超次元インフィニット ネプテューヌ・ストラトス   作:友(ユウ)

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第4話 妹達の決意(ターン)

 

 

 

 

 

本日ネプテューヌ、ノワール、ブランの3国の女神とその妹の女神候補生、ネプギア、ユニ、ロムとラム、更にアイエフ、コンパ、紫苑の10人はリーンボックスの女神であるベールから、5pbという女性アイドルのライブに招待され、リーンボックスにあるライブ会場に来ていた。

尚、先日にもブランの国のルウィーで一騒動あったのだが、紳士という名の変態(ロリコン)がベールとブランによって天誅を下されただけなのでそれは割合しておこう。

5pbはリーンボックスを代表するアイドルだけあり、会場の大きさだけではなく、戦闘機によるアクロバットなパフォーマンスも行われており、観客たちは熱気に包まれていた。

紫苑やネプテューヌ達も例に漏れず、歓声を上げている。

しかし、この場に招待したはずの肝心のベールの姿は何処にもなく、結局ライブが終わるまでベールは姿を現さなかった。

 

 

 

 

 

最後まで現れなかったベールを探して、一行はリーンボックスの教会に来ていた。

まあ、友好条約を結んでからさほど日にちは経っていない為、誰もリーンボックスの教会の内部構造は把握しておらず、部屋を一つ一つ見て回っている。

その殆どは鍵が掛けられていたが、ネプテューヌが開けようとした扉の一つが開いた。

 

「あ、開いた!」

 

ネプテューヌがその部屋の中を覗く。

すると、そこら中に散乱したゲームソフトのパッケージや、壁に飾られているキャラクターのポスターなどが所狭しと並んでいた。

 

「なにが………あったですぅ?」

 

「荒らされた後みたい………」

 

コンパとブランがそう漏らす。

だが、

 

「というより片付いてないだけじゃ………」

 

ノワールはそう判断する。

その部屋に入り、辺りを眺めていると、

 

「……………後方の部隊は何をしていますの…………!?」

 

奥の部屋から声が聞こえた。

ネプギアが奥の部屋の扉をそっと開けると、

 

「わたくしが援護しますわ! あなた方は先に行ってくださいまし!」

 

パソコンのディスプレイを前にゲームのコントローラーを操作しているベールの姿があった。

 

「何やってんのよベール…………」

 

「どう見てもネトゲね」

 

ノワールとブランが呆れたように声を漏らす。

 

「お~い! そこの廃人さ~ん!」

 

ネプテューヌがベールを突っつきながら声を掛けた。

そこで初めてベールは一行の存在に気付く。

 

「はっ? あら、みなさん…………いらっしゃいませ…………」

 

ベールは苦笑しながら挨拶をする。

 

「今ちょっと手が離せませんの………」

 

「って、なんで約束すっぽかしてゲームなんてやってんのよ!?」

 

「出かける前に一時間だけ………と思ってログインしたら、攻城戦が始まってしまいまして……………」

 

「典型的なダメなゲーマーのパターンだな…………」

 

紫苑は溜息を吐きながらそう零す。

 

「ライブの後は、ホームパーティーで持て成してくれるんじゃなかったかしら………?」

 

ブランが静かに問いかける。

 

「あっ………! もう少しで城を落とせますから…………その後で…………」

 

今思い出したかのような反応をしながら目を泳がせるベール。

 

「こういう人だったのね…………」

 

「ま、まあ趣味は人それぞれだから………」

 

ブランが呆れ、ノワールは何とかフォローに回ろうとする。

 

「ダメ女神だね~! もしかしたら私よりダメかも~!」

 

ネプテューヌが笑ってそう言うが、

 

「「それはない」」

 

ノワールとブランが揃ってそう言った。

 

「ねぷっ!? こんな時だけ気が合ってる!」

 

納得いかないと言わんばかりに突っ込む。

 

「どうします…………? もうしばらく掛かりそうですが………」

 

アイエフがノワールに尋ねる。

 

「う~ん…………そうね…………」

 

ノワールが少し悩んだ末に出した結論は…………

 

 

 

 

 

 

「さあ! 皆で準備するわよ!」

 

エプロンを身に着け、やる気満々で箒片手に言い放つノワール。

どうやらゲームに夢中なベールに代わって自分たちでパーティーの準備をするという結論に至ったようだ。

 

「え~~!? 何で私達が準備~!?」

 

ネプテューヌが嫌そうな声を上げる。

 

「文句言わない! せっかくリーンボックスまで来たんだから、きっちりパーティーして帰るわ。まず、アイエフ、コンパ、ネプギアの3人は食料の買い出し! ああ、紫苑も3人に付いて行って。男なんだし荷物持ちぐらいできるでしょ?」

 

「「「「は、はい!」」」」

 

突然のノワールの指示に咄嗟に返事を返す4人。

 

「他の人達は部屋の掃除よ! はい、今すぐ始めて!」

 

いきなり仕切り始めたノワールに対し、

 

「出た………こういう時に限って妙に張り切って仕切る奴」

 

「変なスイッチ入ったわね………」

 

ネプテューヌとブランがそう零す。

 

「うるさい!」

 

ノワールはそう叫ぶと、ドンと箒の柄を床に叩きつける。

 

「ちゃっちゃと働く!!」

 

有無を言わせない迫力でそう言った。

一瞬呆気にとられた一同だったが、再び床に叩きつけられた箒の音を切っ掛けに、それぞれ指示された仕事に取り掛かり始めた。

 

 

 

 

 

それぞれが働く中、紫苑はアイエフ、コンパ、ネプギアの3人が手分けして買い出しを行っている中、一番非力であるコンパに付き添い、荷物持ち役を熟していた。

 

「ありがとうですシオ君。重くないですか?」

 

コンパはそう紫苑に声を掛ける。

コンパからすれば、ネプテューヌ以上ネプギア未満の身長しかない小柄な紫苑は見ているだけで心配になるのだろう。

 

「大丈夫だ。形は小さくてもこれでも男で鍛えてるからな。この位なら全然平気だ」

 

紫苑は笑いながらそう返す。

 

「それにしても、ギアちゃんとあいちゃんはまだみたいですね」

 

買い物を終えた2人は集合場所に来たが、他の2人はまだ来ていないようだ。

すると、

 

「あ~! 急がないとオバハンにグチグチ言われるっチュよ~!」

 

そう言いながら2人の前方から二足歩行の黒いネズミが走ってきた。

と、その時、

 

「ッチュ!?」

 

急いでいたためかそのネズミは道端で躓き、地面にダイブするように転んだ。

その際に、ネズミの下げていたポーチから赤黒い水晶のような結晶体が転がり落ちる。

 

「あ」

 

その瞬間を目撃したコンパはそのネズミに歩み寄った。

 

「ううっ………い、痛かったっチュ………」

 

そのネズミは鼻を摩りながら起き上がると、自分を覗き込むコンパに気付いた。

 

「……………………ほわぁ~~~~~~~~~~~~~……………」

 

その瞬間、ネズミはコンパに見惚れていた。

まあ、コンパは女性の中でも特に可愛らしい部類に入るので、それも仕方ないだろう。

自分をじっと見つめてくるコンパに、ネズミはハッと我に返り、

 

「な、何チュか!? ネズミがコケるのがそんなに面白いっチュか!?」

 

先程までの見惚れていた自分を否定するかのように、憎まれ口を叩く。

だが、

 

「…………大丈夫そうで、良かったですぅ!」

 

善意100%の微笑みで笑いかけたコンパの笑顔に、再び脳天に雷を受けたかのような衝撃を受けるネズミ。

更に、

 

「あっ、でも擦り剝いてるですね」

 

ネズミが腕を擦り剝いていることに気付いたコンパは何処からともなく絆創膏を取り出し、

 

「これ………」

 

そう言いながらネズミの手を取る。

 

「はうっ!?」

 

その行動にもさらに衝撃を受けるネズミ。

だが、コンパの攻撃はまだ終わらない。

 

「張ってあげるです、はい」

 

当たり前のようにコンパは怪我の部分に絆創膏を張る。

そして、

 

「もう大丈夫ですよ」

 

止めの笑顔でネズミのハートは撃ち抜かれた。

 

「気を付けてくださいね、ネズミさん」

 

「は、はいっチュ…………」

 

その一部始終を見ていた紫苑は、

 

(このネズミ、完全にコンパに惚れやがったな………)

 

そう見抜いていた。

因みに紫苑は既にネズミが二足歩行で歩いて言葉を喋ることに何の疑問も持っていなかったりする。

 

「じゃあ、私はこれで」

 

コンパはそう言って立ち去ろうとしたが、

 

「ま、待ってくださいっチュ!」

 

突然ネズミがコンパを呼び止めた。

 

「? なんですか?」

 

コンパの仕草一つ一つに見惚れるネズミは何とか声を絞り出し、

 

「あ……あの………お、お名前は………何というっチュか?」

 

そう尋ねた。

 

「!…………コンパですぅ!」

 

再び笑いかけながら名乗るコンパ。

 

「ほあ~~~~~~…………コ、コンパちゃん………可憐なお名前っチュ………」

 

顔を赤らめながらその名を心に刻んだネズミ。

すると丁度その時、買い物を終えて集合場所に到着したネプギアが落ちている赤黒い結晶体に気付いた。

 

「あっ」

 

気になったネプギアはそれを拾った。

その瞬間、

 

「はっ!?」

 

突如として異変がネプギアを襲った。

身体から力が抜け、買い物袋を落としてしまい、勝ってきた果物類が道端に転がる。

 

「ネプギア!?」

 

それに気付いた紫苑が駆け寄った。

 

「ギアちゃん?」

 

紫苑の声でネプギアに気付いたコンパが振り返る。

すると、同じく気付いたネズミが慌てたように駆け出し、

 

「触るんじゃないっチュ!」

 

ネプギアがその手に持っていた赤黒い結晶を奪い取った。

その瞬間を目撃する紫苑。

 

(あれ…………? あの石………何処かで…………?)

 

記憶の片隅に引っ掛かりを覚える紫苑だが、ネズミはそのまま走り去ってしまう。

 

「ギアちゃん? どうしたですか?」

 

今の結晶体の事が若干気になった紫苑だが、ネプギアの事が心配だったため、すぐに思考を打ち切りネプギアの状態を確認する。

 

「分かりません………突然力が抜けて…………」

 

「貧血です? でも、女神さんが貧血なんて聞いた事ないですぅ………」

 

看護師であるコンパはネプギアの症状から原因を推測するが、女神候補生であるネプギアは病気の可能性はとても低い。

一方、走り去ったネズミは途中アイエフと擦れ違い、アイエフは何となく気になったネズミを目で追う。

ネズミは路地裏に駆け込むと、

 

「危なかったっチュ…………まさか女神の妹に…………ま、それはさて置き………」

 

そう呟くと、今までで一番真剣な表情になり、

 

「……………………コンパちゃん天使……………マジ天使………! チュ~~~!!」

 

 

 

 

 

 

 

多少のトラブルはあったものの無事準備ができ、ホームパーティーが開かれることとなった。

パーティーは、ベールの用意した新型シュミレーターで大いに盛り上がっていた。

だが辺りが暗くなってきた頃、ズーネ地区にある廃棄物処理場にモンスターの群れが出現したという報告があり、急遽ベールが向かうことになる。

しかし、そのベールに同行を申し出たのがネプテューヌ達3女神であり、ベールはお礼を言いながら共にズーネ地区に向かうこととなった。

ズーネ地区とは離れ小島で、引き潮の時だけ地続きになる少し変わった島だ。

実はネプギアも最初付いて行くといったのだがネプテューヌ達に止められている。

ネプギアには何か引っかかることがあるらしく、最後まで心配そうな表情が抜けなかった。

待機組の中には紫苑もいたが、女神との力の差は十分に理解しているため、付いて行くなどとはいかなかった。

そんな中、アイエフが電話で誰かと連絡を取り合っており、

 

「そう。わかったわ、ありがとう乙女ちゃん」

 

そう言って通話を終えると皆に向き直り、

 

「やっぱり思った通りだったわ」

 

そう口にする。

 

「何か分かったんですか?」

 

ネプギアが尋ねると、

 

「ショッピングモールにいたネズミ、見覚えある気がして諜報部の同僚に調査を頼んどいたの。案の定、各国のブラックリストに載ってたわ。要注意人物………というか、要注意ネズミとしてね………」

 

その言葉にコンパが驚く。

 

「ええっ!? あのネズミさん、悪い人だったですぅ? 悲しいですぅ………」

 

ガッカリしたと言わんばかりの表情になるコンパ。

 

「しかも、数時間前に船でズーネ地区に向かっていたことも分かったの」

 

アイエフは続ける。

 

「それって…………つまり……………」

 

「推測でしかないけど、ズーネ地区にモンスターが出現したのには、何か裏があるんじゃないかって事……………」

 

アイエフはそう言う。

 

「単純に考えられる目的は2つだな。一つは『陽動』。その島に女神達を引き付けておいて別の場所で別動隊が何か行動を起こすこと。もう一つは『女神』達そのもの………何か罠を仕掛けてるってところか…………」

 

紫苑はそう推測する。

 

「そんな………」

 

ネプギアが更に心配そうな表情を浮かべる。

アイエフは時間を確認する。

 

「今ならまだ引き潮に間に合う。私、様子を見に行って来るわ」

 

そう言って踵を返そうとすると、

 

「私も………私も連れて行ってください!」

 

ネプギアがそう言う。

 

「えっ? 駄目よ、ネプギアまで危険に晒す訳には……」

 

「どうしても気になるんです! お願い、アイエフさん!」

 

真剣な表情のネプギアにアイエフは折れて、絶対に無理はしない。

少しでも危険を感じたらすぐに引き返すことを条件に同行を許可した。

正直紫苑も気にならないわけでは無かったが、アイエフはバイクの為、乗れても2人。

ここはネプギアに譲ることにした。

 

 

 

 

 

それから暫くして、戻ってきたアイエフとネプギアの口から、4女神が捕まったという信じられない事実が知らされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

『いったいどういう事なんですか? アイエフさん』

 

衝撃の事実が知らされてから、アイエフはイストワールと連絡を取り、状況を説明した。

 

「よくは分かりませんが、アンチクリスタルがどうとか………多分それがネプ子達の力を奪っているんです」

 

『アンチクリスタル………?』

 

「イストワール様、調べていただけますか?」

 

『もちろんです! でも、3日かかりますよ?』

 

「心持ち、巻きでお願いします」

 

苦笑しながら暗に急いでほしいという意を伝えるアイエフ。

 

『やってみます。では、ネプギアさん達はプラネテューヌに戻って来てください。ユニさん達もお国にお帰りになった方が良いと思います。それでは』

 

イストワールはそう言って通信を終える。

 

「そういうわけだから………」

 

「待って!」

 

アイエフが振り返りながら話をしようとした時、ユニが叫んで割り込んだ。

 

「帰れって言われて、大人しく帰れるわけないでしょう! もっとちゃんと説明して!」

 

「いつものお姉ちゃんなら、悪者なんか一発なのに!」

 

「お姉ちゃん………死んじゃうの………?」

 

ラムとロムもそう言って説明を求める。

 

「きっと大丈夫です。女神さんがそう簡単にやられるわけない……」

 

コンパはそう言うが、

 

「でも! 力が奪われたってさっき………」

 

ユニには気休めにもならない。

その時、

 

「ごめんなさい………」

 

突然ネプギアが謝った。

 

「………ギアちゃんが悪い訳じゃ…………」

 

「ううん………買い物のときに拾った石………あれがきっとアンチクリスタルだったんです………」

 

自責の念に駆られるネプギア。

そんな彼女を見て、

 

「止めましょ。そんな事、今考えたって………」

 

「どうして…………どうしてあの時眩暈がしたのかちゃんと考えてれば…………お姉ちゃんたちに…………知らせてれば…………」

 

アイエフが話を切ろうとしたがネプギアの懺悔のような言葉は止まらない。

更に、

 

「ネプギアのバカッ!!」

 

ユニが衝動的に叫んだ。

 

「お姉ちゃんは……私のお姉ちゃんはものすごく強いのに………アンタの所為で…………ネプギアが代わりに捕まっちゃえば良かったのよ!!」

 

感情的になっていたユニは、思わず心にもない事を口走ってしまう。

その言葉にショックを受けるネプギア。

ユニはそのまま走ってテラスの方へ出ていってしまう。

ネプギアはその言葉に深く傷つき、泣き出してしまった。

紫苑はその様子を見ると一度溜息を吐き、ソファーから立ち上がると、ユニの後を追うようにテラスへと出ていった。

 

 

ユニは、テラスの手摺の前に一人立っていた。

ユニもネプギアに酷い事を言ってしまったと後悔していた。

だが、感情はそう簡単に割り切れない。

ユニはどうしようもない感情を持て余していた。

紫苑はそんなユニに近付き、

 

「自分の無力を嘆きたい気持ちは分かるが、ネプギアに当たるのは違うんじゃないか?」

 

背中越しに声を掛ける。

ユニは驚いたようにハッとして振り返った。

 

「…………シオン………」

 

「お前だって分かってるんだろ? ネプギアの所為じゃないことぐらい…………」

 

紫苑は諭すようにそう言う。

ユニはバツが悪そうに視線を逸らした。

すると、

 

「………アンタは………アンタは何でそんなに落ち着いていられるのよ!? お姉ちゃんたちが捕まったのよ!? 心配じゃないの!?」

 

ユニはいつもと変わらない冷静でいる紫苑に腹が立ったのか、そう叫んで問いかける。

 

「心配してないわけじゃない。けど、だからと言ってネプギアに八つ当たりするのは筋違いだと言っているだけだ」

 

「ッ………!」

 

「嘆くだけで状況が好転するならいくらでも嘆いてやる。だがそうじゃない。大事なのは自分に何ができるのか。自分が如何したいのかだ」

 

「………………」

 

紫苑はそう言うと踵を返してユニに背を向ける。

 

「ま、とりあえずはネプギアに謝って仲直りしろ。それで、それからどうするのかを考えろ」

 

「シオン…………」

 

「まだネプテューヌ達は生きている…………希望はあるんだからな…………」

 

最後に意味ありげに呟いて、紫苑はその場を立ち去った。

 

 

 

 

 

その後、紫苑がソファーに座りながら仮眠を取っていると、朝日が昇る頃に目の前に気配を感じて目を覚ます。

紫苑の目の前には、ちゃんと仲直り出来たであろうネプギア、ユニ、ロム、ラムの4人がいた。

更に4人は何かを決意したような真剣な表情だ。

 

「仲直りは出来たみたいだな?」

 

「はい。そして、シオンさんにお願いがあります」

 

「何だ?」

 

「私達に、戦い方を教えてください!」

 

ネプギアを始めとして、4人は真っすぐな瞳で紫苑を見ていた。

 

「私達は、私達でお姉ちゃんたちを助けることに決めたんです。その為には、私達が変身できるようにならなくちゃいけない………だからまずは、モンスターを怖がらないようになるために、戦い方を教えて欲しいんです」

 

「お姉ちゃんは、私が変身できないのは心にリミッターを掛けてるからだって………何かを怖がっているからだって言ってた。だから、モンスターとの恐怖を克服したいの!」

 

「お願いシオンさん!」

 

「お姉ちゃんを助けたいの!」

 

ネプギアに続き、ユニ、ラム、ロムも自分の思いを口にする。

 

「…………………」

 

紫苑は4人を見回す。

4人は迷いない眼で紫苑を見返した。

 

「……………わかった」

 

了承の言葉に、4人の顔が綻ぶ。

 

「だが、俺が教えられるのは戦いの心構えだけだ。技術は一朝一夕で身に付くものじゃないし、何より俺の戦い方とお前達ではタイプが違い過ぎる。今日1日で心構えを叩き込んで、それから各々の技術を磨いた方が良い」

 

「それでもかまいません! よろしくお願いします!」

 

 

 

 

 

 

 

「ユニ様! ロム様! ラム様! お迎えの方が………!」

 

アイエフがユニ達を呼びながら入室してくると、

 

「やぁあああああああっ!」

 

「甘い!」

 

ラムの一撃を刀で弾き、返す刀がラムに迫る。

 

「きゃっ!?」

 

ラムは思わず目を瞑るが、

 

「目を瞑るな!」

 

刀を寸止めし、すかさず左手をラムの額の前に持ってくると、指を弾いてデコピンする。

それもかなり強めに。

 

「あ痛っ!」

 

ラムは額を押さえて蹲った。

 

「何度も言うが戦いの最中に目を瞑るな! 目を瞑ったって敵は待っちゃくれない。恐怖を感じるのは仕方ないが、それでも敵から目を離すな! 敵を見て対策を瞬時に判断するんだ!」

 

「「「「はい!」」」」

 

テラスで戦闘訓練を行っているネプギア達にアイエフは唖然とする。

 

「な、何やってるの!?」

 

「私達、皆でお姉ちゃんを助けに行くことに決めたの!」

 

「そのために、強くなりたいんです!」

 

ユニとネプギアの言葉に、

 

「ちょっと待ってネプギア! ネプ子達でさえ捕まっちゃったのよ!?」

 

「それでも………やらなきゃいけないと思うんです! 私達も………『女神』の力を受け継いでいるから!」

 

真剣なネプギアの言葉にアイエフは紫苑に視線を向ける。

 

「シオン………」

 

「大切な家族を失う辛さはよくわかってるからな………俺にはこいつらに止めろなんて言えねえよ…………それに………あんな思いをこいつらにも味あわせたくはないからな………」

 

それを聞くとアイエフは溜息を吐き、

 

「………こうなる気がしてたわ………」

 

諦めたように呟いた。

 

「なら、お願いしていい?」

 

「ああ………っと、そうだ。多分、さっきのシュミレーターにモンスターとの対戦モードもあると思うから、使い方調べておいてくれないか?」

 

「オッケー、コンパと一緒に調べとくわ」

 

「ですぅ!」

 

紫苑の言葉に頷くアイエフとコンパ。

紫苑はネプギア達に向き直ると、

 

「さ、やるか!」

 

「「「「はい!」」」」

 

紫苑の言葉に全員が頷いた。

 

 

 

 

訓練を繰り返し、日が沈むころ。

 

「ふっ!」

 

「くっ!」

 

紫苑の一太刀をネプギアがビームソードで受け止める。

だが紫苑は刀を巧みに操ってネプギアの体勢を崩し、横薙ぎでネプギアに攻撃する。

訓練を始めた当初は思わず目を瞑っていたネプギアだったが、

 

「まだです!」

 

紫苑の剣筋から目を逸らさず、体勢を低くして紫苑の薙ぎ払いを躱す。

 

「やぁああああああっ!!」

 

ネプギアは躱した直後に切り上げを放ち、紫苑に向かって攻撃した。

 

「っと………!」

 

紫苑は軽く飛び退いてその攻撃を避けた。

 

「ッ………!」

 

ネプギアは油断せずにビームソードを構えなおし紫苑を見る。

その様子を見て、

 

「及第点だな」

 

紫苑はそう呟くと構えを解き、刀を鞘に納める。

 

「シオンさん?」

 

突然の紫苑の行動を怪訝に思う4人。

 

「今教えられることはここまでだ。焼付刃だが、戦いへの心構えは及第点と言っていい。これ以上の対人戦は無用だ。ここからはシュミレーターで対モンスターの訓練に入れ」

 

その言葉に4人は顔を見合わせ、嬉しそうな表情を浮かべる。

すると、紫苑は踵を返して部屋の出口に向かった。

 

「シオン? 何処に行くのよ?」

 

気になったアイエフが尋ねた。

紫苑は出入り口の扉を開けた所で一度止まると、

 

「ここに居ても俺が出来ることはもう無い」

 

それだけ言って部屋を出ると扉が閉められる。

 

「何よ、もう少しアドバイスくれたっていいじゃない」

 

素っ気ない態度にユニは不満を漏らす。

 

「でも、シオンさんのお陰でちゃんと戦えるようにはなってきたんだから………」

 

「それは分かってるけど………」

 

ユニはどうにも紫苑の態度が気に入らなかったらしい。

 

「今はシオンの事よりも自分たちの事よ。時間もそうあるわけじゃない。早く訓練の続きを始めるわよ」

 

アイエフの言葉で女神の妹たちは気を取り直して訓練を再開した。

 

 

 

 

 

 

 

ネプギア達がシュミレーターでモンスター達との訓練に明け暮れている頃、紫苑は暗くなった海岸にいた。

目の前には、引き潮によってズーネ地区の離れ小島へ続く道が顔を出したところだ。

 

「……………俺に今、出来ることを…………!」

 

紫苑は自分に言い聞かせるように呟いてその道を駆け出した。

 

 

 

 

 

女神が捕まっている場所では、青白い肌に白に近い紫の髪をした魔女のような格好の女が例の黒ネズミと共にレーダーが侵入者の反応を捉えたことに気付いた。

この女はマジェコンヌと名乗り、女神達を捉えた張本人である。

序にネズミはワレチューという名前なのだが、現在スクラップからネットに画像を流すための装置を組み立てている最中だ。

何気に優秀なネズミである。

 

「レーダーに反応だと? 女神の妹共か?」

 

「違うっチュね………この反応は唯の人間っチュ。それでも雑魚モンスターを倒してることからそれなりの手練れっチュね」

 

「フン! 女神でもないただの人間に何ができる? たった一人でモンスターの群れに突っ込むなど自殺志願者としか思えんな! すぐに数の差に押しつぶされるがオチだ。そうは思わないか?」

 

マジェコンヌはそう言うと、視線をある方向へ向ける。

そこには、三角錐の形をした紫色の結界があり、その中にネプテューヌ達が機械の触手に雁字搦めに縛られて捕らえられている。

この結界によりネプテューヌ達は力を失い、捕らわれの身になっているのだ。

そんな中、ネプテューヌはマジェコンヌとワレチューが言った言葉が気になっていた。

 

「手練れの………人間…………まさか………」

 

思い当たる少年を思い浮かべ、ネプテューヌは心配そうな表情で空を見上げた。

 

 

 

 

 

翌日の朝。

眼を覚ましたワレチューは、昨日の侵入者がどうなっているかを確認するため、レーダーを覗き込む。

内心もう終わっているだろうと高を括っていたが、

 

「チュッ!? まだ生きてるっチュか………!」

 

覗き込んだレーダーの雑魚モンスターを示す点が、僅かずつだが減っている。

全体から見れば、既に四分の一が倒されている。

 

「案外しぶといっチュね…………けど、何時まで持つっチュかね?」

 

とは言え、ワレチューもマジェコンヌもモンスターを掻い潜ってここまでたどり着くのは不可能だと踏んでいた。

事実、侵入者の位置は昨日の場所から殆ど前進していない。

このままでは、雑魚モンスターを全滅させない限りこの場に辿り着くのは不可能。

例え雑魚モンスターを全滅させることが出来たとしても、このペースでいけば、丸1日以上かかる計算だ。

だがその前に、

 

「タイムアップっチュ………」

 

ワレチューは傍らにあるタイマーを見て呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シュミレーターでモンスターとの訓練を続けていたネプギア達は、エンシェントドラゴンを倒せるほどになっていた。

だが、未だ変身することは出来ず、時は刻一刻と過ぎていく。

更に、4女神が捕らわれた画像がネット上に流され、シェアの急激な低下を引き起こす可能性も出てきた。

シェアが低下すれば、女神候補生であるネプギア達の力も弱まってしまうため、彼女たちはその影響が出る前に女神達の救出作戦を強行することになった。

 

 

アイエフのバイクにネプギアが。

コンパの車に、ユニ、ロム、ラムが乗り、引き潮で出来た道を走る。

 

「…………結局シオンさん、来ませんでしたね………」

 

ネプギアが呟く。

この場に居ない紫苑の事を考えていた。

 

「偉そうな事言っといて、肝心な時に逃げ出すなんて見損なったわよ!」

 

ユニがそう口にすると、

 

「シオ君はそんな子じゃないですよ」

 

コンパが答えた。

 

「でも、実際に居ないじゃん!」

 

ラムも思った不満を口に出す。

 

「本当に………逃げちゃったのかな? シオンさん………」

 

ロムは戸惑っている様だ。

 

「シオンは絶対にネプ子達を見捨てたりしないわ」

 

アイエフが迷いの無い言葉でそう言った。

 

「何でそう言いきれるんですか?」

 

ネプギアが尋ねると、

 

「だって………シオンはネプ子の事…………いいえ、何でもないわ!」

 

アイエフは言いかけた言葉を切って気を取り直す。

 

「シオンの居場所だけど、私の予想が正しければ、今頃とんでもない無茶をやらかしてるわね」

 

「シオンさんの居場所を知っているんですか!?」

 

ネプギアが驚きながら聞いた。

 

「あくまで予想よ。でも、その予想が外れてるとは思わないけど」

 

「なら、シオンさんは今どこに?」

 

「その答えはこの先にあるわ」

 

アイエフはそう言って目前に迫る島を見る。

すると、真っ暗な島の一部に光点が瞬いた。

 

「何? 今の光………」

 

ユニが目を細めて注意深く島を見つめる。

再び光点が幾つも瞬く。

 

「何だろう………?」

 

「何………かな?」

 

ラムとロムも不思議そうに島を見つめる。

 

「あの光………もしかして戦闘!?」

 

ネプギアが気付いたように叫んだ。

 

「え? でも、いったい誰が!?」

 

ユニも困惑したように声を漏らす。

 

「そんなの一人しかいないに決まってるでしょ!」

 

アイエフがそう言いながらアクセルを吹かした。

 

 

 

 

紫苑は、無数のマシーンタイプのモンスターを相手に激しい戦闘を繰り広げていた。

マシーンタイプのモンスターはその見た目にそぐわず、ビームやレーザー等で攻撃してくる。

当然ながら、生身の紫苑は一発受けるだけでも致命傷だ。

しかし、紫苑は巧みに左右に動き回り、モンスターに狙いを絞らせない。

 

「はあぁっ!!」

 

一瞬の隙を突き、また一体を切り伏せる。

だがその瞬間、紫苑の背後にモンスターが接近した。

紫苑はすぐに迎撃しようとしたが、その前に数発の銃声が鳴り響き、紫苑が攻撃する前にモンスターが消滅する。

紫苑がそちらを確認すると、

 

「ったく、予想通りとはいえ、とんでもない無茶をやらかしてるわね」

 

アイエフが半ば呆れた表情で拳銃を構えていた。

 

「シオンさん!」

 

ネプギアがバイクを降りて紫苑に駆け寄る。

 

「来たか………」

 

紫苑は呟く。

同時にユニ達も車を降りて駆け寄ってきた。

 

「アンタ………一体いつから………」

 

ユニがそう聞くと、

 

「この島に徒歩で来れるのは引き潮の時だけ。今日は私達が引き潮が始まると同時にこの島に向かったから、シオンがこの島に来れるのは昨日の引き潮の時だけよ」

 

アイエフがそう推理する。

 

「まさか………昨日の夜から!?」

 

「そんな……大丈夫なんですか?」

 

ラムとロムも驚いている。

 

「何でそんな無茶を………アンタまさか、一人でお姉ちゃんたちを助け出すつもりだったの!?」

 

ユニが叫ぶ。

 

「まさか。そこまで自惚れちゃいない。俺は所詮人間なんだ。女神を捕らえられることが出来る相手に一人で挑んで勝てると思うほど無謀じゃない」

 

「だったらどうして!?」

 

「変身が出来る、出来ないに関わらず、お前たちは必ず来ると確信していたからな。少しでも救出の成功率が上がるように露払いだけはしておこうと思っただけの話だ。半分ぐらいは減らしたと思うんだが………まだ結構残ってるみたいだな」

 

もう少し減らしたかったと言わんばかりの紫苑に、ネプギア達は驚きと無茶をしたことに対する怒りが混じった複雑な感情になる。

 

「まあ、言いたいことは分からんでもないが、今は…………」

 

紫苑は再び向かってくるモンスターに対して刀を構える。

 

「「「「ッ!」」」」

 

ネプギア達もそれに気付き、ネプギアはビームソードを、ユニはライフルを、ロムとラムは杖をそれぞれ構える。

 

「いくぞ!」

 

紫苑の掛け声と共に全員が駆けだした。

 

「たぁああああああっ!」

 

ネプギアがビームソードでモンスターを切り裂く。

 

「ラムちゃんは、私が守る」

 

「うん! 私がどんどんやっつける!」

 

ロムが敵の攻撃をシールドで防ぎ、すぐにラムが反撃を行う。

 

「当たって!」

 

ユニが後方からライフルで援護射撃を行う。

 

「痛いのいくですよ~!」

 

「邪魔よ!」

 

コンパとアイエフもそれぞれが戦闘を開始する。

 

「ふっ!」

 

疲労が溜まっている筈だが、それを感じさせない動きで紫苑がすれ違いざまにモンスターを切り裂く。

今までは体力温存の為に受け身に回っていたが、今の紫苑は積極的に前に出ていた。

そんな紫苑に感化されるようにネプギアも前に出る。

 

「たあっ! えいっ!」

 

モンスターを連続で切り裂いていき、ネプテューヌ達の元へ急ぐネプギア。

だが、その焦りが隙を生み、大型のマシーンモンスターから剛撃を受けてしまう。。

 

「ッ!」

 

ネプギアは放たれたビームを咄嗟にシールドを張って防いだ。

 

「くうっ………!」

 

苦しそうな声を漏らすネプギア。

 

「ネプギア!」

 

それに気付いたラムが援護しようとその場を離れる。

 

「ラムちゃん………! あうっ!?」

 

だが、そんなラムに気付いたロムが振り返った瞬間、ロムは攻撃を受けて倒れてしまう。

 

「ロムちゃん……!? ッ!?」

 

ロムの悲鳴で振り返ったラムの背後にモンスターが迫る。

紫苑の訓練の賜物か、目を瞑りはしなかったが対処が間に合わない距離だ。

そして次の瞬間、

 

「ッ!?」

 

モンスターが閃光に撃ち抜かれた。

ユニの援護射撃だ。

 

「ロム! ラム! 立て直して!」

 

ユニは斜面を滑り降りながら射撃を続ける。

 

「ユニちゃん………」

 

「ッ!? 後ろ!」

 

ラムが突然叫んだ。

 

「えっ?」

 

ユニの後ろから、大型のマシーンモンスターが迫っていたのだ。

 

「くっ!」

 

ユニは咄嗟に振り返ってライフルを構えるが、距離が近すぎる。

モンスターは至近距離から襲い掛かってきた。

 

 

 

一方、ネプギアはモンスターの攻撃に耐えていたのだが、埒が明かないと判断したのか思い切って前に出る。

 

「負けません!」

 

シールドで攻撃を弾きながらモンスターに接近し、ビームソードで切り裂く。

そのモンスターは消滅するが、すぐに別方向から射撃型のモンスターの攻撃を受け、ビームソードが破壊されてしまう。

 

「あっ!? くうっ!」

 

そのモンスターは間髪入れずに両脇に装備されているガトリング砲を乱射し、ビームの弾丸を雨の様に降らせる。

ネプギアは両手でシールドを張って必死に耐えるが、攻撃の激しさに膝を着いてしまう。

 

「きゃぁあああああああああああっ!?」

 

そんなネプギアの耳に、ユニの悲鳴が届く。

ネプギアが視線を向けると、モンスターの攻撃を必死に捌くユニの姿が映った。

ユニだけではない、ロムやラムも…………

アイエフやコンパも追い詰められていく。

 

(どうしよう…………私、間違ってた………戦いなんて、まだ無理だったんだ………!)

 

後悔の念に駆られるネプギア。

 

(私の所為で………皆やられちゃう……………何にも……出来ないよ………助けて、お姉ちゃん………!)

 

ネプギアが目を瞑ってそう思った瞬間、

 

「はあっ!」

 

ネプギアを攻撃していたモンスターの背後から銀閃が走り、モンスターを真っ二つにする。

 

「立て! ネプギア!!」

 

厳しい口調で声が響いた。

 

「はっ………! シオンさん………?」

 

ネプギアが目を開いて前を向くと、紫苑はがネプギアの前にいて、周囲を警戒しながら背中越しに語り掛ける。

 

「ネプギア、お前が本当に恐れていることは何だ? モンスターが怖いなんて言う上っ面の恐怖じゃない、お前の心の奥底にある『本当の恐怖』は………!」

 

「心の奥底にある………『本当の恐怖』…………?」

 

「ネプテューヌを失う事か? ネプテューヌの妹でいられなくなることか?」

 

紫苑はネプギアの本心に語り掛けるようにそう問う。

ネプギアはその言葉を反復するように自分に問いかけた。

 

「……………私が本当に恐れていること………お姉ちゃんが居なくなること………? 違う…………お姉ちゃんの妹で居なくなること………? ううん、そうじゃない…………」

 

そして遂に、その答えへとたどり着いた。

 

「…………私が、お姉ちゃんよりも強くなることだ!」

 

眼を見開いたその瞳には、女神の証が浮かび上がっていた。

その瞬間、ネプギアの身体から膨大なエネルギーが満ち溢れ、放たれた波動が近くにいたモンスターを消滅させる。

 

(私、ずっとずっとお姉ちゃんに憧れていたかったんだ……………でも、お姉ちゃんを取り返すためなら…………)

 

「私、誰よりも強くなる!」

 

覚悟の言葉を口にするネプギア。

その瞬間ネプギアの身体を光が覆い、変身を始める。

白いボディースーツに身を包み、背中には蝶の羽のような光の翼。

その手にはビームソードとビームガンが一体化した銃剣。

プラネテューヌの女神候補生、パープルシスターが誕生した瞬間だった。

パープルシスターとなったネプギアはその翼で空へと舞い上がり、銃剣からビームを発射する。

その一撃はユニに迫っていたモンスターを貫き、一撃で消滅させる。

 

「ネプギア!」

 

変身したネプギアに気付いたユニは嬉しそうな表情で声を上げる。

ネプギアは続いて2連射し、ロムとラムの周囲に居たモンスターを撃ち抜く。

 

「ネプギアちゃん………!」

 

「すごーい!」

 

ロムとラムも嬉しそうに声を上げた。

ネプギアは一度微笑むと振り返り、モンスターの大群を見据える。

 

「引くことだけは出来ません。だから………!」

 

ネプギアは後方に光の円陣を発生させ、それを足場に一気に飛翔した。

 

「やるしかないの!!」

 

 

 

 

 

 

 

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