超次元インフィニット ネプテューヌ・ストラトス 作:友(ユウ)
ラウラは1人海岸で佇んでいた。
その視線の先には変身した紫苑達や、ISの専用機を纏って空を飛び行くシャルロット達。
「………………………」
ラウラは無意識に右の拳を握り込んでいた。
ラウラはVTシステムの責任を負わされ、国から国外追放を受けると共に専用機であるシュヴァルツェア・レーゲンも取り上げられたので、皆と共に行くことが出来なかった。
「……………共に行けない事が、こんなにも悔しい事だったとはな……………」
初めての友人であるシャルロット。
そして初恋の相手である紫苑。
彼らと共に戦いの場に向かえないことが、今のラウラにとって堪らなく悔しかった。
「ラウラ」
後ろから声が掛けられる。
「教官………」
ラウラは声で誰から声を掛けられたのか判断し、振り返りながら返事をする。
そこにいたのは予想通りの千冬。
ただ、千冬にとってその振り返ったラウラの表情が、まるで捨てられた黒ウサギの様に寂しげだったことに気付いた。
「一緒に行けなかった悔しさは………まあ、分からんでもない…………だが、待つ者にも役目はある」
「役目………ですか?」
「そうだ。例えば…………帰ってくる者を笑顔で出迎える………などだな」
千冬の少し不器用なフォローにラウラは失礼と思いながらも笑ってしまう。
「フフッ……………そうですね……………ありがとうございます、教官………」
「ンンッ! さあ、指令室に戻るぞ。あいつ等をサポートしてやらねば」
照れなのか少し頬を赤くしたのを誤魔化すように咳払いすると、千冬は背を向けてそう呼びかける。
「はいっ!」
ラウラは幾分か軽くなった足取りで千冬の背を追いかけた。
シャドウナイトに変身した一夏は、皆と共に箒達の所へ向かいながら通信機で箒に呼びかけ続けていた。
「箒! 聞こえるか!? 俺だ! 一夏だ! 無事か!?」
その呼びかけに通信機から何度かノイズが聞こえた後、
『……………い、一夏…………』
力無く返事が返ってきた。
「箒! 無事か!?」
シャドウナイトが強く聞き返すと、
『は、春万が…………ああっ…………一夏………早く………』
箒は酷く怯えた様子で取り乱していることが伺える。
「箒! すぐ行く! 待ってろ!!」
箒の声の様子からただ事でないと判断したシャドウナイトは通信を打ち切り、1秒でも早く辿り着くために全速で飛行する。
「くっ………箒………春万………無事でいろよ………!」
約1分ほどでシャドウナイト達は現場へと到着する。
そこには呆然と空中に棒立ちする箒の姿。
「箒!」
シャドウナイトが箒に声を掛ける。
すると、
「ッ!? い、一夏っ…………!」
箒はハッとなってシャドウナイト達に気付くと、一目散にシャドウナイトの胸へと飛び込んだ。
「一夏………一夏っ…………」
箒は肩を震わせて怯えた態度を見せる。
シャドウナイトの胸に飛び込んだ時にはセシリアや鈴音は何か言いそうになったが、いつも強気な箒がまるで小動物の様に怯えている姿を見て、何も言えなくなってしまった。
「もう大丈夫だ箒…………何があったんだ? 春万は?」
シャドウナイトは箒を安心させるように優しい声色で問いかけた。
箒は目尻に涙を溜めながらも振り返り、とある方向を指差した。
そこには…………………
「ほらぁっ! もう終わりぃ!? もっともっといい声で鳴きなさいよぉ!」
「あぐっ! いぎっ!? げはぁっ!?」
空中に円陣を発生させ、そこに春万を這いつくばらせ、その背をヒールで踏みつけている菫色の髪の女性。
当然ながら春万のISは既に強制解除されている。
「は、春万!?」
鈴音が声を上げる。
「あら………?」
その声が聞こえたのかその女性はゆっくりとシャドウナイト達の方を見上げ、
「………………あはっ!」
最高に妖艶な笑みを浮かべた。
すると、今まで踏みつけていた春万から完全に興味を無くし、その視線はある1人に集中していた。
そして、
「あははははははははははっ!!」
高笑いを響かせながら円陣を蹴って一直線にその人物に向かって飛ぶ。
そのままその手に剣を具現化させる。
そのスピードに専用機持ち達は反応できない。
「あ、やばっ!」
シャドウナイトがそう言いながら前に飛び出すが、彼は向かって来る女性を素通りして円陣が消えて海へ落下していく春万を追いかける。
そのままその女性は彼女達の間を通り抜けると、
「あはぁっ!」
まるで快感を感じるような喜びの声を上げながらその剣でバーニングナイトの胸を貫いていた。
「しっ、紫苑っ!?」
「紫苑さんっ!?」
「お、お兄ちゃぁぁぁぁん!!」
一瞬遅れてその事実に気付いたシャルロット、簪、翡翠が悲鳴のような声で叫んだ。
「う、嘘………紫苑………?」
「つ、月影さん………」
「紫苑がやられた………?」
鈴音やセシリア、マドカも呆然とした。
「……………ッ! よくも紫苑をっ!!」
シャルロットが涙を浮かべながら怒りの表情でその女性に攻撃しようとアサルトライフルを向けようとして、
「待って…………!」
パープルハートに手で制された。
「ネプテューヌ!? 何で!?」
シャルロットが何故止めるのかと問いかけるが、パープルハートは黙ってその女性とバーニングナイトを見つめ続けた。
すると、その女性は菱形の結晶体を取り出し、口に含み、
「ウフフ…………これでシオン君はア・タ・シ・の・モ・ノ…………!」
そう言ってバーニングナイトの唇に口付けた。
「「ああっ!!??」」
それに激しく反応するシャルロットと簪。
「「「「えええっ!!??」」」」
突然の口付けに驚愕する翡翠、セシリア、鈴音、マドカ。
その瞬間、バーニングナイトがその女性ごと激しい炎に包まれる。
「えっ!? 何っ!?」
「何が起きたの!?」
その光景に驚愕する専用機持ち達。
やがてその炎が収まると、バーニングナイトの姿が変わっていた。
今までは赤を基調として主に白の縁取りとラインが入った紅蓮の炎をイメージさせるプロテクターだったのだが、黒と金を基調とし、白の縁取りとラインが入った、更に力強い炎をイメージさせるプロテクターとなっていた。
更に背部には翼とは別に非固定部位のブースターが追加されている。
すぐ傍には菫色の髪の女性が何事も無かったかのように佇んでいた。
「えっ? 紫苑?」
「何が起きたの?」
シャルロットと簪が驚きながら声を漏らす。
「……………いきなりだなプルルート」
バーニングナイトがそう零す。
すると、パープルハートは溜息を吐き、
「ちょっとぷるるん! 確かにシオンを守護者にすることは認めたけど、いくら何でもいきなり過ぎじゃないかしら?」
「「「「「え?」」」」」
突然知り合いに声を掛ける様に話しかけたパープルハートに専用機持ち達は驚きの声を漏らした。
「あらねぷちゃんも居たのねぇ~。ゴメンねぇ~、シオン君の姿を見たらぁ、どうしても我慢できなくなっちゃってぇ~」
うっとりするような顔でそう語る女性。
「プルルートさん………いくら何でもいきなり過ぎです………」
ネプギアも少し引き気味にそう言う。
「ギ、ギアちゃん? この人と知り合いなの?」
翡翠が驚きながらネプギアに訊ねる。
「あ、うん。彼女はプルルートさん。私達とは別次元のプラネテューヌの女神で、その………お兄ちゃんの2人目のお嫁さん候補………だったんだけど、たった今正式なお嫁さんになっちゃったのかな………」
「別次元…………? っていうかお兄ちゃんのお嫁さんっ!?」
ネプギアの言葉に翡翠が驚愕する。
「そ、それって、話に聞いてた楯無さんの前に2人目が居るって言う例の………」
シャルロットも続けて訊ねる。
「うん、そうだよ」
ネプギアが肯定する。
「こ、この人が…………?」
プルルートの変身した姿であるアイリスハートを見て簪も驚愕している。
すると、
「ねぷてぬ~! ぱぱ~!」
アイリスハートとは別の声が響いた。
「えっ? きゃっ!?」
パープルハートが突然抱き着かれて軽い悲鳴を上げる。
「ねぷてぬ~!」
「ピ、ピー子!?」
抱き着いてきたのは明るい黄色の髪を靡かせた女性。
「な゛ぁっ!?」
何故か彼女の登場に驚いた声を上げたのは鈴音だった。
「ピーシェもいたのか」
バーニングナイトも軽く驚いた声を上げる。
因みにその際、ピーシェもといイエローハートが福音の操縦者である女性をその手にぶら下げていたのだが、パープルハートに抱き着く際にまるで子供が興味を無くした玩具を放り投げるが如くポイッと捨てられていたので、ミナが落ち着いて回収していた。
「ぱぱ~!」
パープルハートに続いてバーニングナイトの腕にも抱き着くイエローハート。
「その姿でパパ呼ばわりは色々と拙いからやめてくれ」
反対の手で頭を抱えながらそう漏らすバーニングナイト。
すると、
「ね、ねえ紫苑…………?」
シャルロットがおずおずと問いかけてきた。
「何だ?」
「…………私も、『パパ』って呼んだ方がいい………?」
とんでもない質問をするシャルロット。
「何かとんでもない勘違いを起こしている様だが、俺にそんな趣味は無いからな!」
その言葉に強く否定する。
「で、でも………」
シャルロットはそう言いながら未だにニコニコと抱き着いているイエローハートに視線を向ける。
「その理由はコイツの元の姿を見れば納得するから暫く待ってろ!」
場が混乱してきた他所で、
「あ~、千冬姉。聞こえる?」
『一夏か!? 無事か!? 福音は!?』
シャドウナイトが千冬に通信を繋げると、千冬が心配だったのか次々に捲し立てる。
「え~っと………一先ず箒と春万は無事です。それから福音の操縦者も確保しました」
『そうか………とりあえずは一安心だな』
千冬がホッと息を吐く。
だが、
「あと、それからゲイムギョウ界の知り合い2人と遭遇しました」
『何っ!?』
その言葉に驚愕する千冬。
「その2人は女神だったので、偶々遭遇した福音を撃墜したのもその2人です」
『はぁっ!?』
「と、言う訳で今からその2人を連れてそちらに向かいますね」
『……………ま、まあ色々と突っ込みたいところはあるが、一先ずは了解した。話は戻ってきた所で聞こう』
「了解」
シャドウナイトが通信を終えると、
「何よあの胸! アタシに喧嘩打ってるの!?」
鈴音がイエローハートの巨乳を睨み付けながら獣の様に威嚇していた。
元の海岸に戻ると、そこには千冬、真耶、ラウラが待っていた。
出発する時とは姿が変わっていたバーニングナイトに多少驚きはしたが、すぐにアイリスハートとイエローハートの話へと切り替わった。
「あ~、お前達が一夏達の知り合いでいいのか?」
千冬がそう尋ねると、
「ええ、そうよ~。アタシはプルルートって言うの~。今はアイリスハートだけど~」
妖艶な雰囲気で自己紹介するアイリスハート。
「ッ…………」
「ひぅっ………!」
その雰囲気に千冬は冷や汗を流し、真耶は怯えた仕草をする。
「ぴーだよ!」
そんなアイリスハートとは対照的に元気で明るい声で自己紹介するイエローハート。
短すぎる上に名前を全部言ってないのであんまり自己紹介にはなっていないが。
「とりあえずお前らは元の姿に戻れ。山田先生なんかビビりまくってるだろ」
紫苑がそう言うと、
「はぁい」
アイリスハートが相変わらずの柄妖艶な笑みで返事をして、
「あいっ!」
イエローハートは元気よく返事をする。
すると2人が光に包まれ、アイリスハートは少し小さくなった時点で縮小は止まったが、イエローハートはどんどんと小さくなり5歳児程度の身長まで小さくなる。
そして、
「あたし~、プルルート~。あらためて~、よろしくね~」
超ドSの女王様な性格がほんわかのんびりした性格になったプルルートと、
「ぴーはぴーだよっ!」
性格は変わらないが鈴音が戦慄した巨乳でスタイル抜群だったイエローハートが5歳児程度への幼女に変化した。
「「「「「「「「ええ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っ!!??」」」」」」」
その光景に、彼女達を知らない地球組は思わず驚愕の声を上げたのだった。
第25話です。
さて、皆さんが予想した通りのお2人の登場です。
んでいきなりのアイリスハートの
羨ましいと思うか遠慮したいと思うかはあなた次第。
ちょいと中途半端ですがご勘弁を。
では、次も頑張ります。