超次元インフィニット ネプテューヌ・ストラトス 作:友(ユウ)
一夏が鈴音に特訓を頼まれた日の放課後。
アリーナの1つに一夏と鈴音の姿があった。
しかし、そこにいるのは2人だけではなく、
「……………なーんでアンタ達もいるのよ!」
鈴音が思わず叫ぶ。
鈴音の視線の先には、それぞれの専用機を纏う紫苑、翡翠、セシリア、マドカ。
そして打鉄を纏う箒がそこにいた。
すると、
「俺は一夏に特訓の手伝いを頼まれた」
「私もだ」
「私はお兄ちゃんのオマケだよ」
紫苑とマドカ、翡翠がそう言う。
「わ、わたくしはこれを期に、是非一夏さんのご教授を賜りたくて………」
「わ、私も似たようなモノだ。IS学園に在籍する以上、ISの訓練も必要だからな、うん」
セシリアと箒は言い訳がましくそう言った。
「まあいいさ。特訓に参加したいって言うのなら断る理由も無いしな」
「そりゃそうだけど…………」
一夏がそう言うと鈴音は不満顔になる。
一夏と2人きりで特訓できると思っていたのにいつの間にか大所帯だ。
それも仕方ないだろう。
すると、
「それじゃあ、まずはそれぞれの実力を把握しなきゃな。1人ずつ模擬戦しよう! 最初は鈴からだ!」
一夏がそう言うと鈴音は気を取り直し、
「望むところよ! アタシとこの
鈴音がそう言うと、2人はアリーナの中央辺りまで移動し、向かい合う。
鈴音が2本の青龍刀を両手に持つのに対し、一夏は巨大な戦斧を肩に担いだ。
「それがアンタの武器? 物々しい得物ね」
鈴音が存在う言うと、
「俺には刀や長剣のような『技』が必要な武器より、一撃必殺の威力を持つこう言った武器の方が性に合ってたみたいでな………」
一夏はニヤリと笑いながらそう言う。
すると、紫苑が合図の為に右手を挙げ、
「始め!」
振り下ろすと同時に2人は突撃した。
「「はぁああああああああああああっ!!」」
鈴音は左手の青龍刀を振り被りながら、一夏は戦斧を両手で振りかぶりながら互いへ迫る。
鈴音は振り下ろされる一夏の戦斧を左の青龍刀で打ち払おうとした。
だが、戦斧と青龍刀が触れ合った瞬間、鈴音はそれが愚策であったと直感した。
「っあ!?」
打ち払おうとした青龍刀は、打ち払うどころかまるで分厚い壁に叩きつけたかのように跳ね返され、戦斧は止まるどころか全く減速せずにそのまま振るわれた。
「きゃぁあああああああああああああああああっ!?」
戦斧の直撃を受けた鈴音は吹き飛ばされ、そのまま地面に叩きつけられる。
「ッ…………! なんて………威力…………!」
鈴音は余りの威力に戦きながらも、何とか起き上がろうとしている。
そこに一夏が追撃をかけてくる。
「おおおおおおおおおおっ!」
真上に大きく戦斧を振り被りながら急降下してくる一夏。
「くっ!」
鈴音は咄嗟に青龍刀を頭上で交差させて一夏の一撃を受け止めようとする。
「ぐっ!? お、重い……………きゃぁあああああああっ!?」
だが、一瞬は受け止めたが、ISのパワーアシストを超える一撃の重さに耐えきれず、防御ごと叩き潰された。
しかし、
「まだ………まだぁっ!!」
鈴音は叫びながら立ち上がる。
その闘志はまだ消えてはいない。
「くらえぇぇぇっ!!」
甲龍の両肩にある非固定部位が一瞬光ったかと思うと、
「ッ!?」
一夏は反射的に防御態勢をとった。
その直後に一夏に襲い掛かる衝撃。
「くっ!?」
一夏は予想外の攻撃に声を漏らした。
「何だ、今の衝撃は………?」
試合を見ていた箒が呟く。
「『衝撃砲』ですわね。空間自体に圧力をかけて砲身を生成、余剰で生じる衝撃それ自体を砲弾化して打ち出す、わたくしのブルー・ティアーズと同じ、第3世代型兵器ですわ」
答えたのはセシリアだった。
「初見で防がれるなんてね………この『龍砲』は砲身も弾丸も見えないのが特徴なのに………なんでわかったの?」
対して鈴音も期待通りといかなかったのかやや悔しそうな顔をしている。
「背筋に悪寒が奔った…………まあ、直感だな」
「…………まるで歴戦の戦士みたいな言い方ね」
「…………あながち間違ってはいないな」
鈴音の言葉に一夏はボソッと呟いた。
すると、
「なら、どんどん行くわよ!」
鈴音はそう言うと再び龍砲を展開し連射する。
瞬く間に巻き上がる砂煙に覆い隠される一夏。
だがその直後、
「うぉおおおおおおおおおおっ!!」
一夏は攻撃を受けることも構わずに一直線に突っ込んできた。
「なっ!?」
思わず驚愕する鈴音。
だが、すぐに気を取り直すと龍砲を最大出力でチャージする。
「真っ直ぐ来るなんていい的よ! ふっとべぇぇぇぇぇっ!!」
龍砲を放つ鈴音。
だがその瞬間、一夏は高く跳び上がってその攻撃を躱した。
「躱されたっ!?」
一夏はそのまま戦斧を振り上げると、
「ゲッターラヴィーネ!!」
渾身の力で振り下ろした。
「ッ……………きゃぁああああああああああああああああああっ!!」
地面が陥没する程の威力を叩きつけられた鈴音の甲龍は、その威力に耐えきれずにシールドエネルギーがゼロになった。
「そこまで!」
審判役の紫苑が決着を宣言する。
一夏が鈴音に近付くと、
「大丈夫か? 鈴」
そう言って鈴音に手を差し伸べる。
「ええ…………それにしても流石ね。完敗よ。春万を倒したって話も本当のようね」
鈴音はそう言って一夏の手を取って立ち上がる。
すると、
「それで率直に聞くわ。今の私で春万に勝てる?」
鈴音は一夏にそう質問した。
その問いに一夏は少し難しそうな顔をすると、
「俺の見立てでは正直、かなり厳しいと思う。まともにやり合えば、鈴の勝つ可能性は1割も無いと思う」
「そう…………まだそれだけの差があるのね…………」
鈴音は俯くが、すぐに顔を上げ、
「だったらクラス対抗戦までに強くなればいいだけって事ね!」
そう発言した。
そんな鈴音を見て、彼女の強気な所は変わってないなと懐かしみながら、
「ああ、その通りだ」
その言葉を肯定した。
「よし! じゃあ早速特訓よ!」
そう気合を入れる鈴音だが、
「その前に箒とセシリアも模擬戦するからな」
「そ、そうだったわね」
出鼻をくじかれた鈴音は思わず脱力した。
「次は私で頼む」
打鉄を纏った箒が進み出る。
すると、
「ならば、俺が相手をしよう」
そう言ったのは紫苑。
「月影さんが………!」
箒は若干驚く。
「ああ。お前は剣道の経験者みたいだからな。俺が一番相手に相応しいだろう」
「はい! 胸をお借りします!」
2人はそう言って少し離れた所で向かい合うと、
「それじゃあ…………始め!」
一夏が開始の合図を出した。
「はぁああああああああっ!!」
その瞬間、箒が先手必勝とばかりに打鉄の近接ブレードで斬りかかる。
だが、紫苑は手に持った刀剣で唐竹に振り下ろされた箒の斬撃をあっさりと受け流した。
「ッ!?」
自分の一撃があっさりと受け流された事に箒は一瞬動きを止めてしまうが、即座に振り返りながら剣を薙ぎ払う。
だが、その一撃も苦も無く受け流された。
「どうした? もう終わりか?」
紫苑の言葉に少しカチンときた箒は再び紫苑へ向かって行き。
「おおおおおおおおっ!」
袈裟斬り、横薙ぎ、切り上げと、次々と連撃を繰り出していく。
だがその全ては躱される、もしくは受け流され、一撃たりとも紫苑には届いていない。
(くっ! 手応えが全くない! まるで柳のように受け流される!)
全く当たらない攻撃に箒が焦りを見せ始めると、
「なるほど、確かに剣筋は悪くない。流石は剣道全国優勝者と言った所だな」
紫苑が突然そう言った。
「だが、それはあくまで『剣道』というスポーツの上での話だ。『戦い』においてその剣は真っ直ぐ過ぎる…………」
そう言いながら再び箒の一撃を受け流す。
そしてそのまま隙だらけになった箒の背後に一閃する。
「くぅっ!?」
箒は振り返ると負けじと剣を薙ぎ払った。
だがその瞬間、
「なっ!?」
箒は思わず声を漏らす。
何故なら、その一撃は紫苑の右手で掴まれて止められていたからだ。
「剣速自体は遅くないが狙いが見え見えだ」
そう言いながら掴んでいた剣を離すと箒のバランスが僅かに崩れる。
箒が咄嗟に立て直して再び紫苑に斬りかかった瞬間、
「ッ!」
紫苑が瞬間的に動き、箒の背後にいた。
そして、箒のブレードは根元から断ち切られていた。
「続けるか?」
紫苑は振り返りながらそう言うと、
「…………いえ、参りました」
箒は構えを解いて一礼する。
「ありがとうございます月影さん。やはり自分はまだまだです」
「筋は良いんだ。後は場数を踏むことと、『心』を鍛えることだな」
「はい、ありがとうございました」
箒は礼を重ねた。
「さて、最後はわたくしですわね」
そう言いながらセシリアが前に出ると、
「ならば私が相手をしてやろう」
そう言ったのはマドカ。
マドカは黒を基調として、所々に銀のラインが入り、背中には3対6枚の剣のような形をした水色に輝く翼を持つISを纏っていた。
その手には一本の大型で黒い刀身と水色に輝く刃を持つ直剣が握られている。
「そう言えば、マドカさんのISを見るのは初めてですわね」
「そうだったな。このISの名は『
マドカはそう言う。
「なるほど、どうやら手加減は必要無さそうですわね!」
そう言いながらレーザーライフルを構えるセシリア。
「フッ、同じ『
マドカは直剣を構える。
「始めっ!」
紫苑の合図で模擬戦が開始される。
「食らいなさい!」
セシリアはマドカをロックオンし、引き金を引く。
だが、
「遅い!」
マドカはその一瞬でロックを振り切り、セシリアへと接近する。
放たれたレーザーはマドカのすぐ横を通り過ぎて外れる。
「ッ!?」
セシリアは一瞬のことに驚愕するが、
「ロックオンから引き金を引くまでの間が長すぎる! それでは避けてくれと言っているようなモノだぞ!」
マドカはそのまま通り抜けざまにセシリアに斬りつける。
「くうっ!?」
「ロックオンと同時に引き金を引くようにしろ! それだけでも命中率はかなり上がる!」
マドカはそう言いながら上昇する。
「くっ………お行きなさい! ブルー・ティアーズ!!」
セシリアはビットを射出する。
4つの銃口から放たれるレーザー。
しかし、マドカはまるで分かっているかのようにレーザーを簡単に避けていく。
「そんな………!?」
「ビットの設置位置がワンパターンすぎる! お前は常に相手の死角にビットを置こうとしている! それは前の試合を見てわかった。それならば、ワザと死角を作れば攻撃の方向を誘導することが出来る…………! そして!」
マドカはセシリアの方を向くとその場で剣を振り上げた。
だが、距離がある為届く訳がない。
そう思っていたセシリアだが、
「フォールスラッシュ!!」
マドカが剣を振り下ろすと巨大なエネルギーの斬撃が発生し、セシリアに向かってきた。
「なっ!? きゃぁあああああああああっ!」
直撃を受けたセシリアは思わず悲鳴を上げる。
「ビットを操作している最中、お前は動けない。これは以前、春万にも指摘されていたな?」
すると、マドカは即座に振り向き、直剣に虹色のエネルギーを纏わせる。
「トルネードソード!!」
そのまま虹色の剣を薙ぎ払うと、動きを止めていたビットが全て破壊された。
「それは逆もまた然り。お前が指示を送らなければビットも動かない」
「ブルー・ティアーズが一撃で…………!?」
その事実に驚愕するセシリア。
「そして何より! 予想外のことが起こる毎にそうやって動きを止める所が一番駄目だ!」
マドカはそう言いながらセシリアに急降下すると、
「ヴォルケーノダイブ!!」
剣を叩きつけると同時に爆発が起こる。
「きゃぁああああああっ!?」
「攻撃を喰らってもすぐに立て直せ! されるがままだと追撃を受けるぞ!」
マドカはそう言いながら吹き飛ばされたセシリアに追いついていた。
「レイシーズダンス!!」
マドカはセシリアを蹴り上げ、空中回し蹴りを2連続で叩き込むと、その名の通り踊るように回転し、その勢いのまま斬撃を叩き込んだ。
「ッ! まだですわ!」
今言われた事を体現するかのようにセシリアは即座に体勢を立て直してミサイルビットを発射する。
マドカは避け切れなかったのかミサイルに直撃して爆発に呑まれる。
「はぁ………はぁ…………どうですの?」
セシリアはミサイルが直撃したことでホッとしたのか息を吐く。
だが、
「ミサイルが2発当たった程度で気を抜くな! その程度では量産機ですら墜とせんぞ!」
「ッ!?」
その瞬間、爆炎を切り裂いてマドカがセシリアに接近する。
「トルネードチェイン!」
マドカは一瞬で2回斬りつけ、宙返りで距離を取ったかと思うと勢いを付けてセシリアを蹴り飛ばした。
「きゃぁあっ!?」
地面に叩きつけられたセシリアに背を向ける様に着地するマドカ。
セシリアのシールドエネルギーはあと僅かだ。
「ま、まだですわ…………」
セシリアはそれでも起き上がろうとしていたが、
「いいや。これで終わりだ」
マドカはそう言ってフィンガースナップを打ち鳴らす。
その瞬間、斬撃を与えた時に残っていたエネルギーが炸裂。
「きゃぁあああああああああっ!?」
ブルー・ティアーズのシールドエネルギーをゼロにした。
「未熟だが伸びしろはあるようだ。精々訓練に励むことだな」
マドカはそう言って一夏達の所へと歩いて行った。
はい、第8話です。
まあ前回よりは面白いと思います。
何だかんだで一夏VS鈴。
紫苑VS箒。
マドカVSセシリアとなりました。
マドカのISのモチーフは当然ながらブラックハートです。
……………ここまで来るとグリーンハートのISも出した方が良いかなぁ?
あと、ついでに言っておきますとマドカのISコアは人化しません。
人化の条件とは…………まあ、秘密という事で。
では次も頑張ります。
PS.今回の返信はお休みします。