超次元インフィニット ネプテューヌ・ストラトス   作:友(ユウ)

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第9話 クラス対抗戦(リーグマッチ)

 

 

 

 

 

 

模擬戦の後、それぞれは訓練に励んでいた。

 

「鈴! いくらISのパワーアシストがあるといっても腕だけで剣を振るな! 全身の力を剣に乗せるんだ!」

 

一夏が鈴音に叫ぶ。

 

「くっ! 難しい事を簡単に言って…………!」

 

多少愚痴りながらも言われた事を反復していく鈴音。

 

「はぁあああああああああっ!!」

 

力強くブレードを振り上げる箒。

 

「隙だらけだ」

 

振り下ろされる前に紫苑の胴薙ぎが入る。

 

「お前は若干自分の剣に自信過剰な節がある。一般人には通用しても、達人にはまだまだだ」

 

そう注意する紫苑。

 

「ほらほらどうした!?」

 

「ちょ、マドカさん!? わたくしは近接戦闘は苦手で…………!」

 

直剣でセシリアを攻め立てるマドカ。

セシリアはショートソードで必死に捌いている。

 

「苦手を苦手のままにしておくのは二流のすることだ。せめて苦手ではない程度まで練度を上げなければ懐に入られた途端に終わるぞ!」

 

マドカはそう言って容赦なくセシリアを追い詰めていった。

 

「わ~~。皆容赦ないな~」

 

そう言って他人事のように見ている翡翠。

彼女は言い渡された特訓メニューを熟している。

翡翠は何気に遠、中、近距離全てで優秀な為、言い渡された特訓メニューで全体的な能力の向上を図っていた。

 

 

 

 

 

そんな特訓の日々を繰り返していると時が経つのは早く、今日は既にクラス対抗戦前日。

対抗戦前の特訓の締めだ。

そんな中鈴音は紫苑と模擬戦をしていた。

特訓期間の後半からは、鈴音は紫苑との模擬戦を多く取り入れていた。

その理由として、紫苑は春万と同じく『技』を主としたタイプ。

言うなれば紫苑は春万の上位互換なので対春万を想定した模擬戦の相手にはうってつけなのだ。

 

「うおりゃぁああああああああっ!!」

 

鈴音が力強く青龍刀を振り下ろす。

 

「ッ!」

 

紫苑は青龍刀を刀剣で受け止め、半身をズラして受け流した。

そのまま流れる様に回転すると、鈴音の隙だらけになった背中に斬りつけた。

 

「そこまで!」

 

一夏の声で終了の合図が告げられる。

 

「あーもー! くやしーーーーっ! 結局紫苑に一発も当てられなかった!」

 

鈴音が悔しそうな表情をして叫ぶ。

 

「まあ仕方ないさ。俺だって紫苑にかすり傷与えるのに1年以上かかったからな。1ヶ月足らずで紫苑に当てようなんて無理な話だ」

 

一夏がそう言うと、

 

「だが、受け流しにくい攻撃が幾つも出てきた。間違いなく成長はしてるから心配するな」

 

紫苑も続けてそう言う。

 

「そう。ところで、最初と比べて今の私の春万に対しての勝率はどのぐらい?」

 

鈴音が気になることを質問する。

 

「そうだな…………今の実力だとまともにやり合えば3割ってところか」

 

紫苑が答えた。

 

「3割か…………1割以下の状態からそこまで勝率を上げられたのは上出来って言っていいかもしれないけど、まだ足らないわね……………あいつには絶っ対負けたくないわ!」

 

胸の前で右の拳を左の掌にぶつけ、意気込みを口にする鈴音。

そんな鈴音を見て、

 

「…………………お前は一夏程正々堂々に拘ってはいない様だから提案するが、勝率を上げる方法はある」

 

「ホントッ!?」

 

紫苑の言葉に鈴音は跳び付くように食いついた。

 

「ああ。それは……………」

 

紫苑はその『策』を話し出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クラス対抗戦当日。

抽選の結果、これまた狙ったように1組の初戦の相手は2組。

つまり、春万の相手は鈴音という事になった。

既に2人はアリーナの中央で向かい合っている。

紫苑、一夏、翡翠、マドカ、箒、セシリアの6人は、ピットでその様子を見守っていた。

尚、アリンとエミリも人型形態で6人と一緒に居る。

すると、春万が口を開いた。

 

「フッ、逃げずによく来たじゃないか、鈴…………」

 

「……………………………」

 

春万の言葉に鈴音は俯いたまま何も言わない。

 

「中国に帰った1年ちょっとで代表候補生になってたのは素直に称賛するよ。中々の才能だ」

 

「……………………………」

 

「だけど、上には上が居ることを教えてあげよう……………君の才能など、俺の才能の前には凡人に毛が生えた程度であるという事をね!」

 

「……………………………」

 

「……………何も言い返せないのかい? 所詮鈴もその程度なんだね」

 

「……………………………」

 

「…………おい! 何とか言ったらどうなんだ? 『貧乳』!」

 

「………………………ッ!」

 

そこまで言われても鈴音は何も言わなかった。

最後の一言にだけは、多少反応したようだが、両手に持つ青龍刀を強く握りしめて、何とか言葉を呑み込む。

やがて、試合開始のカウントダウンが表示される。

春万は雪片のエネルギーブレードを展開。

『零落白夜』も発動させ、正眼に構える。

だが、鈴音はそのまま棒立ちになっているだけだ。

その瞬間カウントがゼロになる。

それと同時に春万が飛び出した。

 

「すぐに終わらせてあげるよ! 鈴!」

 

春万は雪片を大きく振りかぶる。

未だに微動だにしない鈴音に、春万はニヤリと笑みを浮かべながら剣を振り下ろした。

雪片の刃が迫りくる中、鈴音は昨日紫苑から言われた事を思い出していた。

 

『鈴、俺が言った3割という勝率は、あくまでお前と春万が正面からぶつかり合った場合だ。尚且つ向こうには『零落白夜』という防御力を無視できる一撃必殺の武器がある。それを踏まえての3割だ』

 

『それで? 私は何をすればいいの?』

 

『簡単な話だ。全力同士でぶつかって不利なのなら、相手に全力を出させなければいい』

 

『全力を出させない?』

 

『ああ。まず最初に、試合が開始する直前、あいつはお前を挑発してくるだろう』

 

『………確かにやりそうね』

 

『その時に、何も言い返さずに俯いていればいい。そうすれば、勝手にあいつは鈴が臆していると結論付けてくれる』

 

『…………つまり?』

 

『…………つまり、何も言い返さずに黙っていれば、第一撃は油断して鈴を舐めた中途半端な攻撃が来る。そこを……………』

 

「そこを迷わず叩き落す!!」

 

鈴は左の青龍刀で春万の一撃を弾くと、右の青龍刀を振り下ろした。

 

「え?」

 

自分の一撃が弾かれた事に理解が送れた春万は素っ頓狂な声を漏らし、鈴音の渾身の一撃を受けて叩き落された。

 

「うわっ!?」

 

地面に向かって吹き飛ばされる春万。

何とか立て直して激突は免れるが、

 

「でりゃぁあああああああああああっ!!」

 

鈴音が追撃してきて地面に叩きつけられる。

 

「ぐぅっ!?」

 

再び鈴音の脳裏に紫苑の言葉が過る。

 

『春万のようなタイプは一度自分の予想が外れると思った以上に混乱し、行動が単調になる。冷静になる前に畳み掛けろ』

 

その言葉を思い出し、鈴音は口元に笑みを浮かべる。

 

「言われなくてもっ!!」

 

起き上がろうとしている春万に青龍刀を振り上げる。

追撃を受けようとしていることに気付いた春万は咄嗟に飛び退くが、鈴音は手を休めずに両手の青龍刀を使って果敢に攻め立てる。

 

「おりゃぁ! はぁっ! ぜらぁっ!!」

 

「うっ! くっ!? ぐあっ!?」

 

春万も何とか立て直そうとしているが鈴音の連撃に中々立て直すことが出来ない。

 

「はあっ!!」

 

「くおっ!?」

 

鈴音の一撃で少し吹き飛ばされた春万が体勢を立て直して地面に着地する。

鈴音は青龍刀を交差させながら斬りかかるが、ガキィンという音と共に止められてしまった。

 

「フッ! 油断したよ鈴。俺をここまで攻め立てるとはやるじゃないか。だけど、君のターンはここまで……………」

 

「吹っ飛べ!!」

 

鈴音が両肩の『龍砲』を至近距離から発射した。

龍砲の事を知らない春万は直撃を受けて吹き飛ばされる。

 

「ぐあぁああああああああああああああっ!?」

 

派手に地面を転がる春万。

 

「な、何だ今のは………?」

 

「はいそうですかって教えるわけないでしょ!!」

 

再び追撃する鈴音。

今度は龍砲を撃ちながら接近し、青龍刀を振るう。

 

「うぐっ!? くっ!」

 

何度か攻撃を受けるが春万は一旦距離を取り、円を描くように旋回しながら鈴音の龍砲を躱していく。

 

「チッ! 腐っても天才ね。もう龍砲に対応してきてる…………!」

 

当たらなくなってきた攻撃にそう漏らす鈴音。

 

「減らしたシールドエネルギーは約4割か…………上々って所ね」

 

そこで鈴音は一旦攻撃を止める。

それと同時に春万も足をとめた。

 

 

 

その様子をピットで見ていた真耶は、

 

「現在は凰さんが優勢のようですね」

 

「フン、春万の悪い癖だ。油断しているからこうなる。まあ、凰が優勢に戦えている理由はそれだけではないがな………」

 

そう言って千冬は視線を一夏達の方に向ける。

その視線に気付いた一夏は口元に笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 

「………………その両肩の武器………見えない砲弾を発射するのか」

 

息を整えた春万がそう呟く。

 

「……………その通りよ。まあ、あれだけ喰らえば馬鹿でも気付くでしょうけど」

 

鈴音はそう言って余裕の態度を見せる。

 

「クッ! ここまでダメージを受ける事は想定外だったけど、もう油断しない! 本気で君を倒す!」

 

春万は雪片を構えなおす。

 

「油断? そんな事言ってるからアンタは一流止まりなのよ」

 

「は?」

 

鈴音の言葉の意味が分からなかったのか春万は声を漏らす。

鈴音は春馬に向かって突っ込んだ。

 

「はぁあああああっ!」

 

「はっ! 正面からの攻撃なんて受け流して…………!」

 

鈴音の青龍刀が振り下ろされる。

その瞬間、

 

「ぐっ!?」

 

春万の腕に予想以上の重さが掛かり、受け流すことが出来ず、受け止める形になる。

 

「春万、確かにアンタの才能は一流よ。ええ、悔しいけど認めてあげる。スタート地点が全然違うって」

 

「ふん、ようやく気付いたのか!?」

 

春万は鈴音を押し返すが、鈴音はそれに逆らわずに後ろに飛び、体勢を崩すことなくその場に留まる。

 

「そうね。だけど、アンタはそこから全然動こうとして無いのよ」

 

「なんだと?」

 

再び鈴音が斬りかかり、春万は受け流そうとするが、またしても受け止める形になる。

 

「くっ………!」

 

春万は思うように受け流すことが出来ないことに焦りを見せ始める。

 

「どうしたの? もしかして受け流すことが出来なくて焦ってる?」

 

鈴音は分かって言うように嘲笑って見せる。

 

「ッ! 馬鹿にするな!」

 

今度は春万の方から斬りかかる。

だが、鈴音はその一撃を青龍刀を頭上でクロスさせることで防いだ。

 

「…………………………」

 

その一撃を受け止めると、鈴音は何かに気付いたように黙り込んだ。

 

「くっ! このっ!」

 

春万は剣を一旦退くと横薙ぎに振るう。

 

「…………………………」

 

鈴音は黙ったまま青龍刀を立てることで簡単に防いだ。

 

「何でだ………? 何で当たらない…………? この俺の剣が鈴なんかに…………!」

 

立て続けに防がれて、春万の口からそんな言葉が漏れる。

 

「地が出てるわよ。アタシも驚いてるわ。こんなにハッキリアンタの剣を見切れるなんてね」

 

「鈴、一体どんな手を使ってるんだ!? 何故凡人のお前が天才である俺の剣を………!?」

 

「はぁ? 何処までもおめでたい奴ね、アンタは。そんなの特訓したからに決まってるでしょ! ま、強いて言うならアンタを超える超一流の2人に師事を受けたからかしら?」

 

「お、俺を超えるだと!?」

 

「ええ。そのうち一人はアンタと同じ『技』を主にするタイプだったけど、その人に比べたらアンタの剣は子供のチャンバラよ」

 

「な、なにぃ………!?」

 

鈴音の言葉に怒りを込める春万。

春万は剣を振りかぶりながら鈴音に突っ込んでくる。

 

「確かにアンタは剣の扱いは上手いと思うわ。でもね、上手いだけなのよ」

 

鈴音はその剣を受け止め、押し返す。

 

「何度か剣を合わせてハッキリと分かったわ。アンタの剣は、全っ然怖くないのよ!」

 

反対の青龍刀を振るい、春万を斬りつける。

 

「あの2人の…………一夏と紫苑の剣は怖かったわ。圧倒的な『力』、『技』、そして何よりも大きな『心』…………その剣の前に立つだけで震えが来たわ。その剣に比べれば、アンタの剣は多少『技』が秀でただけの子供騙しの剣なのよ!」

 

「ふざけるな! 俺の剣は千冬姉さんの剣だ! その千冬姉さんの剣が子供騙しだと!?」

 

「はぁ? アンタアタシの話聞いてた? アタシは“アンタの剣”が子供騙しって言っただけで、“千冬さんの剣”が子供騙しなんて一言も言ってないわよ!」

 

「お前こそ何を言っている!? 俺は千冬姉さんの剣を完璧にモノにしたんだ! 俺の剣は千冬姉さんの剣そのものだ!」

 

その叫びと共に振るわれた剣を、鈴音は2本の青龍刀を交差させて受け止める。

 

「は? これが千冬さんの剣? 笑わせんじゃないわよ!!」

 

鈴音はそのまま龍砲を発射する。

 

「ぐはっ!?」

 

「アンタの剣は千冬さんの剣の形だけを真似た単なる猿真似。『力』も『心』も千冬さんには遠く及ばないわ。何より、この程度で千冬さんを倒せるんだったら、そもそも千冬さんは世界一になれなかったでしょ」

 

鈴音は地面に叩きつけられた春万を見下ろす。

 

「アンタは一流の域で満足してその先に行こうとしなかった。一流を超えた、超一流の域にね」

 

鈴音は止めの龍砲を放つためにチャージを開始した。

その時だった。

ドゴォォォォォォォォンという爆発音と共に、アリーナのシールドが破られ、何かがアリーナの中央付近に落下する。

 

「何っ!?」

 

鈴音は思わず春万ヘの攻撃を中断し、そちらへ振り向いた。

そこには、黒い箱のようなモノが存在していた。

 

「あれは………?」

 

鈴音が声を漏らした瞬間、その箱の周囲に複数の光が収束し、見たことも無い生物たちが現れた。

 

「な、何こいつら!?」

 

思わず鈴音は叫んだ。

 

 

ピットでも真耶が慌てていた。

 

「落下してきた黒い箱状の物体の周りに未確認生物が出現しました」

 

「何なんだ? 奴らは…………」

 

千冬もそう漏らす。

すると、

 

「そんな………何で…………?」

 

「馬鹿な……………」

 

一夏と紫苑が驚愕の表情でモニターを見ていた。

 

「一夏?」

 

「紫苑?」

 

エミリとアリンがそれぞれの主の顔を不思議そうに伺う。

そして、

 

「「ゲイムギョウ界のモンスターだと………!?」」

 

驚愕の一言を言い放った。

 

 

 

 

 

 








EXルート第9話です。
何だかんだで鈴ちゃん無双になってしまった。
もうちょっと苦戦させるはずだったのに…………
でもって最後は無人機ではなくまさかまさかのモンスター出現。
そして次回は……………
お楽しみに。




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