超次元インフィニット ネプテューヌ・ストラトス 作:友(ユウ)
「現状を説明する!」
短時間で情報を纏めた真耶に代わって千冬が声を発する。
「現在海上から航空戦力が、陸からも地上戦力が接近している。奴らはこの旅館を中心に半円を描くように包囲を狭めてきている。相手はゲイムギョウ界のモンスターだ。織斑兄や月影兄たちの方が詳しいだろう。対策はあるか?」
千冬に話を振られ、紫苑達は少しの間思案すると、
「ここがゲイムギョウ界であったならモンスターの群れを率いているボスモンスターを倒せば手っ取り早いんだが…………」
紫苑は最初にそう言うと、
「え? だったら一夏達でそのボスを倒しちゃえばいいんじゃないの?」
鈴音がそう提案する。
「いや、それはダメだ。ボスを倒すと群れは散り散りになって逃げだす。ここがゲイムギョウ界であるなら野生のモンスターに戻るだけなんだが、こっちで野生化したら何も知らない人達が襲われて犠牲が出るかもしれない」
一夏がその案に対する反対意見を述べる。
「あ、そっか………」
その事を失念していた鈴音がガッカリしたように案を引き下げる。
「可能ならモンスターは全滅させておきたい。かなり厳しいが、ここにいるメンバーの力があれば不可能では無いと思ってる。もちろん、お前達専用機持ち達の力も含めてだ」
紫苑の言葉に専用機持ち達が顔を見合わせる。
「わたくし達も………ですの?」
セシリアが問いかけると、
「ああ。モンスターが俺達を標的として集中的に狙ってくれるのなら負ける気は無い。だが、いくら負けないとは言っても、大規模な群れを俺達だけで完全に食い止めることが出来るかと言われれば流石に難しいと言わざるを得ない。だから、俺達が撃ち漏らした敵をお前達で倒して欲しい」
「だが、ISでそのモンスター達に対抗できるのか?」
箒が心配そうにそう言うと、
「いや、それは大丈夫だろう」
マドカがそう言った。
「以前、私やセシリア、鈴がモンスターと戦ったときには、問題なく戦えていた。あのマジェコンヌという女には不覚を取ったが、殆どのモンスターには苦戦はしなかった」
「マドカの言う通りだ。基本的にゲイムギョウ界のモンスターにはランクがある。最も数が多い雑魚モンスター。こいつらは基本的に腕の立つ人間が生身で倒せるレベルだ。ゲイムギョウ界に飛ばされたばかりの俺が怪我をしながらも勝てるぐらいだな。その上に危険種と呼ばれるモンスターがいる。こいつは腕の立つ人間が4人ぐらいのパーティーを組んで何とか倒せる相手だ。ISでも油断してるとやられるから注意する様に。さらにその上の上位危険種はISが複数で戦って勝てるかどうかという相手だ。もし接敵したら無理に倒そうとはせずに俺達女神の力を持つ者の誰かを呼べ。あと、稀に接触禁止種や超接触禁止種がいるが、そいつらに会ったら一目散に逃げろ。そいつらは俺達でも苦戦する相手だ」
「「「「「…………………!」」」」」
その言葉にゴクリと唾を呑み込む専用機持ち達。
「まあ、接触禁止種なんて滅多に出てくる相手じゃないし、超接触禁止種は更に確率が低い。もしいたとしても優先的に倒すようにするからそう心配する必要は無いさ」
紫苑が安心させるようにそう言う。
すると、
「それで、作戦は如何する?」
千冬がそう聞くと、
「基本的に俺とネプテューヌ、プルルート、ピーシェ、一夏、ブランでかき回して、ネプギア、ロム、ラム、フィナンシェとミナで数を減らす。それでも撃ち漏らした敵を専用機持ち達に担って貰う。というのがベターですかね。敵が包囲する様に迫ってくるのでそれに合わせてこっちも戦力を分担しなければいけないのが痛い所ですが………」
「だが、方法は他にあるまい。こちらの勝利条件は敵の全滅。被害を抑えるためにも戦力の分担は必要だ」
「分かってはいるんですけどね………………もう1人女神が………いや、戦姫レベルが居てくれたら大分楽にはなると思うんですけど…………」
言っても仕方ないとは分かっていても思わず愚痴る紫苑。
すると、ちょんちょんと脇腹を小突かれた。
「ん?」
紫苑が振り向くと、
「シオン………」
ネプテューヌがある方向を小さく指を指した。
そこには、
「……………!」
何かを我慢する様に俯くラウラの姿。
「ラウラちゃん、さっき私達が出ていく時にもあんな顔してたんだ………きっと一緒に戦えないことが悔しいんだと思う………」
「…………………お前が言いたいことは分かったが…………本当にいいのか?」
「うん。ラウラちゃんも不器用なだけでシオンが大好きな事には変わりないし。私もラウラちゃんを好きになったからね。後はシオンの気持ち次第!」
そう言ってニコッと笑って見せるネプテューヌ。
「………………………ふう。後で刀奈に謝らないとな」
紫苑なりに決心をする。
そして皆が出撃準備に入ろうと立ち上がりだした時、
「あ~、皆。すまないが俺は少し遅れる」
紫苑は皆にそう呼びかける。
「「「「「「「「「「え?」」」」」」」」」」
突然の言葉に声を漏らす一同。
「紫苑? どうして?」
シャルロットが尋ねると、
「まあ………その、な…………」
紫苑は言葉をはぐらかしながらラウラに視線を移す。
その意味を一夏は正しく悟った。
「そういう事か…………分かった。お前達が到着するまで何とか持たせるから急いでくれよ」
一夏はそう言って納得する。
「善処する」
紫苑はそう答えた。
「決まりだね!」
ネプテューヌはそう言うと光に包まれパープルハートに変身する。
そしてラウラに歩み寄ると、
「ラウラちゃん………」
「ネプテューヌ?」
ラウラがパープルハートを見上げながら声を漏らすと、
「ラウラちゃん、あなたをパープルハートの名の下にシオンの戦姫として認めるわ」
そう宣言した。
「えっ?」
意味が分からなかったラウラは声を漏らした。
「あ~、そういうこと~!」
プルルートが分かったと言わんばかりに納得の声を上げると、パープルハートと同じように光に包まれ、アイリスハートに変身した。
「ウフフッ、アタシはまだ会ったばっかりでラウラちゃんの事は良く知らないけどぉ、ネプちゃんの見る眼を信じてるし~、何よりもシオン君が選んだ娘だから認めてあげる~」
妖艶な笑みを浮かべながらアイリスハートはそう言った。
するとパープルハートが皆の方に向き直り、
「さあ、時間も少ないわ! 皆、行くわよ!」
今までの流れを理解した者も理解していない者も時間が無いので準備に入っていく。
「紫苑………今のは一体どういう意味なのだ………?」
話の中心人物でありながら理解できなかったラウラが紫苑に問いかける。
「説明はする。でも少し待ってくれ」
紫苑はそう言って千冬に歩み寄ると、
「織斑先生。他の生徒に暫く俺の部屋には近付かない様に伝えてください」
「む? 何故だ?」
千冬がそう聞き返すと、紫苑は若干言いにくそうに、
「あ~、まあ、これからラウラを一夏で言うフィナンシェやミナと同じ存在にしようと思います」
遠回しにそう言う。
「あの2人と同じ……………?」
千冬は一瞬呆けたがすぐにその意味を悟る。
「…………部屋に近付かせない理由は?」
「……………戦姫にするためにはとある儀式が必要なんです。それがまあ………何と言うか、人に見られたくない行為でありまして………………」
その言葉で何となく予想がついた千冬は、
「……………おい、まさかとは思うが…………」
「恐らく想像通りの行為です……………」
「………………………今は非常時故許すが………ラウラは曲がりなりにも私の教え子だ………! きっちり責任は取れよ…………!」
静かな、そして有無を言わせないその言葉に、
「言われるまでもありません………!」
迷いなくそう答えた。
「ラウラ、付いてきてくれ」
紫苑はそう言ってラウラを伴って部屋へと向かった。
紫苑に宛がわれた部屋で、紫苑とラウラは向かい合っていた。
「紫苑、一体何を…………?」
現状を理解できないラウラがそう問いかけると、
「簡単に言うと、お前を俺の『戦姫』に迎えようと思う」
「センキ?」
聞かない単語にラウラは首を傾げる。
「『戦姫』とは一夏にとってのフィナンシェやミナがそうだ。女神の守護者と結ばれた女性は、女神や守護者の8割ほどの力を有し、守護者の『剣』と言える存在だ。同時に生命も共有しているため、寿命も無くなり、女神や守護者が命を失えば戦姫も同じく命を失ってしまうが、その逆は無い。悪く行ってしまえば、守護者にとって都合のいい『道具』とも取れしまう存在なんだが……………一度『戦姫』になってしまえば後戻りはできない。その命が尽きるまで守護者に………つまり俺に心を縛り付けられしまう。ラウラがそれを望まないなら無理強いは…………」
「なるぞ!」
「は?」
紫苑の言葉を遮るようにラウラが言葉を発した。
「そのセンキとやらにしてくれ!」
ラウラは迷いなくそう言った。
「お、おい! そんな簡単に決めていいのか? さっきも言った通り『戦姫』は………」
「『嫁』だろう?」
「む………」
「お前は先程フィナンシェやミナが一夏のセンキとやらだと言ったな?」
「あ、ああ………」
「ならば『嫁』ということだろう? つまり、私をお前の『嫁』にしてくれるという事では無いのか?」
「ま、まあ、間違ってはいないが…………」
「ならば迷うことは無い! 私をお前の『嫁』にしてくれ!」
プロポーズとも言える言葉をきっぱりと言い切るラウラに紫苑は一瞬呆気にとられる。
そして同時に、あれこれ考えていた自分が馬鹿らしくなった。
「ふっ………そうだな………どうやら俺は難しく考えすぎていたようだ………ならばラウラ、改めて言いたい。俺の『妻』の1人になってくれ!」
「ああ! もちろんだ!」
紫苑のプロポーズにラウラは嬉しそうに頷いた。
その瞬間、紫苑はラウラを抱き寄せた。
「あっ…………んっ!?」
そのままラウラの唇に口付ける。
「んんっ………!? ぷはっ………はぁ………はぁ………し、紫苑…………」
紫苑のキスで顔が上気し、息が荒くなるラウラ。
「ラウラ…………」
「あ…………」
そんなラウラを紫苑はゆっくりと押し倒した。
旅館から少し離れた海上でモンスターを待ち構えるシャドウナイト達。
「見えた」
シャドウナイトが呟く。
その視線の先には、黒い雲が帯状になって迫ってくるように見えるモンスターの群れ。
「何て数………」
ネプギアが呟く。
「作戦はさっきの通りよ。私達で斬り込んでネプギア達が数を減らす。それでも撃ち漏らした敵をヒスイちゃん達で食い止めて!」
「「「「「「はい!」」」」」」
パープルハートの言葉に専用機持ち達が返事を返す。
春万は黙ったままだったが。
「それじゃ………行くぜ!!」
ホワイトハートの掛け声と共にそれぞれ散らばる女神達。
「はぁああああああああああっ!!」
パープルハートが刀剣でモンスターを連続で切り裂きながら飛び回る。
「やぁあああああっ!!」
そのパープルハートを援護する様にネプギアがビームガンで撃ち抜く。
「おらぁあああああああああっ!!」
ホワイトハートが戦斧を回転しながら振り回し、殺到するモンスターを粉砕していく。
「ホーリーペネトレイター!」
ミナが武器を槍へと変形させ、乱れ突きと共に切っ先から放たれる衝撃がモンスターを次々と貫く。
「覇!」
シャドウナイトが武器をランチャーへと変形させ天空へ向かってビームを撃つと空に魔法陣が広がり、そこから闇のエネルギー波が放たれモンスター達を呑み込んでいく。
「マジカルマグナム!」
フィナンシェが武器を銃へと変形させ、弾丸を乱れ撃つ。
モンスター達は一瞬で蜂の巣になっていった。
「アーッハッハッハ! さあ、もっと楽しませなさいよぉ!」
アイリスハートが連節剣を鞭のように振り回し、複数のモンスターを一気に切り裂く。
「そりゃぁあああああっ!」
イエローハートが殴ったモンスターが吹き飛び、その先で複数のモンスターを巻き込んで更に吹き飛ぶ。
「「エターナルフォースブリザード!」」
ロムとラムが氷結呪文を唱え、モンスター達を氷漬けにする。
それらの戦闘を後方で見ていた専用機持ち達。
「こうやって改めて見ると、やっぱり一夏達って凄いわね………」
「ええ。ISが使えるからといい気になっていた自分が恥ずかしくなります」
鈴音の言葉にセシリアが答える。
「私もこうして専用機を受け取ったわけだが………彼女達にはまるで敵う気がせんな………」
箒もそう呟く。
「だけど、流石に全部は防ぎきれないみたい………!」
「接近するモンスターを確認! 来るよ!」
シャルロットと簪が注意を促し、
「総員! 戦闘準備!」
マドカが剣を構えながら呼びかける。
「了解!」
その言葉に翡翠が元気よく答える。
「それと春万、貴様には注意しておくが間違っても『零落白夜』は使うなよ。モンスター相手にアレは無意味な能力だ」
マドカはそう注意する。
「………チッ!」
春万は不満そうに舌打ちする。
「私の忠告を聞くかどうかは貴様の勝手だが、戦闘が終わるまでは救助には向かえん。それだけは頭に入れておけ」
マドカはそう言うと再び向かって来るモンスターを見据える。
「行くぞ!!」
そう言って各自はモンスターとの戦闘を開始した。
紫苑とラウラは互いに一糸纏わぬ姿で最後の一線を超えようとしていた。
「ラウラ…………」
紫苑は愛しそうにラウラの名を呟く。
「紫苑……………来てくれ…………」
ラウラは両手を広げて紫苑を受け入れる体勢になる。
「ああ…………」
紫苑は頷いてラウラの望み通りに身体を重ね、
「うっ………あああああああああああああああああああっ!」
ラウラの苦しくも幸せそうな嬌声が辺りに響いた。
モンスターと戦っていた専用機持ち達は予想以上に苦戦を強いられていた。
「くっ! 数が多すぎる………!」
鈴音がセシリアと背中合わせで衝撃砲を放ちながらそう漏らす。
「流石にこれは………! きついですわね……!」
セシリアがライフルとビットの一斉射撃でモンスターを撃ち抜くが、次から次へとモンスターが殺到する。
「はぁああああっ! くっ、キリがない!」
箒が刀でモンスターを切り裂くが、別方向から攻撃を受けてよろける。
「文句を言う暇があったら手を動かせ!」
マドカが叫びながらモンスターを次々と切り裂いていく。
「でもこれは………! 息を吐く暇もない………!」
シャルロットが
「このままじゃ………弾切れに…………」
簪が『山嵐』のミサイルを一斉に発射し、近くのモンスターの数を一気に減らすが、すぐに次のモンスターが現れる。
「確かにこの量は予想外っ………!」
翡翠もスピードを駆使しながらヒット&アウェイで次々とモンスターを槍で貫いていく。
「きっと紫苑が居ないからだよ! 多分、全員でギリギリだったから、一人減ってその分こっちにモンスターが流れて来てるんだ!」
シャルロットがそう判断する。
「ったく! こんな大事な時に何やってるのよ! あいつは!?」
鈴音が思わず悪態を吐く。
ちなみに春万はマドカの忠告を無視して『零落白夜』を使っていたので早々にシールドエネルギーがゼロになって退場している。
その時、シャルロットの死角からモンスターが突っ込んできた。
「はっ!? うわぁあああああああああっ!?」
シャルロットが撥ねられるように吹き飛ばされる。
「シャルちゃん!」
翡翠が咄嗟にシャルロットを受け止める。
「大丈夫?」
「う、うん、何とか…………だけど気を付けて、あいつ、攻撃力が桁違いだよ」
翡翠の言葉にシャルロットはそう答える。
「ッ………!」
簪が荷電粒子砲『春雷』を放ち、直撃させるもののそのモンスターはまだ顕在だった。
「多分、紫苑さんが言ってた危険種か上位危険種…………」
「ッ………! 兄さんたちが抜かれたのか………!」
簪の言葉にマドカが冷や汗を流す。
「兄さんたちの応援は望めない。今こっちに救援を求めれば、そこから一気に押し込まれる可能性がある。こいつは私達で何とかするしかない!」
「そ、そう言われても………」
「この数のモンスターを相手にしながらあいつの相手なんて…………」
マドカの言葉に、鈴音達は限界を感じていた。
「無理でも何でもやるしかない! 覚悟を決めろ!」
マドカの言葉にその場の全員が表情を引き締める。
そして、モンスターが彼女達に襲い掛かろうとした。
その時、ドォンと一発の銃声が鳴り響き、輝く弾丸がそのモンスターへと直撃した。
次の瞬間には弾丸が撃ち込まれた場所から闇のエネルギーが溢れ出し、モンスターを呑み込んで消し去る。
「な、何だ………!?」
マドカが驚愕しながら振り返った。
「折角の覚悟を無駄にして悪かったな」
そこには頭部を覆う大型の背部ユニットと両腕と両足に銀のプロテクターを装着する1人の人物が居た。
「お前は…………!」
すると、頭部を覆っていた背部ユニットがスライドし、その顔が露になる。
「あ」
「ああっ………!」
それは、右目に女神の証を浮かび上がらせ、眼帯も外して金の瞳を露にしたラウラであった。
ラウラは右手に持つ銀色の銃を構え、
「戦姫ラウラ! これより戦闘を開始する!!」
第27話………………
今回の話は……………あの表現はセーフかアウトか微妙なところ。
自分ではR15以上R18未満でギリギリセーフだと思うがどうだろう?
まあとにかくラウラが戦姫となりました。
順番を無視したので後で刀奈に怒られそうです。
後ラウラの戦姫のプロテクターはフェアリーフェンサーエフADFのノイエのフェアライズ状態です。
さて、次回は何とあのキャラが…………