超次元インフィニット ネプテューヌ・ストラトス   作:友(ユウ)

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第39話 IS学園の攻防(バトル)

 

 

 

紫苑の精神へダイブした楯無達の動向を見守る現実世界の千冬達。

だがその時、レーダーに接近するISの反応を捉えた。

 

「レーダーにISの反応! 数は3! これは…………アラクネ、サイレント・ゼフィルス、と未確認のISが1機です!」

 

真耶がそう報告をする。

 

亡国機業(ファントム・タスク)か…………!」

 

千冬が険しい表情になる。

千冬が対策を考えていると、

 

「ぴー! たたかう!」

 

ピーシェがそう叫んだ。

 

「ピーシェ…………」

 

千冬はピーシェを見つめる。

 

「…………………!」

 

ピーシェは幼く、純粋ながらも、しっかりとした意思が籠った眼で千冬を見上げる。

 

「………………頼めるか?」

 

「うん! ぴー、まもる!!」

 

千冬が迷いながらもピーシェに問いかけ、ピーシェはしっかりと頷く。

 

「なら、頼む………!」

 

「うんっ!」

 

ピーシェは頷くと部屋を出ていった。

それを見送っていたユニ達は、

 

「私達も変身できれば戦えたのに………」

 

変身出来るとは言え、一番幼く、戦闘経験も少ないピーシェだけを戦わせるのは忍びなく、そう呟く。

 

「だが、ISを使えない現在、お前達がこの場を護る最後の砦だ。期待しているぞ………」

 

「それは分かってるけど…………」

 

ユニは悔しそうに俯く。

 

「ピーシェ………」

 

「ピーシェちゃん、頑張って…………」

 

ラムとロムも心配そうに、モニターに映る飛び出していくイエローハートを見つめた。

 

 

 

 

 

 

IS学園へ向かうスコールたちの前に、イエローハートが立ち塞がった。

 

「ここから先は行かせない!」

 

イエローハートは黄色の髪を風に靡かせながら、光のクローを構えてそう言う。

 

「ハッ! てめえが女神とか言う奴か!」

 

オータムは獰猛な笑みを浮かべながらそう言う。

 

「おもしれえ………! パワーアップしたアラクネの力を見せてやる!」

 

オータムは装甲脚を展開し、ビームを放つ。

 

「わっ………と!」

 

イエローハートは慌てながらもそれを避け、

 

「お返しだよ!」

 

右腕を振りかぶって殴りかかった。

 

「チッ!」

 

オータムは舌打ちをすると、装甲脚を束ねて防御する。

イエローハートの一撃が装甲脚が束ねられた中央に突き刺さった。

だが、

 

「ぐぐぐ…………!」

 

装甲脚の関節が悲鳴を上げるようにいくつか放電するが、オータムはその場で耐えており、吹き飛ばされなかった。

女神の中でも一撃の攻撃力に長けているイエローハートの攻撃をギリギリながらも受け止めたのは驚愕ものだ。

その時、上空から閃光が降り注ぐ。

サイレント・ゼフィルスによるビットからのビームの嵐だ。

 

「あいたっ!?」

 

イエローハートはその直撃を受け、軽い悲鳴を上げながら後退する。

 

「…………この攻撃を受けてそれだけのダメージとは…………」

 

サイレント・ゼフィルスを纏ったエムは、冷静に状況を見極める。

すると、少し離れた場所でスコールが巨大な火球を作り出していた。

 

「これほどのエネルギーを操れるなんてね…………」

 

今までとは桁違いのエネルギーを凝縮できるようになったゴールデン・ドーンの性能に感心の声を漏らすスコール。

 

「くらいなさい!」

 

その火球をイエローハートに向けて放った。

即座に離れるスコールとエム。

 

「うきゃぁっ!?」

 

ピーシェが火球に呑み込まれ、爆発を起こす。

 

「へっ! 口ほどにもねえ!」

 

オータムはこれで仕留めたと思ったのだろう。

しかし、

 

「まだまだ平気だもーん!」

 

爆煙の中から余裕を持った声でイエローハートが飛び出してくる。

 

「なっ!?」

 

オータムが驚愕の声を漏らす。

 

「…………………………」

 

エムは油断なく身構え、

 

「彼女の言う通り、甘い相手では無いみたいね」

 

スコールは改めて女神の強さを認識した。

 

 

 

 

 

 

紫苑の深層意識のプラネテューヌを歩くプルルート達は、プラネタワーの前に到着していた。

 

「結構遠かったわね…………」

 

楯無がややゲンナリした表情で呟く。

 

「交通機関が何も動いてませんでしたからね………」

 

ネプギアも苦笑しながらそう言う。

 

「あたしも疲れた~!」

 

プルルートもその言葉通り疲れた表情を隠さない。

 

「それで…………? 紫苑さんはこの建物の何処にいるの………?」

 

簪がそう尋ねると、

 

「多分…………最上階の居住エリア…………今までの感じだと、多分エレベーターも動いてないから階段で…………」

 

ネプギアがやや言いにくそうにプラネタワーを見上げながらそう言う。

プラネタワーの高さは軽く見積もってIS学園の最高部の2倍以上はある。

皆は思わずうげっと女性らしからぬ表情を浮かべた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オペレーションルームでは、一同がモニターの向こうで3機のISと戦うイエローハートを見守っていた。

 

「……………3対1だが、今の所は拮抗しているか…………」

 

千冬が状況をそう判断する。

 

「ピーシェちゃん、よく頑張ってくれてます!」

 

真耶は、イエローハートを褒めるような口調でそう言うが、

 

「だが、どうにも解せん。敵の動きは勝負を急いでいるようには思えん。むしろ時間稼ぎの様な……………ッ!」

 

千冬がそこまで言いかけると、何かに気付いたようにハッとする。

その瞬間、ドゴォンと建物に振動が響く。

 

「しまった…………!」

 

千冬はしてやられたと言わんばかりに悔しそうな表情を浮かべる。

 

「な、何!?」

 

鈴音を始めとした専用機持ち達が慌てだす。

 

「くっ! 奴らは陽動か!」

 

千冬の言葉に真耶が慌てたようにモニターを操作すると、監視カメラの一部に通路を歩くマジェコンヌの姿が映し出された。

マジェコンヌはまるでこちらを見透かしたようにカメラに目線を合わせるとニヤリと笑みを浮かべる。

次の瞬間には画面がノイズだらけとなり、何も映さなくなった。

千冬は悔しそうに拳を目の前の台に叩きつける。

 

「そういうことか…………! 奴の目的は最初からこれだったのだ!」

 

「ど、どういう事ですか!?」

 

箒が千冬に問いかけると、

 

「奴がIS学園のシステムにハッキングしたのも、月影を眠らせたのも、全てはこのためだったのだ! 月影が窮地に陥れば、プルルートやネプギアは必ず助けに行く。女神の力を持ち、奴に対抗できる者達を、一斉に無力化し、無防備な姿をさらすようにな………!」

 

千冬はまんまとマジェコンヌの思惑通りに踊ってしまった自分の道化さに腹を立てた。

 

「拙い………! 今の我々に奴を食い止めるだけの戦力は…………!」

 

千冬がそう言いかけると、

 

「私達が行くわ!」

 

「変身出来なくても………!」

 

「時間稼ぎぐらいなら!」

 

ユニ、ロム、ラムがそう言う。

 

「駄目だ! 危険すぎる!」

 

「そんな事言っても、何もしなかったらすぐにあいつはここに来るわ! だったら、少しでも時間を稼いでシオン達が早く目覚める方に賭けた方がまだマシよ!」

 

ユニはそう言うと部屋を飛び出して行き、ロムとラムもその後に続く。

 

「………………………!」

 

千冬は少し俯き加減に何かを考えるような仕草をすると、覚悟を決めた様に顔を上げた。

 

「山田先生……………命を賭ける覚悟はあるか?」

 

傍らにいる真耶に問いかけた。

 

「ッ………! もちろんです! あんな小さな子供達を戦わせて何もしないてこと、出来る訳ないじゃないですか!」

 

真耶は両手で握り拳を作りながら力強くそう言う。

 

「そうか………ならば行こうか…………!」

 

「はい!」

 

千冬と真耶も席を立つ。

 

「せ、先生!?」

 

シャルロットは困惑気味に呼びかけるが、

 

「お前達はここにいろ! いいか! この部屋を一歩も出るなよ!」

 

千冬はそう言い残すと真耶と共に部屋を後にした。

 

「「「「…………………………」」」」

 

後に残された専用機持ち達は、何も出来ずにただ立ち竦むしかなかった。

 

 

 

 

 

 

一方、プルルート達は必死の思いでプラネタワーの最上階に到着していた。

 

「はあ………はあ………やっと着いた…………」

 

息を切らせながら呟く楯無。

 

「も~、足がパンパンだよ~!」

 

プルルートももう動きたくないと言わんばかりにそう言う。

 

「というか、何故本当の体ではないのに疲労を感じるのだ?」

 

ラウラが疑問を零す。

 

「多分これは精神的な疲れが私達の意識に影響を及ぼしてるからだと思う。思い込みが体に影響を及ぼす時と似たようなモノかな?」

 

簪が自分の予想を言う。

そこで一同は扉の前に立つ。

この扉の向こうが居住エリアだ。

それぞれが呼吸を整える時間を置き、ネプギアが扉の前に立った。

本来は自動ドアだが、やはり動かなかったため、ネプギアは手動で扉を開く。

そして彼女達の目に飛び込んできたのは、鎖によって全身を拘束され、更に6本の剣によってその身を貫かれている紫苑の姿があった。

 

「「お兄ちゃん!?」」

 

「シオン君!?」

 

「「紫苑さん!?」」

 

「紫苑!?」

 

6人は悲痛な声を上げながら一目散に紫苑に駆け寄っていった。

 

 

 

 

 

 

悠々と通路を進むマジェコンヌ。

照明が落ちているため、通路は暗い。

 

「フフフ……………」

 

余裕の笑みを浮かべるマジェコンヌ。

すると、

 

「ん…………?」

 

マジェコンヌが何かに気付いたように足を止める。

その瞬間、暗闇の向こうで一瞬閃光が走ったかと思うと、ビームが一直線にマジェコンヌの額目掛けて飛来した。

 

「ッ…………!」

 

マジェコンヌは反射的に首を傾け、そのビームを紙一重で避ける。

マジェコンヌが前を注視すると、

 

「ここから先へは行かせないわ!」

 

ライフルを構えたユニと、杖を構えたロムとラム。

 

「フン、女神の妹共か…………今は貴様らと遊んでいる場合ではない。今こそ最も厄介なあの守護者のガキを始末する絶好の機会…………お前達はその後だ!」

 

「そ、そんなことさせない……!」

 

ロムが若干の怯えを見せながらも、気丈にそう言う。

 

「そうよ! アンタみたいなオバサンにシオンはやらせないわ!」

 

ラムも強気な発言をする。

 

「ハン! 変身も出来ない小娘が3人集まったところで何ができる?」

 

マジェコンヌは見下した態度を崩さない。

その時、

 

「3人だけではないぞ………!」

 

静かな、それでいてかなりの覇気を感じさせる声が響いた。

瞬間的にマジェコンヌが持っていた杖を自分の前に持ってくると、黒い影が駆け抜け、ギィンと火花が散った。

 

「ぬぅ…………!?」

 

マジェコンヌが何事かと目の前にいる人物を確認すると、黒いボディスーツと3対6本の日本刀を腰に挿した千冬が刀を構えていた。

 

「子供達だけに戦わせては、大人として格好がつかないのでな」

 

「オリムラ先生!?」

 

ユニが驚いた声を上げる。

 

「ハッ! 唯の人間に何ができる?」

 

「これでもかつては世界最強と言われた女だ。退屈はさせんさ…………!」

 

千冬はそう言うと、マジェコンヌに向けて斬りかかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「お兄ちゃん!」

 

翡翠が紫苑の身体に刺さっていた剣の1本を引き抜く。

 

「紫苑!」

 

ラウラが、

 

「紫苑さん!」

 

楯無が、

 

「紫苑さんっ!」

 

簪が、

 

「お兄ちゃん!」

 

ネプギアが、

 

「シオン君っ!」

 

そしてプルルートが。

それぞれが同じように剣を引き抜いた。

そして紫苑に駆け寄ろうとして、

 

「ダメ………です…………!」

 

また別の少女の声がした。

6人は警戒しながら辺りを伺うと、部屋の片隅で紫苑と同じように鎖に捕らわれた銀髪の少女の姿があった。

 

「誰………!?」

 

楯無が警戒心を露にして問いかける。

 

「離れて………早く…………これは…………罠………」

 

その少女がそこまで言った瞬間、それぞれが紫苑から引き抜いた剣が突如として煙状に変化し、6人の身体に纏わりつく。

 

「な、何だ!?」

 

ラウラが困惑の声を上げると、煙が再び物質化して鎖となり、6人を締め上げた。

 

「こ、これは……!?」

 

「捕まっちゃった~~」

 

ネプギアとプルルートが声を上げる。

 

「遅すぎました…………」

 

銀髪の少女が悔しそうな表情を浮かべた。

 

「あなたは…………?」

 

鎖に捕らわれながらも、簪が問いかける。

 

「私は………クロエ・クロニクル…………束様の従者です」

 

「クロエって…………」

 

その名に聞き覚えのあった楯無は声を漏らす。

 

「マジェコンヌと名乗る女は………私を洗脳し、月影 紫苑の意識を封じ込める道具として利用しました。今こうして自分の意思で話せるという事は、既に私は用済みなのでしょう」

 

「それで、これは一体どういう状況なの!?」

 

楯無が問いかける。

 

「あの女は、あなた方が月影 紫苑を助けるために深層意識へダイブしてくることを見越していました。その為、罠を仕掛けていたのです」

 

「それがこの状況という事か!」

 

ラウラが悔しそうに吐き捨てる。

 

「それで、どうにかならないんですか!?」

 

ネプギアが問いかけると、

 

「残された時間では…………取れる手段はありません………」

 

「時間?」

 

翡翠が疑問の声を上げた。

 

「このシステムには、既に時限式のトラップが仕掛けられているのです。あの女が全てを見越して先日の無人機を囮に仕掛けた、ダイブシステムを破壊するトラップが、あと5分足らずで発動します…………」

 

「何ですって!?」

 

楯無が驚愕する。

 

「じゃあ、お兄ちゃんや私達はどうなるの!?」

 

「最低でも、月影 紫苑と私は目覚めることが出来ないでしょう。あなた方は運が良ければこの空間からの強制排除で済むかもしれませんが、最悪は私達と同じように………」

 

「なら、早く何とかしないと………!」

 

ネプギアが焦った表情で身を捩らせるが、鎖は外れそうにない。

他の5人も何とか鎖から逃れようと四苦八苦しているが、状況は好転しない。

暫くすると、窓の外の景色に変化が訪れていることに気付いた。

この街の外側から、徐々に消滅してきていたのだ。

 

「トラップが、発動したようです…………」

 

クロエが諦めた様に呟いた。

 

「直にこの場も消滅するでしょう…………そうなれば………」

 

「う~~~! シオン君がもう起きないなんて嫌だよぉ~!」

 

プルルートが珍しく声を上げる。

 

「シオン君~! 起きてよぉ~!」

 

プルルートが紫苑に呼びかける。

 

「紫苑さん! お願い! 起きて!」

 

「紫苑さんっ………!」

 

「紫苑! 起きろ!」

 

「お兄ちゃん! 起きて!」

 

楯無、簪、ラウラ、ネプギアも紫苑に呼びかけた。

 

「………………………ッ」

 

紫苑は僅かに反応を見せるが、起きる気配はない。

窓の外では、既に街の半分ほどが消滅していた。

 

「……………お願い……………お兄ちゃんを助けて…………」

 

翡翠が呟く。

その目からは涙が溢れていた。

 

「誰でもいいから、お兄ちゃんを助けてよぉっ!!」

 

翡翠の切なる叫び。

しかし、このシステムにアクセスしている者は、この場にいる者達だけしかいない。

故に、翡翠の叫びは誰にも届かない………………筈だった。

 

「ん~と………状況が良く分かんないんだけど、これって大ピンチって奴でいいんだよね?」

 

今の雰囲気に似合わない脳天な声が聞こえた。

 

「えっ? 今の声って…………」

 

ネプギアは聞き覚えのある声にハッとした。

その瞬間銀閃が煌めき、彼女達を拘束していた鎖が断ち切られ、消滅した。

 

「「「「「「「ッ!?」」」」」」」

 

突然解放されたそれぞれは驚きながらも床に足を着く。

目の前には、ニコニコとした笑顔で太刀を右手に持った薄紫の髪の少女。

 

「プラネテューヌの女神ネプテューヌ。ただいま参上! なーんてね!」

 

「お、お姉ちゃん!?」

 

ネプギアが驚愕の声を上げた。

そこにいたのは自分の姉であるネプテューヌだったからだ。

 

「おお、ネプギア! 我が妹よ!!」

 

ネプテューヌはビシッと三本指のピースサインを決めながらネプギアの名を呼ぶ。

 

「シオンから一緒に居るって聞いてたけど、元気そうで安心したよ!」

 

「え? でも、何でお姉ちゃんがここに………?」

 

ネプテューヌの言葉にネプギアが何故ネプテューヌがここに居るのかと疑問を持った時、

 

「あ~! ねぷちゃんだ~~!」

 

プルルートが嬉しそうに呼びかけた。

 

「ぷるるん! ぷるるんも久しぶりだねー!」

 

ネプテューヌも嬉しそうに笑う。

 

「「「「「…………………」」」」」

 

突然のネプテューヌの登場に、状況についていけない楯無、簪、ラウラ、翡翠、クロエの5人はポカンとしている。

ネプテューヌは彼女達に振り返ると、

 

「初めて見る人も居るけど、直接会う時まで『初めまして』は取っておこうか! 今はそれよりも………」

 

ネプテューヌはそう言って紫苑に駆け寄る。

 

「おーい! シオーン! 起っきろーー!!」

 

そう呼びかけるネプテューヌ。

すると、今まで僅かな反応しか示さなかった紫苑が、

 

「う……………」

 

ゆっくりと瞼を開いた。

 

「ネプ………テューヌ…………?」

 

「そだよ。いやあ、絶体絶命のピンチに駆け付けることが出来る私って、やっぱり最高の主人公だよねー!」

 

ドヤ顔でそう言うネプテューヌに、紫苑は目の前のネプテューヌは間違いなく本物だと確信する。

 

「ああ………そうだな…………」

 

そんなネプテューヌに、紫苑は呆れたような………それでいてホッとしたかのような表情を浮かべた。

紫苑は身体を起こすと、

 

「お兄ちゃん!」

 

翡翠が抱き着いてくる。

 

「翡翠…………」

 

紫苑は優しく抱き留めた。

 

「助けに来てくれたんだな…………ありがとう」

 

頭を撫でながらそう言う紫苑。

 

「ヒスイって……………ああ! あなたがシオンの妹のヒスイちゃんだね!」

 

「あっ、えと……………」

 

突然声を掛けられて翡翠は困惑する。

 

「私はネプテューヌ。さっきも言った通り『初めまして』は直接会った時にとっておこうね。今の私はシオンとのリンクを通してこっちに来てる意識体みたいなものだから」

 

すると、

 

「あの、和やかに話している所に申し訳ありませんが、早く脱出しなければ時間が…………」

 

クロエがそう発言する。

外を見れば、もう残っているのはプラネタワーだけだ。

 

「なんか切羽詰まってるみたいだから、今日はこの辺にしとくね」

 

ネプテューヌはそう言って離れる。

 

「お姉ちゃん!」

 

ネプギアが声を掛けるが、

 

「心配しなくても近いうちに会えるよネプギア。そんな気がする」

 

ネプテューヌはそう言って笑みを向ける。

 

「お姉ちゃん………うん!」

 

ネプギアは別れを惜しむがネプテューヌの言葉に頷く。

 

「ネプテューヌ」

 

紫苑が去ろうとするネプテューヌに声を掛ける。

ネプテューヌが振り返ると、

 

「………ありがとう」

 

紫苑は微笑を浮かべながらそう言った。

ネプテューヌも笑みを浮かべる。

その瞬間、辺りが光に包まれた。

 

 

 

 

 

 

 

「はぁあああああああああっ!!」

 

千冬が刀を振るう。

だが、世界最強の太刀筋も、マジェコンヌには杖で容易く止められる。

 

「ここよ!」

 

ユニがライフルで狙い撃つ。

 

「ふん!」

 

マジェコンヌはシールドでそれを防いだ。

ユニ達に大きなけがは無いが、マジェコンヌの歩みを止められない。

マジェコンヌの周りには使えなくなった千冬の刀が散乱していた。

すると、

 

「『木っ端微塵』!」

 

千冬の言い放ったキーワードで散乱していた全ての刀が爆発を起こした。

 

「ぬあっ!?」

 

これにはマジェコンヌも予想外だったのか声を漏らす。

その瞬間、千冬はユニとロム、ラムを連れてマジェコンヌとは反対側に走り出した。

 

「逃げる気か!?」

 

多少は頭に来たのか、マジェコンヌは走って千冬達の後を追う。

千冬達が曲がった曲がり角をマジェコンヌが曲がると、

 

「出番だ、真耶」

 

「了解です!」

 

超大型ガトリングガンを装備したラファール・リヴァイヴを纏った真耶だった。

無数の銃声と共に吐き出される銃弾の嵐。

それがマジェコンヌに降り注いだ。

『クアッド・ファランクス』と呼ばれるそのパッケージは、第二世代の中でも最強の攻撃力を誇る装備で、一歩も動けないがそれをまともに受ければ第三世代のISでもタダでは済まない。

だが、

 

「チッ! 貴様らごときに変身することになるとは…………!」

 

マジェコンヌは忌々しそうに吐き捨てる。

硝煙の中から現れたマジェコンヌは先程までの魔女の様な姿ではなく、悪魔の翼を連想させるような翼が背にある変身した姿だった。

すると、マジェコンヌは突然時間を確認し、

 

「ふむ、そろそろ時間の様だ」

 

そんな事を呟いた。

 

「何………?」

 

千冬は怪訝そうな表情を浮かべる。

マジェコンヌはニヤリと笑い、

 

「貴様らの魂胆は分かっている。あの守護者のガキを助け出すまでの時間稼ぎだろう?」

 

「「「「…………!?」」」」

 

マジェコンヌは確信を持った声でそう問いかける。

 

「だが、この私がその事について何も手を打っていないとでも?」

 

「どういう事!?」

 

マジェコンヌの言葉にユニが問いかける。

 

「時間稼ぎは私の方だったのさ。ここのシステムには既にトラップを仕掛けてある」

 

「何だと…………!?」

 

「そして、ついさっきそのトラップが発動する時間が過ぎた。つまり、守護者のガキとそれを助けに行った奴らは、もう目覚めることは無いという訳さ! フハハハハハハハハハハハ!!」

 

マジェコンヌは高笑いを上げる。

 

「そ、そんな…………」

 

「嘘でしょ………」

 

ロムとラムは絶望的な表情をする。

 

「そうだ! その顔が見たかった。アーーーーッハッハッハ!!」

 

マジェコンヌが更に声を上げた。

だがその瞬間、

 

「マジカルエフェクト 『バーンラング』!」

 

彼女達の後方から火球が飛んで来てマジェコンヌに直撃、火柱がマジェコンヌを包んだ。

 

「ぐわぁあああああああああっ!?」

 

ユニ達は驚いた表情で振り返る。

 

「あ…………」

 

「ああっ………」

 

「シオン………」

 

3人が思わず声を漏らした

そこには、バーニングナイト、アイリスハート、パープルシスターになったネプギア達がそこにいた。

 

「ば、馬鹿な!? あの罠をすべて躱したというのか!?」

 

マジェコンヌが驚愕の声を上げた。

すると、バーニングナイトが口を開く。

 

「……………お前の敗因はたった一つ。俺とネプテューヌの絆を甘く見た事だ!」

 

次の瞬間、バーニングナイトがマジェコンヌに突撃した。

 

 

 

 

 

 

IS学園の上空では、相変わらずイエローハートと3機のISが一進一退の攻防を繰り広げていた。

お互いに無傷ではない。

 

「はぁ、はぁ、もう! しつこーい!!」

 

イエローハートが駄々っ子のように声を上げる。

 

「それはこちらのセリフよ…………いい加減に倒れなさい………!」

 

スコールがそう言う。

すると、ドォンと爆発音が聞こえ、校舎の一部が爆発すると、そこからマジェコンヌとバーニングナイト、アイリスハート、ネプギアが飛び出してきた。

バーニングナイトの姿をイエローハートが確認すると、

 

「あっ! パパぁっ!!」

 

イエローハートが嬉しそうに声を上げた。

 

「ピーシェ………心配かけて済まなかったな」

 

バーニングナイトは一言謝り、マジェコンヌ達を見据える。

 

「へっ、偉そうな口を叩いておきながら失敗したのかよ。ざまあねえな!」

 

オータムがマジェコンヌを馬鹿にしたように言う。

マジェコンヌはギリッと歯ぎしりをした。

すると、

 

「さて………お前達にはピーシェを痛めつけたお礼をしなければならないな………」

 

冷たいバーニングナイトの声がその場に響いた。

 

「可愛いピーシェちゃん虐めたのは、誰かしらぁ?」

 

アイリスハートも冷たい眼を向ける。

 

「絶対許しません!」

 

ネプギアも銃剣を構える。

 

「ぴーも本気でやっちゃうもん!」

 

イエローハートもやる気だ。

マジェコンヌやスコールの背中に冷たいモノが流れた瞬間、

 

「ぴーの考えた必殺技、いっくよーーーー!!」

 

イエローハートが飛び出した。

オータムに向かってスライディングのように蹴りを加え、怯んだところに中段蹴りで吹き飛ばす。

 

「えいっ! そりゃっ!」

 

「ぐっ!? がっ!?」

 

イエローハートは更に追撃し、蹴りのコンビネーションでオータムを空中に蹴り上げる。

 

「ていっ! たぁあああっ!!」

 

「ぎっ! がぁあああっ!?」

 

蹴り上げたオータムを踵落としで蹴り落とし、更に落下先に先回りすると、クローによるアッパーで再びオータムを打ち上げた。

 

「ぐがぁあああああああああっ!?」

 

叫び声を上げるオータム。

だが、イエローハートの攻撃は終わっては居なかった。

 

「もうちょっと続けてえーーい!!」

 

イエローハートは空中に飛び上がり、回転で勢いを付けると流星のようにオータムに向かって一番強力な蹴りを叩き込んだ。

破片を撒き散らせながら海に落ちていくオータム。

 

「ッ!?」

 

怒涛の攻撃にエムの気が一瞬逸れた。

その瞬間、

 

「マルチプルビームランチャー! オーバードライブ!!」

 

ネプギアがエムに向かって飛翔した。

強力な斬撃による切り上げを行い、更に追撃の一撃で空中に浮かすと、射撃による連続攻撃でダメージを与えていく。

 

「全力で斬り抜いて、全力で撃ち抜きます!」

 

「ぐぅうっ!」

 

ある程度弾丸を打ち込むと、ネプギアは勢いを付けた突きを叩き込む。

 

「ぐああああっ!?」

 

その攻撃で一時的に行動不能に陥るエム。

その隙に距離を取り、銃剣にエネルギーを集中させるネプギア。

 

「この瞬間を待っていました!」

 

一気にエネルギーを開放し、ビームを放つ。

 

「うあぁああああああああああっ!!」

 

エムはそのエネルギーの奔流に呑み込まれる。

ネプギアは更に出力を上げ、エムを吹き飛ばした。

 

「オータム! エム!」

 

スコールが声を上げると、

 

「あらぁ、人の心配をしてる場合かしら?」

 

雷鳴が轟き、アイリスハートが巨大な雷球を生み出す。

 

「くっ…………!」

 

スコールも負けじと最大出力で巨大な火球を生み出す。

アイリスハートがブレードと片足を振り上げ、同時に振り下ろして雷球を叩き落す。

 

「フッ!」

 

「はぁっ!」

 

スコールも火球をアイリスハートに向けて放った。

ぶつかり合う雷球と火球。

その瞬間、一瞬にして雷球が火球を打ち破ってスコールに向かって行く。

 

「くっ!」

 

スコールは咄嗟に回避行動を取って雷球を躱す。

雷球はそのまま海に着弾する。

スコールは無事躱せたことにホッとしていた。

だが、そんな彼女に影が掛かる。

スコールが見上げると、アイリスハートが太陽を背に背筋か凍る笑みを浮かべていた。

 

「特別に延長サービスよ………! チュッ♡」

 

突然投げキッスをするアイリスハート。

スコールは怪訝に思うがハートの形をしたエネルギー体が現れ、ゆらゆらと浮遊する。

 

「………………?」

 

訳が分からず訝しむスコール。

しかし次の瞬間、ハートが破裂したかと思うと4連装の砲撃となってスコールに襲い掛かった。

 

「なっ!?」

 

余りに予想外な攻撃にスコールは対処が遅れ、そのまま爆発に呑まれた。

次々とやられる3人に、マジェコンヌは焦りを隠せない。

そのマジェコンヌの前にバーニングナイトが立ち塞がった。

 

「覚悟は良いな………マジェコンヌ」

 

バーニングナイトはそう言うと剣に炎を宿らせる。

そして一気に突撃した。

 

「でやぁあああああああああああああああああっ!!」

 

炎の剣の連撃を叩き込むバーニングナイト。

 

「ぐわぁああああああああああああああああっ!?」

 

悲鳴を上げるマジェコンヌ。

そして剣を左手に持ち替えると右の拳を握りしめ、その拳に炎エネルギーを集中させた。

 

「バーニング……………!」

 

「ま、待て…………!」

 

マジェコンヌはそう言うが、それで待つほどバーニングナイトは馬鹿ではない。

そのまま拳を振りかぶり、マジェコンヌに向かって叩き込む。

 

「…………ストライク!!」

 

その瞬間、圧縮された炎エネルギーを開放。

マジェコンヌは成す術無く爆発に飲み込まれた。

 

「ぐあああああああああああああああああああっ!?」

 

マジェコンヌはそのまま海へ落下し、海中へ沈んだ。

 

 

 

 

 

バーニングナイト達がその場を離れた後、この海域から離れる潜水艇が一隻あった。

その潜水艇の中には、

 

「フー…………全く、世話の焼けるオバハン達っチュ!」

 

ワレチューがマジェコンヌ達4人を回収して撤退する姿があった。

 

 

 

 

 

 

尚、IS学園から少し離れた場所でクロエが発見され、無事に保護された。

 

 

 

 

 

 

 

更に余談だが、倉持技研から魚を土産に戻って来たが一夏が専用機持ちからジト目で見られたのは言うまでもない。

 

 

 





第39話です。
楯無やプルルート達が色々と頑張ってましたがネプテューヌが美味しいとこ全部掻っ攫って行きました。
後はエグゼドライブ連発。
やり過ぎか?
さて、次回から修学旅行編となります。
お楽しみに。





では本日のNGシーン



破片を撒き散らせながら海に落ちていくオータム。

「ッ!?」

怒涛の攻撃にエムの気が一瞬逸れた。
その瞬間、

「ネプギアンダム! いっけぇ!」

ネプギアが何かを召喚する。
空に円状の光の穴が出来て、そこから大きな人型の何かが姿を現す。
それは、変身前のネプギアの服装をイメージした作りをしており、頭は何故かブラウン管テレビを取って付けたような四角い箱。
その画面にはネプギアの驚愕で唖然としたようなふざけた表情が描かれている。

「こ、このロボットは!?」

ネプギア自身も画面に映し出されているような表情で驚愕した。
だが、気を取り直してネプギアはネプギアンダムに攻撃を仕掛けさせる。
ネプギアンダムがエムに向かって突撃し、ネプギアが右ストレートを繰り出すと、ネプギアンダムもその動きをトレースしたかのように右ストレートを繰り出す。

「ぐふぁっ!?」

その右ストレートがエムの腹に突き刺さる。
更にネプギアが左アッパーを繰り出し、ネプギアンダムもその動きをトレースして左アッパーを繰り出す。

「がはぁっ!?」

エムはそれによって大きく吹き飛ばされ、

「よーし、止め!」

ネプギアの号令でネプギアンダムは両目からビームを放った。

「こ、この私がこんなふざけた奴相手にぃぃぃぃぃぃっ!?」

その爆発に呑み込まれたエム。
その爆発を背に、ネプギアとネプギアンダムがドヤ顔で立っていたが、ネプギアンダムの所為でどうにも締まらなかった。




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