超次元インフィニット ネプテューヌ・ストラトス   作:友(ユウ)

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今回一夏アンチ(つーかヘイト?)色が強いです。
読む方は一応ご注意を。




第23話 復活の騎士(バーニングナイト)

 

 

 

 

「………………………」

 

紫苑はゆっくりと目を覚ました。

紫苑の眼に映ったのは旅館の天井。

 

「起きた~?」

 

そして聞こえる間延びした声。

 

「プルルート………」

 

紫苑はその声の主に首を回して顔を向けようとした。

だが、

 

「ぐっ!?」

 

背中に凄まじい痛みが走り、紫苑は思わず苦しそうに呻き声を上げる。

 

「大丈夫~?」

 

すると、紫苑の視界にひょっこりとプルルートが顔を覗かせた。

紫苑は緩慢な動きで腕を動かし、顔に取り付けられていた人工呼吸器に手を伸ばすと、やや強引にそれを外す。

 

「プルルート…………ネプギアは無事か?」

 

紫苑が一番に心配したことはネプギアの事。

 

「ギアちゃんは大丈夫だよ~」

 

「………そうか…………良かった」

 

プルルートの言葉に紫苑は明らかにホッとした表情を見せる。

 

「でも~、今はいちか君達を止めるために~、あのオバサンの所に行ってるけどね~」

 

「……………どういう事だ?」

 

プルルートの言葉に紫苑は説明を求めると、プルルートは一夏達が無断出撃して、ラウラと翡翠。

そして、ピーシェと変身できるようになったネプギアが一夏達を連れ戻すために出撃した事を言った。

その説明を聞き終えた紫苑が最初に口にした事は、

 

「…………………何をやっているんだ一夏の奴は………」

 

呆れた様に溜息を吐きながら口にしたその一言だった。

 

「向こうからこっちに攻めてくるならともかく、勝てる確率が低いのにこっちから仕掛けるか普通…………?」

 

そう愚痴を漏らす。

 

「とはいえ、放っておくわけにもいかないし、何より翡翠やネプギア達が心配だ………………っぐ!?」

 

紫苑はそう言いながら体を起こそうとするが、襲ってくる痛みに思わず体を硬直させる。

 

「無理しちゃダメだよ~」

 

「俺がこの位で止まる人間じゃないとよく知っているだろう?」

 

プルルートの言葉に紫苑はそう答えて立ち上がろうとする。

 

「でも~、シオン君のISは壊れちゃったから~、直すまでは使えないよ~?」

 

「だったら、訓練機でも何でも借りて行くだけだ…………!」

 

紫苑はそう言って痛みを無視して強引に立ち上がった。

とはいえ、その足はガクガクと震えており、今にも崩れ落ちそうだ。

今は膝に手を着いて何とか倒れないようにしている。

すると、プルルートはニッコリと笑って、

 

「やっぱり~、シオン君は~、シオン君だよね~」

 

そう言って立ち上がると、光に包まれた。

プルルートはその場で変身してアイリスハートとなる。

 

「シオンく~ん? アタシが何でこの場に残ったか理解してるぅ?」

 

アイリスハートは紫苑の前に立ちはだかる様に立つ。

 

「…………………………」

 

紫苑は何も言わずにジッとアイリスハートの眼を見ている。

その眼にアイリスハートはクスッと笑うと、

 

「それはね……………こういう事よ!」

 

アイリスハートは右手に剣状にした連節剣を具現すると、その切っ先を紫苑の胸に突きつけた。

 

「………………………」

 

それでも紫苑は動じずにアイリスハートの眼を見続ける。

この光景は、第三者から見れば無理をしようとする紫苑を見越してプルルートが力尽くでも止めるためにこの場に残った、と判断するだろう。

だが、紫苑はそうでは無いことに気付いていた。

 

「………………いいぜ」

 

紫苑のその言葉にアイリスハートは僅かに眼を見開いた。

 

「お前の『守護者』になろう」

 

紫苑は迷いなくそう言い切った。

 

「……………即答するとは思わなかったわぁ」

 

「俺は本気で俺の事を想ってくれる奴を拒むつもりは無い。お前の『守護者』にならなっても良いと思っていた……………それに、ネプテューヌにも許しを貰えたからな」

 

紫苑はそう言って笑って見せる。

 

「そう…………」

 

アイリスハートはそう呟くとネプギアにも渡した女神メモリーを取り出した。

 

「じゃあ、始める前に言っておくけどぉ、私達の世界の女神の『守護者』は、『女神の刃を恐れる事無くその身に受け入れ、女神メモリーの力を女神の口移しで与えることでその男性は守護者となる』…………んだけど、女神と男性の絆の強さはもちろんの事、男性の方に適性が無いと醜い化け物になっちゃうのよ。女神の適性の無い女が女神メモリーを使った時と同じようにね。でもぉ、そうなっても大丈夫。アタシは醜い化け物になったシオン君でも愛せるから」

 

本気とも冗談とも取れない声色でそう言うアイリスハート。

だが、

 

「そんな事にはならないから大丈夫だ」

 

紫苑は自信をもって言った。

 

「どうしてぇ?」

 

「俺は、お前の『守護者』になる男だからだ…………!」

 

「ッ…………!」

 

その真っすぐな紫苑の言葉にアイリスハートは不意を突かれたように表情を崩した。

 

「ああっ…………いいっ…………やっぱりいいわぁっ…………! 今すぐ………! 今すぐにシオン君をアタシのモノにしたいわぁ!」

 

恍惚の表情で両手で自分の顔を挟みながら言葉を漏らすアイリスハート。

 

「いいぜ。その代わり、お前も俺のモノだ」

 

迷いなく頷く紫苑。

 

「ああっ! もう………もう我慢できないわぁ!」

 

ゾクゾクとした快感に襲われたアイリスハートは頬を赤らめながら剣を引き、突きを放つ体勢になる。

紫苑は両手を横に広げてアイリスハートを受け入れる体勢をとった。

 

「行くわよシオン君」

 

「ああ」

 

アイリスハートの言葉に紫苑は短く答える。

そして、

 

「はっ!」

 

アイリスハートの刃が紫苑の胸を貫いた。

紫苑は呻き一つ漏らさず、それどころか眉一つ動かさずにその刃を受け入れる。

アイリスハートはすぐに女神メモリーを口に含むと、紫苑の顔を両手で挟み込み、躊躇無く口付けた。

その瞬間、その場は炎に包まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハッハッハァ!!」

 

戦場では、連続する爆音と共に高笑いが響いていた。

マジェコンヌの背中に新たに現れた4対8枚の黒い光の翼が巨大化し、そこから放たれる黒い光弾が次々と海面や小島に命中。

凄まじい爆発を引き起こしている。

一夏達は元より、ネプギアやイエローハートも避ける、もしくは防ぐことで精いっぱいだ。

 

「どうした? 逃げているだけでは私は倒せんぞ?」

 

挑発的な口調で言うマジェコンヌ。

 

「くっ!」

 

ネプギアが銃剣を構えてビームを放つ。

それは真っすぐにマジェコンヌに向かうが、

 

「フン………」

 

黒い翼がマジェコンヌを包み込み、ビームを弾いた。

 

「ッ………!」

 

驚いた表情をするネプギア。

 

「当然だが防御力もパワーアップしている。その程度では貫けんぞ」

 

「くっ………!」

 

その言葉にネプギアは悔しそうな表情をする。

その時、

 

「翡翠!」

 

「うん!」

 

ラウラが翡翠に呼びかけ、ラウラがレールガンを構え、翡翠はミサイルランチャーを展開する。

 

「「いけぇっ!!」」

 

レールガンの砲弾と、4発のミサイルがマジェコンヌに向かう。

 

「フッ…………」

 

マジェコンヌは余裕の表情でその攻撃を避けようともしない。

事実、レールガンの砲弾は黒い翼にあっさりと止められ、ミサイルも同じように止められる。

そう思われた。

だが、そのミサイルが黒い翼に防がれた瞬間、大量の煙がマジェコンヌを覆った。

 

「煙幕だと!? チッ………小癪な!」

 

マジェコンヌは舌打ちすると、翼を勢いよく広げる。

その衝撃で煙幕は全て吹き飛んだ。

 

「ハッ! 何が狙いかは知らんが、こんなものでこの私の隙を作る事など…………」

 

マジェコンヌがそう言いかけた所で、

 

「ハードブレイクキーーーーーーーック!!」

 

翼を広げた瞬間の隙を狙い、イエローハートが真上から降ってきてマジェコンヌを蹴り落とした。

 

「ぬああああああああああああああっ!?」

 

マジェコンヌは錐揉みしながら落下していく。

その時、

 

「チャンスだ!」

 

何を思ったか、一夏が雪片を構えてマジェコンヌに突っ込んでいった。

 

「馬鹿者! 何をやっている!? 止めろ!」

 

ラウラが制止を呼びかけるが、聞こえていないのか一夏が止まらない。

 

「はぁあああああああああああっ!!」

 

一夏が雪片を大きく振りかぶって斬りかかる。

だが、

 

「チッ、舐めるな!」

 

マジェコンヌが体勢を立て直すと、武器を直剣に変えて一夏の剣を受け止める。

 

「くっ!」

 

一夏はそのまま鍔迫り合いへ持っていこうとするが、

 

「いけない! 離れて!」

 

ネプギアが叫ぶ。

何故ならマジェコンヌが翼を大きく広げ、光弾を放つ体勢をとっていたからだ。

 

「ッ!?」

 

一夏もそれに気付くがもう遅い。

目前の一夏に向けて光弾が放たれる、

一夏は思わず目を瞑った。

 

「………………………?」

 

だが、一向に痛みも衝撃も一夏を襲わなかった。

一夏は恐る恐る目を開ける。

するとそこには、一夏の前でシールドを展開し、一夏を護ったネプギアの姿。

 

「ネ、ネプギア………?」

 

「はぁ………はぁ………ま、間に合った………」

 

しかし、完全には防ぎきれなかったらしく、プロセッサユニットの所々にダメージを受けたとみられる跡が残っていた。

 

「フンッ…………!」

 

それでもマジェコンヌは猛攻の手を緩めたりはしない。

武器を斧へと変化させると、大きく振りかぶり、

 

「テンツェリントロンベ!!」

 

ホワイトハートの技である強力な斧の一撃を放った。

 

「くっ………きゃぁあああああああああああああっ!!」

 

後ろに一夏がいるのでネプギアは避けるわけにもいかず、その場で防御するが、マジェコンヌの一撃はネプギアのシールドを打ち破ってネプギアを大きく吹き飛ばした。

 

「ネプギアッ…………ッ!?」

 

一夏は吹き飛ばされたネプギアに向かって叫ぶが、目の前にマジェコンヌが居ることに気付き、息を呑んだ。

だが、マジェコンヌは一夏に対して一瞥すらせずにネプギアを追って飛んでいく。

 

「………………はぁ! はっ………! はっ………!」

 

マジェコンヌが目の前にいた事で息をすることすら忘れていた一夏は、マジェコンヌが離れたことで我に返り、激しく息を吐いた。

 

「「「一夏!」」」

 

「一夏さん!」

 

箒、セシリア、鈴音、シャルロットが一夏の傍に寄って声を掛ける。

一夏は何とか息を落ち着かせた。

すると、

 

「お前達! 早く撤退しろ!」

 

ラウラがそう呼びかける。

だが、

 

「お前達にだけ戦わせて、尻尾巻いて逃げろって言うのか!? そんなこと出来るかよ!」

 

一夏はそう言って撤退しようとはしない。

 

「まだ分からないのか!? これは殿戦だ! お前達が撤退すれば私達もすぐに撤退する!」

 

「女の子に背中を任せて逃げられるか!」

 

「いい加減にしろ! お前たちがやったことは命令無視による無断出撃だ! いくらお前達が軍人では無いとはいえ、勝手な行動は多くの同胞を危険に晒すことになる! それを理解しろ!」

 

「皆が危険になるからあいつを早く倒さなきゃいけないんだろ!!」

 

「勝ち目のない戦いに身を投じて何になる!?」

 

「そんなことは無い! みんなの力を合わせればきっと勝てる!」

 

「まだそんな事を言っているのか!? 何故先程奴は目の前のお前を無視してネプギアを追ったと思っている!?」

 

「えっ?」

 

「奴にとって、お前は眼中に無いんだ! 歯牙にも掛ける価値も無いと判断されているんだぞ!!」

 

「なっ!?」

 

一夏はその言葉を聞くと怒りで顔を赤くする。

 

「ハッキリ言う! 奴との戦いに私も含めて全員が足手纏いだ! 出来ても遠距離からの多少の援護射撃が精々…………! 特に近接武装一本しかない白式では尚更な!」

 

ラウラはハッキリと事実を突き付ける。

 

「そ、そんな……………」

 

一夏は悔しそうに雪片を持つ手を握りしめる。

 

「そんな筈……………」

 

だがそれでも、一夏は認めることは出来なかった。

 

「そんな筈あるかあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

ラウラの制止を振り切って一夏はマジェコンヌに突撃する。

 

「えっ? イチカさん!?」

 

「イチカ!?」

 

マジェコンヌと戦っていたネプギアとイエローハートが突然の事に驚愕する。

 

「ン………?」

 

対してマジェコンヌは自分に向かって突っ込んでくる一夏に対して『何やってるんだコイツ』と言わんばかりの訝しげな眼を向けている。

 

「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」

 

一夏は雪片を大きく振りかぶり、全力で振り下ろした。

マジェコンヌは武器を再度直剣に変化させると、

 

「フン!」

 

軽い動作で剣を振り上げた。

カァンと軽い音を立てて、一夏の雪片がその手から弾かれ、クルクルと宙を舞う。

 

「なっ…………!?」

 

一夏はその事実が信じられずに一瞬呆けてしまった。

 

「お前のような羽虫如き相手にする価値も無いが、いい加減鬱陶しいぞ!」

 

マジェコンヌは少しイラついた声色でそう言うと直剣を振りかぶり、回転しながら一夏に斬りかかった。

 

「レイシーズダンス!!」

 

ブラックハートの必殺技で一夏に斬りかかるマジェコンヌ。

呆けていた一夏はその場を動く事は出来ない。

 

「あ………………」

 

漸く迫ってくる剣に気付き呆然と声を漏らす一夏。

最早避けることは出来ない。

だがその時、

 

「はぁああああああああああっ!!」

 

「がっ!?」

 

ラウラが瞬時加速で突進してきて一夏を体当たりで吹き飛ばした。

一夏は攻撃範囲から逃れるが、代わりにラウラがその剣の直撃コースに入っている。

 

「くっ!」

 

ラウラはせめてもの悪あがきと言わんばかりにAICを発動。

何とか動きを鈍らせようとする。

だが、それで剣は止まることは無く、ラウラの身体を切り裂いた。

 

「ぐあぁあああああっ!?」

 

叫び声を上げるラウラ。

 

「ッ………!? ラウラ!?」

 

「「「ラウラ!!」」」

 

「「ラウラさん!!」」

 

それぞれがラウラの名を呼ぶ。

 

「ぐぅぅ…………!」

 

ラウラのシュヴァルツェア・レーゲンが強制解除され、ラウラの身体が落下しようとしていた。

だが、その前にその首をマジェコンヌが掴み、宙吊りの状態にされる。

ラウラの身体にはダメージはあるようだが、致命的な傷は見当たらない。

攻撃を受ける直前に発動したAICが幾分か威力を減衰して、致命傷を避けたようだ。

 

「フン、馬鹿な奴だ。あのような愚か者を庇って代わりにやられるとは………」

 

マジェコンヌはラウラの行動を馬鹿にするように嘲笑う。

だが、ラウラは首を掴まれている腕を両手で掴むと、

 

「………っぐ………わ、私は…………軍人だ…………軍人には………民間人を護る義務がある………………それが例え、他国の人間だとしてもだ……………!」

 

ラウラは気丈にもマジェコンヌを睨み付け、そう言い放つ。

 

「……………フン」

 

マジェコンヌはつまらんと言わんばかりに鼻で笑うとその手に力を入れ、ラウラの首を絞めつける。

 

「がっ…………あっ……………!」

 

ラウラは首を絞められ、苦しそうな声を漏らした。

 

「ラウラさん!」

 

「らうら!」

 

ネプギアとイエローハートがラウラを助けようとマジェコンヌに向かって行く。

 

「黙って見ていろ!」

 

マジェコンヌは再び翼を広げ、黒い光弾をネプギアとイエローハートに向けて放つ。

 

「くっ……ううっ……!」

 

「痛たたたっ……!?」

 

マジェコンヌの攻撃により、足止めを喰らってしまう2人。

マジェコンヌは、その手に更に力を籠める。

 

「あっ…………が……………!」

 

首を絞められて硬直していたラウラの身体から力が抜けていく。

 

「「「ラウラ!!」」」

 

「ラウラさん!!」

 

「ラウラちゃん!!」

 

その様子を目撃した者達から悲痛な声が上がった。

マジェコンヌの腕を掴んでいた手から力が抜け、だらんと垂れ下がる。

ラウラの意識も朦朧とし、最早意識を失えばそのまま命も失うだろう。

その薄れ行く意識の中、

 

(紫苑…………これならば…………私はお前に顔向けできるだろうか…………?)

 

そう思うラウラの視線の先に、紫苑の後ろ姿を幻視していた。

 

(…………………最期に………もう一度だけ……………紫苑に……………)

 

紫苑に会いたいと願うラウラの右の瞳から一筋の涙が零れた。

 

 

 

 

 

 

 

その時だった。

ドォンという一発の銃声と共に、ラウラの首を掴んでいたマジェコンヌの腕が大きく弾かれる。

 

「なに!?」

 

突然の事にマジェコンヌも驚愕し、ラウラを手放していた。

力無く落下していくラウラ。

 

「「「ラウラ!!」」」

 

「「ラウラさん!」」

 

「ラウラちゃん!」

 

「らうら!」

 

それぞれが声を上げる。

だが、猛スピードで何かが飛んで来て落下途中のラウラを受け止めると皆の近くまで上昇してきた。

それは、赤と黒のインナーを身に纏い、バイザー型のヘッドギアで目元を隠し、胴、手首、膝に赤をメインカラーとしたプロテクターを。

背中には一対の赤き翼を持った20歳前後と思われる背丈をした青年だった。

 

「だ、誰ですの…………!?」

 

突然現れた人物にセシリアが皆の気持ちを代弁する様にそう漏らす。

一夏や箒、鈴音、シャルロット、翡翠も同じ気持ちだ。

だが、

 

「「あっ!」」

 

ネプギアとイエローハートが嬉しそうな声を上げる。

 

「お兄ちゃん!」

 

「ぱぱっ!」

 

そして2人は驚愕の一言を言い放つ。

 

「お兄ちゃん…………?」

 

「パパって…………?」

 

翡翠と鈴音が復唱する様に言葉を確認する。

 

「も、もしかして………! 紫苑!?」

 

ネプギアとイエローハートがそう呼ぶ人物に思い至ったシャルロットが驚いたように声を上げる。

 

「馬鹿な!? 何故貴様がその姿に!?」

 

マジェコンヌも驚愕している。

 

「何故変身できる!? 貴様はプラネテューヌの女神が近くに居なければ変身出来ない筈だ!」

 

マジェコンヌは思わず紫苑―――バーニングナイトに問いかけた。

しかし、それに答えたのはバーニングナイトではなく、

 

「あらぁ? プラネテューヌの女神ならここにもいるってこと…………忘れないで欲しいわねぇ?」

 

上空から見下ろすアイリスハートだった。

 

「ッ…………! そういう事か………! 貴様の『守護者』に…………!」

 

マジェコンヌは完全に予想外だと憎々しげに口にする。

すると、

 

「ゲホッ………! ゲホッ………!」

 

バーニングナイトに横抱きに抱かれていたラウラが咳き込んで呼吸を確保する。

 

「わ、私は…………!」

 

朦朧としていた意識が徐々に覚醒し、ハッとなる。

 

「大丈夫か? ラウラ………」

 

バーニングナイトは心配そうな声色でラウラに呼びかける。

 

「あ、ああ……………」

 

ラウラは目の前の人物に驚き呆然と返事を返すが、その人物を見ていると想い人の面影が重なった。

 

「………………もしや………紫苑か?」

 

ラウラはジッと見つめた後そう尋ねる。

バーニングナイトは軽く驚いた表情をして、

 

「良く分かったな………? 初めてこの姿を見た奴の殆どは分からないんだが………」

 

「ああ…………何となくだがな………」

 

ラウラは安心した表情で身体をバーニングナイトに預ける。

すると、翡翠やセシリア達も近くに寄ってくる。

 

「ほ、ホントにお兄ちゃん!? どうして大きくなってるの!?」

 

翡翠が驚いた表情で尋ねてくる。

 

「女神が『女神化』出来る様に、俺も『守護者』として変身出来るんだ。ただ、女神が近くに居ないと変身出来ないから今までは変身出来なかっただけだ」

 

バーニングナイトはそう言うと翡翠に向き直り、ラウラを差し出し、

 

「翡翠、ラウラを頼む!」

 

そう頼んでラウラを預けた。

 

「………うん! 任せて!」

 

「頼んだ! こっちはすぐに終わらせる!」

 

バーニングナイトはそう言うとマジェコンヌに振り返って右手に剣を具現する。

 

「プルルート! ネプギア! ピーシェ! 準備は良いか!?」

 

バーニングナイトが3人に呼びかける。

 

「いつでもいいわよぉ………!」

 

「うん!」

 

「よーし、いっくぞー!」

 

その3人もそれぞれが武器を構え、マジェコンヌと相対する。

 

「行くぞ!!」

 

バーニングナイトの掛け声で4人は一気に飛翔した。

 

「ならば! 全員纏めてあの世へ送ってやる!」

 

マジェコンヌは翼を大きく広げて無数の黒い光弾を放つ。

その数は、今までの3倍は軽くあった。

 

「なっ!?」

 

「何ですのあの数は!?」

 

その光弾の数にIS組は驚愕している。

 

「やっぱり、さっきまでは手を抜いてたんだね………」

 

「やはりな…………」

 

しかし、翡翠とラウラは落ち着いた様子でその光景を見ていた。

 

「なんであなた達はそんなに落ち着いてられますの!?」

 

セシリアが思わず叫んだ。

それに対して、

 

「だって、お兄ちゃんがいるから」

 

「ああ、紫苑が居るからな」

 

2人は無条件で紫苑を、バーニングナイトを信頼していた。

すると、まるでそれに応えるようにバーニングナイトは武器を大剣に変形させる。

そしてそれを大きく振りかぶり、

 

「エクステンドエッジ!!」

 

それを大きく薙ぎ払うと同時に炎の衝撃波が放たれた。

光弾を次々と飲み込んでいく炎の衝撃波。

 

「何っ!?」

 

全弾撃墜され驚愕するマジェコンヌ。

すると、その爆煙の中から2つの影が飛び出した。

 

「はぁあああああっ!!」

 

「たぁあああああっ!!」

 

ネプギアとイエローハートだ。

2人はマジェコンヌを挟み込むように動くと、マジェコンヌでクロスする様に同時に攻撃を加える。

 

「ぐあああっ!?」

 

不意打ちで2人の攻撃をまともに受けるマジェコンヌ。

そこへ追撃するために片手剣へ戻した武器を手にマジェコンヌへ向かうバーニングナイト。

だが、

 

「近付かせるものか!」

 

バーニングナイトに対して近接戦闘が不利だという事が良く分かっているマジェコンヌは、バーニングナイトを近付かせないように弾幕を張る。

 

「チッ! ネプギア! ピーシェ! 俺の後ろに!」

 

バーニングナイトは追撃を止めると2人に呼びかけ、その場で左手を突き出し、赤い魔法陣のシールドを張った。

ネプギアとイエローハートはバーニングナイトの後ろに避難する。

強固なシールドはマジェコンヌの光弾を完全に防ぎきるが、身動きが取れない状態になる。

 

「フハハハハッ! このまま力尽きるまで攻撃を続けてやる!」

 

マジェコンヌは高笑いをしながらそう言うが、バーニングナイトは突然不敵な笑みを零した。

 

「フッ…………何か忘れてないか?」

 

「何……………? ッ!?」

 

バーニングナイトの言葉にマジェコンヌは怪訝に思うが、突如として雷鳴が轟き、マジェコンヌは思わず上を向いた。

晴れていて空が白んできている夜空に雷が鳴り響く。

そこには、アイリスハートが眼前に巨大な雷球を生み出している光景があった。

 

「なっ!?」

 

マジェコンヌは思わず驚愕する。

 

「うふふ…………とっておきのをお見舞いしてあげる!」

 

そう言い放つアイリスハート。

 

「ま、拙い!」

 

マジェコンヌが慌ててその場を退避しようとした瞬間、マジェコンヌの足元に巨大な赤い魔法陣が広がる。

 

「なっ! こ、これは…………!」

 

マジェコンヌが気付いた時にはもう遅かった。

 

「マジカルエフェクト! 『バーンエクスプロード』!!」

 

バーニングナイトの言霊と共に、魔法陣の範囲内で無数の爆発が起こる。

 

「ぐあああああああっ!?」

 

その爆発でマジェコンヌの動きが止まる。

更に炎の剣が落下して魔法陣の中央に突き刺さると大爆発を起こした。

完全に動きが止まるマジェコンヌ。

その隙をアイリスハートは見逃さなかった。

雷球の上で剣と右足を同時に振り上げる。

そして、

 

「サンダーブレードキック!!」

 

その雷球を踏みつけると同時に剣を振り下ろし、雷球をマジェコンヌに向けて叩き落した。

 

「ぬあああああああああああああああああああああああっ!!??」

 

悲鳴を上げながら雷球に呑み込まれるマジェコンヌ。

その雷球はそのまま落下し、海面に激突すると内包エネルギーが一気に解放された。

海面が雷光で埋め尽くされる。

しばらくすると、雷光が収まり穏やかな海面が波打っていた。

バーニングナイトは確認の為に警戒しながら海面に近付く。

少し辺りを見回すと、海面に浮かぶ何かを見つけた。

それに近付くと、ISの残骸らしきものとそれに付いていたISのコア。

 

「………………マジェコンヌは………逃げたか…………」

 

バーニングナイトは辺りの気配を探るが、近くに気配は感じられない。

すると、

 

「しくじっちゃったかしら?」

 

傍にアイリスハートが降りてきてそう言う。

 

「いや、場所が悪かっただけだ。海面に叩きつけた時に、海に雷が流れてしまってマジェコンヌのダメージが軽減されてしまったんだろう」

 

バーニングナイトはそう言ってISのコアを回収する。

 

「とりあえず、当初の目的である暴走したISの停止はこれで完了だな」

 

バーニングナイトがそう言った時、朝日が昇り始め、辺りを照らし始める。

それぞれがホッとする中、無事にマジェコンヌを倒せたことに喜ぶ一夏の姿を、バーニングナイトは危機感を持って見つめていた。

 

 

 




はい、第23話です。
一夏アンチ色が強くなったなぁ…………
なんか書いてたらこんな感じに。
まあ、ともかくバーニングナイト復活の回です。
ご都合主義ですがプルルートの世界の『守護者』のなり方はネプテューヌの世界とは違うということで。
守護者のなり方はあんな感じでどうでしたでしょうか?
アイリスハートの性格が難しすぎる…………
とにかく、次回もお楽しみに。
次回も一夏アンチになりそうな気が…………タグ付けないと拙いかなぁ………
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