超次元インフィニット ネプテューヌ・ストラトス   作:友(ユウ)

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第49話 襲来の魔女(マジェコンヌ)

 

 

 

 

とある薄暗い研究所らしき部屋の中。

 

「ククク…………さて、こんなものか……………気分は如何だ?」

 

マジェコンヌが薄ら笑いを浮かべながら目の前の3人に問いかける。

 

「ああ! 最高だぜ………! まさかここまでパワーアップするなんてよぉ!」

 

そう言いながら獰猛な笑みを浮かべるのはIS『アラクネ』を纏ったオータム。

 

「………………これだけの力があれば…………!」

 

自分の手を見つめ、何かを決意するような呟きと共に握りしめるのは、近接特化に改造した『サイレント・ゼフィルス』を纏うエム。

 

「素晴らしいわ…………!」

 

掛け値なしにそう評価するスコール。

 

「フフフ…………この私がゲイムギョウ界の設備と技術を使って手掛けたのだ。この位は当然だ。アーッハッハッハッハッハ!」

 

3人の言葉に調子に乗って高笑いするマジェコンヌ。

 

「けどよぉ、お前がISのコアを埋め込んだあのでけぇロボットだけど、ほっといて良かったのか?」

 

オータムがマジェコンヌにそう問いかける。

 

「あぁ、別に構わんさ。あれはただの実験に過ぎん。接触禁止種とはいえ、下位に属するモンスター……………放っておいても勝手に女神共が始末するさ」

 

そう言いながら不敵な笑みを浮かべるマジェコンヌの背後には、今までに奪ったISのコアがズラリと並んでいた。

 

 

 

 

 

 

―――朝。

紫苑はベッドで目を覚ました。

 

「……………よっ………と…………」

 

紫苑は上半身を起こして軽く伸びをすると、ふと左脇に目をやる。

そこには、

 

「むにゃむにゃ…………んんっ…………シオ~ン…………」

 

幸せそうな寝顔でそんな寝言を呟くネプテューヌ。

 

「フッ…………」

 

そんなネプテューヌを見て小さく微笑む紫苑。

そっと頭を撫でると、ネプテューヌは再び気持ちよさそうに寝息を立てていた。

すると、

 

「んんっ………えへへ~…………シオンく~ん…………」

 

反対側からそんな声が聞こえる。

紫苑が反対側に目をやると、そこにはネプテューヌと同じように気持ちよさそうに眠るプルルートと、

 

「ねぷてぬ~…………ぱぱ~…………ぷるると~…………」

 

紫苑とプルルートの間で挟まれるように寝ているピーシェ。

それを見て再び微笑む紫苑。

紫苑にとって、久しぶりの幸せいっぱいの朝だった。

 

 

 

「…………というわけでシオン、デート行こっ!」

 

朝食後にネプテューヌが唐突に切り出した。

 

「…………何がという訳なんだ?」

 

紫苑は思わず聞き返す。

 

「ぶ~! やっと半年ぶりに会えたんだよ! 今までほったらかしにしていた可愛い奥さんをデートに連れて行くのが当然でしょ!?」

 

その言葉を聞いて、先日アイエフに言われたことを思い出す紫苑。

 

「………まあ、話は分かったが…………」

 

そう呟きつつイストワールに視線を送る。

いつものパターンだとここでイストワールに仕事しろと怒られるのが日常なのだが…………

イストワールは食後のお茶を飲んでいて、ティーカップを皿の上に戻すと、

 

「よろしいのではないでしょうか?」

 

と、紫苑の予想とは正反対の事を言った。

 

「いいのか?」

 

思わず聞き返す紫苑。

 

「はい。急ぎの書類は昨日までにシオンさんが終わらせてくれましたからね。今日1日位は休んでもらって構いません」

 

それを聞いたネプテューヌは、

 

「よーし、決まり! じゃあシオン! 早く行こうよ!」

 

紫苑の腕をグイグイと引っ張って紫苑を促す。

 

「分かったから、そんなに引っ張るなって…………」

 

紫苑は苦笑しながらもネプテューヌに続く。

 

「いってらっしゃ~い!」

 

そんな2人をプルルートはのほほんと見送った。

 

 

 

 

 

 

プラネテューヌの街に出る紫苑とネプテューヌ。

2人が最初に行くところといえば、

 

「もちろんゲーセンだよ!」

 

「まあ、いつも通りだな」

 

といいながら2人揃ってゲームセンターの入り口を潜る。

そして、

 

「とりゃーーー! ここで超必殺………!」

 

「甘い」

 

「ねぷっ!? 弱パンチで打ち落とされた!?」

 

「ここっ!」

 

「おおっと! 危ない危ない………!」

 

「これでっ!」

 

「ねぷぅぅぅぅぅぅぅぅっ!?」

 

等々、楽しそうな声が聞こえていた。

暫くすると、

 

「いや~、楽しかった~!」

 

満足そうな笑みを浮かべたネプテューヌが紫苑と一緒にゲームセンターから出てきた。

 

「ねーシオン! 次は…………!」

 

そう言いながら楽しそうに歩く2人をコソコソと追う影が1つ。

 

「くそっ………! 紫苑の奴、ネプテューヌさんと楽しそうに…………!」

 

そう悪態を吐くのは一夏であった。

因みに紫苑は尾行されていることには気付いているが、一夏に構う事よりもネプテューヌとの時間の方が大事なので無視している。

因みにその一夏も、

 

「一夏さん………! このわたくしを放っておいて何をしてますの………!?」

 

「そうよ………! せっかくこんな珍しい所に来たんだからこの私を誘うのが当然ってもんでしょ!?」

 

セシリアと鈴音に尾行されていた。

因みに他国の女神と女神候補生(翡翠含む)は昨日の内にそれぞれの国へ戻っているが、一緒に来た専用機持ち達の生徒はプラネテューヌに残っている。

そのまま尾行を続けていると、時折紫苑とネプテューヌに声を掛ける国民達がいるが、その誰もが2人が揃っている所を見て嬉しそうにしていたり、安心するような表情をしていた。

 

「…………なんで………なんで紫苑ばっかり…………俺とアイツの、一体何が違うって言うんだ………!」

 

それを見ていた一夏の心に沸き上がった感情に、一夏自身は気付いていない。

すると、その2人の前に、刀奈、簪、ラウラ、シャルロット、箒の5人が偶然にも現れた。

 

「あっ、やっほー! 紫苑さん、ネプちゃん!」

 

刀奈が我先にと声を掛ける。

 

「楯無…………いや、もう刀奈でいいんだったな」

 

「うん! 2人はデート?」

 

「そうだよ!」

 

刀奈の言葉にネプテューヌは笑顔で答える。

 

「お前達は観光か?」

 

「ああ。しかし、まだ少ししか見て回ってはいないが、ここの技術水準は素晴らしいな!」

 

ラウラが称賛する様にそう言う。

 

「うん。地球では、ISを始めとしたごく一部の施設にしか使われていない投影ディスプレイなんかがここではごく一般的に使われてるし、売られている商品も地球の最新技術が時代遅れ扱いだし………」

 

「ふふーん! すごいでしょ? これが私の国なんだよ!」

 

ネプテューヌは胸を張ってドヤ顔を決めて見せる。

 

「まあ、この国の技術レベルが高いのは先代までの女神が、先進的な思想を持つ人が多かったって言うのが理由なんだがな………」

 

紫苑は若干呆れるようにそう言う。

 

「でも、今この国を治めているのはネプテューヌ様なんだよね? だったら凄いのはネプテューヌ様だと思うけどな」

 

シャルロットがそう言う。

 

「流石しゃるるん! わかってるぅ!」

 

シャルロットの言葉にネプテューヌが嬉しそうに便乗する。

 

「しゃるるん!? それ私の事!?」

 

突然言われた愛称にシャルロットが驚く。

 

「そだよ。可愛いでしょ?」

 

シャルロットの言葉に笑顔で応えるネプテューヌ。

 

「そ、そんな呼ばれ方をしたのは初めてだよ………」

 

今までにない呼ばれ方をして驚いたが、シャルロットは悪い気はしてないかった。

すると、

 

「………皆、これ以上月影さんとネプテューヌ様の邪魔をするのも無粋であろう。この辺りで………」

 

今まで黙っていた箒が気を利かせてそう言うが、

 

「も~、そんなに気にしなくてもいいのに! それからホウキちゃんとしゃるるんもそんな様付けなんてしなくてもいいよ! 呼び捨てでも、ネプ子でも、ねぷねぷでも、カタナちゃんみたいにネプちゃんでもオッケー!」

 

片目を瞑り、サムズアップした右手を前に突き出しながらそう言うネプテューヌ。

 

「いえ………流石にそう言う訳には…………」

 

ホウキがそう言おうとするが、

 

「私がいいって言ってるんだから良いの!」

 

ネプテューヌの言葉がそれを許さない。

 

「俺からも頼む。できればネプテューヌとは普通に接してほしい」

 

傍らにいた紫苑もそう言った。

 

「そこまで言うなら……………えっと、ネプテューヌ。これでいい?」

 

シャルロットが言葉使いを改めると、

 

「む、むう…………そ、それならばネプテューヌさんで………」

 

箒もやや固いがある程度口調を崩す。

 

「うん! よろしくね!」

 

それを聞いて、ネプテューヌは嬉しそうに笑った。

 

 

 

それを離れた所から見ていた一夏の表情には苛立ちが伺えた。

一夏の…………というより、日本人の常識では1人の男性が妻を娶れるのは1人だけ。

離婚、再婚云々の例外はあるだろうが、男性は1人の女性を愛し、守るものだと一夏は考えている。

だが、いくら郷に入っては郷に従えとは言うものの、日本人である紫苑が複数の女性と関係を持っているのは不純だ。

と、一夏は考えていた。

しかし、それでもその彼女達は笑い合っている。

 

「何でそうやって笑えるんだ………!? 複数の女の人と付き合うなんて、不純じゃないか………!」

 

一夏はギリギリと拳を握りしめる。

そうは言うものの、その苛立ちが別の感情から来ていることに一夏自身気付いてはいないのだが。

暫く話し合っていた紫苑達は、そのまま別れようとしていた。

その時、ドゴォォォンと街の一角で爆発が起こった。

 

「な、何だ!?」

 

一夏は思わず叫んで飛び出す。

すると、

 

『出てこいプラネテューヌの女神よ! このマジェコンヌ様が直々に相手をしてやろう!』

 

空中でそう叫ぶ変身したマジェコンヌ。

 

『どうした? 出て来なければ貴様の国の国民がどうなっても知らんぞ?』

 

そう言うマジェコンヌ。

その時、

 

「待ちなさい!」

 

マジェコンヌの前に変身したネプテューヌ、パープルハートが立ちはだかった。

 

「パープルハート様!」

 

「女神様!」

 

国民が即座に駆け付けたパープルハートに歓声を送る。

 

「フン! よくもまあノコノコと出てきたものだな!」

 

「またあなたなの!? 懲りない人ね!」

 

余裕の笑みを浮かべるマジェコンヌに対し、やや呆れの表情を見せるパープルハート。

 

「フン! そんな事を言っていられるのもこれまでだ! 今日が貴様の命日となる!」

 

「その台詞、いい加減聞き飽きたわよ!」

 

刀剣を構えるパープルハート。

すると、

 

「フフフ………」

 

マジェコンヌは薄く笑みを浮かべた。

パープルハートはその笑みに一瞬訝しんだが、

 

「……………ッ!?」

 

背後に悪寒を感じ、咄嗟に刀剣を振った。

それと同時にビームがパープルハートを襲うがそれは刀剣に弾かれる。

 

「何!?」

 

パープルハートは後方にも注意を払っていると、

 

「チッ、防ぎやがった」

 

アラクネを纏ったオータムが舌打ちをしながら現れる。

 

「何者なの!?」

 

「ハッ! 亡国機業(ファントム・タスク)のオータム様さ! つっても、テメーにはわかんねえだろうけどな!」

 

亡国機業(ファントム・タスク)…………」

 

聞き覚えのあるその言葉にパープルハートは声を漏らす。

 

「ボーっとしてる暇はねえぜ!」

 

「ッ!?」

 

オータムの言葉と共に、上空から接近する気配に気付く。

 

「くっ!?」

 

パープルハートが頭上で刀剣を横に構えると、ガキィィィィィンと甲高い音が響き、大型の剣を受け止めていた。

その剣を振るっているのは改造されたサイレント・ゼフィルスを纏ったエムだ。

すると、その後方でゴールデン・ドーンを纏ったスコールが巨大な火球を生み出していた。

それをパープルハートに向けて放つスコール。

 

「なっ!?」

 

驚愕の声を漏らすパープルハート。

それと同時にエムは離脱する。

 

「避けてもいいぞ? お前の後ろが吹っ飛ぶがな。ハハハハハハハ!」

 

高笑いと共にそう言うマジェコンヌ。

マジェコンヌの言う通り、パープルハートの背後にはまだ多くの国民が残されている。

避ける訳にはいかなかったパープルハートはそのまま爆発に呑み込まれた。

 

「おおっ! スゲー威力じゃねえかスコール!」

 

その爆発の威力に称賛の声を送るオータム。

 

「当たり前だ! この私が手掛けたのだからな! だが油断するな。多少のダメージは負ったとは思うが、この程度で女神が倒せるとは思わない事だ」

 

「チッ! うっせーんだよ!」

 

マジェコンヌに対し、オータムは舌打ちをするが、言われた通り油断なく前を見据える。

すると爆煙が晴れていき、

 

「「「「なっ!?」」」」

 

マジェコンヌ達は同時に声を漏らした。

何故なら、

 

「やはりお前達か……………」

 

パープルハートの前にシールドで彼女を護ったバーニングナイトの姿があったからだ。

 

「馬鹿な!? 何故貴様がここにいる!? 貴様は向こうの世界に置き去りにしたはずだ!!」

 

マジェコンヌが驚愕の声を上げる。

 

「さあな。だが、俺はここにいる。それが事実だ」

 

バーニングナイトは淡々とそう言う。

 

「ぐ…………」

 

マジェコンヌは一瞬悔しそうな顔をしたが、

 

「うぉおおおおおおおおっ!!」

 

突然一夏が白式を纏ってオータムに斬りかかった。

オータムは装甲脚で一夏の一撃を受け止める。

 

「ハッ! 何だ、お前も居たのかガキぃ!」

 

オータムは獰猛な笑みを浮かべながらそう言う。

 

「煩い! お前ぐらい俺が倒してやる!」

 

「ハハッ! 寝言は寝て言え! 前に私に手も足も出せずに負けたことを忘れたのかぁ?」

 

オータムはそう言いながら一夏を弾き返す。

 

「今度は負けない!」

 

一夏はそう叫びながら再び斬りかかろうとする。

 

「残念だがそれは無理だな! 何故ならぁっ!」

 

オータムはそう叫びながら装甲脚の一本で一夏の雪片を弾く。

一夏の攻撃は軽々と上に跳ね上げられた。

 

「なっ!?」

 

一夏が驚愕した瞬間、残りの装甲脚が次々と一夏に叩き込まれる。

 

「ぐはっ!?」

 

「私達のISはあの時よりも遥かにパワーアップしているからさ!」

 

オマケとばかりにオータムは蹴りを一夏に叩き込み、吹き飛ばした。

吹き飛ばされていく一夏だが、突然何かに掴まれ、止められる。

それは、

 

「し、紫苑………!」

 

バーニングナイトだった。

 

「一夏、お前は下がれ」

 

そう言うバーニングナイト。

 

「何を…………!」

 

一夏は意地になってバーニングナイトから離れるが、

 

「奴の言っていることは本当だ。奴のISは、通常のISでは歯が立たないほどに強化されている」

 

バーニングナイトは口での説明で一夏に納得してもらおうとしていたが、

 

「いくら強化されてても、俺の『零落白夜』なら………!」

 

一夏はそう言いながら単一能力(ワンオフアビリティ)を発動させ、再びオータムに斬りかかる。

 

「ハッ! いつまでもその能力が通用すると思ったら大間違いだ!」

 

オータムは余裕の表情でそう言うと、その一撃を腕の装甲で受け止める。

 

「なっ!?」

 

マジェコンヌ相手ならともかく、IS相手にあっさりと『零落白夜』の一撃が止められたことに驚愕する一夏。

 

「ど、どうして………!?」

 

「分かり易く言えば、テメーのその剣の攻撃力が低すぎるんだよ!」

 

「な、何だと!?」

 

「テメーのその剣はシールドバリアを無効化し、絶対防御を発動させることでシールドエネルギーに大ダメージを与えるものだ。けどな、いくらシールドバリアを突破できたとしても、装甲を破れないなら絶対防御は発動しねえ」

 

「なっ!?」

 

「もっと簡単に言えば、テメーの剣は既に鈍らなんだよ!」

 

オータムはそう言うと装甲脚の先にビームソードを発生させ振り下ろした。

その一撃は、白式の大型ウイングをあっさりと溶断してみせた。

 

「うわぁあああああっ!」

 

墜落する一夏。

 

「シオン、助けなくて良かったの?」

 

パープルハートがそう聞くと、

 

「一夏はどうにも俺に対抗心を持っているみたいでな………俺が止めようとすると逆効果になる…………それなら多少ダメージを受けてでも退場してもらった方が危険は少ない」

 

「難しい年頃なのね」

 

「最近はそれだけじゃなさそうだがな…………」

 

バーニングナイトはポツリと呟きながらパープルハートに目をやる。

 

「どうしたの?」

 

その視線に気付いたパープルハートがそう聞くが、

 

「いや…………それよりも、やるぞ!」

 

「ええ!」

 

2人はマジェコンヌ達に向き直ると武器を構える。

だが、マジェコンヌは何か考えるような仕草をしながら一夏の方を見ていた。

 

「ふむ…………」

 

しかし、亡国機業(ファントム・タスク)の3人が油断なく2人を見ている。

 

「……………いくらISが強化されたとはいえ、あの2人をまともに相手するのは得策じゃないわね」

 

スコールがそう言うと、

 

「…………だが、やりようはいくらでもある」

 

エムは呟くとその手にライフルを展開する。

そして次の瞬間、そのライフルを眼下のプラネテューヌの街へと向けた。

 

「「なっ!?」」

 

2人が驚愕すると同時に引き金を引くエム。

銃口からビームが放たれ、ビルの屋上付近に着弾。

爆発と共に無数の瓦礫が辺りに撒き散らされた。

瓦礫の落下地点には、まだ多くの国民が取り残されている。

 

「くっ!」

 

バーニングナイトとパープルハートは咄嗟に急降下し、大きな瓦礫を砕いていく。

 

「隙だらけだぜ!」

 

オータムは装甲脚からビームを一斉発射する。

 

「くっ!」

 

避ける訳にはいかないバーニングナイトその攻撃をまともに受けた。

 

「ほらほら! 止まっている暇はないぜ!」

 

オータムは装甲脚の数本を別々の方向に向けると、一斉にビームを放つ。

そのビームは先程と同じようにビルを破壊し、瓦礫の雨を降らせる。

 

「させるか!」

 

バーニングナイトはその落下地点に先回りすると、

 

「エクステンドエッジ!!」

 

大剣に変形させた武器を振るい、炎の衝撃波で瓦礫を全て吹き飛ばした。

 

「次ぃ!」

 

調子に乗ったオータムは再びビルを破壊する。

 

「このっ! いい加減に………!」

 

手段を選ばない亡国機業(ファントム・タスク)の3人に、パープルハートも悪態を吐く。

オータムがビルを破壊し、国民を庇う為に動けないパープルハートとバーニングナイトをエムとスコールが攻撃していく。

そして遂に2人の手が回らなくなった時、降り注ぐ瓦礫が国民達を襲おうとしていた。

 

「くそっ! 間に合わない!」

 

バーニングナイトは被害を減らすために武器をライフルモードへと変更し、大きな瓦礫を撃ち抜いて砕いてはいるが、小さな破片でも生身の人間には致命的だ。

そしてその瓦礫が国民達に降り注ごうとした時、

 

「こちらは任せろ! 紫苑!!」

 

頼もしい声が聞こえた。

国民達に降り注ごうとしていた瓦礫は、空中に浮いて止まっている。

それは、シュヴァルツェア・レーゲンを纏ったラウラのAICと、

 

「なんちゃってAIC!」

 

ミステリアス・レイディを纏った刀奈のアクア・ナノマシンによるものだった。

 

「ラウラ! 刀奈!」

 

また別の場所で瓦礫が国民達に降り注いでいたが、

 

「ターゲットマルチロック………! 発射!」

 

簪の冷凍ホーミングレーザーが完全に凍結させ、粉々に砕いていた。

 

「簪も!」

 

更に

シャルロットと箒、セシリアと鈴音も救助活動を行っている。

 

「月影君! ネプテューヌ! こっちは任せて!」

 

「こちらは気にせずにあいつを!」

 

「助かる!」

 

シャルロットと箒の言葉にバーニングナイトは感謝の意を示し、パープルハートと共に亡国機業(ファントム・タスク)の3人に向き直る。

 

「よくも好き勝手暴れてくれたわね………覚悟は良い!?」

 

刀剣を構えるパープルハート。

 

「…………………」

 

バーニングナイトも無言で剣を構える。

その時、

 

「時間切れか…………引くぞ」

 

突然マジェコンヌがそう言った。

 

「何でだよ!?」

 

オータムが思わず文句を言うが。

 

「あれを見ろ」

 

マジェコンヌが指し示す方向から、アイリスハートと変身したネプギアがこちらに向かってきていた。

 

「流石に女神クラス4人相手では分が悪い」

 

「けど………!」

 

「ククク………案ずるな。少々いい事を思いついた」

 

マジェコンヌは不敵な笑みを浮かべながら眼下に倒れている一夏に目を向ける。

そうして一夏を一瞥した後、マジェコンヌはバーニングナイト達に背を向け、飛び去る。

亡国機業(ファントム・タスク)の3人は少し納得がいかないようだったが同じように飛び去った。

 

「………………マジェコンヌ………厄介な事にならなければいいが…………」

 

飛び去った咆哮を見ながら、バーニングナイトはそう呟いた。

 

 

 

 

 

 

「くそっ!!」

 

一夏は拳で地面を殴りつける。

 

「また何もできなかった………!」

 

一夏は悔しそうに震える。

 

「くそっ! くそっ! 俺にも力があれば…………!」

 

何度も地面を殴りつけそう零す一夏。

 

「………そうだ! 俺にも『力』があれば紫苑なんかに負けないのに…………! 『力』さえあれば…………!」

 

それは、とても危うい『力』への渇望だった。

 

 

 

 

 

 

 






あけましておめでとうございます。
遅れましたが第49話です。
さて、今回は久々登場のマジェさんです。
あんまり何かした感じはありませんがね。
まあ、今回はあるネタへの伏線みたいなもんです。
次は何と一夏が……………
さて、次も頑張ります。
あと、今回もNGシーンはお休みです。
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