超次元インフィニット ネプテューヌ・ストラトス 作:友(ユウ)
一夏との戦いから数日後。
イストワールから千冬と真耶に重大な事が発表された。
「えっ!? 元の世界に戻る方法が分かったんですか!?」
真耶が驚きながら声を上げる。
「はい。皆様がこちらの世界に来た時のエネルギー反応をより詳しく調べた所、以前行ったことのある次元転送技術を応用すれば、皆様を元の世界に送り届けられることが分かりました」
「そうですか! それで、いつ帰れるのですか!?」
真耶は嬉しさを隠しきれずにそう捲し立てる。
「はい。次元座標の特定と調整…………そして、次元の状況からしておそらく3日後になるかと………」
イストワールがそう説明すると、
「そうですか………でも、3日後には帰れるんですよね!?」
「ええ、それはお約束します」
イストワールの言葉に笑みを零す真耶だったが、先ほどから複雑な表情をしながら一言も口にしない千冬に気付いた。
「……………………あっ!」
一瞬、真耶は何故かと思ったが、すぐに一夏の事だと思い当たった。
「ご、ごめんなさい織斑先生! 織斑君の事を考えずに舞い上がってしまって……………!」
真耶はそう謝罪するが、
「いや、やっと帰れる目処が立ったのだ。喜ぶのは当然だ」
「で、でも織斑君がいないのに……………」
真耶がそう言いかけた時、千冬はイストワールの方を向き、
「イストワール殿、3日後を逃した場合、次に地球へ帰れるのはいつごろになるだろうか?」
千冬がそう言うと、イストワールは困った顔をして、
「次元を超えて世界同士をつなぐという事は、皆様が思っている以上に次元空間に影響を与えます。ただでさえここ半年で何度も次元の穴が繋がってしまっていたので、次元が非常に不安定になってしまっているのです。あ、その原因として、こちらの世界の遺跡にあった転移装置の暴走がそれだと判明したので、その対策はすでにできています。そして、3日後を逃すと暫く次元が安定するまで時間を置く必要があります」
「……………それで、いつになるのですか?」
「……………最低でも3年後です」
「「ッ!!」」
その言葉に息を呑む2人。
それから千冬が重々しく口を開いた。
「………………山田先生。この3日間で一夏を確保できなかった場合、君は生徒や他の教員たちと共に地球に帰還しろ」
「そんな! 織斑先生!?」
千冬の言葉に真耶は声を上げるが、
「一夏1人の為に生徒全員を巻き込むわけにはいかない。そして、私は一夏の姉だ。あいつは私が連れて帰る」
千冬は覚悟を決めた表情でそう口にする。
「織斑先生……………」
真耶が何とも言えない表情をしていると、
「イストワール殿。他国にいるIS学園の生徒達をこの国に集めていただけますか?」
「はい。それは直ちに…………」
千冬の言葉にイストワールは頷いた。
それから2日後。
IS学園の生徒達はそれぞれの国の女神と女神候補生達に護衛されながらプラネテューヌに辿り着いていた。
今まで会えなかった友達との再会に、それぞれの生徒達は喜び合っている。
その夜。
「………………………」
紫苑はプラネタワーの展望テラスで夜空を眺めていた。
すると、
「シオン? どうしたの?」
後ろからネプテューヌがやってきて声を掛けた。
ネプテューヌはそのまま紫苑の横に並ぶ。
紫苑は顔を戻して前を真っすぐに向くと、
「………一夏の事を………考えていた」
そう呟いた。
「イチカの?」
「ああ。一夏がマジェコンヌの元に行ってしまったのは、やっぱり俺の所為だったんだろうなと思ってな…………」
紫苑はやや後悔するような口調でそう言う。
「俺が一夏の行動を尽く否定したから…………一夏ならこの位の逆境なら耐えられると思い込んでいたから…………一夏は間違った方向へ行ってしまった…………」
「でも、それはシオンが良かれと思ってやったことなんでしょ?」
「確かにそうなんだが…………もう少し他にやりようがあったんじゃないかと今更ながらに思ってさ……………」
紫苑がそう言うと、
「でも、それは仕方のない事だと思うわよ?」
ネプテューヌとは別の女性の声が響いた。
紫苑とネプテューヌがそちらに振り向くと、刀奈を先頭に、プルルート、簪、ラウラが歩み寄ってきた。
「刀奈…………?」
「自分と他人じゃ考えが違うのは当たり前。紫苑さんにとっての正義が一夏君にとっては悪だった。その逆もまた然り…………」
「確かにそうかもしれないが……………」
「…………少なくとも、私にとっては織斑君よりも紫苑さんの考えに共感できることは確か」
紫苑の言葉に被せる様に簪がそう言う。
「簪…………」
「その通りだ。私に真の『強さ』を教えてくれたのはお前だ。そして私は、その『強さ』が間違っていたとは思っていない!」
続けてラウラが力強く言い放つ。
「ラウラ……………」
「大丈夫だよ~、シオン君~。シオン君が~、シオン君である限り~、あたしは~、シオン君の味方だから~」
相変わらずほんわかした雰囲気のプルルート。
「プルルート………」
皆の言葉に思わず笑みが零れる紫苑。
「も~! せっかく私が元気づけてあげようとしてたのに~! 私の役目を取らないでよ~!!」
ネプテューヌが駄々を捏ねるように叫んだ。
そんなネプテューヌを見て紫苑は微笑みながらネプテューヌを後ろから抱きしめると、
「お前は傍に居てくれるだけで十分だ…………お前が傍に居てくれるだけで、お前は俺に元気をくれる………」
耳元でそう囁く紫苑。
その行動で頬を赤らめるネプテューヌ。
「シオン…………」
自分を抱きしめるその手に自分の手を重ねるネプテューヌ。
その温もりに浸っていると、
「目の前で堂々とイチャラブ見せつけないでください! って言うか、そろそろ私達にも構ってくださいよ~!」
そう叫ぶ刀奈。
「ちょっとぐらい良いじゃん! 今までずっと会えなかったんだしさ!」
ネプテューヌはそう言うが、
「ネプちゃんはもう一週間以上独り占めしてるでしょ!? そろそろ私達にも譲ってよ! っていうか譲りなさい!」
刀奈の言葉に紫苑もそれもそうかと思い直す。
「確かに最近はネプテューヌにかかりっきりだったからな………これ以上は不公平か………」
「む~~~………しょうがないけど仕方ないな~~。じゃあ、これからは皆を平等に扱ってね!」
ネプテューヌはやや不満顔だが、それでもコロッと表情を変えて皆を受け入れた。
それを聞くと、
「やった! じゃあ早速!」
そう言いながら刀奈が紫苑の腕に抱き着く。
「うおっ!?」
「むっ! 抜け駆けとは卑怯だぞ!」
ラウラがそう言いながら反対の腕に抱き着く。
「あたしも~!」
プルルートもその流れに乗って紫苑の背中に抱き着き、
「え? あ………わ、私は…………」
簪は恥ずかしさからか遠慮気味だったのだが、
「ほ~ら~! カンザシちゃんも抱き着いちゃえ!」
ネプテューヌが簪の手を引っ張ると、そのまま紫苑に正面から抱き着かせた。
「あ………あう~…………」
プシューと顔から湯気が出そうなほど顔を赤くする簪。
そんな中、紫苑は苦笑しながらも、穏やかな笑みを浮かべていた。
「あれ? どうしたのシオン?」
そう尋ねるネプテューヌ。
すると、
「いや…………俺は幸せ者だと思ってな」
思わず本音を漏らす紫苑。
それを聞くと、皆は嬉しそうな顔をする。
「それは私達もだよ! シオン!」
ネプテューヌが5人の心情を代弁するかのように満面の笑顔でそう言いながら抱き着いた。
そんな紫苑達を遠目に見ている影が複数。
「何やってるのよ? ネプテューヌ達は?」
呆れた様にノワールが呟く。
「あはは…………」
苦笑しているユニ。
「シオン。一途かと思ったけど、意外とハーレム野郎だったのね」
無表情で感想を漏らすブラン。
「皆、仲いいんだね!」
「皆仲良し………」
単純に仲が良いと思っているラムとロム。
「ヒスイちゃん、よしよし」
「あの、ベール姉さん………前が見えません」
紫苑達をそっちのけで翡翠をその胸に抱きしめながら頭を撫でているベール。
強いて言うなら、いつも通りの夜だった。
第53話です。
短い…………
ふう、Bルートもネタが無くなってきた。
なので、もうすぐBルートも終わります。
最後は一体どうなるのか?
はてさて…………
今週のNGシーンと変身はお休みです。