超次元インフィニット ネプテューヌ・ストラトス 作:友(ユウ)
ゴーレムⅢの襲撃から数日後。
楯無は医療室で上着を脱ぎ、身体に巻かれた包帯を取っていた。
その状態で首を回せば、それだけで自分でも確認できるほどに背中に広がる火傷の痕。
「……………………」
楯無はその痕を見ると俯いた。
―――『痛い』
楯無はそう感じていた。
だが、それは火傷の痛みではない。
確かにまだ痛みはあるが、裏の世界に身を置く楯無にとって、怪我など日常茶飯事と言っていい。
怪我の痛みには慣れている。
だが、この火傷を『痛い』と感じた理由は別にあった。
楯無は自分の体を抱きしめる様に震える。
「…………紫苑さんも…………こんな体じゃ嫌だよね………………」
それが楯無の思いだった。
すると、楯無はふと唐突に理解した。
何故今回に限り、傷痕に対してこんなにも『痛い』と感じるのか。
その理由に思い至った。
「ああ…………やっぱり私、紫苑さんの事本気で好きなんだ………………」
少し前だったら、まだ割り切れたかもしれない。
だが、先の一件で紫苑に助けられた事を切っ掛けに、一線を超えてしまった。
「…………………………紫苑………さん……………」
紫苑の名を呟くだけで胸が熱くなる。
だが、
「……………ッ!?」
背中の痛みが楯無の意識を現実に引き戻した。
「何言ってるんだろ…………? 私…………」
俯き、呟く楯無。
すると、突然部屋の扉が開き、
「あ…………………」
呆気にとられた紫苑の姿があった。
先程も言ったが、現在の楯無の格好は上半身裸だ。
「きゃっ…………!?」
「す、すまんっ…………!」
楯無は胸を隠すように紫苑の反対方向を向き、紫苑も慌てて後ろを向く。
楯無は慌てて上着を着ると、
「も、もういいですよ?」
そう言うと紫苑は振り向いて楯無に歩み寄ってくる。
「その………すまなかった。ノックをするべきだったな…………」
「いえ………私も不用心でした…………」
お互いにそう言うと、
「………………………!」
楯無は何かに気付いたように俯いた。
背中の火傷の痕を見られたことにショックを受けたのだ。
すると、
「……………刀奈」
「ッ…………!」
本名で名を呼ばれ、楯無はハッとなる。
「………………傷痕…………俺は気にしないからな」
「ッ!?」
楯無は驚きで目を見開きながら紫苑に振り返る。
「それはお前が簪を………大切な妹を護った証だ。誇りこそすれ、嫌忌するものじゃない」
「紫苑………さん…………」
こんな自分でも受け入れてくれると語る紫苑に、楯無は泣きそうになる。
「それでも、まあ…………お前がどうしても気になると言うのなら……………プラネテューヌの医学力ならその程度の傷痕なら消せるから安心しろ」
「し、紫苑さん…………私は…………!」
楯無が何か言いかけた所で、
「答えを出すのは一旦待て。その事について話さなければいけない事がある」
「話さなければいけない事…………ですか?」
「ああ…………答えを出すのはその後にして欲しい。そして、その話はラウラと簪…………そして、翡翠も交えて話をしたい」
「簪ちゃんとラウラちゃん…………は、まだ分かりますが、翡翠ちゃんもですか?」
「ああ…………翡翠は唯一の血の繋がった肉親だ。だからこそ、あいつにもしっかりと自分で考えて答えを出してもらいたい」
「そうですか…………」
「お前は明日にはこの部屋を出れるらしいから、その時にな…………」
紫苑の言葉に楯無は頷く。
「わかりました」
伝えることを言い終えると、紫苑は踵を返す。
「それじゃあ、大分よくなっているとはいえ、無理はするなよ」
最後にそう言い残して紫苑は部屋を出た。
「…………………………紫苑さん」
残された楯無は少し嬉しそうに頬を染めていた。
翌日。
医師の診察を受け、日常生活に戻れるとお墨付きを得た楯無は、自室の前に来ていた。
そして、
「たっだいまー!」
楯無は明るい声で扉を開けて部屋の中に入る。
すると、そこには紫苑、翡翠、ラウラ、簪。
そして、
「あれ? プルちゃんとネプギアちゃんまで?」
先日の話では出ていなかったプルルートとネプギアの姿もそこにあった。
「ああ。この2人にも少なからず関係している話だからな」
紫苑がそう言うと、楯無は空いている場所に座る。
「それで紫苑。話というのは何だ? 大切な話と言っていたが………」
ラウラがそう切り出す。
その言葉に紫苑は頷き、
「ああ……………まず、ラウラ、楯無、簪…………最初に確認しておきたいが、お前達3人は、俺に対して異性としての好意を持っている……………俺はそう思っているが、それに間違いは無いか? もしそれが俺の自惚れだったのなら謝る。そうだったら部屋を出てくれても構わない」
そう言い放った。
それに対し、
「当然だ」
ラウラは平然と答え、
「ええ、もちろん」
楯無はニコニコとしながら頷き、
「へぁっ!? え、あ、う……………うん………」
簪は突然の事に最初取り乱したが、ラウラと楯無が迷いなく肯定した所を見て、顔を真っ赤にしながらも頷いた。
「そうか……………まずは、その事についてはありがとうと言っておく。でだ、簪は俺の事をよく知らないだろうから、2人の確認の意味も含めて改めて話をしておく」
紫苑の真剣な眼に、簪は唾を呑み込んで話を聞く体勢になる。
「まず、簪は3年と半年ぐらい前にあったISのイベント会場で起こったテロ事件を覚えてるか?」
「えっと………展示されてた『打鉄』が強奪されて、多数の死傷者が出た、ここ何年かで最悪のテロ事件だったよね?」
簪も記憶にあるのか、そう言う。
「ああ。それで、そのテロ事件に俺と翡翠は巻き込まれた」
「ッ!?」
その言葉に簪は目を見開く。
「詳しい状況は省くが、そのテロ事件で翡翠は右腕を失ってテロ組織に誘拐され、俺はISに殴られて気を失った。俺が気が付いた時、残された翡翠の右腕を見て、俺は翡翠が死んだと思い込み、絶望した」
「…………………………」
簪は驚いたように口に手を当てる。
ラウラは僅かに険しい顔をして、楯無は少し悲しそうな表情を向けた。
「そしてその瞬間、何が原因かは分からないが、突然発生した次元の歪みに巻き込まれ、俺は『ゲイムギョウ界』と呼ばれる別次元の異世界に跳ばされた」
「い、異世界………!?」
その言葉に簪は驚愕の声を漏らす。
「信じられないだろうが本当だ。その世界は4つの国をそれぞれ4人の『守護女神』が治めている世界だった。俺は次に気付いた時には、ゲイムギョウ界にある国の1つ、『プラネテューヌ』に保護されていた」
「……………………………」
簪は目を見開いて呆気にとられている。
異世界など彼女の感覚からすれば、マンガやアニメの世界だろう。
「とはいえ、その時の俺にとってそんな事はどうでもよく、唯々絶望していた…………」
「紫苑さん……………」
「その時の俺は生きる希望も、意味も見いだせず、死を待つだけの存在となり果てていた」
「「「………………………」」」
その言葉に、ラウラ、楯無、簪の3人は悲しそうな顔をする。
「けどそんな時、俺は1人の『女神』と出会った。その『女神』が…………俺を絶望の底から救い出してくれたんだ。その『女神』こそプラネテューヌの『守護女神』であり、そこにいるネプギアの姉、『ネプテューヌ』だった」
とても懐かしそうに、嬉しそうに語る紫苑に、簪の胸がチクリと痛む。
「そこからの話は全部話すと長くなるから割合するが、とある出来事により、俺はネプテューヌの『守護者』となった」
「『守護者』……………?」
「『守護者』とは、『女神』を護る『騎士』であり……………同時に『伴侶』でもある男性のことだ」
「は、『伴侶』って……………じゃあ……………」
簪はその言葉の意味を理解し、絶望の表情を浮かべる。
「ああ。俺はネプテューヌと結婚している。ネプギアが俺を『兄』と呼ぶのもそのためだ」
「ッ…………!」
簪は涙を浮かべながら思わず立ち上がり、部屋から立ち去ろうとした。
その時、
「待って! 簪ちゃん!」
楯無がその手を掴んで引き留める。
「お姉ちゃん…………! でも…………!」
「落ち着いて、話はまだ終わってないから…………」
楯無は簪を宥めると、紫苑に向き直り、
「紫苑さん! 先にあの事を説明してください! その言い方じゃ、自分の事は諦めろっていう言い方にしか聞こえません!」
「あ、ああ。すまん………」
叱るような楯無の言葉に、紫苑は思わず謝る。
「簪ちゃん、座って? 大丈夫、簪ちゃんが思ってるような事にはならないから…………」
優しく言い聞かせるような楯無の言葉に簪も落ち着き、その場に座り直す。
「紫苑さん、続きをお願いします」
「あ、ああ…………」
楯無の催促に、紫苑は再び口を開く。
「その………確かに俺とネプテューヌは結婚してるわけだが……………ゲイムギョウ界では、何故か女性の方が出生率が高くてな……………その為に一夫多妻が認められてるんだ」
「!?」
さっきとは違う意味で驚愕する簪。
「そこにいるプルルートも、俺が居た『ゲイムギョウ界』とは別の世界の『ゲイムギョウ界』の『守護女神』なんだが、俺は臨海学校の時にそのプルルートの『守護者』になった。つまり、今の時点で俺はネプテューヌとプルルート、2人の妻を娶っていることになるわけだ」
そこで紫苑は言葉を一旦区切り、少し言いにくそうにしていたが、
「………………それで、こっちの世界の人からすれば不純だと思うが、お前達がこの世界を捨てて俺と共にゲイムギョウ界に来るなら俺はお前達の気持ちを受け取る事が出来る訳だが……………」
「私は何処へだろうと付いて行くぞ!」
ラウラが即答した。
だが、
「答えを出すのはちょっと待て、まだ大事な事を話していない」
「大事な事?」
ラウラが首を傾げる。
「ああ。ここからがラウラや楯無にも言ってなかった事…………お前達が答えを出すうえで聞かなければいけない事だ」
紫苑の真剣な眼に、3人は佇まいを直して真剣に話を聞く。
「それから翡翠。この話はお前もよく聞いて、俺と一緒にゲイムギョウ界へ来るかを判断してほしい」
「わ、私も?」
翡翠は困惑する表情を漏らす。
紫苑は目を瞑って一度深く深呼吸して気持ちを落ち着かせる。
そして口を開いた。
「翡翠、楯無………お前達は不思議に思わなかったか? 久し振りに会った時、何故俺が3年前と殆ど変わらない姿だった事に……………」
「う~ん………私は背が伸びてないな~っと思ってましたけど、150cm位の男性の人も居ないわけじゃないですから、紫苑さんもそうなのかな~って…………」
「私は記憶のままのお兄ちゃんで嬉しかったけど…………」
紫苑の言葉に楯無と翡翠はそう答える。
「そうか…………俺の姿に変化が無い事には理由がある。お前達は『守護者』を………俺の事を『女神』を護る力を持った『人間』と認識してるだろう?」
「あの変身能力の事だな。正直、どういう理屈でああなっているのかは分からんが………」
ラウラがそう答える。
「正確には違う。『守護者』とは、『女神』と力と生命を共有する男性の事だ」
「力と………」
「生命の………」
「共有………?」
3人が不思議そうに順番に呟く。
「第三者には理解しづらいかもしれないが、『女神』と『守護者』は魂で繋がっている。その繋がりによって『守護者』は『女神』より力を受け取り、その力を持って『女神』を護る『騎士』となる。それが力の共有だ。ただし、その力は女神………もしくは女神の力の源であるシェアクリスタルの近くに居なければ使えない。だから、俺が最初にこの世界に戻ってきた時には、変身は出来なかった。とはいえ、次元を隔てても魂の繋がりは切れていなかったから、僅かだが女神の恩恵を受けていた。俺の怪我の治りが妙に早かったのも、それが原因だな」
「……………でも、その話と私達と、何の関係があるの?」
話しの繋がりを感じられなかった楯無がそう問いかける。
すると、
「……………関係があるのはここからだ。今言ったのは力の共有。そして、もう1つの生命の共有」
「生命の共有…………?」
「『女神』と『守護者』は2人で1つの生命を共有している。即ち、『女神』が死ねば『守護者』も死に、逆に『守護者』が死んでも『女神』も死ぬ」
「「「「ッ…………!?」」」」
その事を初めて聞いた4人は息を漏らす。
「そして………お前達には黙っていたが、『守護女神』はシェア…………人々の信仰心を力にする。人々の信仰心が失われれば、『女神』も力を失い、やがて命を落とす。だが、逆に人々が『女神』への信仰心を持ち続ける限り、『女神』は力を持ち続け、その命を失うことは無い。そして『女神』は力を持ち続ける限り、寿命というものは存在しない。即ち、『不老』という事だ。そしてそれは、『守護者』である俺にも当てはまる」
「ッ!? じゃ、じゃあ紫苑さんの姿が3年前と変わりなかったのって………!」
気付いたように楯無が声を上げる。
「俺がネプテューヌの『守護者』になったのは14歳の時…………俺の成長はその時点で止まっている」
「そう………だったんですか…………」
驚愕の事実に楯無も驚きを隠せない。
「そして……………それはこれからも変わらない。例えお前達が俺についてきたとしても、お前達が歳を重ね、老い、そして死ぬときになっても、俺は今の姿のままだろう」
「「「ッ……………!」」」
「それでもお前達は、俺と一緒に居たいのか………? いや、先に死んで『俺を悲しませる覚悟』があるか? と聞いた方が良いか? おそらく、数百年から千年単位で………」
「「「「…………………」」」」
その言葉を聞くと流石の4人も押し黙る。
「そして、俺についてくるかどうかの選択は『今』決めて欲しい。ここで迷うなら、俺に付いてきても、結局は辛い思いをするだけだ」
紫苑は非情にもそう言い放った。
すると、
「私は勿論お前について行くぞ!」
ラウラが即答した。
「………………………」
紫苑は呆気にとられた表情をする。
「む? どうかしたか?」
「………いや、ラウラは最終的にはついて来るとは思っていたが、まさか即答するとは………」
「ふふん! 私を甘く見るなよ!」
ラウラは得意げに笑う。
すると、紫苑は楯無と簪の方を向き、
「お前達はどうする?」
そう問いかけた。
「わ、私は…………」
簪は葛藤していた。
簪にとって紫苑はヒーローだ。
だが、紫苑と添い遂げるためにはこの生まれ育った世界を捨てなければならない。
家族とも………友人たちとも別れなければならない…………
簪は紫苑とこの世界、二つの狭間で揺れていた。
すると、
「………………私も…………紫苑さんと一緒に居たいです」
楯無がそう口を開いた。
「ッ………!? お姉ちゃん!?」
簪が驚愕の声を漏らす。
「紫苑さんと別れるなんて嫌ですから………」
紫苑を見つめながら、そう口にする楯無。
「……………家の事は良いのか? お前は更識家の当主なんだろう?」
「当主と言えば聞こえはいいですけど、本家に生まれた優秀な人材だったってだけです。それに当主になりたい人なんて分家の方にいくらでもいますから、こう言ったら何ですけど、もし私や簪ちゃんが居なくなってもいくらでも替えは効くんです」
「そうか………………」
楯無の言葉に紫苑は納得する。
「わっ、私も………!」
楯無の言葉が切っ掛けになったのか、簪も声を上げた。
「私も………紫苑さんと一緒に居たいです…………! やっと………やっと見つけた私のヒーローだから………! だから………!」
瞳を潤ませながら必死に覚悟の言葉を口にする簪。
「分かってる…………ありがとう………」
言葉にできない簪の想いを正確に汲み取り、感謝の言葉を口にする紫苑。
「ッ…………!」
目を見開く簪に微笑むと、紫苑は最後に翡翠に目を向けた。
「それで翡翠は………」
「愚問だよ。お兄ちゃん!」
問いかける前に翡翠が言葉を遮る。
「もちろん私もお兄ちゃんに付いてくよ! 唯一の家族なんだし。それに、そのネプお姉ちゃんって人にも会ってみたいしね!」
そう言って笑顔を浮かべる翡翠。
紫苑が予想していたよりも彼女達の決意は固く、揺らぐことも無かったようだ。
「………………ありがとな」
小さくそう口にした紫苑。
すると紫苑は振り返り、
「………………って事なんだが、お前達はどう思う?」
後ろにいたプルルートとネプギアに問いかけた。
「あたしは良いよ~。皆いい子だし~、本気でシオン君の事好きみたいだからね~!」
「私も賛成です。皆ならお姉ちゃんも反対しないと思います」
プルルートとネプギアはそう言いながら笑って賛成する。
「2人の承諾も得た事だし、3人とも、これからよろしくな」
「「「はい(ああ)!」」」
「まあ、さっきネプギアが言った通り、ネプテューヌも反対しないと思うが、正式に男女の関係になるのはネプテューヌに承諾を貰った後にするからな。俺もそれだけは譲れない」
「まあ………その位は我慢します」
紫苑の言葉に楯無が渋々頷く。
「それで、これからの基本的行動だが、極力ゲイムギョウ界に行くメンバーで行動を共にした方が良いだろう。いつ帰れるチャンスが来るかも分からないからな」
「分かりました」
「それじゃあ……………」
紫苑が言葉を続けようとした時、突然照明が落ちた。
更に防御用のシャッターを降りて部屋の中が真っ暗になる。
「何だ………?」
紫苑が声を漏らす。
「…………2秒以上ったのに、緊急用の電源にも切り替わらないわね」
「非常灯もついてない………」
楯無と簪が異常な状況である事を口にする。
すると、
『各専用機持ち、及び月影兄妹は全員地下のオペレーションルームへ集合。今からマップを転送する。防壁に遮られた場合、破壊を許可する』
ISのプライベート・チャネルに千冬からの指示が届く。
『それから月影兄、可能ならプルルート達も連れて来て欲しい。頼んだぞ』
その千冬の言葉は、このIS学園にまた事件が起こったことを告げていた。
第37話の完成。
電脳ダイブまで行けなかった。
思った以上に説明に時間食った。
さて、3人が見事に正式にヒロイン入りとなりました今回です。
とりあえずワールド・パージ編始まりました。
さて、どうなる次回?
本日のNGシーン
「それで、これからの基本的行動だが、極力ゲイムギョウ界に行くメンバーで行動を共にした方が良いだろう。いつ帰れるチャンスが来るかも分からないからな」
「分かりました」
「それじゃあ……………」
紫苑が言葉を続けようとした時、突然照明が落ちた。
更に防御用のシャッターを降りて部屋の中が真っ暗になる。
「何だ………?」
紫苑が声を漏らす。
「…………2秒以上ったのに、緊急用の電源にも切り替わらないわね」
「非常灯もついてない………」
楯無と簪が異常な状況である事を口にする。
すると、
『各専用機持ち、及び月影兄妹は全員地下のオペレーションルームへ集…………』
「あぁああああああああああああああああああっ!!!」
ISのプライベート・チャネルから来た千冬の通信の途中で突然簪が叫び声を上げた。
「ど、どうした簪!?」
思わず問いかける紫苑。
「このままじゃアニメの留守録失敗しちゃう!!」
『「おぃっ!!??」』
思わず千冬と紫苑が突っ込んだ。