「あ~、それはな……………ゲイムギョウ界にある国にはそれぞれ、国を守護する『守護女神』が存在するんだ」
「『守護女神』…………!?」
一夏が驚いた表情で呟く。
「『守護女神』は女神を信仰する心…………『シェアエナジー』を力の源にしていて、国民から崇められれば崇められるほどその力は増す。その力を使って『守護女神』は国の脅威となりえる存在を払い除ける。そしてその『女神』の姿を見て信仰する者が増え、『女神』は更に力を得る……………って感じだ。それでプルルートは、その『守護女神』の内の1人なんだよ。因みに『女神』は身体能力がずば抜けて高くて頑丈だから、それなりの高さから落ちても痛い程度で済む」
「そ、そうなのか…………」
こちらの世界と掛け離れた存在に一夏は理解が追い付かないらしい。
「まあ、見た目の通りプルルートは普段はのほほんとしてるから、普通の人として扱って貰えればいいよ。『女神』だからって無理に畏まる必要は無い………………変身した時は別だけど…………」
紫苑は最後にボソッと呟くがそれは誰にも聞こえなかった。
「あたしも~、皆と~、お友達になりたいな~」
プルルートもほんわかとした雰囲気でそう言う。
すると、一夏が笑みを浮かべ、
「友達になりたいって言うのなら大歓迎だ。俺は織斑 一夏。一夏って呼んでくれ」
一夏が筆頭になってそう言うと、
「篠ノ之 箒だ。箒と呼んでくれ」
「セシリア・オルコットですわ。セシリアと呼んでくださいませ」
「凰 鈴音よ。私の事は鈴でいいわ」
「僕はシャルル・デュノア。シャルルと呼んでください」
4人もそれに続いて自己紹介する。
「いちか君に~、ほーきちゃんに~、セシリアちゃんに~、りんちゃんに~、シャルちゃんだね~!」
プルルートは1人1人顔を見ながら名前を確認していくが、
「ちょ、ちょっといいかな? 僕は男だからちゃん付けはちょっと…………」
シャルルがそう言うと、
「男の子~?」
プルルートはシャルルをじっと見つめる。
「でも~、シャルちゃん、シャル君って感じがしないんだよね~」
プルルートがそう言うと、
「なーに言ってるんだよ。シャルルは男だぜ! なっ?」
一夏はそう言いながらシャルルと肩を組む。
「ひゃっ!?」
驚いた声を漏らすシャルル。
(……………その反応で男って言うのは無理あるだろ………)
紫苑は内心呆れるが、
「ん~、どっちでもいいや~。シャルちゃんは~、シャルちゃんで決定~!」
プルルートはそう言ってシャルルの呼び方を決めてしまった。
「それにしても、偶然とはいえプルルートが来てくれて助かったな」
「ん~?」
紫苑がそう言うと、プルルートが首を傾げる。
「いや、俺はもうすぐ復学しないといけないからさ。そうなると授業中、ピーシェの面倒をどうするか悩んでたんだ。プルルートが来てくれたなら、その問題も解決されたからな」
「あ~、そういうこと~。いいよ~」
プルルートは笑顔で承諾する。
「え~っと…………勝手に色々決めてしまったんですけど、そういうことでプルルートをこの学園に滞在させる許可を取って欲しいんですが…………」
紫苑はそう言いながら千冬を見る。
「はぁ~…………まあ、何とかしてやるが、不審者には変わりない。監視は付けさせてもらうぞ」
「まあ、その位は……………」
「よって、私の寮長としての権限で彼女とピーシェはお前と同室だ。不審者は一塊にした方が監視もしやすいからな」
「…………………了解です」
少し沈黙があったが頷く紫苑。
「わ~い。シオン君と一緒だ~」
笑顔で喜んでいるプルルート。
「ぴーも!」
ピーシェも自己主張する様に言う。
「とりあえず決定だ。各自、部屋に戻れ。月影も今日から寮に戻るだろう? その2人を案内してやれ」
「了解………」
そう言って千冬はその場を収めた。
とりあえず紫苑は、プルルートとピーシェの2人を寮にある自分の部屋へと案内していた。
「まずは部屋の場所だけは覚えておいて欲しい。この学園はかなり広いから迷子にもなりかねない。案内板もあるからそれを見れば大丈夫だとは思うけど…………」
「は~い」
ピーシェと手を繋いでいるプルルートが返事をする。
紫苑が部屋の扉の前に着くと、ドアノブに手を掛ける。
ふと中に気配を感じた。
(楯無、居るのか)
紫苑はそのまま扉を開け、
「おかえりなさい、あなた。ご飯にする? お風呂にする? それともわ・た・し?」
何時だったかと同じく裸エプロン(水着)で出迎えた楯無を見た瞬間、勢いよく扉を閉めた。
(やばい! 今はヤバい!)
普段なら動じる事無く対処できるが、今現在は非常に困る。
何故なら、
「シオンく~ん…………? 今何か変なのが見えたんだけど~………?」
後ろから変わらない声色だが、妙なプレッシャーを感じさせるプルルートがそう尋ねる。
「き、気の所為だ気の所為…………!」
と、紫苑が何とかプルルートを落ち着かせようとした時、ガチャリと扉が開き、
「おかえりなさい。私にする? 私にする? それともわ・た・し?」
先程と同じく裸エプロン姿の楯無がそう言った。
「だぁあああああっ!! 何やってるんだお前は!?」
思わず紫苑がそう叫んだ瞬間、
「シオンく~ん…………? どぉいうことかなぁ~……………?」
背後で顔は笑顔だが目に影が掛かり、怒りが沸々と沸き上がってきていることを感じさせるプルルートがそう言った。
「お、落ち着けプルルート! これは楯無の悪ふざけ…………!」
紫苑が慌ててプルルートに振り返り、そう言って落ち着かせようと、
「酷いっ………! あの熱い夜を忘れたのっ…………!?」
した瞬間、楯無が涙目でそんな事を言って更に場を混乱させる。
「お前はちょっと黙ってろ! これ以上プルルートを刺激するな!」
紫苑は楯無にそう言うが、
「シオン君~………! いくらゲイムギョウ界が奥さんを何人も貰っていいからって~…………! ねぷちゃんの居ない所で増やすのは如何かと思うな~?」
ますますプレッシャーを引き上げていくプルルート。
「だから違う!!」
紫苑は必死になって叫ぶ。
そしてすぐに何か言われる前に楯無に向き直り、
「お前も頼むからこれ以上ふざけないでくれ! プルルートは怒らせるとヤバいんだ!」
「もしかしてプルちゃんって、普段大人しいけど怒ると怖いタイプ?」
「………………怖いで済めばいいんだがな」
紫苑はボソッと呟く。
「え~? な~に~?」
「い、いや、何でもない何でもない!」
異様なプレッシャーを放ったままそう言うプルルートに対し、首を大きく横に振りながら誤魔化す紫苑。
すると、
「ぷっ! あはははははははは!」
突然楯無が笑い出した。
「ど、どうした?」
驚いた紫苑がそう尋ねると、
「だって、そこまで必死になってる紫苑さんなんて、初めて見たから………!」
お腹を抱えながら笑う楯無は気を取り直してプルルートに向き直ると、
「からかってごめんなさい。紫苑さんとはそう言う関係じゃないから安心してもらって良いわよ」
「そう思うならさっさと着替えてくれ…………」
どっと疲れた表情でゲンナリする紫苑。
「あらごめんなさい」
楯無はそう言って部屋に引っ込むと、10秒ほどで制服姿に着替えて出てきた。
それを確認して紫苑はプルルート達を連れて中に入る。
「じゃあ改めて、私は更識 楯無。楯無でいいわ。もしくはたっちゃんでも可」
楯無がプルルートとピーシェに自己紹介する。
「プルルートだよ~。よろしくね~たっちゃん」
「ぴ~だよ!」
プルルートはのほほんとした態度で、ピーシェは腰に手を当て、胸を張った態度でそう言う。
「プルちゃんにぴーちゃんだね。よろしくね!」
楯無は笑顔でそう言った。
因みにその夜寝る時に色々一悶着あったが、結局は紫苑がピーシェと、楯無がプルルートと一緒に寝ることで落ち着いた。
それからまた少しの時間が流れた。
その間にラウラ・ボーデヴィッヒというドイツの軍人である銀髪の少女が転校してきて一夏の頬を引っ叩いたという出来事以外、特に大きな問題は起きていない。
細かい事はいくつかあったが…………
例えばピーシェが授業中に乱入したり、ピーシェが生徒達に可愛がられたり、ピーシェが一夏をノックアウトしたり…………
そして本日の放課後。
一夏はシャルルと模擬戦を行い、ものの見事に完敗したので現在シャルルから銃のレクチャーを受けていた。
それを嫉妬の混じった視線で見ている箒、セシリア、鈴音の3人。
するとそこへ、
「セシリア、鈴」
プルルートとピーシェを伴った紫苑が声を掛けた。
「月影さん?」
「珍しい………っていうか、初めてじゃない? アンタがアリーナに顔を出すなんて………」
3人は軽く驚いた顔で紫苑を見た。
「頼んでいたラファールのカスタムがようやく完成したからな。今日から訓練だ。それでセシリアと鈴に頼みがある」
「頼み?」
「わたくし達にですか?」
鈴音とセシリアが首を傾げる。
「ああ。2人に模擬戦の相手を頼みたい」
「模擬戦? 別にいいけど………」
「わたくしも構いませんわ」
紫苑の言葉に2人は特に問題なく了承の返事を返した。
「ありがとう。早速いいか?」
「ええ。どっちからやる?」
鈴音がそう聞くと、
「出来れば2人同時に頼みたい。鈴が前衛、セシリアが後衛だ」
紫苑がそう聞くと、
「むっ! いきなり2人同時に相手なんて代表候補生を舐めてるの!?」
鈴音は不機嫌そうにそう言ったが、セシリアが手で鈴音を制した。
「分かりましたわ。お相手いたします」
「ちょっとセシリア。アンタ悔しくないの!?」
セシリアの反応に、鈴音は食いつくが、
「そうではありません。月影さんはわたくしたちを仮想敵として見ているのです」
「仮想敵? どういう事よ?」
セシリアの言葉に鈴音は首を傾げる。
「ISを嫌う月影さんがISに乗ることを決意した理由を考えれば、すぐにわかると思いますが?」
「紫苑がISに乗る理由……………? あっ!」
鈴音もその事に思い至った。
紫苑はセシリアと鈴音の2人を、妹の翡翠と一緒に居たテロ組織の女と想定して模擬戦を行うと言っているのだ。
「ご、ごめん紫苑………私ってばつい………」
鈴音は申し訳なさそうに謝る。
「いや、俺の言い方も悪かった。すまない」
紫苑も言い方が悪かったことを謝罪する。
「それに、そうでなくともわたくし達2人で月影さんの相手が務まるかどうかも怪しい所ですしね」
セシリアが付け加えてそう言った。
「はぁ!? それどういう事よ!?」
「鈴さんはご存じありませんでしたね? わたくしは縁あって織斑先生と月影さんの生身の試合を見る機会があったのですが……………月影さんは互角とまでは行かなくとも、織斑先生に食らいつき、傷を負わせるほどの腕前を持っていました」
「嘘っ!? 千冬さんに傷をっ!?」
元世界最強のIS乗りに傷を負わせたことに驚く鈴音。
「ええ。ですので、油断して掛かればあっという間にやられるのはこちらかもしれません」
「そ。それが本当なら確かに油断は禁物ね………」
2人は気を引き締めてISを展開する。
それを見て紫苑もISを展開した。
紫苑の展開したものはラファール・リヴァイヴ。
しかし、それは紫苑が選んだ装備が追加されていた。
まず、両腕にパイルバンカーが装備されており、その手にも打鉄の刀型のブレード(ブレードは持ってみてもトラウマには関係無かったため発作が起きなかった)を持っている。
両肩にはシールドがあり、余った場所には追加ブースターが出来るだけ付けられていた。
残った容量は、全て機体の反応速度を上げるために使っている。
因みに機体の色は紫苑の好みで真紅に染め上げられている。
更に余談だが、機体の色は紫にするか真紅にするかで悩んだ紫苑だったが、データでシュミレートしてみた所、暗い紫はあまり好みでは無かったし、明るい紫(要はネプテューヌのイメージカラー)にすると思った以上に女っぽくなったので、真紅にすることに決定した。
向かい合う紫苑とセシリア、鈴音。
「ぱぱーーーーーっ! がんばれーーーーーっ!!」
観客席でピーシェが紫苑を応援し、
「頑張って~! シオン君~! セシリアちゃんと~、りんちゃんも頑張れ~!」
間延びした声で全員を応援するプルルート。
紫苑はブレードを構え、
「…………行くぞ!」
鈴音とセシリアも意識を集中する。
そして次の瞬間、
「はぁああああああっ!」
「でぇええええええいっ!」
紫苑と青龍刀を構えた鈴音が同時に飛び出し、ぶつかり合った。
「えっ!?」
だが、鈴音が驚いた声を漏らした。
何故なら、剣と剣がぶつかり合ったと思った瞬間、まるで示し合わされたかのように鈴音の剣が受け流され、紫苑の左側へ体勢が崩れる。
その隙に紫苑がブレードから右手を放し、右腕のパイルバンカーを鈴音の脇腹辺りに押し付けた。
次の瞬間、
「きゃぁあああああああああっ!?」
ズドン、と重い音と共に鈴音が勢い良く吹き飛び、アリーナの壁に激突する。
「鈴さん!」
2人が激突している間に空へ舞い上がったセシリアは、追撃をさせないために紫苑に向かってビットとライフルによる一斉射撃で攻撃する。
「ッ!」
即座に紫苑は反応し、その場を離れる。
残された容量を全て反応速度に回したお陰か、紫苑の反応に完璧とは言わないまでも付いてくる機体。
(最初に乗った時よりはかなりマシだな)
紫苑は機体の使い心地を評価しながら無意識で
これも追加ブースターを出来る限り乗せたお陰か、通常のラファールよりもかなり速いスピードが出た。
「そう簡単に………!」
セシリアはビットを展開させ、紫苑を囲う様な位置取りをする。
「喰らいなさい!」
ビットから次々とレーザーが放たれる。
「この程度!」
紫苑はビットの位置を完璧に見切ってレーザーを避けていく。
「なっ!?」
セシリアが驚愕した瞬間、
「そこっ!」
紫苑は右手にライフルを呼び出し、ビットの1つを撃ち抜く。
「くっ! まだ!」
セシリアは残った3機を撃墜されまいと操作するが、
「きゃっ!?」
銃声と共に衝撃を受けた。
見れば紫苑がライフルをセシリアに向けて構えていた。
「ビットを操作している間に動けないことは、早めに何とかした方が良いぜ?」
紫苑はそう言いながらニヤッと笑う。
その瞬間、
「隙ありですわ!」
紫苑の背後にビットの1つを移動させ、そのまま紫苑にレーザーが、
「甘い」
放たれる前に、紫苑はセシリアから視線を逸らさず頭の横からライフルを背後に向け、ビットを撃ち抜いた。
「そんなっ!? 振り返りもせずに!?」
「いや、ハイパーセンサーでほぼ360度視界は確保されてるんだから別に驚く事でも無いだろ?」
「そうだとしても、意識をその全てに回すことはそんなに簡単な事では!?」
「そんなもんか?」
紫苑がそう呟いた時、
「私を忘れてんじゃないわよ!」
復帰した鈴音が側面から紫苑に斬りかかる。
「お前はもう少し冷静に戦った方が良いな」
紫苑はそう呟いて機体を背後に僅かに移動させた。
それだけで鈴音の青龍刀は空を切る。
「なっ!? このっ!」
鈴音は即座に振り向いて衝撃砲を放とうとしたが、
「えっ? 居ない!?」
振り向いた先には紫苑はいなかった。
「鈴さん後ろです!」
セシリアの声が響き、鈴音は背後に振り向こうとして、
「はぁあああああああっ!!」
「きゃぁあああああああああああああああっ!?」
紫苑の諸手突きと共に放たれたパイルバンカーの左右同時攻撃を受け、鈴音は派手に吹き飛ぶ。
「鈴さん!? このっ!」
最初は鈴音を助けようとして構えかけていたスナイパーライフルの銃口を紫苑に向けて放つ。
「…………………」
紫苑は最小限の動きでそれを躱そうとしたが、
「くっ!?」
余りにも紙一重過ぎたのか、シールドが自動発生し紫苑は衝撃を受ける。
「チッ、まだ攻撃が当たる範囲を把握しきれていないか」
紫苑は舌打ちをしながらそうボヤき、体勢を立て直すとミサイルポッドを呼び出してそれをセシリアに向けて放つ。
「そんなミサイル程度で!」
セシリアは残ったビットを操り、ミサイルを撃ち抜いた。
だが、ミサイルを撃墜した瞬間、大量の煙がセシリアを覆った。
「これは………煙幕!?」
煙幕により紫苑の位置を見失うセシリア。
すると、突然衝撃を受けた。
「きゃあっ!?」
紫苑がセシリアの肩を掴み、勢いよく押し始めたのだ。
「つ、月影さん!?」
セシリアは背後を見る。
グングンとアリーナの地面が近付いてきているのが見えた。
「このまま地面に押し付けて確保するおつもりですわね。ですが、そう簡単に!」
セシリアは紫苑の狙いを悟ると、機体の出力を最大まで上げる。
「くっ!」
紫苑が声を漏らした。
勢いよく押していたのが徐々にスピードが落ち始め、地面からまだ随分余裕があるところで完全に押し留められてしまったのだ。
「操縦技術では敵わなくても、機体の性能はこちらの方が上でしたわね」
セシリアの言葉と、機体が完全に止められたことを確認して紫苑は溜息と共に力を抜き、セシリアを離した。
「相手をしてくれて助かった。これでまだいろいろと直せるところが見えてきた」
紫苑はそう言って礼を言う。
「いえ、こちらも良い経験になりましたわ」
セシリアも笑顔で答える。
すると、
「あいたたたた…………もう、思いっきりぶちかましてくれちゃって…………」
鈴音が愚痴を言いながら近付いてきた。
「悪いな。でも、本気でやらないとお前も納得しないだろ?」
「そんなの当然じゃない!」
紫苑の言葉に堂々とそう言う鈴音。
するとその時、周りの生徒達が騒めいた。
「ねえ、ちょっとあれ」
紫苑達が見下ろすと、ピットの入り口に黒いISを纏ったラウラが立っていた。
「嘘っ。 ドイツの第3世代じゃない」
「まだ本国でトライアル段階だって聞いてたけど………」
それを見てセシリアが呟いた。
「ラウラ・ボーデヴィッヒ…………」
「何、あいつなの? 一夏を引っ叩いたドイツの代表候補生って…………!」
セシリアの呟きに鈴音が不機嫌そうな視線をラウラに向ける。
ラウラは、ピットの入り口から一夏を見下ろし、
「織斑 一夏」
一夏に呼びかけた。
「何だよ?」
一夏は少々不機嫌気味に答える。
「貴様も専用機持ちだそうだな。 なら話が早い。 私と戦え!」
そう言うラウラ。
それに対し、
「嫌だ。 理由が無ぇよ」
一夏はそう断る。
しかし、
「貴様には無くとも、私にはある」
「今じゃなくていいだろ? もうすぐ学年別トーナメントがあるんだから、その時で」
一夏はそう言って断ろうとした。
だが、
「なら………」
ラウラが呟くと同時に右肩のレールガンが発射された。
「なっ!?」
一夏にしても、いきなり撃って来るとは思わなかったため、反応が遅れる。
そこにシャルルがシールドを呼び出しながら一夏の前に立ちはだかり、弾丸を弾こうとして、
「はっ!」
更にその前に紫苑が急降下してきてその弾丸をブレードで真っ二つに切り裂いた。
「「「なっ!?」」」
その事実に一夏、シャルル、ラウラの3人が驚愕の声を漏らした。
「流石に無抵抗の相手にいきなりぶっ放すのは見ていられなかったんでね。割り込ませてもらった」
紫苑はブレードを肩に担ぎながらそう言う。
ラウラは一瞬驚いたようだが表情を引き締めると、
「フン、お前がもう一人の男性IS操縦者か。フランスの第二世代で………しかも専用機でもない量産型でこの私の前に立ちはだかるか…………?」
「機体性能だけで今俺がやったことと同じことが出来るなら、説得力はあるがな」
紫苑はそう言ってラウラを平然と見返す。
「………………」
ラウラは黙って紫苑を見る。
すると、
『そこの生徒! 何をやっている!?』
担当の教師が放送で呼び掛けてきた。
「………フン、興が削がれた。今日の所は引いてやろう」
ラウラはそう言ってISを解除する。
そして一夏をもう一度見ると、その場を立ち去って行った。
Bルート第16話です。
今回はプルルートの説明と紫苑のIS披露でした。
少し盛り上がりに欠けたかな?
プルルートがいきなり変身しそうな兆候がありましたがそう簡単には変身させません。
一番最初の犠牲者はあの人に決めてますので。
さて、話は変わりますがBルートで悩みに悩んでたヒロインですが………………決めました!
ネプテューヌはもちろんそのままメインヒロイン続行ですが……………楯無! ヒロイン昇格!!
更にはプルルートもヒロインにします!!
そして何故かこのまま行くとラウラも紫苑のヒロインになりそうな勢いです(今の所考えているストーリーの流れではおそらく)!!
ハーレムに反対な人も居るかと思いますが、これでも悩みに悩んだ結果なので納得していただけると嬉しいです。
では、今回はこれにて。