超次元インフィニット ネプテューヌ・ストラトス 作:友(ユウ)
簪の所属する1年4組の生徒達が乗車する4号車のバスは、トンネルを抜けたと思ったらいきなり激しい揺れと共にバスが停止した。
「「「「「「「「「「きゃぁあああああああああっ!!??」」」」」」」」」」
悲鳴を上げる生徒達。
一瞬事故を起こしたのかと思う生徒もいたが、今のは激突というよりも車体に多大な負荷がかかって強引に止められたような止まり方だった。
その証拠に、シートベルトをしていなかった生徒達は停止の勢いで前の座席に頭を打ったり、立ち上がっていた生徒は倒れて他の生徒を巻き込んでいたりしたが、勢いで投げ出されたりするような事は無かった。
座席の一番前に座っていたロムとラム、その後ろのプルルートと簪は行儀よくシートベルトを締めていたので怪我は無かった。
「一体何が…………?」
簪は衝撃で前のめりになっていた上体を起こしながら窓の外を見やる。
すると、
「…………………………え?」
簪は思わず呆気にとられた顔と声を漏らした。
簪の視線の先には、窓一杯に広がる白銀の世界。
即ち視界一杯に広がる大雪原であった。
バスは、その大雪原のど真ん中でタイヤが膝ほどの高さまで積もった雪に嵌ってしまい身動きが取れなくなってしまったのだ。
「ゆ………雪……?」
簪は即座に異常事態だと理解した。
現在の季節は紅葉の彩る秋真っただ中。
どう考えても雪が降るような季節では無いし、異常気象で降ったとしてもこんな大雪原になるぐらい雪が降れば必ずニュースになる。
それに先程まで快晴の中高速道路を走っていたのだ。
『トンネルを抜けたら、そこは雪国でした』、というフレーズなど通用しない。
そして今気付いたが、前方を走っていた他のクラスのバスも見当たらない。
完全に孤立無援の状態だった。
「…………………ッ!」
楯無ほどでは無いとはいえ、簪も裏の世界に身を置く更識の家系。
この後の問題を即座に考え始めた。
(……………………通信は繋がらない。現在位置も把握できないどころか衛星にリンクすることも出来ない……………現状、一番の問題は寒さ。今はまだバスの暖房があるから暫くは大丈夫………だけど、雪が積もって排気口が詰まったりしたら………? それは数人ごとでローテーションを組んで雪を定期的に取り除けば大丈夫かな…………だとすれば、ガス欠になるのが一番拙い。こんな場所で燃料補給なんて出来る訳ないし、食料や水があっても寒さが防げなければ、ISがある私はともかく、皆が凍えちゃう………少なくとも、寒さが凌げる場所が無いと…………!)
そこまで考えると、簪は担任の教師に向かって発言した。
「先生、周辺の偵察に出ることを提案します」
「さ、更識さん?」
「先程試してみましたが、通信も繋がらず、現在位置も把握できません。つまり、救援の望みは低いと思います。ですので、助けを呼ぶにしろ、何処かに避難するにしろ、周辺の偵察は必要だと思います。そして、現状その役目に適しているのは、専用機を持つ私です。ISなら寒さも平気ですし、天候にもさして左右されません」
その言葉に担任は僅かに悩むが、
「……………更識さん、お願いできるかしら?」
「はい」
その言葉に簪はしっかりと返事をする。
そして簪が立ち上がると、
「カンザシちゃん~。あたしも行こうか~?」
プルルートがそう問いかけた。
しかし、簪は首を横に振り、
「ううん、プルルートはここで皆をお願い。何があるか分からないから、念のために戦える人は残ってた方が良いと思うの」
そう言った。
「そっか~。じゃあ~、そうするね~」
プルルートは頷いてそう言う。
すると、
「そうそう! 簪ちゃんの事はこの私に任せておきなさい!」
簪の背後でいきなり声がした。
「ひゃっ!?」
簪が驚いて振り返ると、
「お、お姉ちゃん!?」
そこには2年生でこの修学旅行には参加していない筈の楯無の姿があった。
「あ~! たっちゃんだ~!」
プルルートは嬉しそうにそう言った。
「やっほープルちゃん!」
楯無は軽く手を振りながら応える。
「お、お姉ちゃん! 何でここにいるの!?」
簪は驚きながらもそう問いかけた。
「ふふん! 私の簪ちゃんへの愛は世界をも超えるのよ!」
楯無は得意げにそう言う。
しかし、
「……………本当は?」
簪はその言葉をスルーしてもう一度問いかける。
「荷物入れに忍び込んでました」
「はぁ…………」
隠すことなく口にした楯無の本音に簪は思わず溜息を吐いた。
「とにかく、私も一緒に行くわ。1人より2人の方が万一の時に対応も取りやすいでしょ?」
「…………否定はしないけど」
楯無の突然の登場で調子を狂わされた簪はややゲンナリとした表情を見せる。
まあ、バスの中の張り詰めていた空気が緩んだのは楯無の狙いだったのだろう。
バスのドアを開いて2人が外に出ると、皮膚を刺すような冷気が2人を包んだ。
「さむっ!」
楯無が思わず口に出し、
「気温は氷点下10℃ぐらいかな? やっぱり生身じゃそんなに長く持たない」
簪は皮膚を刺す空気からそう判断する。
2人はすぐにISを展開した。
「ふう。これで大丈夫」
「改めて見ると、やっぱりISって凄い」
「そうね。元々宇宙進出の為に作られたものだから、操縦者の温度管理も完璧だわ」
ISを展開した瞬間に寒さを感じなくなった2人は改めてISの汎用性の高さを再認識した。
2人は空に飛び上がると周りを見渡す。
「う~ん、見事に一面雪景色ね…………」
楯無は周りを見回しながらそう漏らす。
バスのある雪原はもう少し先で途切れているが、その先は森だったり背後には山々が連なっていたり、近くには避難できそうな場所は見当たらなかった。
「……………もう少し見て回る必要がありそうね…………」
「うん…………」
2人はそう言うとバスの周辺を飛んで回ってみる。
すると、
「ッ! お姉ちゃん、あれ!」
簪が指を指す。
そこには、明らかに獣道とは違う、人の手によって整備されたと思われる道。
「街道かしら?」
楯無はその道に降り立って前後を確認する。
「……………あら?」
楯無は何かに気付くと視界を拡大してその場所を確認する。
そこには、
「……………街?」
かなり遠いが街らしき場所があった。
「とりあえず行ってみましょう。運が良ければ受け入れてくれるかも…………」
楯無の言葉で2人は街道沿いに飛行しながらその街へ進む。
すると、街に入る門らしき場所が見えた。
2人は一旦上空で停止し、話し合った。
「門ね………どうしようかしら?」
「勝手に入ると色々と問題がありそうだから、大人しく門から入るのが妥当だと思うけど…………」
「でも、街中を見る限り、そこまで文明が発達しているようには見えないのよね…………」
空中から街中を覗くと、大通りと思われる場所には馬車をトナカイの様な生き物が引っ張って走っているのが見て取れる。
「それでも、ここが何処だか分からない以上、余計なトラブルの種は減らすべき」
「大人しく入れてくれるかしら?」
「捕まりそうになったらISを展開して逃げればいい」
「…………それもそうね」
楯無はそう納得すると、簪と共に門から少し離れた所に降り立ち、ISを解除して門の方へ歩いていく。
一応、寒さが防げるようにシールドバリアを部分展開している。
門に辿り着くと、やはりと言うべきか門番らしき人物が2人、門の両側に立っていた。
楯無と簪はどういう状況になっても対応できるようにやや身構えながらその門番に近付き、
「えっと…………こんにちは!」
楯無がそう挨拶した。
すると、その門番は笑みを浮かべ、
「はい、こんにちは!」
挨拶を返してくれた。
「……………言葉は通じるみたい」
簪はボソッと呟く。
「何か御用でしょうか?」
門番がそう尋ねてくる。
「えっと………その………恥ずかしながら道に迷ってしまいまして…………ここは何という街なんでしょうか?」
楯無はやや苦しい言い訳かと内心思いながらそう尋ねた。
それに対し、
「それは大変でしたね。ここは、女神ホワイトハート様の守護する国。夢見る白の大地、『ルウィー』です」
門番は、さして気にした素振りも見せずにそう答えた。
しかし、2人は今答えた門番の言葉の中に聞き逃せない単語があったことに気が付いた。
「今………『女神』って…………」
「ええ、そうなるともしかしてここは……………」
2人は1つの推測を立てた。
「あの、失礼ですが、プラネテューヌという国をご存知でしょうか?」
楯無はそう質問する。
「ええ、もちろんですよ。その国を守護するパープルハート様とホワイトハート様は友好的な関係を築いておられます」
パープルハートという名は、ネプテューヌの女神としての名という事は既に聞いていたので、2人はこの世界がゲイムギョウ界だと結論付けた。
「もしかして御二人はプラネテューヌの国民ですか?」
「あ、いえ、そう言う訳では…………」
「その………紫苑さんの知り合いです…………」
「シオン…………? もしや、パープルハート様の守護者、バーニングナイト様の事ですか?」
「え? ええ………多分…………」
紫苑が様付けして呼ばれることに、楯無と簪は若干呆気にとられる。
「そうですか…………バーニングナイト様は、この国のロム様、ラム様と同じく行方不明と聞き及んでおります。心中、お察しします…………」
いきなり申し訳なさそうに頭を下げられた2人は慌てながら、
「ちょ、いきなり頭を下げないでください!」
「そ、そうです! 紫苑さんとは今朝も会ってますし、ロムとラムとも…………」
簪がそう口に出した瞬間、門番は突然頭を上げて簪に詰め寄った。
「今、何と!?」
「え? え………?」
「今、ロム様とラム様と今朝会ったばかりだと仰いませんでしたか!?」
門番は真剣な表情で問いかけてくる。
「え? は、はい………」
簪が困惑しながらも頷くと、
「失礼ですが、一緒に来てください! ホワイトハート様へご説明を願います!」
2人は突然血相を変えた門番に困惑しながらも馬車に乗せられ、小高い山の頂上にあるルウィーの教会へ向かう事になった。
ルウィーの教会。
そこは城の様な作りで、ゲイムギョウ界にある4つの国の教会の中では一番教会らしい外観をしている。
その中の一室、ハート型の大きなベッドがある部屋に、女神ホワイトハートであるブランはいた。
「ロム………ラム…………」
ブランはそのハート型のベッドを見つめながら呟く。
それは、ロムとラムが使っていたベッドだ。
数ヶ月前にロムとラムが行方不明になってから、ブランはあらゆる伝手を使って2人の行方を探し求めた。
だが、その努力も虚しく手掛かりすら掴めていなかった。
「……………どうか………無事でいて……………!」
ブランは静かに涙を流す。
国民達の前では気丈に振舞って心配をかけないようにしているが、誰も見ていない所では人知れず涙を流していた。
その時、
「ブラン様! ブラン様―!?」
部屋の外から声が聞こえた。
ブランはハッとなって涙を拭うと、部屋の扉へ向かう。
ブランが扉を開けると、1人のメイドが廊下を忙しなく駆けまわりながらブランを探していた。
「フィナンシェ…………どうしたの………?」
ブランは平静を装ってそのメイド、フィナンシェに声を掛けた。
「あっ、ブラン様!」
フィナンシェはブランに気付くと駆け寄ってくる。
「大分慌ててたみたいだけど、何があったの?」
ブランは改めて問いかける。
「そうです! ブラン様! 大変なんです!」
フィナンシェは大声で捲し立てる。
「落ち着いて、何があったの?」
ブランはフィナンシェに落ち着くように言うが、
「落ち着いている場合じゃないですよ! 先ほど門番から連絡があったのですが、ロム様とラム様を見たという人物が居たらしいのです!」
「ッ!? 本当に!?」
「はい! 現在その2人を連れてこちらに向かっているそうです!」
「ッ! 到着はいつ頃!?」
「先程間もなく到着すると聞いているので、もうそろそろだと…………」
「ッ………!」
ブランは教会の入り口に向かって駆け出す。
「あっ、ブラン様!」
フィナンシェも慌てて後を追いかけた。
ブランが玄関ホールに到着すると、キョロキョロと辺りを見渡すがそれらしい人物はいない。
すると、入り口のドアが開いた。
「ッ…………」
そこから、ルウィーの衛兵に連れられた2人の水色の髪の少女が歩いてくる。
ブランが速足で駆け寄ると、
「あなた達、ロムとラムを見たって本当!?」
一目散にそう問いかけた。
「え、えっと………」
突然の質問に、困惑する2人。
「早く答えろ! 本当にロムとラムを見たのかって聞いてるんだ!?」
「「ッ!?」」
先程までの大人しい態度が嘘のように声を荒げて乱暴に問いかけるブラン。
「落ち着いてくださいブラン様! そのような訊ね方では相手も委縮してしまいます!」
追いついてきたフィナンシェが割って入り、ブランを宥める。
ブランはハッとなり、
「……………ごめんなさい。つい………」
2人に向かって頭を下げる。
「私からも謝罪いたします。先程の無礼をお許しください」
フィナンシェも2人に向かって頭を下げた。
「あ、いえ! 謝らないでください! それだけロムちゃんとラムちゃんを大切に思ってるって事ですから!」
「気にしてないです」
2人はそう言う。
ブランとフィナンシェは頭を上げる。
「先程は失礼をしたわ。私はブラン。ロムとラムの姉でこの国を治める女神よ」
「私はブラン様付きのメイド、フィナンシェと申します」
そう言って名乗る2人。
「私は更識 楯無です。そしてこっちが妹の………」
「更識 簪です…………」
楯無と簪もそう名乗る。
「改めて聞くけど、あなた達がロムとラムを見たというのは本当?」
「はい。見たというよりもつい先ほどまで一緒に行動してたんですけどね」
楯無がそう答える。
「どういう事?」
「説明すると長くなるんですけど、紫苑さん………月影 紫苑さんは分かりますか?」
「ネプテューヌの守護者のシオンの事? もちろん知ってるわ。ロムやラムよりも先に行方不明になったけど、ネプテューヌの話では次元転移に巻き込まれて元の世界に跳ばされたって聞いてる」
「あ、そこまで分かってるのなら説明も短縮できますね。簡単に言うと、私達は紫苑さんの元居た世界の人間です」
「ッ…………!」
「そして、ロムちゃんやラムちゃんとも向こうの世界で会いました」
「2人は無事なの!?」
「はい。向こうの世界で運良く紫苑さんと合流できまして、それからずっと紫苑さん達で面倒を見てましたよ」
その言葉を聞いて、明らかにホッとした表情を見せるブラン。
「良かった…………」
「他にも、ネプギアちゃんやユニちゃん。プルちゃんやぴーちゃん…………じゃなくて、プルルートちゃんやピーシェちゃんも居ましたから」
その言葉を聞くと、ブランは目を丸くした。
「ネプギアやユニだけじゃなく、プルルートやピーシェまでいるなんて…………」
「それで、向こうの世界では紫苑さんも私達と同じIS学園っていう学校に通ってたんですけど、その学校の修学旅行に行く途中で何故かいきなり私達の乗ったバスがこの付近にある雪原に飛ばされまして…………私達で周辺の偵察に出てこの街を発見したんですけど……………あと、ロムちゃんとラムちゃんもそのバスに乗ってます」
「ッ! 場所は!?」
「この世界の地理については全く分からないので何処とは言えませんが、方角と距離は分かってますから安心してください」
「じゃあ…………!」
「その前にこちらからもお願いがあります」
ロムとラムの元へ急ごうとするブランに対し、楯無が待ったをかける。
「お願い………?」
ブランは首を傾げる。
「先程も言った通り、私達は修学旅行のバスごとこちらの世界に飛ばされました。つまり、他の生徒達もバスの中に居るという事です。お願いとは、その生徒達及び教師とバスの運転手を保護して貰いたいんです」
「そんな当たり前のことを確認しなくてももちろん保護するわ。この国に対して敵対意思が無い以上、助けを求める者に手を差し伸べるのは当然の事よ」
「そうですか…………」
裏の世界に生きてきた楯無にとって、ブランの在り方は眩しく思えた。
楯無の見てきた権力者達は、腹黒い者ばかりでブランのように裏表なく人を助けるという者は殆どいなかった。
「フィナンシェ、ミナに救出部隊を編成する様に伝えて」
「分かりました」
ブランの言葉にフィナンシェが頷く。
「私は先に場所を把握しておく。編成が終わり次第すぐに来るように」
ブランはそう言うと楯無と簪に向き直り、
「場所を教えて欲しい。大体の位置さえ分かれば後は自分で探す」
そう言った。
すると、
「それなら一緒に行った方が良いと思いますよ。女神化して飛んでいくんですよね?」
「そうだけど…………あなた達は…………」
「ご心配なく」
楯無はそう言うとISを展開。
その身に纏う。
「それは…………」
「私達の世界にあるインフィニット・ストラトスという物です」
「あ、シオンから少しだけ聞いたことがあるわ。女性しか使えないパワードスーツだったかしら?」
ブランが思い出したように呟く。
「大体その通りです。女神ほどではありませんが、戦闘も出来ますし飛行も出来ます」
「そう………じゃあ、道案内をお願い」
「任されましょう」
ブランの言葉に楯無は頷く。
「簪ちゃんは救出部隊の案内をお願い。救出は少しでも早い方が良いから」
「うん、わかった」
簪が返事をすると、楯無とブランは外に出る。
すると、ブランは光に包まれ、白いボディースーツに水色の髪。
そして女神の証が浮かび上がったルビー色の瞳をもった女神『ホワイトハート』に変身した。
「よっしゃ! 行くぜ!」
先程とは違う男勝りな言葉遣い。
だが、
「プルちゃんに比べれば驚くほどでもないわね…………」
すでに女神が変身して性格が変わる事を理解している楯無は大して驚いては居なかった。
同じ頃、バスの中では。
「も~! 退屈~!」
ラムが駄々を捏ね始める。
「ラムちゃん、落ち着いて………」
ロムがそう言うが、
「だけど、タテナシとカンザシがてーさつに行ってもう2時間じゃない!」
「2人なら~、きっと大丈夫だよ~」
そんなラムにプルルートがニッコリと笑って言い聞かせる。
「でも………」
ラムが何か言おうとした時、
「な、何アレ!?」
生徒の1人が叫んだ。
その言葉に窓の外を見ると、雪原の中に佇む人型。
しかし、その身体は氷で出来ていて、更に氷で出来た岩を人型に積み上げたような形をしていた。
「あれ、アイスゴーレム!?」
「ウソっ! じゃあここって!?」
ロムとラムが叫ぶ。
更にそのほかにも座布団に乗った氷で出来たスケルトンや大きなトカゲの様な生物も多数出てくるも。
それらはゲイムギョウ界のモンスターでスカルフローズンやコールドリザードと呼ばれるモンスターだった。
モンスターは本能的に人を襲う為、バスにいる生徒達に襲い掛かろうとしていた。
すると、
「も~、仕方ないな~!」
プルルートが立ち上がるとバスから降りてモンスターの前に立つ。
そして光に包まれ、
「ちょっとだけ遊んでア・ゲ・ル♪」
アイリスハートとなって妖艶な笑みを浮かべた。
「ロムちゃん! 私達も!」
「うん! もしここがゲイムギョウ界なら!」
ロムとラムも車外へ飛び出すと光に包まれ、それぞれホワイトシスターへと姿を変える。
「変身できた!」
「よーし! これなら負けないわ!」
2人は変身出来た事に喜びながら、早速杖を掲げ、
「「アイスコフィン!!」」
氷の塊を生み出してそれをモンスターに向けて放った。
その攻撃はアイスゴーレムに直撃し、アイスゴーレムを光の粒子へ変える。
「うふふ、アタシも負けてられないわねぇ………!」
アイリスハートは一気に飛び出すとすれ違いざまにモンスターを切り裂き光に変えた。
女神が3人もそろえば普通のモンスターは成す術もなく、瞬く間に全滅させられた。
最後のモンスターを倒すと、
「イエーイ!」
ラムがVサインをして、ロムが微笑みで応える。
だがその時、ドォオオンという地鳴りと共にロムとラムの背後にエンシェントドラゴンが着地した。
「「ッ!?」」
ロムとラムは驚きながら振り返る。
その時にはもうエンシェントドラゴンの剛腕が振り上げられていた。
油断していた2人は咄嗟に動くことも出来ずに呆然とその腕を見上げ……………
エンシェントドラゴンが突然回転しながら飛んできた巨大な斧に吹き飛ばされた。
エンシェントドラゴンは仰向けに倒れ、その前に巨大な斧が地面に突き刺さる。
「おい……………!」
ドスの利いた声がその場に響いた。
「テメェ………私の大切な妹達に…………何しようとしてやがった!!!」
それは、怒りに燃えるホワイトハート。
「「お姉ちゃん!?」」
ロムとラムは同時に声を上げる。
ホワイトハートは斧の前に降り立つとその柄に手を掛け、引き抜いた。
エンシェントドラゴンは立ち上がろうとしていたが、
「テメェは寝てろ!!」
ホワイトハートは斧を振りかぶると回転して勢いを付け、
「テンツェリントロンベ!!」
会心の一撃をエンシェントドラゴンへと叩き込んだ。
「グォオオオオオオオオッ!?」
エンシェントドラゴンは断末魔の叫びを上げて光へ帰る。
「フン………!」
ホワイトハートは鼻を鳴らして斧を肩に担いだ。
そして振り返ると、
「「お姉ちゃーん!!」」
ロムとラムが一気に飛び付いてきた。
「わぁあああああああんっ!!」
「会いたかったよぉぉぉぉっ!!」
2人は泣きながらホワイトハートへと抱き着く。
「ロム………ラム………」
ホワイトハートは2人の背中へと手を回すとしっかりと抱きしめる。
「…………無事でよかった」
「「わぁああああああああああああああああんっ!!!」」
その一言で更に泣き出してしまう2人。
「あらあら、2人共泣いちゃって」
楯無がゆっくりとアイリスハートの後ろに降りてくる。
「あらおかえり。ブランちゃんを連れて来てくれたのね」
「まあ偶然だけどね。皆を保護してくれる約束もしてくれたわ」
「それなら一安心かしら?」
2人はそう言うと未だに泣き続けるロムとラム、それを優しく抱きしめるホワイトハートを見つめる。
それから暫くして、簪の案内で到着した救援部隊に4組の生徒達は無事に保護された。
第43話の完成。
今回はルウィー編です。
オチと言えるオチが無かったかな…………
前回のラステイション偏と今回のルウィー編は正直やる意味は無かったのですが(爆)プラネテューヌと次回のリーンボックスだけでは不公平かなと思ってこの2国の話も何とか作りました。
さて、次回は上記の通りリーンボックス編なわけですが、覚えているかは分かりませんが、紫苑の妹の名前を『紅』から『翡翠』に変更した理由が次回で分かります。
多分、おそらく、きっと…………
まあこれだけでも気付く人はいるかと思いますが、とりあえず次回をお楽しみに。
本日のNGシーン
最後のモンスターを倒すと、
「イエーイ!」
ラムがVサインをして、ロムが微笑みで応える。
だがその時、ドォオオンという地鳴りと共にロムとラムの背後に何かが降り立った。
それは……………
「さあ幼女達! 再会のペロペロを!」
その名はトリック!
「「いやぁあああああああああああああっ!!??」」
2人は全力で悲鳴を上げた。