超次元インフィニット ネプテューヌ・ストラトス   作:友(ユウ)

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第23話 女神の思い出(メモリアル)

 

 

 

「今11時でーす! 夕方までは自由行動! 夕食に遅れないように旅館に戻ること! いいですねー!?」

 

「「「「「「「「「「は~~~~~~い!!」」」」」」」」」」」

 

真耶の呼びかけに、生徒達が答える。

我先にと砂浜に駆けだす。

7月の太陽が照りつけ、目の前には青い海が広がる。

臨海学校1日目は終日自由行動だ。

生徒達は持参した水着を着て、はしゃぎ回る。

 

「なかなかいい場所だな………」

 

「おう、海も砂浜も綺麗だ」

 

紫苑と一夏は海パン姿で浜辺を眺める。

すると、

 

「シオーン!」

 

ネプテューヌが手を振りながらゲイムギョウ界の面々+ラウラを含めた専用機持ち達と共に紫苑達の方へ歩み寄ってくる。

彼女達は先日の買い物で購入した水着を着用していた。

 

「来たか………さて、何して遊ぶ?」

 

紫苑がそう聞くと、

 

「お~い! おりむ~! つっきー! かんちゃ~ん! ビーチバレーしようよ!」

 

クラスメイトである本音(何故か着ぐるみを着て)が手を振りながら紫苑達に呼びかけてきた。

他のクラスメイトもバレーボールを持ってアピールしている。

紫苑達は他のメンバーに意見を伺うように横を向くと、

 

「いいよー! やろうやろう!」

 

ネプテューヌは大いに賛成し、

 

「私はロムとラムの面倒を見るから遠慮するわ」

 

ブランはそう言ってロムとラムの方に着く。

結局、プラネテューヌ組と翡翠、簪、シャルロット、ラウラ、アリンはビーチバレーに。

ルウィー組と箒、セシリア、鈴音、マドカ、エミリは他の遊びをすることになった。

ビーチバレーは、とりあえずローテーションを組むことにして、最初にコートに立ったメンバーは、紫苑、ネプテューヌ、アリンであった。

相手チームは本音と谷本 癒子、岸原 理子だ。

 

「フッフッフ………7月のサマーデビルと呼ばれた私の実力を見よ!」

 

そう言ってサーブを放つのは癒子だ。

自称なのだろうが、自分で言うだけあって中々の強烈サーブを放つ。

 

「なんのっ!」

 

そのボールにアリンは反応し、横っ飛びでそのボールを拾う。

 

「ナイスだアリン!」

 

紫苑はアリンが上げたボールに向かって助走をつけて跳び、背の低さをカバーする程のジャンプ力でアタックを打つ。

そのボールは本音に向かって飛んでいき、

 

「あわわわわわわわわ………!? えい!」

 

狼狽えた本音が適当に突き出した手に当たって丁度いいレシーブになった。

そこに走り込んできたのは理子。

 

「アターーーック!!」

 

お返しとばかりに強烈なスパイク。

そのボールはネプテューヌの真正面だったのだが、

 

「ふぎゃっ!?」

 

目測を間違えたのか思った以上にボールが伸びたのか、ボールはネプテューヌの顔面にヒットする。

砂浜に倒れたネプテューヌに紫苑とアリンが駆け寄り、

 

「大丈夫か、ネプテューヌ?」

 

「何やってんのよアンタ?」

 

そう声を掛ける。

 

「あいたたたた………もー、よくもやったなーっ!」

 

仕返しに燃えるネプテューヌ。

 

「シオン! 次は私に上げて!」

 

そう言うと、ネプテューヌは次のボールに備える。

再び癒子がサーブを放つ。

 

「ッ…………!」

 

それを今度は紫苑が真正面からレシーブし、ネット際に上げる。

 

「今度は私がっ!」

 

そのボールを狙って駆け込んでくるネプテューヌ。

 

「フッ………させないよ、ネプテューヌちゃん」

 

しかし、ネットの向こう側ではブロックの為に理子が待ち構えていた。

そして、ネプテューヌのジャンプに合わせてブロックに飛ぼうとして、

 

「へっ?」

 

ジャンプと同時にネプテューヌが光に包まれる。

ジャンプの頂点に達すると同時にその光が消えると、

 

「はぁああああああああああああっ!!」

 

水着を身に纏ったパープルハートが強烈…………というより殺人的な威力を持つスパイクを放った。

そのボールは3人がピクリとも反応できないスピードで3人の間を通過し、文字通り砂浜に突き刺さる。

その際の衝撃で大量の砂が巻き上げられ、相手側コートから後方にいた生徒達が砂まみれとなった。

 

「フッ…………」

 

パープルハートは前に垂れてきた髪を手で後ろに流すとドヤ顔を決める。

因みに相手の3人は青い顔をして固まっていた。

すると、

 

「何やってるんだお前は!?」

 

パープルハートの後頭部を、紫苑が鞘に入った刀をコールしてそのまま叩く。

 

「あいたっ…………!? 何するのよ………?」

 

パープルハートは後頭部を抑えながら紫苑に振り返ると、

 

「ただの遊びで女神化するな! 下手したら怪我じゃすまないんだぞ!」

 

「だ、大丈夫よ…………ちゃんと手加減はしたし…………」

 

パープルハートは紫苑が真面目に怒っていると分かるとそう言い訳を始める。

 

「あれでか!」

 

紫苑はものの見事にクレーターとなっている相手コートを指差す。

 

「あはは…………」

 

パープルハートは乾いた笑いを零す。

パープルハート………もといネプテューヌはペナルティとして、暫く太陽に熱せられた砂浜で正座することとなった。

 

 

 

 

一方、ブランやロム、ラムたちは砂浜で思い思いの砂像を作っている。

ロムやラムは簡単な砂の山にトンネルを掘る程度なのだが、ブランは何気にクオリティーの高い砂の城を作っていた。

フィナンシェやミナはパラソルや飲み物を用意して駆けまわっており、一夏も箒達と一緒に海水浴を楽しんでいた。

 

 

 

楽しい時間は早く過ぎるもので、あっという間に夕方となり、宿泊する旅館へと戻ってくる。

夕食が終わり、温泉に入ろうと一夏と紫苑は部屋を出た。

因みに紫苑と一夏、春万は同じ部屋で千冬の部屋の隣なので、女子達も迂闊に近寄れない。

温泉には一夏が春万も誘ったのだが素気無く断られて2人で温泉に向かった。

2人が廊下を歩いて温泉に向かう曲がり角を曲がって見えなくなると、

 

「行ったね………」

 

「行ったわね………」

 

ネプテューヌとブランが襖からひょっこり顔を出して確認する。

すると、コソコソと廊下を移動し、とある部屋の中に入った。

そこは、

 

「やっほー、来たよチフユ!」

 

「何の用………?」

 

千冬に宛がわれている部屋だった。

2人は千冬に呼ばれていたのだ。

更に、

 

「あれ? 皆も居るの?」

 

ネプテューヌが首を傾げながらそう言う。

そこには、箒、セシリア、鈴音、シャルロット、ラウラ、翡翠、簪、マドカ、アリン、エミリがいた。

 

「おう、来たか。お前達も座れ」

 

そう言われて2人は床に座る。

すると、千冬はまず2人にジュースを進めた。

そして千冬は缶ビールを煽り、

 

「ぷはーーーーっ! ……………さて、本題に入るが、私が聞きたいのはあいつらとお前達の馴れ初めだ」

 

「ねぷっ!?」

 

「馴れ初め…………?」

 

「「「「「「「「「ッ!?」」」」」」」」」

 

千冬はネプテューヌとブランに向かってそう言う。

『あいつら』とは一夏と紫苑の事だというのは簡単に予想できる。

その言葉にはその場に居た箒達も反応を示した。

 

「大まかな流れは私も一夏から聞いたが、肝心のお前達との関係ははぐらかされて詳しくは聞いていない。私も姉として弟の馴れ初めには興味がある。ネプテューヌと月影については序だ」

 

「序って…………」

 

千冬の言葉にネプテューヌも脱力する。

 

「お前達も興味あるだろう?」

 

千冬はそう言いながら箒達に同意を求めると、

 

「「「「「「「「「聞きたいです!!」」」」」」」」」

 

全員一致で頷いた。

 

「………という訳だ」

 

千冬は再び視線をネプテューヌとブランに戻す。

 

「まあ、良いけど…………ゲイムギョウ界じゃ散々記事に取り上げられたし」

 

「同じく」

 

2人はそう言うと、

 

「じゃあ、時系列的に私からかな?」

 

ネプテューヌがそう言うと、翡翠、シャルロット、ラウラ、簪、アリンが佇まいを直して意識を集中する。

 

「私とシオンの出会いは今から大体3年ともうちょっと前だったかな…………いーすんから近くの遺跡で妙なエネルギー反応を感知したって情報が来たから、私とネプギアとあいちゃんとこんぱで様子を見に行ったんだ。その遺跡の中で怪我をして気を失ってたシオンを見つけたの。すぐに病院に運んで治療をしたからすぐに目を覚ましたんだけど…………」

 

そこまで言うと、ネプテューヌは少し俯く。

 

「その時のシオンは酷く絶望していて、生きようって気力が無かったんだ…………」

 

「…………もしかしてそれって………」

 

ネプテューヌの言葉に翡翠が気付いたように聞くと、

 

「うん。その時のシオンはヒスイちゃんが死んだと思ったんだ。あんなに酷いシオンはその時だけだよ」

 

「お兄ちゃん……………」

 

「だけどね、それから1週間ぐらいした後、シオンは退院してウチの教会で保護することになったんだけど、その時にモンスターの襲撃があってシオンもその場に遭遇したんだ」

 

「「「「「ッ」」」」」

 

翡翠、シャルロット、ラウラ、簪、アリンが息を呑む。

 

「私もすぐに変身してその場に向かったんだけど、そこで見たのは女の子を護って戦うシオンだったんだ」

 

その言葉に驚いた顔をする一同。

 

「多分だけど、その女の事ヒスイちゃんを重ねて見てたんじゃないかな。その後すぐに私が介入してモンスターを全滅させたから幸い死者は無かったんだけどね」

 

その言葉にホッとする彼女達。

 

「でも、それがシオンが立ち直る切っ掛けになったんだ。護れなかったシオンが、女の子を護りきった。その達成感が翡翠ちゃんを護れなかった無力感を払拭してくれたんだよ」

 

すると、

 

「……………あの、ネプお姉ちゃん。その時、お兄ちゃんに何か言いませんでした?」

 

翡翠がそう聞くと、

 

「へっ? あ、う~ん…………そう言えば、犠牲者が出なかったのはあなたのお陰とか、その女の子を護ったのはあなたとか、あっ、それから、あなたが護ったことはこの私が認めてあげる、みたいなことも言ったかな。そうしたらシオンってば泣き出しちゃって…………それから存分に泣かせてあげたらすっきりしたかな」

 

「「「「「………………………」」」」」

 

その話を聞くと翡翠達が顔を見合わせる。

 

「あのお兄ちゃんが人前で大泣きした?」

 

「信じられんな…………」

 

「でも、人前で泣くって事はそれだけネプテューヌに心を許したって事じゃ………」

 

「あり得るわね…………」

 

コソコソと話し合う翡翠達。

 

「それから立ち直ったシオンをプラネテューヌで受け入れたんだ。シオンはそれから教会に依頼されてるクエストを熟してくれたりしてたんだよ」

 

「ほう………で? 肝心の2人の進展具合は?」

 

千冬は少し酔っているのか顔が若干赤い。

 

「私がシオンを初めて意識したのは多分あの時かな? マザコングの罠にはまって4人の女神が全員捕まっちゃったことがあったの。その時はネプギア達もまだ変身出来なかったから、本当に大ピンチだったよ~」

 

「確かに、あの時は私も流石に覚悟を決めたわ………」

 

ネプテューヌの言葉にブランも同意する。

 

「だけど、シオンは勿論、ネプギア達やあいちゃん、こんぱも私達を助けに来てくれたんだ。特にシオンは1日半も休まずに戦い続けてたの。その戦いの中でネプギア達も変身できるようになって、シオンが身の危険を冒してまで結界を破壊してくれたおかげで何とか助かったんだけどね。その時は自覚が無かったけど、シオンに惹かれ始めたのも多分その時」

 

ネプテューヌはそこまで言うと一旦言葉を区切り、

 

「でも、それからシオンは私と距離を置くようになったの」

 

「えっ? ど、如何して!?」

 

シャルロットがそう聞くと、ネプテューヌは少し考えるような仕草をして………

突然光に包まれ女神化した。

 

「ここからは少しシリアスな話になるから、こっちの姿で話させてもらうわ」

 

そのパープルハートの言葉に若干呆れる一同。

 

「私も後から聞いたんだけど、シオンはその時よりずっと前から私に好意を持ってたらしいわ。それに、私自身自覚は無かったけど、私からの好意にも気付いてた…………」

 

「えっ? その時には相思相愛だったって事? なら何で……………」

 

アリンの言葉にパープルハートは口を開く。

 

「シオンが私から離れようとした理由…………それは私達女神との力の差を思い知ったからなの」

 

「力の差………」

 

ラウラが呟く。

 

「シオンの当時の実力は、人間として相当なものだったけど、女神に敵うほどじゃなかったわ。シオンはそれを自覚して、足手まといになると判断したから私から離れようとした」

 

「そんな………」

 

簪が悲しそうに声を漏らす。

 

「その時にシオンと少し喧嘩しちゃって、部屋に閉じこもってた時にシオンがマザコングに誘拐されたの」

 

「「「「「「えっ!」」」」」」

 

「私は慌てて助けに行ったわ。自分でも信じられないぐらいに取り乱して…………その結果、私はあっさりと罠にはまってマザコングに捕まった」

 

「「「「「「ええっ!?」」」」」」

 

その事実に驚く一同。

 

「何とか動けなくなる前にシオンだけは何とか逃がせたんだけど……………私はそこで意識を失った………………聞いた話では、私は洗脳されて操られていたそうなの」

 

そこでパープルハートは軽く俯き、

 

「次に私の意識が目覚めた時………………それは私の剣がシオンの胸を貫いていた時だった…………」

 

「「「「「「なっ!?」」」」」」

 

皆は驚愕で絶句する。

 

「マザコングは私の洗脳を解く方法として、誰かの心臓を刺し貫くことを鍵としていたらしいの…………それを聞いたシオンが……………私を助けるために自分から剣を受け入れたと聞いたわ……………」

 

「ま、まて! それなら何故月影さんは生きている!?」

 

箒が慌てた様に問いかける。

 

「そ、そうですわ! 流石に月影さんが非常識だとしても、心臓を貫かれたら………!」

 

セシリアもその事実には狼狽えている。

 

「流石に死ぬでしょ!?」

 

鈴音も思わずストレートにそう言ってしまう。

 

「皆の言う通り、普通なら助からない筈だった。実際、シオンも死は覚悟していたらしいわ。でも、事切れる前に私に言ったの。『気に病む必要は無い』、『俺の命はお前の為に使うと決めていた』って…………それから……………私を『愛している』と……………」

 

その言葉に不謹慎ながらもその話を聞いていた者達は感動に近い感情を覚えた。

 

「その時に私も自覚したわ。私もシオンを『愛している』って……………失ってから気付いた私は………酷い喪失感に襲われた…………何も考えられなくなった私は、シオンを愛しているせめてもの証として、シオンに口付けをしたわ」

 

パープルハートは自分の唇を指差しながらそう言う。

その言葉に、十代女子達は頬を赤らめた。

 

「だけど、その時に偶然にもシオンが守護者となる条件を満たしたの。そしてシオンは蘇った。(パープルハート)の守護者、バーニングナイトとして」

 

その言葉を聞いて、みんなはホッとしていた。

 

「それからいーすんに守護者の事を調べてもらって、女神を護る騎士であり伴侶である事を知ったの。それからはずっと一緒に暮らしてたわ」

 

そこまで言うと、パープルハートは光に包まれネプテューヌに戻り、

 

「私の話はこんな所かな!」

 

雰囲気の落差が激しい言葉でそう言った。

すると、

 

「次は私ね………」

 

ブランの言葉に気を引き締めるのは、箒、セシリア、鈴音、エミリ、マドカ。

千冬もネプテューヌの話よりかはやや興味深げに体勢を変えた。

 

「イチカがゲイムギョウ界に来たのはシオンよりも大体1年遅れ………今から大よそ2年前ね。私がパトロールで国の周辺を見て回っていた時に、イチカが雪原の中で倒れているのを発見したの。私はすぐに保護して病院へ連れて行ったわ。酷い怪我も無かったし、すぐに退院して教会で保護することになったわ…………シオンみたいに精神を病んでたわけじゃなかったし、見知らぬ場所で不安そうにしてたけど、割とすぐに打ち解けてくれたわ」

 

「あいつは少し馴れ馴れしいが、人付き合いは上手い奴だからな」

 

千冬はそう評する。

 

「イチカもシオンと同じようにクエストを受ける様になったわ。当時のイチカは一般人よりも多少腕が立つ程度だったから簡単なクエストばかりだったけど…………それでもイチカはクエストを熟して人からお礼を言われることに喜びを感じていたわ。いえ、人から認められた事が嬉しかったのかしら」

 

「ッ………………」

 

その言葉を聞くと千冬はやや俯く。

 

「イチカがこっちの世界に居場所を感じなかったのは、誰にも認められなかったから。本来なら、それはあなたが作ってあげなければいけない筈だった」

 

「………………その通りだ」

 

「でも、あなたはイチカの双子の弟と比べるばかりでイチカ自身を認めてあげなかった。あなたにはそんなつもりは無かったのかもしれないけど、イチカの心は擦り減っていたわ」

 

「……………………面目ない」

 

「それでもルウィーの人々との触れ合いでイチカの心は癒えていったわ。そう言えばその頃だったかしら、イチカがシオンと出会ったのは」

 

「月影と…………」

 

「イチカとシオンは言わば理想主義者と現実主義者。水と油ね。初めて会った当初からイチカはシオンに決闘を申し込んだわ。結果は言うまでもなく惨敗だったけど…………」

 

「一夏…………」

 

箒がややゲンナリする。

 

「でもイチカは折れなかったわ。その後も特訓に特訓を重ねて何度もシオンに挑んだわ。私がイチカに惹かれだしたのもその頃からかしら? その時はまだ危なっかしくて放っておけないって気持ちが強かったと思うけど…………」

 

「フフッ………一夏らしいわね」

 

鈴音が微笑む。

 

「それがずっと続いて、いつの間にかイチカがシオンと仲良くなって、武器を大剣に持ち替えて、修業を私やフィナンシェ、ミナが支える様になって。4人で居るのが当たり前になった頃…………ルウィーが突然変異で誕生した強力なモンスターに襲われたわ………」

 

「「「ッ!」」」

 

箒、セシリア、鈴音の3人が気を張り詰める。

 

「当然私や、ロム、ラムも応戦した。でも、そのモンスターは女神でも一筋縄ではいかない相手だった。更に周りを護りながら戦う私達は、更に苦戦を強いられたわ」

 

「その時に私やシオン、他の女神達にも救援要請が来て慌てて向かってたけど、到着までにもう少し時間がかかったんだよね」

 

ネプテューヌがそう補足する。

 

「そんな時、私は一瞬の油断から致命的な攻撃を受けそうになったわ。だけど、そんな私をイチカが庇って代わりに重傷を負った」

 

「「「「「ッ!?」」」」」

 

この事実には以前に少しは聞いていたとはいえ、箒や千冬、マドカも動揺する。

 

「イチカの傷は致命的だった。回復魔法も僅かな延命措置にしかならなくて、イチカの死は目前に迫ってた。その時よ、イチカが私に好きだと告白してきたのは………そしてその時初めて自覚したわ。イチカを失う事の恐怖を。イチカがいつの間にか私にとって無くてはならない存在になっていたという事を。だから私もその場で答えを返した。私もイチカが好きだと。それを聞いたイチカは満足そうに息を引き取ろうとしてたわ……………だけど私はそれを許さなかった。イチかバチかでイチカを守護者にするために私がイチカの胸を貫き、その場で口付けをした。結果は知っての通り、イチカは(ホワイトハート)の守護者、シャドウナイトとなって蘇った。それでイチカの力もあってモンスターを撃破することが出来たわ。それからそのすぐ後ね、フィナンシェとミナがそれぞれイチカに告白したわ。イチカは最初は断ろうとしたみたいだけど、私は出来れば受け入れて欲しかったから、ちゃんと考える様に言ったわ。イチカは悩んでたみたいだけど、最終的にはフィナンシェとミナも受け入れた…………と、こんな所かしら」

 

ブランが話し終える。

 

「なるほど…………」

 

千冬が神妙な表情でやや俯く。

 

「想像以上にお前達は繋がっているのだな…………」

 

そう呟く千冬。

 

「感謝する。お陰で有意義な話を聞けた」

 

そう言うと、

 

「もうすぐ就寝時間だ。それぞれは部屋に戻れ!」

 

表情を引き締めて教師としての言葉でそう指示した。

全員が出て行ったあと、千冬は窓から外を眺める。

 

「一夏…………お前は幸せなのだな…………」

 

半分は嬉しそうに。

半分は寂しそうに。

千冬はそう呟いた。

 

 

 

 




第23話です。
本当なら福音接敵まで行きたかったけど思い出話が長くなったので一旦切ります。
次回こそ福音戦まで行きます。
それでは。
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