超次元インフィニット ネプテューヌ・ストラトス 作:友(ユウ)
「ッ………………!? お兄ちゃぁぁぁぁぁぁぁん!!!」
爆炎に包まれた紫苑を見て、翡翠が慟哭の叫び声を上げる。
「紫苑さんっ!!!」
「「紫苑っ!!!」」
刀奈とシャルロット、アリンも悲痛な叫び声を上げた。
だがその瞬間、
「シェアライズ!!」
その爆炎の中から声が聞こえたかと思うと、回転しながら宙を舞っていた紫苑の剣が突如として向きを変え、一直線に爆炎の中心に向かって飛ぶ。
そして剣が爆炎の中へ飛び込んだ直後、爆炎とは違う紅蓮の炎が吹き上がり、火柱が立ち昇った。
「「「「「えっ?」」」」」
翡翠、刀奈、シャルロット、アリン、簪が同時に声を漏らした。
「な、何よこれ………?」
ジュヌーンも予想外の事態に狼狽えている。
すると、その火柱が突如として四散し、その根元に1人の人物が立っていた。
それは、赤いプロテクターを身に纏い、顔には目元を覆うヘッドギア。
そして背中に一対の赤い翼を持った二十歳前後の青年の姿があった。
「騎士バーニングナイト、推参………!」
名乗りを上げるバーニングナイト。
「な、何よアンタは……?」
ジュヌーンが突然姿を現したバーニングナイトに向かってそう問うが、
「……………………」
バーニングナイトはそれに答えず左手をジュヌーンに向ける。
「マジカルエフェクト 『バーンラング』…………!」
バーニングナイトがそう唱えると、左手の先に三重の魔法陣が発生し、そこから火球が放たれた。
「なっ!?」
何もない所から突然現れた火球にジュヌーンは対処が遅れて直撃。
直後に火柱に包まれる。
「きゃぁあああああああああっ!?」
熱こそシールドバリアが遮断したが、その勢いは凄まじく、衝撃がジュヌーンにまで伝わる。
「い、今の攻撃…………まさか…………!?」
ジュヌーンは何か心当たりがある様な口振りで声を漏らした。
そんな2人の様子を翡翠達は呆然と見ていた。
「…………お、お兄ちゃんが……………おっきくなった…………?」
「紫苑さん……………なの?」
「紫苑…………?」
「ど、如何なってるの…………?」
「へ、変身した…………?」
翡翠、刀奈、シャルロット、アリン、簪の呟き。
その声が聞こえたのか、バーニングナイトは翡翠達に振り向き、口元に薄く笑みを浮かべた。
それからすぐにジュヌーンに向き直ると、
「残念だがあの時とは違う。今の俺は無力じゃない」
剣を突き付けながらそう言い放つ。
「……………くっ!」
ジュヌーンは悔しそうな顔をすると、スイッチを取り出してそれを押した。
すると、アリーナのシールドバリアを突き破って何かが落下してきた。
それは、
「そいつはっ……………!」
彼も見覚えのある黒い箱のような物体。
ジュヌーンはニヤリと笑うと、
「フフフ………さあ来なさい!」
黒い箱の周りに光が集まっていき、クラス対抗戦の時と同じくモンスターが現れる。
しかし、以前はスライヌやシカベーダーなどの小型の雑魚モンスターだったのに対し、今回はフェンリル系やリザード系、ホエール系など、大型のモンスターが多い。
「………………」
バーニングナイトは向かって来るモンスターを何も言わずに一閃する。
それだけでモンスターは消滅した。
「この程度で俺は倒せないぞ」
現れたモンスターに動じずにバーニングナイトは言う。
「チッ……………だけど、アンタは平気でも他は如何かしらね?」
ジュヌーンは舌打ちをするが、その後にニヤリと笑う。
「む…………?」
バーニングナイトはその余裕を怪訝に思った時、
「「「「「きゃぁああああっ!!」」」」」
「ッ!?」
後方から悲鳴が聞こえた。
バーニングナイトが思わず振り向くと、そこには翡翠達に迫るモンスターの群れ。
「ウフフ…………さあ、早く助けに行かないとあの子達がモンスターの餌食になるわよ?」
ジュヌーンがニヤニヤと笑みを浮かべながら煽る様な喋り方でバーニングナイトを急かそうとする。
しかし、
「…………………………」
バーニングナイトは慌てることも無くジュヌーンに向き直った。
「なっ!? 何してるのよ!? あの子達がどうなってもいいって言うの!?」
バーニングナイトの予想外の行動にジュヌーンは焦りを見せた。
「……………………あの程度のモンスターはあいつらの敵じゃない」
バーニングナイトがそう言った瞬間、
「ちぇすとーーーーっ!!」
「やらせません!」
太刀による一閃とビームソードによる一閃がモンスターを消滅させる。
それは、
「ネプちゃん!?」
「ギアちゃんも!?」
翡翠達を護るように立ちはだかるネプテューヌとネプギアの姿。
「ネプテューヌ! ネプギア! そっちは任せるぞ!」
「おっけー!」
「任せてください!」
バーニングナイトの言葉に自信を持って応える2人。
そんな2人にモンスターの群れが迫ってくる。
「ネプちゃん! ギアちゃん! 危ない! 逃げて!」
翡翠が思わず叫ぶ。
「大丈夫! 任せなさいって!」
「でも………!」
翡翠から見る普段のネプテューヌは、冗談やおふざけを好む底抜けに明るい年下のような存在。
ネプギアの姉だという話だが、しっかり者のネプギアの方が姉と思えてならなかった。
しかし、
「それじゃあ、そろそろ私の本気、見せちゃおうかな!」
そう言いながらネプテューヌは一度翡翠に振り向くと笑みを浮かべ、
「お義姉ちゃんに任せなさい!」
そう言い放った。
そうして向かって来るモンスター達に向き直ると、
「いっくよー! ネプギア!」
「うん! お姉ちゃん!」
ネプギアに呼びかけ、ネプギアもそれに答える。
次の瞬間、
「「刮目せよ(してください)!!」」
2人が同時に叫んだかと思うと光に包まれた。
ネプテューヌは光の中で少女の姿から美しき女性の姿へと変貌を遂げ、黒いボディスーツに身を包み、背中には紫色の光の翼。
その手には大きめの刀剣を持つ、プラネテューヌの女神パープルハートへ。
ネプギアは白いボディスーツに身を包み、背中には蝶の羽のような光の翼。
その手には剣とビームガンが一体化した銃剣を持つ、プラネテューヌの女神候補生パープルシスターへと変身を遂げた。
「「女神の力! 見せてあげるわ(ます)!!!」」
変身した2人が武器を構えながら同時に言い放つ。
そして、
「はぁっ!」
「えいっ!」
パープルハートが刀剣でモンスターを切り裂き、ネプギアがビームで撃ち抜く。
その瞬間、
「「「「「えぇ~~~~~~~~~~~っ!!??」」」」」
翡翠、刀奈、シャルロット、アリン、簪の5人が目を点にしながら驚愕の叫び声を上げた。
「あら、どうしたの?」
パープルハートが振り返りながら問いかける。
「多分、お姉ちゃんの変貌ぶりに驚いてるだけだと思う………」
驚いている翡翠達の反応を見てそう察するネプギア。
「ネ、ネプちゃん…………?」
「あら、何?」
翡翠の呟きにパープルハートが応える。
「ほ………本当に………ネプちゃん………?」
「ええ、そうよ。今はパープルハートだけど」
動揺を隠せない翡翠の呟きに頷くパープルハート。
「えっと………それがネプちゃんの『女神化』って奴?」
刀奈が何とかそう問いかけると、
「そうよ。プラネテューヌの女神パープルハート。それが今の私」
「「「「「………………………」」」」」
口調も変わり、クールな雰囲気を持つパープルハートの変身前との共通点と言えば、顔の作りの僅かな面影のみ。
余りの変貌ぶりに彼女達は言葉を失う。
「…………じゃ、じゃあ紫苑のあの変身は?」
アリンが何とかそう声を絞り出すと、
「シオンは私の騎士。私との力の共有によってシオンは、女神の守護者バーニングナイトへと変身が出来るの」
パープルハートの説明に一同は面食らう。
「お、お兄ちゃんも変身出来たんだ……………え、えっと…………ネプお姉ちゃん?」
「あら、嬉しいわね。お姉ちゃんって呼んでくれるの?」
翡翠の言葉にニッコリと笑みを浮かべるパープルハート。
「う、うん………その姿だとお姉ちゃんって呼んだ方がしっくりくるし…………」
「フフフ…………」
その言葉で嬉しそうに笑みを零す。
「その………お兄ちゃんは大丈夫なんですよね………?」
心配そうにバーニングナイトを見る翡翠。
その言葉に対し、
「ええ。あの程度の相手にシオンは負けないわ!」
自信を持ってそう言い切るパープルハート。
その言葉に翡翠の不安は和らぐ。
「さあ、こっちも手早く片付けるわよ!」
「うん! お姉ちゃん!」
パープルハートとネプギアが武器を構えなおす。
「はぁああああああっ!!」
「やぁああああああっ!!」
2人はモンスターの群れを次々と切り裂いていった。
そちらの様子を伺っていたジュヌーンは、
「くっ…………女神がこっちの世界に来てるなんて聞いて無いわよ………!」
苦虫を噛みつぶしたような顔でそう吐き捨てる。
だが、
「その口振り………以前から女神の事を知っているような口振りだな?」
その一言をバーニングナイトは聞き逃さなかった。
「イストワールが言っていた…………こちらの世界とゲイムギョウ界を行き来していた痕跡があったと…………そしてゲイムギョウ界のモンスターを呼び寄せるその箱…………次元を行き来していたのはお前達の組織だな?」
バーニングナイトはほぼ確信を持った声でそう言った。
「…………ええ、その通りよ。とある協力者がいてね…………『ドルファ』の発展に大いに協力してくれているわ」
「………………なるほど。まあ、大方マジェコンヌ辺りだとは思うが」
「ッ!?」
バーニングナイトはカマを掛けただけだが、ジュヌーンは見事に引っかかった。
「さて、お前には色々と聞くことが出来た…………大人しく捕まって貰うぞ………!」
静かに言い放つバーニングナイト。
「そう簡単に捕まるもんですか!」
ジュヌーンはモンスターに命令を出そうとして、
「マジカルエフェクト 『バーンエクスプロード』!」
無数の爆発と炎の剣の爆発によって、モンスターを呼び寄せていた箱ごと粉砕される。
「なっ………!?」
「お前は女神と守護者の力を甘く見過ぎている………」
モンスターを呼び寄せていた箱が無くなったことで、パープルハートとネプギアは瞬く間にモンスターを全滅させてしまう。
「くっ………………」
悔しそうな顔をするジュヌーン。
「さて、お前の知っている事、全て話してもらうぞ………!」
バーニングナイトは静かに。
それでいて絶対に逃がさないという強い意志を込めてそう言い放った。
それを一夏達は管制室から見ていた。
「どうやら俺達の出番は無いみたいだな」
「そうね。モンスターも全滅したわ」
一夏の言葉にブランが答えた。
「念のために待機してましたが、必要無かったようですね」
ミナもそう言う。
「まあ、何事も無いのが一番ですよ」
フィナンシェがそう締める。
すると、
「……………なあ一夏」
一緒に居た千冬が問いかける。
「何? 千冬姉」
「…………女神という者は二重人格なのか?」
その問いに、
「いや、二重人格って訳じゃないよ。ちゃんと変身中の記憶もあるし………女神化する人物の本質が表に出て強気になるって感じかな?」
「本質が表に出る?」
「ああ。ネプテューヌの場合だと普段はちゃらんぽらんなように見えるけど、その実、物事の本質は見抜いてるし、どんな時でも自分を見失わない冷静さを持ってるし………」
「………………そう言われれば………そうかもしれんが…………」
「それに変身してもネプテューヌに変わりは無いから、どこかヌケてる発言をすることがある」
「……………本当か?」
「マジだよ」
「想像がつかんな」
「まあ、今のネプテューヌの姿を見ればそう思うのも無理ないけど…………」
一夏は苦笑する。
「とりあえず、今はあの女から詳しい話を聞き出そう。ゲイムギョウ界に関わってるのは間違いないみたいだからな…………」
一夏がそう言うと、
「おっと、そうはいかんな」
ここには居ない筈の女の声がした。
「その声は!?」
一夏は思わずその声が聞こえてきた方向に振り向いた。
管制室の影になっている場所に、気配を感じる。
「お前はっ!」
カツカツと足音を響かせながらその影から出てきたのは、
「マジェコンヌ!!」
ゲイムギョウ界で幾度となく刃を交わした悪党のマジェコンヌだった。
「フフフフ………………」
マジェコンヌはニヤリと笑みを浮かべた。
第19話です。
はい、バーニングナイトとパープルハートにパープルシスターの出番でした。
一応ゲイムギョウ界に行き来してたのはドルファという事が分かりました。
さて、こっちにもマジェコンヌが出てきましたが…………?
次回は一夏達のターンかな?