超次元インフィニット ネプテューヌ・ストラトス   作:友(ユウ)

85 / 110
第20話 守護者(シャドウナイト)女神(ホワイトハート)

 

 

管制室に突如として現れたマジェコンヌ。

一夏は反射的に守護者の武器である大剣を呼び出し、フィナンシェとミナも戦姫の武器である槍と剣を呼び出してブランやロム、ラムを庇うように立つ。

 

「紫苑の予想通りお前だったのか…………!」

 

大剣越しにマジェコンヌを睨み付ける一夏。

 

「フフフ…………」

 

マジェコンヌは怪しい笑みを浮かべる。

 

「答えろ! 何が目的だ!?」

 

一夏はそう言うが、

 

「私が素直に答えるとでも?」

 

怪しい笑みを崩さずにそう答えるマジェコンヌ。

 

「それなら、力付くでも聞き出してやる!」

 

一夏は今にも飛び掛かりそうな雰囲気でそう叫ぶ。

だが、

 

「おっと、今日は別にお前達とやり合うつもりは無い。今日の所は宣戦布告だけだ。そのついでにあの女も連れて帰らせてもらうがな。あのような者でも貴重な駒だ」

 

マジェコンヌはそう言う。

すると一夏は、

 

「そいつは残念だったな。あの女は紫苑が捕まえる。そしてお前も俺達が逃がさない!」

 

大剣を構えなおし、飛び掛かろうと足に力を籠める。

しかしその瞬間、マジェコンヌがパチンと指を打ち鳴らすとマジェコンヌのすぐ横の壁が爆発を起こした。

 

「くっ…………!?」

 

一夏は爆風から顔を庇うとすぐに眼を開ける。

するとそこには、

 

「い、一夏………!」

 

「一夏………!」

 

「一夏さん………!」

 

「兄さん………すまない、油断していたわけでは無かったのだが………!」

 

4体のエンシェントドラゴンの腕に捉えられた箒、鈴音、セシリア、マドカの姿があった。

 

「箒! 鈴! セシリア! マドカ!」

 

一夏が思わず叫ぶ。

現在、ISが使えないために、4人は成す術無くエンシェントドラゴンに捕らえられていた。

 

「馬鹿め。この私が貴様たちの弱点を熟知していないと思っていたのか? 私を止めるは良いがその場合あの小娘達の命は無いぞ?」

 

「ぐっ…………クソが!」

 

一夏はマジェコンヌから視線を切るとエンシェントドラゴンへと切っ先を向ける。

 

「フフフ…………」

 

マジェコンヌは満足そうな笑みを浮かべると壁が爆発した時に巻き起こった煙の中へと消える。

 

「くそっ………!」

 

一夏はマジェコンヌを逃がしてしまった事に憤りを感じた。

しかし、怒りで震える一夏の手にそっと手が重ねられる。

 

「落ち着いて、イチカ…………今あなたがしなければいけない事は何?」

 

ブランが静かにそう問いかけた。

ブランの言葉でハッとした一夏は、目を閉じて一度深呼吸すると再び目を開けた。

 

「ああ、そうだな………俺が今しなければいけない事は皆を助けることだ!」

 

見失いかけていた自分のやるべきことをブランの言葉で思い出し、一夏はその言葉を口に出す。

 

一夏は改めてエンシェントドラゴン達に捕まっている箒、鈴音、セシリア、マドカに視線を向けると、

 

「箒、鈴、セシリア、マドカ………今助ける!」

 

迷いのない表情でそう言った。

 

「ブラン! フィナンシェ! ミナ! ロム! ラム! 力を貸してくれ!」

 

「「「「「ええ(はい)(うん)!」」」」」

 

一夏の言葉に全員が頷く。

 

「変身よ…………!」

 

ブランが光に包まれ、水色の髪とルビー色の瞳を持った白の女神へと変身する。

 

「変身完了!」

 

ホワイトハートとなったブランは荒々しくなった口調で宣言した。

 

「ロムちゃん! 私達も!」

 

「うん………! ラムちゃん………!」

 

ロムとラムも同時に光に包まれる。

ロムは水色の髪にピンク色の瞳に。

ラムはピンク色の髪に水色の瞳に変化した。

 

「「変身完了!」」

 

2人は揃って決めポーズを取る。

 

「シェアライズ!」

 

一夏が大剣を上に向かって投げるとそれが途中で反転。

一夏の体を貫く。

すると、一夏の身長が175cmほどに成長し、その瞳に女神の証が浮かび上がる。

金色の縁取りがされたコートを纏い、同じく金色の縁取りがされたプロテクターが足、腕、体に装着される。

更に後頭部から側頭部にかけてをガードする様に非固定部位の装甲が浮いており、両脇にも大きな盾の様な非固定部位が浮遊している。

 

「シャドウナイト! 変身完了!!」

 

闇の力を使える騎士、『シャドウナイト』へと変身した。

 

「シェアライズ!」

 

フィナンシェが一夏と同じように槍を投げ放つと途中で反転、フィナンシェの体を貫く。

その瞬間光に包まれ、エプロンドレスが薄緑色になると、頭に蝶の触角を連想させる冠が装着され、背中にも蝶の羽を連想させる色鮮やかな実体翼。

その手に槍を持ち、瞼を開いたその瞳には、右目のみに女神の証が浮かび上がる。

 

「戦姫フィナンシェ、参ります」

 

フィナンシェは丁寧な口調でそう宣言する。

 

「シェアライズ!」

 

ミナも同じく剣を投げ放つ。

剣に貫かれたミナは光を放ち、白を基調とし、黒と青のラインの入った装甲に近い衣装を持つ鎧を装着する。

目を開いたその右目には、女神の証が輝く。

 

「戦姫ミナ、行きます!」

 

ミナは少し大人しめに、それでもハッキリとそう言った。

変身した6人はエンシェントドラゴンと相対する。

 

「ロム! ラム! まずは奴らの動きを止めてくれ!」

 

「「わかった!」」

 

シャドウナイトの言葉にロムとラムは杖を掲げ、

 

「「ええぇーーーい!」」

 

同時に床を突くと冷気が発生して床を凍り付かせていく。

その冷気はエンシェントドラゴンの足元まで届き、エンシェントドラゴンの足を床ごと凍り付かせた。

 

「「「「グオッ!?」」」」

 

エンシェントドラゴン達は困惑した声を漏らす。

 

「フィナンシェ! ミナ! 鈴とセシリアを頼む!」

 

「「はい!」」

 

2人はシャドウナイトの言葉に返事を返すとそれぞれの武器を構える。

 

「マジカルスピア!」

 

フィナンシェが手に持つ槍に力を籠めて投擲する。

その一撃は軽々と鈴音を捉えていたエンシェントドラゴンを貫き、消滅させる。

 

「きゃあっ!?」

 

エンシェントドラゴンが消滅したために鈴音は空中へ投げ出されるが、

 

「フッ………!」

 

地面に落ちる前にフィナンシェが拾った。

フィナンシェは鈴音を戦闘に巻き込まないように即座に離脱する。

 

「サンライトスラッシュ!」

 

ミナはセシリアを捕えているエンシェントドラゴンに一直線に向かって行き、すれ違いざまに一撃。

即座に反転してもう一撃。

更に止めとばかりに突進からの突きを繰り出し、エンシェントドラゴンを貫いた。

そして気付けば、セシリアはミナの剣を持つ手とは反対の手で脇に抱えられている。

 

「えっ? い、いつの間に!?」

 

セシリアは気付いた時には助けられていた事に驚く。

 

「失礼します」

 

「きゃっ!?」

 

ミナはセシリアを脇抱えから横抱きに持ち替えると、セシリアは軽い悲鳴を漏らす。

するとミナもその場を飛び退いた。

更に、

 

「オラァッ!!」

 

ホワイトハートが手に持った巨大な戦斧をエンシェントドラゴンに向かって投げつける。

回転しながら投げつけられたそれは、マドカを掴んでいた腕に当たり、その衝撃でエンシェントドラゴンはマドカを手放した。

 

「ッ!?」

 

マドカは空中で体勢を立て直しながら床に上手く着地すると、即座にエンシェントドラゴンから離れる。

そして、それが分かっていたかのようにホワイトハートは走り込んできて床に突き刺さった戦斧を抜くと飛び上がり、

 

「くらいやがれ! ゲッターラヴィーネ!!」

 

床が爆散する程の威力で戦斧を叩きつけた。

 

「グォオオオオオオオオッ!?」

 

エンシェントドラゴンは断末魔の咆哮を上げながら消え去った。

そして、シャドウナイトは大剣の切っ先を真っすぐに箒を捕えているエンシェントドラゴンに向ける。

 

「…………………導!」

 

一呼吸の後、一直線に突撃。

エンシェントドラゴンの腹部に大剣を突き出す。

 

「ゴフッ!?」

 

胴を串刺しにされたエンシェントドラゴンは痙攣する様に箒を取り落とし、

 

「…………グォア!?」

 

遅れてきた衝撃に吹き飛ばされる様に後方に一直線に飛び、壁に激突。

壁が粉砕されると共に粒子となって消え去った。

そしてそれとほぼ同時に落ちてきた箒をシャドウナイトが抱き留めた。

 

「大丈夫か? 箒」

 

「あ、ああ……………」

 

箒はシャドウナイトとなった一夏を見て呆然としている。

その頬が赤くなっているのは見間違いでは無いだろう。

シャドウナイトはゆっくりと箒を床へ下ろす。

自分の足で立ち上がった箒は改めてシャドウナイトを見た。

自分とさほど変わりなかった一夏の身長が変身と共に見上げる程に高くなっている。

 

「い、一夏…………なんだな?」

 

箒は確認する様に問いかける。

 

「ああ。今は変身してシャドウナイトだ」

 

「シャドウ………ナイト…………?」

 

箒が不思議そうにその名を呟く。

すると、

 

「一夏!」

 

「一夏さん!」

 

「兄さん!」

 

鈴音、セシリア、マドカの3人が駆け寄ってくる。

 

「い、一夏!? 何なのそれ!? 背まで大きくなってるじゃない!?」

 

「一夏さん…………不思議ですが、その姿も凛々しくて格好いいですわ」

 

「兄さん…………それが話に聞いていた変身という奴か?」

 

それぞれが問いかける。

 

「皆も無事だったみたいだな………良かった……………」

 

3人が無事だったことにホッとしたのか、シャドウナイトは優しい笑みを浮かべる。

 

「「!?」」

 

それを見た鈴音とセシリアは顔を真っ赤にした。

 

「………………この2人、チョロ過ぎるにも程があるだろ?」

 

その様子を眺めていたホワイトハートが呆れた様にそう呟いた。

すると、

 

「一夏…………」

 

千冬が歩み寄ってくる。

 

「千冬姉……………」

 

「………この部屋を無茶苦茶にしたのは非常時故とやかくは言わんが……………まあ、その…………何だ…………? 立派になったな…………」

 

シャドウナイトの姿を見て、千冬はそう言った。

 

「千冬姉………!」

 

シャドウナイトは嬉しそうな笑みを浮かべる。

 

「ああ! 今の俺は、ホワイトハートの守護者、シャドウナイトだからな!」

 

そう宣言した。

 

 

 

 

 

一方、アリーナに居たバーニングナイト達は、ジュヌーンを追い詰めていた所だった。

ジュヌーンも武器を展開して反撃しようとしていたが、即座に断ち切られ、全ての武器を失っていた。

 

「さあ、観念するんだな」

 

バーニングナイトは静かに言い放つ。

 

「くっ………こんな所で…………!」

 

ジュヌーンは悔しそうに歯ぎしりをするが、一向に降参しそうにない。

バーニングナイトは、やれやれと溜息を吐くと、次の一撃でISを強制解除に持っていくことを決める。

 

「これで終わりだ…………!」

 

バーニングナイトはそう言って飛び出そうと剣を構えた瞬間、

 

「おっと、そうはいかんな」

 

その言葉と共に、閃光が降り注いだ。

 

「何っ!?」

 

閃光はバーニングナイトの前方に降り注ぎ、砂煙を巻き上げ一瞬視界を塞ぐ。

砂煙が晴れた時、変身したマジェコンヌがジュヌーンを掴みながら空中に佇んでいた。

 

「「「マジェコンヌ!?」」」

 

バーニングナイト、パープルハート、ネプギアの3人が同時に叫ぶ。

 

「悪いがこいつは返してもらうぞ」

 

マジェコンヌはそう言うと指を弾く。

その瞬間、アリーナの地面が爆発したかと思うと、そこから3体の空中を泳ぐクジラのようなモンスター、『ホエール』が現れた。

 

「お前達はそいつらと遊んでいるといい! ハーッハッハッハ!!」

 

マジェコンヌは高笑いを響かせながら飛び去る。

 

「クッ…………ネプテューヌ! ネプギア!」

 

バーニングナイトは悔しそうな顔をしながらも2人に呼びかける。

 

「ええ! 分かってるわ!」

 

「先にモンスターを倒さないと!」

 

2人もやるべきことは分かっている。

バーニングナイトは剣に炎を宿らせると、

 

「フレイムアサルト!」

 

ホエールに炎の乱撃を加えた後、一気に斬り抜ける。

 

「クロスコンビネーション!」

 

パープルハートは刀剣による乱撃を加えた後、切り上げと共に空中に打ち上げると、それを飛び越して一気に叩き落す。

 

「ミラージュダンス!」

 

ネプギアも踊る様な動きで斬撃を加えていき、ホエールを切り刻んだ。

3体のホエールは粒子になって消える。

しかし、その時にはマジェコンヌは既に空の彼方に消えていた。

 

「マジェコンヌ…………!」

 

バーニングナイトは厳しい眼で空を見上げたのだった。

 

 

 

 

 

 




第20話です。
今回はバトルと言うか、一方的な蹂躙で終わりました。
次回はラウラの処遇。
はたして………?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。