超次元インフィニット ネプテューヌ・ストラトス   作:友(ユウ)

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第46話 女神(ネプテューヌ)守護者(シオン)

 

 

 

 

一夏が上位危険種に手を出したため、窮地に陥ったアイエフと専用機持ち一行。

だが、そこにパープルハートが現れ危機を脱する。

すると、

 

「お姉ちゃーん!」

 

空からネプギアが飛んでくる。

ネプギアはパープルハートの隣に降り立つと、

 

「お姉ちゃん、いきなり飛んで来てどうしたの?」

 

ネプギアがそう尋ねたところで、

 

「えっ? ネプギア!?」

 

シャルロットが驚いたように声を上げる。

 

「あっ! シャルロットさん! それに皆も……!」

 

ネプギアが専用機持ち達に気付く。

 

「ネプテューヌ、いったいどうしたんですの?」

 

更に上空から2つの影が降りてくる。

それはベールの変身したグリーンハートと、グリーンシスターに変身したヒスイだった。

 

「………って、あいちゃんではありませんか!」

 

グリーンハートもアイエフに気付いた。

 

「ベール様…………! と、もう1人は…………?」

 

アイエフはグリーンハートの横に佇む見覚えの無い人物、ヒスイに首を傾げる。

 

「うふふ…………こちらは………」

 

グリーンハートが含み笑いをしながらそう呟くと、

 

「初めまして! 私、この度リーンボックスの女神候補生グリーンシスターになった者です!」

 

翡翠が敬礼の真似事をしながらそう言う。

 

「えっ!? リーンボックスの女神候補生!? ってことは……………」

 

アイエフがそこまで言うと、

 

「ええ! “わたくしの”妹ですわ!」

 

「むぎゅ………!」

 

『わたくしの』を強調しつつ、更にヒスイをその胸に強く抱きしめながらそう言った。

 

「ベール…………昨日から何回抱きしめてるのよ…………」

 

パープルハートが呆れた様に呟く。

 

「あはは…………寝る時もずっと抱きしめたままでしたからね」

 

ネプギアも苦笑する。

 

「あはは…………」

 

アイエフも頬を掻きながら苦笑していた。

まあ、ずっと前から妹を欲しがっていた彼女を知るものからすれば、それも仕方ないと思えるだろう。

すると、

 

「あ、あの…………」

 

ずっと蚊帳の外だった専用機持ち達。

その中の唯一の男が声を掛けた。

その言葉でハッとするパープルハート達。

 

「ああ、ごめんなさい………放っておいて悪かったわね」

 

そう謝るパープルハート。

 

「い、いえ! そんな事………! それよりも先程は危ない所を助けていただきありがとうございました!」

 

今までに無いほどビシッと背筋を伸ばして会釈しながらそう礼を述べる一夏。

その姿に目を丸くして驚いているのはシャルロットと箒。

今までの一夏は助けられても碌に礼を言った記憶が無かったからだ。

まあ、その助けた相手が殆ど紫苑だった事が大きな理由だったのだろうが。

 

「そんなお礼なんていいわよ。実際危なかったのはあいちゃんなんだし。私は友達を助けただけよ」

 

謙遜しながらも凛とした態度を崩さずにそう言うパープルハート。

 

「まあ、私がピンチに陥った原因の一つにあなたが関係しているわけだけど…………」

 

アイエフは笑ってそう付け足した。

 

「うっ………! その事については誠に申し訳ありませんでした!」

 

再び今までに無いほど誠心誠意籠った謝罪をアイエフにする一夏。

 

「俺は、織斑 一夏といいます!」

 

頭を上げるとパープルハートにそう名乗る一夏。

 

「イチカね………さっきも名乗ったけど、私はネプテューヌよ。今は女神化してパープルハートだけど………」

 

「ネプテューヌ………さん…………!」

 

その名を深く胸に刻み込むように反復する一夏。

その後ろで、

 

「ね、ねえ箒………織斑君の様子が今までに無いほどおかしいんだけどもしかして…………」

 

「あ、ああ………どうやら織斑の奴は、あの人に惚れたようだな…………あいつに惚れた者は今までに何人も見たが、まさかあいつが惚れる時が来るとは…………」

 

シャルロットと箒が小声でコソコソと話している。

 

「……………織斑君、ご愁傷様だね…………」

 

「む………? 何故だ?」

 

シャルロットの言葉に一瞬意味が分からず聞き返す箒。

 

「忘れたの箒? あの人は、『プラネテューヌの女神』って言ってたんだよ? それに、名前も『ネプテューヌ』って言ってた。その名前、何処かで聞いた事ない?」

 

その言葉で箒もハッとなる。

 

「そ、そういえば月影さんの伴侶の方の名が確か………」

 

「その通り」

 

「…………あいつは何という人に惚れてしまったのだ…………」

 

因みにそんな2人とは別にセシリアが恨めしそうな目で一夏を見ていたりする。

 

 

 

 

そんな一連のやり取りがあった後、一行は空からプラネテューヌを目指していた。

唯一飛べないアイエフはネプギアに抱きかかえられている。

 

「♪…………………!」

 

一番先頭をパープルハートが飛んでおり、無意識だろうが少し先行してしまっている。

 

「全くネプ子ってば、嬉しそうな顔しちゃって」

 

斜め後方からパープルハートの横顔を見たアイエフがそう漏らす。

 

「仕方ありませんよ。お姉ちゃんにとって、お兄ちゃんに会うのは大体半年ぶりなんですから」

 

ネプギアがそう答える。

 

「そう言えば、あの新しく女神候補生になった子。名前は何ていうの?」

 

アイエフが名前を聞いて無かったことを思い出し、ネプギアに訊ねると、

 

「あはは………今は秘密って事で…………」

 

ネプギアは苦笑しながらはぐらかした。

これはヒスイが紫苑を驚かせたくて黙っているように皆にお願いした為である。

 

「?」

 

怪訝な表情をするアイエフ。

やがてプラネテューヌの街が近付いてくる。

 

「シオン………!」

 

抑えが効かなくなっているのかスピードを上げるパープルハート。

だが、

 

「ッ!?」

 

突然ドォォォォンという爆発音が聞こえ、パープルハートはその場で立ち止まると辺りを見回す。

すると、プラネテューヌから少し離れた森の中から砂煙が舞い上がっていた。

 

「何…………?」

 

ただ事ではないと感じたパープルハートがその場を注視すると、再び爆発音と共に砂煙が舞い上がり、その元凶が露になる。

それは、5mほどの人型の巨躯。

鋼鉄の装甲に身を包み、白を基調に各部を紫で染め、両腕に金のブレードを装備したそれは、

 

「あれは…………シュジンコウキ!?」

 

アイエフが叫ぶ。

 

「シュジンコウキ………? 主人公機!?」

 

その名前を反復して思わず叫んでしまったシャルロット。

 

「厄介なモンスターね。あいつは接触禁止種よ。並の奴らじゃ歯が立たないわ!」

 

アイエフはそう言うが、あまり切羽詰まったようには見なかった。

 

「それにしては、随分と落ち着いていますね? アイエフさん」

 

気になった箒が尋ねる。

 

「そりゃ当然じゃない。私はあくまで『並』じゃ歯が立たないって言っただけで、この場には何人女神が居ると思ってるの?」

 

「あ、そう言えば………」

 

箒は思い出したように見渡す。

パープルハートにグリーンハート。

女神候補生のネプギアに、箒達には名乗ってはいないがヒスイもいる。

4人の女神が揃っている今、接触禁止種とは言っても、下から数えた方が早い強さなので、アイエフはそこまで悲観的では無かった。

 

「シュジンコウキの進む方向………このままだとプラネテューヌに向かってるわね………ベール、悪いんだけど………」

 

「ええ、構いませんわ。お手伝いします」

 

パープルハートの言葉にグリーンハートは即断で頷く。

 

「ありがとう」

 

そう言うと2人はシュジンコウキへ向かって行く。

 

「ネプテューヌさん!」

 

一夏が思わず叫ぶが、

 

「2人なら大丈夫よ」

 

アイエフは2人を信頼しきった表情でそう言う。

パープルハートとグリーンハート。

2人の女神を相手にできるほどの力はシュジンコウキには無い。

そう判断したためだ。

事実、シュジンコウキにはそこまでの力は無い。

 

「「はぁああああああっ!」」

 

パープルハートの刃とグリーンハートの槍が同時に繰り出される。

これだけで倒せるとまでは行かなくても、確実にダメージにはなる一撃。

それが、本来のシュジンコウキであったなら。

 

「「ッ!?」」

 

2人は同時に驚愕した。

何故なら、2人の攻撃がシュジンコウキに届こうとした瞬間、装甲の表面にエネルギーシールドの様なものが張られ、それを受け止めたからだ。

 

「バリア!? そんな! シュジンコウキにそんな能力なんて!?」

 

ネプテューヌが驚愕する。

その瞬間、シュジンコウキが腕のブレードを振るった。

 

「くっ!?」

 

2人は一旦空中に退避する。

 

「ネプテューヌ………今………」

 

「ベールも見たって事は私の勘違いじゃないわね…………今、間違いなくバリアを張ったわ」

 

ネプテューヌは油断なくシュジンコウキを見据える。

 

「突然変異か何かでしょうか?」

 

「……だったらいいんだけどね」

 

2人は冷静にシュジンコウキを観察する。

シュジンコウキは多少飛べたりはするものの、基本的には地上戦専門のモンスターだ。

その為、2人は今の内に情報整理をしようとしていた。

だが、

 

「「なっ!?」」

 

2人は再び驚愕する。

シュジンコウキが飛んだのだ。

それも浮遊や上昇といった生半可なものではない。ゼロからトップスピードへ一気に達する、正に弾丸の様な加速だ。

2人は咄嗟に、互いに反対方向に飛び退く。

その中央を通り過ぎるシュジンコウキ。

それを離れて見ていたアイエフは、

 

「何なの今の加速………シュジンコウキがあんな事するなんて聞いた事ないわよ!?」

 

思わずそう叫んだ。

すると、

 

「今の………もしかして…………」

 

ネプギアが何か呟く。

 

「ネプギア?」

 

アイエフが尋ねようとすると、ネプギアは顔を上げ、

 

「シャルロットさん! 箒さん! アイエフさんをお願いします!」

 

ネプギアはそう言ってアイエフを2人に預ける。

 

「ネプギア!」

 

「私はお姉ちゃん達の援護に行きます」

 

そう言ってネプギアは背を向けるとシュジンコウキに向かって飛んでいく。

 

「ギアちゃん! 私も!」

 

後を追うようにヒスイも飛翔した。

 

「ええい!」

 

ネプギアが銃剣から2発のビームを放つ。

それはシュジンコウキに直撃するが、やはりバリアによって防がれていた。

しかし、

 

「ギガンティックフィスト!!」

 

その隙に懐に飛び込んだヒスイが巨大化した腕でシュジンコウキを殴り飛ばす。

攻撃自体はバリアで防がれるが、衝撃は殺せなかったらしく、シュジンコウキは吹き飛ぶ。

 

「ネプギア!」

 

「ヒスイちゃん!」

 

パープルハートとグリーンハートは体勢を整え、2人の名を呼ぶ。

すると、シュジンコウキは即座に体勢を整え、再びゼロからトップスピードへの急加速で突っ込んできた。

だが、ネプギアとヒスイは分かっていたようにその攻撃を躱すと、ネプギアがその背中にビームを打ち込む。

だが、やはりバリアに防がれた。

 

「………やっぱり、今のは………」

 

ネプギアは何かに気付いたように呟く。

 

「ねえ、ギアちゃん。もしかしてなんだけど………」

 

ヒスイがネプギアに呼びかける。

 

「うん、多分私も同じこと考えてた」

 

「やっぱり………今の急加速って瞬時加速(イグニッション・ブースト)………だよね?」

 

「それに、相手が張ってるバリアも、ISのシールドバリアだよ。防御力は数段上だけど………」

 

シュジンコウキは再び2人に向かって斬りかかってくる。

空中を自在に動き回るその動きは、やはり従来のシュジンコウキには出来なかった機動だ。

 

「クロスコンビネーション!!」

 

「レイニーラトナピュラ!!」

 

シュジンコウキがネプギアとヒスイに気を取られているうちにパープルハートとグリーンハートが背後から必殺技を叩き込んだ。

シュジンコウキは吹き飛び、僅かに破片を撒き散らす。

多少はダメージが通ったようだが、決定打には程遠いようだった。

 

「くっ! なんて厄介な………!」

 

「ここまで苦戦するなんて………!」

 

シュジンコウキにここまで苦戦するとは微塵も思っていなかった2人は思わずそう漏らす。

すると、

 

「うおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」

 

男性の声が聞こえ、シュジンコウキに向かって突っ込んでいく白い影があった。

それは、

 

「イ、イチカ君!?」

 

ネプギアが思わず叫んだ。

白式を纏った一夏が、雪片の刃を手にシュジンコウキへと突っ込んでいたのだ。

 

「待ちなさい! イチカ!」

 

ネプテューヌも叫ぶが一夏は止まらない。

そしてそのままシュジンコウキへ斬り付け…………………そのままバリアを切り裂いた。

 

「「えっ?」」

 

思わず声を漏らすパープルハートとグリーンハート。

自分達の必殺技で少ししか突破できなかったバリアを楽々と切り裂いたからだ。

 

「あ、そっか! 白式の『零落白夜』はシールドバリアを無効化出来るんだった!」

 

ヒスイが思い出したように手を打つ。

 

「そっか…………! だけど……………」

 

ネプギアはシールドバリアを破った理由を知って納得するが、その先の結果に目をやる。

 

「ぐ、ぐぐ……………!」

 

一夏は確かにシールドバリアを突破した。

だが、シュジンコウキの装甲に軽々と雪片の刃が止められていたのだ。

その理由は単純。

単に攻撃力が足りない。

それだけだった。

 

「危ない!」

 

パープルハートが飛び出し、一夏を突き飛ばす。

 

「なっ!? ネプテューヌさん!?」

 

声を漏らした瞬間、シュジンコウキの一撃がパープルハートを襲った。

 

「きゃぁああああああっ!?」

 

「ネプテューヌさん!?」

 

咄嗟に刀剣でガードしたものの、体勢が悪く、受け止め切れずに吹き飛ばされ、パープルハートは地面に叩きつけられる。

 

「ネプテューヌさん!」

 

一夏は慌ててパープルハートの傍に降り立ち、手を貸そうとする。

すると、パープルハートは刀剣を杖代わりに自分の力で立ち上がると、

 

「イチカ、怪我は無かった?」

 

「え………? は、はい………」

 

「そう、よかった………」

 

そう言って微笑むパープルハートの表情に一夏は目を奪われた。

だが、戦闘中にその隙は致命的。

一夏の背後にシュジンコウキが降り立ち、同時にブレードを振りかぶる。

 

「なっ…………!?」

 

呆けて動けない一夏と、

 

「ッ……………!」

 

彼を庇う為に咄嗟に前に出るパープルハート。

 

「お姉ちゃん!!」

 

ネプギアの悲鳴のような声が響く。

そしてブレードが振り下ろされようとした瞬間、

 

「ギガンティックブロウ!!」

 

地面伝いに奔ってきた炎の塊がシュジンコウキを襲った。

不意打ちを喰らい、思わず地面に倒れるシュジンコウキ。

更に、

 

「はぁああああああああっ!!」

 

追撃する様に飛び込んできた赤い影にシュジンコウキは地面に叩きつけられる。

だが、その攻撃はシールドバリアによってシュジンコウキには届いていない。

 

「これは…………!?」

 

その赤い影は何かに気付いたように呟くと飛び退いて、パープルハートの前に降り立つ。

その背を見た時、パープルハートの眼に思わず涙が溢れた。

 

「ッ……………! シオンッ!!」

 

万感の想いを込めてその名を呼ぶパープルハート。

 

「……………無事か? ネプテューヌ」

 

ネプテューヌの前に降り立った、紫苑が変身したバーニングナイトは首を僅かに回して視線をパープルハートに向け、それだけを言う。

しかし、パープルハートには分かっていた。

その言葉の中に、どれだけの彼の想いが込められているのかを。

 

「うん…………うんっ……………!」

 

涙を堪えて何度も頷くパープルハート。

 

「「お兄ちゃん!」」

 

バーニングナイトに気付いたネプギアとヒスイが嬉しそうに声を上げ、

 

「し、紫苑っ!?」

 

同じくバーニングナイトに気付き、一夏も声を上げる。

 

「…………………」

 

バーニングナイトは黙って一夏を一瞥した後、シュジンコウキに視線を向ける。

 

「奴はどういう訳かISのシールドバリアを持っている様だな………それもかなり強力な…………」

 

先程気付いた事を口にする紫苑。

 

「うん、その所為で攻撃が上手く通らないの。お姉ちゃんとベールさんの必殺技の同時攻撃でやっとダメージが入るぐらい」

 

傍に降り立ったネプギアが肯定する。

 

「なるほど……………力押しでも倒せないことは無いだろうが…………今回は手っ取り早い方法でいくか…………」

 

「えっ? 手っ取り早い方法?」

 

バーニングナイトはそう言葉にすると、再び一夏に視線を向けた。

 

「一夏」

 

「な、何だよ………?」

 

「お前の『零落白夜』が必要だ。力を貸してくれ」

 

一夏に向かってそう言う。

 

「ッ…………! 何だよ!? 以前は散々俺の力を馬鹿にしたくせに! 必要になったら手の平返しか!? 良い御身分だな! だったら頼み方ってものがあるんじゃないのか!?」

 

紫苑に反抗心を持つ一夏は思わずそう言ってしまう。

 

「イチカさん、今はそんな場合じゃ………それにお兄ちゃんは別に馬鹿にしたわけじゃ…………」

 

ネプギアが弁解しようとしたが、バーニングナイトの手によって遮られる。

すると、バーニングナイトは深く頭を下げ、

 

「頼む……………!」

 

その姿を見た一夏の心に沸き上がってきたのは愉悦などではなく、怒りに似た悔しさだった。

 

「何だよ………! お前のさっきの言い方なら俺の力が無くても倒せるんだろ!? 何でそこまでして……………!?」

 

一夏は別に力を貸さないつもりではなかった。

ただ、いつも苦渋をなめさせられている(と、思っている)紫苑に対し、ほんの僅かに仕返しとして困らせてやりたかっただけだ。

少し………ほんの少し判断に迷う彼の姿が見られれば、一夏は満足だった。

それを見ることが出来れば、一夏は普通に力を貸すつもりだった。

だが、彼は迷う姿など微塵も見せず、躊躇無く頭を下げる選択をした。

それが一夏にとって自分の目論見を完全に打ち砕かれた気がしたのだ。

 

「……………俺が考えているもう一つの手は、女神の力を持つ者全員による全力の波状攻撃。それだけの力を開放すれば、プラネテューヌに被害が及ばないとも限らない。それは、俺やネプテューヌの望むところではない。その可能性を潰せるなら、俺の頭などいくらでも下げよう」

 

「ッ!?」

 

「イチカ! 私からもお願い! 良く知らないけど、あなたの力があればあのバリアを破る事が出来るんでしょ!?」

 

一夏が絶句している間にパープルハートも頭を下げる。

一夏は、パープルハートにまで頭を下げさせてしまった事に慌てた。

 

「ネ、ネプテューヌさんまで頭を下げることなんてありませんよ! 貸します! 力を貸しますから頭を上げてください!!」

 

叫ぶようにそう言う一夏。

パープルハートは頭を上げると、

 

「ありがとう!」

 

笑顔でそう言った。

 

「ッ!?」

 

その笑顔に、ますます罪悪感に苛まれる一夏。

 

「ッ……………! それで紫苑っ! 俺はどうすればいいんだ!?」

 

一夏は自分の気持ちを誤魔化すようにやや投げやりにそう聞く。

すると、バーニングナイトは頭を上げ、

 

「お前はいつも通り真っすぐ突っ込んで相手のバリアを切り裂くだけでいい。ただ、相手に斬りつけるよりも、バリアを大きく斬るようにしてほしい」

 

「…………わかった」

 

大人しく了承する一夏。

 

「ネプテューヌ、止めは任せられるか?」

 

バーニングナイトがパープルハートに問いかけると、

 

「ええ、任せなさい!」

 

自信を持ってそう言う。

 

「俺達で一夏の道を作る! 一夏に攻撃させるな!」

 

「うん!」

 

その言葉にネプギアが頷きながら銃剣を構え、

 

「承りましたわ!」

 

グリーンハートが槍を数回回転させた後に構え、

 

「わかったよ!」

 

ヒスイが右手を握りしめる。

そして、

 

「一夏! 突っ込め!」

 

「うおおおおおおおおおおっ!!」

 

バーニングナイトの合図で一夏が瞬時加速(イグニッション・ブースト)で突撃する。

しかし、シュジンコウキもその一夏をしっかりととらえており、迎撃しようとブレードを振り上げた。

だが、

 

「やらせませんわ!」

 

グリーンハートの投擲した槍がその振り上げた腕を弾く。

 

「ええぇいっ!!」

 

ネプギアの放ったビームが更にそのブレードを弾き、

 

「「はぁあああああああああああああっ!!」」

 

シュジンコウキの後方からヒスイが右腕を、バーニングナイトがナックルグローブを装着した左腕を振りかぶって突撃してきた。

同時に繰り出した拳は、シュジンコウキの体勢を大きく前に崩した。

その瞬間、

 

「でぇえええええええええいっ!!」

 

一夏の渾身の一振りが大きくシールドバリアを切り裂いた。

その瞬間、

 

「決めろ! ネプテューヌ!!」

 

バーニングナイトの声を合図に、

 

「ネプテューンブレイクで決めるわ!」

 

パープルハートが力を開放する。

一夏が切り裂いたバリアの切り口に向かって飛翔し、通り抜けざまに切り裂く。

だが次の瞬間、超スピードによって別方向から再び斬りかかる。

それが繰り返され、まるで斬撃の牢獄に閉じ込められたかのようになるシュジンコウキ。

それによって一夏によって傷付けられたバリアの切り口が強引にこじ開けられていく。

 

「くらえ!」

 

渾身の斬撃がシュジンコウキ本体を捉え、大きな傷を付ける。

だが、致命傷には届かない。

シュジンコウキの背後に降り立ったパープルハートは、

 

「往生際が悪いわね」

 

その言葉と共に刀剣を軽く放り投げると、再びその刀剣を掴み取ると同時に振りかぶり、一気に飛翔する。

そのまま斬撃でシュジンコウキを空中に吹き飛ばし、更に上空に飛翔すると同時に斬撃を加える。

そのまま空高く見えなくなったかと思うと、次の瞬間には勢いよく急降下してきた。

 

「止めよ! 覚悟!!」

 

パープルハートの突き出した刀剣がシュジンコウキを貫き、そのまま大地に叩きつけ、衝撃が辺りを揺るがした。

その衝撃と共に消滅していくシュジンコウキ。

その光が消えた時、

 

「プラネテューヌの女神の力、見てくれたかしら?」

 

刀剣を肩に担ぎながら決めポーズをするようにそう言った。

それを見て、思わず拍手したくなるような気持ちになった一夏。

だが次の瞬間、

 

「ッ……………シオン!!」

 

弾かれたようにパープルハートが飛び出した。

その方向はバーニングナイトが空中に佇んでいる。

そしてそのまま、パープルハートはバーニングナイトの胸に飛び込んだ。

 

「シオンッ!!」

 

「ネプテューヌ………!」

 

バーニングナイトは勢いを逃がすように後ろに軽く後退しながらネプテューヌを受け止め、そのまま抱きしめる。

パープルハートはついに我慢できなくなり、その瞳から涙を流す。

 

「ネプテューヌ………心配かけて、すまなかった…………」

 

謝罪を口にするバーニングナイト。

しかし、パープルハートは彼の腕の中で首を振り、

 

「ううん……………おかえり、シオン」

 

しっかりと彼の目を見てそう言った。

 

「ああ………ただいま、ネプテューヌ…………」

 

同じようにネプテューヌの目を見ながら応えるバーニングナイト。

そのまま見つめ合う2人。

最早2人にはお互いの事しか見えてなかった。

そのまま口付けを躱しそうな雰囲気になる2人だったが、

 

「シオンく~ん!」

 

突如彼の左腕が引っ張られ、体勢を崩す。

 

「うおっ!?」

 

見れば、バーニングナイトの左腕にアイリスハートが抱き着いていた。

 

「プ、プルルート!?」

 

「ぷるるん!?」

 

突然現れたアイリスハートに驚きの声を漏らす2人。

 

「シオンく~ん、会いたかったわぁ~!」

 

そう言いながらぐいぐいと左腕を引っ張るアイリスハート。

すると、

 

「ちょっとぷるるん!? 今いい雰囲気だったじゃない! 邪魔しないでよ!」

 

パープルハートがバーニングナイトの右腕を掴んで再び自分の方に引き寄せる。

 

「あらぁ~? ねぷちゃんひさしぶり~!」

 

そう言いながらアイリスハートも負けじと左腕をグイッと引っ張る。

 

「邪魔しないでってば!」

 

また引っ張るパープルハート。

 

「いいじゃな~い。アタシもシオン君のお嫁さんになった訳だし~?」

 

そう言いながら再び引っ張るアイリスハート。

 

「確かに許したけど、今は私に譲りなさい! こっちは半年ぶりなのよ!」

 

さらに引っ張るパープルハート。

 

「そうかもしれないけど~……………!」

 

「ぷるるんは今まで一緒だったんでしょ……………!」

 

「…………………!」

 

「…………………!」

 

バーニングナイトを挟んで言いあう2人。

バーニングナイトはやれやれと思いつつも、これでこそネプテューヌ達だと逆に安心していた。

 

「何やってんだコイツら?」

 

アイリスハートと一緒にやってきていたブランがこの光景を見て声を漏らしていた。

 

 

 

 

 

 

そんな中、

 

「やっぱりあった!」

 

シュジンコウキが倒された場所で、ネプギアがとある球体を見つけていた。

 

 

 

 

そして、

 

「………………………!」

 

その光景を見て、悔しそうに歯を食い縛りながら拳を握りしめる男が1人。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 








第46話です。
やっとこさ紫苑とネプテューヌの再会。
ついでにアイリスハートも乱入。
何故かパワーアップしたシュジンコウキが現れて、主人公(笑)の一夏君も今回は多少活躍できたかな?
しかしその後絶望のどん底へ?
紫苑とネプテューヌのイチャラブ開始。
さて、次回はどうなる?
ネタが思いつかないので今回もNGシーンはお休み(泣)。


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