超次元インフィニット ネプテューヌ・ストラトス   作:友(ユウ)

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第20話 海に着いたら11時!(オーシャンズ・イレブン)

 

 

 

 

 

 

ラウラとの騒動から時は流れ、臨海学校当日。

 

「今11時でーす! 夕方までは自由行動! 夕食に遅れないように旅館に戻ること! いいですねー!?」

 

「「「「「「「「「「は~~~~~~い!!」」」」」」」」」」」

 

真耶の呼びかけに、生徒達が答える。

我先にと砂浜に駆けだす。

7月の太陽が照りつけ、目の前には青い海が広がる。

臨海学校1日目は終日自由行動だ。

生徒達は持参した水着を着て、はしゃぎ回る。

 

「なかなかいい場所だな………」

 

紫苑は海パン姿で浜辺を眺める。

すると、

 

「ぱぱーーーーーーーーっ!!」

 

「うおっと………!」

 

子供らしい水着に着替えたピーシェが紫苑に跳び付いてきた。

 

「おまたせ~」

 

「おうプルルート、よく似合ってるぞ」

 

「えへへ~」

 

続いて同じように水着に着替えたプルルートと、

 

「……………プルルート、隣にいるのは誰だ?」

 

バスタオルを全身にグルグル巻きにした誰か。

すると、

 

「ラウラちゃん~。恥ずかしがってないで~、見せてあげなよ~?」

 

「い、いや、しかしだな……………」

 

プルルートの言葉でその人物がラウラである事を悟る紫苑。

ラウラはどうやら水着姿を見せるのが恥ずかしい様だ。

 

「も~、仕方ないなぁ~………………それぇ~!」

 

「や、やめっ…………!」

 

何時までも姿を見せようとしないラウラに対し、プルルートは無理矢理バスタオルをはぎ取った。

そのバスタオルの下から現れたのは、髪をツインテールに纏め、黒のビキニタイプの水着を着たラウラだった。

 

「わ、笑いたければ笑うが良い………!」

 

ラウラは恥ずかしさから顔を赤く染めながら目を逸らす。

 

「おかしい所なんてないよね~? シオン君~?」

 

「ああ、よく似合ってて可愛いぞ。ラウラ」

 

プルルートの言葉に紫苑は同意する。

 

「ひゃう!? そ、そうか…………私は可愛いのか…………そのような事を言われたのは初めてだ…………」

 

紫苑の言葉にラウラは照れてしまい、モジモジと指先を弄ぶ。

すると、

 

「お兄ちゃーん! プルお姉様―!」

 

3組だったので別行動だった翡翠が左手を振りながら駆け寄ってくる。

言い忘れたが、翡翠は腰まで届く黒髪のロングストレートをそのままに、160cmほどの身長に発育の良い体をしている。

これで着物でも着れば大和撫子という言葉がピッタリな美人だ。

翡翠は薄緑のビキニタイプの水着を着て、その上にパーカーのジャケットを羽織っている。

因みにプルルートに対しての『プルお姉様』という呼び方は既に定着してしまっている。

 

「翡翠」

 

紫苑が翡翠に呼びかけ、翡翠は紫苑の元へ来る。

 

「皆もう集まってたんだ。あ、ピーシェちゃんもラウラちゃんも可愛いよ!」

 

笑顔で駆け寄ってくると共に、それぞれの水着を褒める翡翠。

そんな翡翠を見て、

 

「…………なあ翡翠………ちょっと気になったんだが…………」

 

「何? お兄ちゃん」

 

紫苑はふと疑問が浮かんだ。

 

「お前、その義手で海に入って大丈夫なのか?」

 

紫苑は翡翠の右腕となっている機械の義手に視線を向ける。

 

「ん~、どうなんだろ? 私の身体としては重さに慣れちゃってるけど、実際に泳ぐとなると重いかも………」

 

「それ以前に錆びる心配はないのか?」

 

「………わかんない。試したこと無いし…………簡易防水位はされてると思うけど………」

 

「…………外すか?」

 

「片手で泳ぐのも大変じゃないかなぁ?」

 

2人が如何したものかと思っていると、

 

「じゃあヒスイちゃん~。ヒスイちゃんはあたしと一緒に浜辺で遊ぼ~?」

 

プルルートがそう言う。

 

「プルお姉様! は、はい! 喜んで!」

 

プルルートの案に翡翠はNoとは言えないらしい。

 

「ははは…………じゃあ、俺はピーシェと海で泳ぐか………」

 

「うん! ぴー泳ぐ!」

 

ピーシェは嬉しそうにそう言うとビート板を持って海へ駆け出していく。

 

「おーいピーシェ! 1人で行くと危ないぞ!」

 

紫苑はそう呼びかけるがピーシェは聞こえてないのかパワフルに泳ぎ出す。

余りの元気の良さに周りの生徒が驚いている。

 

「やれやれ…………っと、ラウラはどうする?」

 

紫苑はラウラにそう尋ねたが、

 

「か、可愛い……………私が可愛い…………」

 

ラウラは未だにブツブツと呟きながら顔を赤くしていた。

 

「まだ照れてるのかお前は………」

 

若干呆れる紫苑。

 

「落ち着いたらお前も来いよ!」

 

紫苑はそう言うと、泳ぎ回っているピーシェの方へ走っていく。

 

「おいピーシェ、少しは落ち着けって…………!」

 

元気に泳ぎ回るピーシェを宥めようと声を掛ける紫苑。

一方、別の場所では一夏達がビーチバレーを楽しんでいた。

途中から千冬や真耶も混ざり、更に盛り上がっていく。

そんな時、

 

「で~きた~!」

 

プルルートの嬉しそうな声が響く。

ビーチバレーに夢中になっていた面々がそちらを向くと、

 

「どお? 皆~!」

 

高さが4m以上ありそうなデフォルメされた巨大な一夏の砂像だった。

 

「「「「「「「「「「おお…………………!?」」」」」」」」」」

 

何気にクオリティーも高く、どうやってこの短時間でこの砂像を作り上げたのかと聞きたいぐらいだ。

これには全員驚愕を通り越してドン引きしていた。

 

 

 

 

やはり楽しい時間というのは早く過ぎるものであり、気付けばいつの間にか日が傾いている時間だった。

夕食を終え、各々が各部屋で就寝までの時間を過ごしていた時、紫苑は温泉に入った後、プルルート、ピーシェ、更にはラウラと共に自分の部屋に向かっていた。

因みに紫苑の部屋割りだが、千冬と一夏が同室であり、その隣に紫苑がプルルート、ピーシェと共に同じ部屋となっている。

とりあえず今まで問題を起こしていないため、一緒でも大丈夫だろうとの千冬の判断だ。

まあ、防音もそこまでしっかりしているわけではないため、何かあった時には千冬にすぐわかるようになっているが。

紫苑達が部屋への曲がり角を曲がったとき、

 

「ん?」

 

紫苑は一夏と千冬の部屋の前に張り付いている箒、セシリア、鈴音、シャルロットを見つけて声を漏らした。

襖に耳を当て、中の音に耳を澄ませている様だ。

 

「何やってるんだお前ら?」

 

紫苑はそんな彼女たちに歩み寄って訊ねる。

 

「しっ………!」

 

鈴音が人差し指を口の前に立てて、静かに、とジェスチャーをする。

それから襖の中を指差す。

紫苑は何だと首を傾げながら同じように襖に耳を近付けて耳を澄ますと、

 

『千冬姉、久しぶりだからちょっと緊張してる?』

 

『そんな訳ないだろう………』

 

中から一夏と千冬の会話が聞こえる。

 

『あっ……うっ………少しは加減をしろ………!』

 

『はいはい。じゃ、ここは?』

 

『まっ………! そ、そこは…………!』

 

『すぐに良くなるって。大分溜まってたみたいだしね』

 

その会話を聞いて、箒達は顔を赤くしている。

 

「………………………」

 

紫苑は一夏と千冬の会話と彼女たちの反応からどんな想像をしているか簡単に予想がついたが、

 

「………………はあ」

 

彼女達が耳を当てている襖の取っ手に手を掛け、スパンと素早く開いた。

 

「「「「きゃああっ!?」」」」

 

支えを失った4人は前のめりに倒れ、部屋の中に雪崩れ込む形になる。

4人は恐る恐る顔を上げるとそこには、

 

「……………………?」

 

布団にうつ伏せで寝転んでいる千冬にマッサージを施していた一夏がポカンとした表情で彼女達を見ていた。

 

「こんな事だろうと思った」

 

紫苑は呆れた様にそう呟いた。

 

 

 

現在、箒、セシリア、鈴音、シャルロットの4人は千冬の前で正座させられていた。

因みに紫苑達は偶々居ただけなので正座は免除である。

 

「まったく! 何をしているか馬鹿どもが!」

 

千冬は不機嫌そうにそう言うと椅子に腰かける。

 

「マッサージだったんですか………」

 

シャルロットが苦笑しつつホッとした表情で呟く。

 

「しかし、私はてっきり…………」

 

ラウラが口を開く。

 

「何やってると思ったんだよ?」

 

一夏がそう聞くと、

 

「それはもちろん男女の………モガッ?」

 

ラウラがそう言いかけると、紫苑が後ろから口を塞ぐ。

 

「ラウラ、そういう事は分かってても口にしないのがマナーだぞ?」

 

言い聞かせるようにそう言う紫苑。

 

「……ぷはっ! ふむ、そういうものか………?」

 

「そういうもんだ」

 

ラウラの口から手を離す紫苑。

 

「? なんだよ?」

 

一夏がそう言うと、

 

「それぐらい自分で察しろ」

 

そう言って紫苑は話を切る。

 

「こう見えてこいつはマッサージが上手い。疲れがたまった時には偶にやって貰っているのさ」

 

千冬がそう言う。

すると、何かを思いついたように、

 

「一夏、ちょっと飲み物を買ってこい。月影も奢ってやるから一夏を手伝ってやってくれ」

 

突然そう言った。

一夏は素直に頷き、紫苑は断る理由も無かったので了承した。

 

 

 

2人が部屋を出た後、千冬はビールを取り出してそれを煽ると、

 

「………で? お前らあいつ等の何処が良いんだ?」

 

「「「「「!?」」」」」

 

「?」

 

「うゆ?」

 

千冬の言葉に激しく反応した5人とのんびりと首を傾げるプルルート。

そして何も理解していないピーシェ。

 

「わ、私は別に………以前より腕が落ちているのが腹立たしいだけですので」

 

と、箒。

 

「あたしは、腐れ縁なだけだし………」

 

と、鈴音。

 

「わ、わたくしはクラス代表としてしっかりしてほしいだけです」

 

と、セシリア。

その言葉を聞き、

 

「ふむ、そうか。ではそう一夏に伝えておこう」

 

しれっとそう言う千冬。

 

「「「言わなくていいです!」」」

 

3人は揃ってそう言う。

その様子を千冬は笑って流すと、シャルロットに視線を向ける。

 

「僕………あの、私は…………優しい所、です………」

 

恥ずかしいのかポツリとそう小さく言うシャルロット。

 

「ほう。しかしなあ、あいつは誰にでも優しいぞ」

 

「そ、そうですね………それがちょっと、悔しいかなぁ」

 

照れ笑いをしながら顔を赤くするシャルロットを羨ましそうに見る先程の3人。

 

「………で? そこの2人は月影の何処が良いんだ?」

 

千冬はラウラとプルルートに問いかける。

ラウラは少し俯き、恥ずかしそうに口を開く。

 

「わ、私は…………私の助けを求めた手を掴んでくれたから…………でしょうか………」

 

「ほう? だがそれはつり橋効果という奴じゃないのか? そういう事が切っ掛けの恋は長続きしないという話もあるぞ?」

 

千冬はそう言う。

しかしラウラは、

 

「た、確かに切っ掛けとしてはその通りです。で、ですが、まだ短い期間ですが紫苑と一緒に居ると、こう、心が安らぐというか…………安心する………といえばいいのでしょうか? とにかく、言葉では言い表せませんが、傍に居ると心地よく、何時までも共にいたいと思えるのです」

 

その言葉に、ほう、と千冬は感心したような表情を浮かべた。

 

「なるほど。で? 最後にこの中ではお前が一番月影と付き合いが長いようだが、お前は月影の何処が良いんだ? プルルート」

 

千冬はプルルートに顔を向ける。

 

「え~~? どこがいいって聞かれても~、シオン君が~、シオン君だから~、としかいえないかなぁ~?」

 

「どういうことだ?」

 

意味を理解できなかった千冬がそう聞き返すと、

 

「え~っとね~。シオン君の何処かを好きになったわけじゃなくて~、シオン君だから~、好きになったんだよね~」

 

「ふむ………」

 

「シオン君と一緒に居て~、気付いた時には~、好きになってたんだよね~」

 

「………なるほど」

 

千冬は笑みを浮かべながら頷く。

 

「ど、どういう意味ですの?」

 

「さ、さあ?」

 

箒達はプルルートの言葉の意味が分かってないのかそう漏らす。

 

「ぴーもぱぱのことすきだよ!」

 

突然ピーシェが自己主張する様にそう言う。

 

「ぷるるともねぷてぬのこともみんなすき!」

 

その言葉を聞くと、

 

「ありがと~ピーシェちゃん~。あたしも~、ピーシェちゃんのこと~、好きだよ~」

 

プルルートは笑顔を浮かべながらピーシェの頭を撫でる。

もちろんピーシェの好きとは家族に向けての『好き』である。

その様子を見て千冬は笑う。

 

「月影はどうか知らんが、一夏は役に立つ。家事も料理も中々だし、マッサージも上手い。付き合える女は得だな。どうだ、欲しいか?」

 

千冬の言葉に一夏に思いを寄せる4人は期待に満ちた顔をして、

 

「「「「くれるんですか!?」」」」

 

そう聞いた。

その言葉を千冬は、

 

「やるか馬鹿」

 

一刀両断に切り捨てた。

 

「「「「ええ~!?」」」」

 

揃ってがっかりした表情になる4人。

 

「女ならな、奪うくらいの気持ちでいかなくてどうする? 自分を磨けよ、ガキ共」

 

こうしてこの日の夜は更けていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――ゲイムギョウ界

 

「ふっ!」

 

「ええぃっ!」

 

パープルハートと変身したネプギアがモンスターを切り伏せる。

紫苑が行方不明となって数ヶ月。

ネプギアやアイエフ、コンパの献身もあり、パープルハートことネプテューヌも本調子とまでは行かないまでも、何とか平静を保てていた。

とはいえ、まだ若干の不安定さは垣間見えるがそれは仕方のない事だろう。

前ほどの無茶はしなくなったとはいえ、モンスターに苛立ちをぶつけている節もある。

ネプギアはなるべくネプテューヌの傍にいるようにして、紫苑が居ない寂しさを紛らわそうとしていた。

 

「このあたりのモンスターはこれで全部ね」

 

「うん、依頼はこれで完了だよ」

 

パープルハートの言葉にネプギアが応える。

 

「じゃあ、今日はこれで帰りましょう」

 

「うん」

 

クエストの目標であるモンスターを討伐した2人はプラネタワーへ帰ろうとしていた。

だが、

 

「ッ!?」

 

それに気付いたのはネプギアだった。

突如、パープルハートの近くに空間が歪んで黒い穴のような物が現れたのだ。

 

「お姉ちゃん!!」

 

咄嗟に呼びかけるネプギア。

 

「えっ…………? ッ!?」

 

一瞬呆けるパープルハートだったが、すぐに異変に気付く。

瞬時に離れようとしたが、その黒い穴はパープルハートを呑み込もうとしていた。

 

「くっ!」

 

それでもパープルハートはその場を離れようとした時、

 

「お姉ちゃん! 危ない!」

 

ネプギアが勢いよく飛んできてパープルハートを突き飛ばした。

 

「ネプギアッ………!?」

 

パープルハートは驚愕の表情を浮かべ、ネプギアを見る。

 

「お姉ちゃ………!」

 

その瞬間、ネプギアの姿はその黒い穴に呑み込まれた。

 

「ネプギア!」

 

パープルハートは体勢を立て直してネプギアを呑み込んだ黒い穴に手を伸ばす。

 

「ネプギ……………!」

 

その手がその黒い穴に届こうとした瞬間、その穴は突然消え去った。

そして、ネプギアの姿も………………

 

「ネプギア……………?」

 

パープルハートは呆然と呼びかけるも、返事は何処からも帰ってこない。

ただ、風が虚しく吹くだけだ。

 

「ネプギア…………ネプギアぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

パープルハートの慟哭のような叫びがその場に響いた。

 

 

 

 

 

 





はい、第20話です。
今回は臨海学校編初日をお送りいたしました。
あんまり盛り上がるところが無かったのでちょいと物足りない気が…………
ですが次回は…………そして最後のネプギアの行方は如何に!?(すっとぼけ)
では次をお楽しみに。

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