超次元インフィニット ネプテューヌ・ストラトス 作:友(ユウ)
トラブルのあった臨海学校を終え、IS学園に戻ってきた紫苑達。
そしてその紫苑は現在…………
「じと~~~~~~~~~~~~~~~~~……………………………」
非常に恨めしそうなジト目をした刀奈に睨まれ続けていた。
「その…………………すまん……………………」
自分に非がある事を自覚している紫苑は大人しく頭を下げている。
「あはは…………」
「あは~…………」
紫苑の横で苦笑しているネプテューヌとプルルート。
「責めるなら私を責めればいい。紫苑は私の思いを汲んでくれただけだ」
そして堂々とそう言い切るラウラ。
だが、
「ラウラちゃんは黙ってて」
「ッ!?」
有無を言わせない刀奈の言葉にラウラも沈黙する。
そして、このような状況になっているその理由とは、
「紫苑さん、プルちゃんの事は別に良いんです。元々2番目のお嫁さんだって言われてましたから…………でも、どーして私よりも先にラウラちゃんを3番目のお嫁さんにしちゃうんですか!?」
という事である。
刀奈は以前、3番目の紫苑の妻になることを約束していた。
その時には2番目の嫁候補…………プルルートの守護者になっていなかったので、戦姫となることは保留としていたのだ。
そして、漸くプルルートが紫苑を守護者としたので晴れて正式に紫苑の戦姫…………妻になることが出来ると思えば、先にラウラが紫苑の戦姫となっていた。
その事に刀奈は不満を感じているのだ。
そんな刀奈に対し紫苑は、
「すまない…………俺には頭を下げることしか出来ない……………だが、決してお前を蔑ろにしたいわけじゃない…………それだけは信じてくれ…………!」
謝りながらも真剣な表情で刀奈にそう訴える。
刀奈は暫くジト目を紫苑に向け続けていたが、ふと目を伏せて大きなため息を吐いた。
「はぁ~~~~……………分かってますよ。紫苑さんがそんなつもりじゃないことは…………ただ、ラウラちゃんに先を越されていい気がしなかったのは本当です。ちょっとぐらい仕返しに困らせてみたかっただけですよ」
そう言って刀奈はいつもの眼差しで紫苑を見つめた。
「お前が許してくれても約束を破ってしまったのは事実だ…………何でも言ってくれ。俺に出来ることなら可能な限り叶える」
「……………本当ですか?」
紫苑の言葉に刀奈は確認を取る。
「ああ」
紫苑が頷くと、
「それなら、私も戦姫にしてください」
刀奈はそう言った。
「あ~…………今すぐか?」
「はい…………ダメ………ですか?」
刀奈はやや上目遣いで紫苑を見る。
「駄目という訳では無いが…………」
紫苑はそう言いながらネプテューヌ達に視線を向けると、
「私は全然かまわないよ。カタナちゃんの事は前も言ったみたいに認めてるし!」
「あたしも~、カタナちゃんが~、いい子だってことは~、分かるよ~」
ネプテューヌとプルルートがそう答える。
紫苑は一度息を吐くと、刀奈の耳に顔を寄せ、
「………………」
小声で戦姫にするための方法を説明した。
「ッ!?」
その瞬間、ボッと顔が赤く染まる刀奈。
「困惑する気持ちは分かる。だから心の準備が整うまで時間をとっても…………」
「い、いえ! 大丈夫です!」
顔を真っ赤にしながらもそう言う刀奈。
「……………わかった」
紫苑はそう言ってこの部屋にいた3人に目配せすると、ラウラは頷いてすぐに退室する。
そしてネプテューヌとプルルートは共に光に包まれ、
「カタナちゃん。女神パープルハートの名の下に、あなたをシオンの戦姫として認めるわ」
「アタシもぉ、女神アイリスハートとして認めてあげるぅ」
女神化した2人は揃ってそう言った。
「は、話には聞いてたけど、プルちゃんの変身も結構強烈ね…………」
若干の冷や汗をかきながら、刀奈はそう呟いた。
2人の女神は揃って退室すると、2人きりになった紫苑と刀奈は向き合う。
「「……………………」」
2人は少しの間黙って見つめ合っていたが、
「……………刀奈」
紫苑が刀奈の名を呼ぶ。
「は、はい!」
刀奈は動揺した声で返事をする。
「改めて言うが、俺の戦姫に……………いや、俺の『妻』になってくれ!」
「は、はい! 不束者ですがよろしくお願いします!」
紫苑の突然のプロポーズに刀奈はテンパりながらも返事を返した。
まあ、その答えで正解なのだが。
紫苑は刀奈に近付いて刀奈の頬に手を添えた時、刀奈はハッとなり、
「し、紫苑さん………ちょっとお願いが…………」
「どうした? やっぱり時間が欲しいか?」
「い、いえ、その…………単なる私の我儘なんですけど…………で、出来れば大きい方の姿で相手をして欲しいなって…………」
「?」
紫苑は何故と首を傾げる。
「そ、その………今の紫苑さんの姿が嫌という訳では無いんですけど、やっぱり私にとって紫苑さんは憧れの年上の男性なんです。紫苑さんが生きていると知る時まで自分で慰める時も成長した紫苑さんを想像して……………わ、私ったら何を口走って…………!?」
自爆する刀奈は耳まで真っ赤になる。
紫苑はこんな姿の刀奈も可愛いなと思いながら笑い、
「お前がそう望むのなら俺は構わないぞ」
紫苑はそう言って目を瞑ると、光に包まれてプロテクターを纏わないバーニングナイトの姿になる。
「し、紫苑さん……………!」
かつて想像した紫苑と同じ………いや、それ以上の魅力を持ったバーニングナイトの姿に、刀奈の心臓は高鳴る。
「そう言えば言い忘れたが…………」
バーニングナイトはそう言いながら刀奈に迫ると、刀奈の片手を掴みながら少し乱暴に刀奈をベッドに押し倒した。
「きゃっ!?」
声を漏らす刀奈。
バーニングナイトは刀奈の顔のすぐ横に手を着きながら覆い被さる体勢になると、
「この姿になると普段よりも強気になるんだ。初めてで悪いが遠慮はしない」
「えっ? あっ…………紫苑さ……………ふぁああああああああああああっ!!??」
暫くの間、部屋の中に刀奈の嬌声が響き続けた。
一連の行為を終えた後、刀奈は幸せそうにベッドで余韻に浸っていた。
「これで私は、紫苑さんの『妻』になれたわけですね………」
「ああ。そして同時に『戦姫』でもある」
「『戦姫』…………『守護者』の剣の様な存在……………」
「……………一応聞くが………後悔して無いか?」
バーニングナイトはそう問いかける。
しかし、
「ありません!」
刀奈はきっぱりと言い切った。
「むしろ今は幸せで一杯です!」
続けて笑みを浮かべてそう言う刀奈。
「そうか…………」
小さく笑みを浮かべるバーニングナイト。
「…………今の内に説明しておくが、『戦姫』となった者には武具が与えられる。俺の片手剣や一夏の大剣のようにな」
「武具…………」
「目を瞑って精神を集中してみろ。胸の中………いや、魂の中に与えられた武具が眠っている」
刀奈は言われた通りに目を瞑り、精神を集中させる。
「……………………わかる………魂の中に存在する『私』の武具が…………!」
刀奈は目を開け、右手を前に突き出す。
「シェアリンク!」
自然とその言葉を口にした。
バーニングナイト、そしてパープルハートとリンクが繋がり、『力』が魂に流れ込んでその武具を具現化する。
突き出したその手に赤黒いの円錐状のランスが握られた。
そのランスは何処か禍々しくも神々しい雰囲気を放っている。
「……………これが………私の武具…………」
刀奈は一通りそのランスを眺めると愛おしそうにそのランスを抱きしめた。
それから顔の前でランスを掲げるように持ち直すと、
「この力で………私は紫苑さんを支えます」
まるで忠誠を誓うようにそう宣言した。
「刀奈……………」
刀奈の姿をバーニングナイトは一層愛しく思う。
暫くそうしていると、
「いい雰囲気の所悪いけど、そろそろ服ぐらい来たらどうかしら?」
この場に聞き覚えの無い女性の声が響いた。
「「ッ!?」」
2人は驚愕しながら声のした方を向くと、ベッドのすぐ横に薄い茶髪を腰まで伸ばし、ドレスのような服装をした一人の女性が立っていた。
「誰!?」
刀奈は警戒心を露にしながら手に持っていたランスを突き付ける。
しかし、その女性は慌てた様子を見せず、
「酷いわね。ずっと一緒に居たパートナーとも言うべき私に切っ先を向けるなんて」
その女性は片手の掌を上に向けて呆れた様に肩を竦める。
「何を訳の分からないことを…………」
思い当たることの無い刀奈は警戒心を解かずにその女性を睨み続ける。
すると、
「ちょっと待て刀奈」
バーニングナイトは何かに気付いたように刀奈を制した。
「紫苑さん………?」
すると、その女性の方を向き、
「……………もしかしてお前、ミステリアス・レイディのコア人格か?」
アリンやエミリという前例を知るバーニングナイトは目の前の女性の正体をそう推測する。
すると、その女性はフッと笑みを浮かべ。
「正解よ。私はミステリアス・レイディのコア人格。名前は…………『マリアノ』とでも名乗ろうかしら」
「私のISの……………」
「ええ。こうやって面と向かって話すのは初めてね、マスター」
「ど、如何していきなり………」
「さあ? マスターがそっちの男性と交わった後からかしらね。今まで希薄だった自我がハッキリと定着したの。私にも詳しい事は分からないわ」
マリアノはそう答える。
バーニングナイトは少し考える仕草をして、
「刀奈が戦姫になった後という事は、やはり女神の力がISのコアに何か影響を与えているのか…………」
アリンとエミリという前例と、目の前のマリアノの言葉から仮説を立てる。
「考えるのは良いけど、いい加減さっきも言った通り早く服を着たらどうかしら? いくら情事の後とは言え、いつまでもマスター達に裸で居られたら、こっちがいたたまれないわ。そっちの子もそう思うでしょ?」
マリアノは脱ぎ棄てられた衣服の方を向いてそう言った。
すると、服の隙間から粒子が溢れ、人型を形成する。
そこには顔を真っ赤にしたアリンが何とも言えない表情で立っていた。
「ア、アリン………!」
バーニングナイトは驚愕する。
そう言えばアリンは待機状態のまま身に着けていたと思い出す。
「な、何も言わないで! 私だって盗み見るつもりは無かったんだから! だけど、いきなり告白から行為を始めちゃったから出るに出られずに…………」
アリンの言葉を聞いて顔を赤くするバーニングナイトと刀奈。
どうしようかと固まる2人だったが、
「はいはい。まずは服を着て頂戴。話はそれからよ」
マリアノがパンパンと手を叩きながら2人に服を着るように促す。
2人は少々慌てながら服を着て、バーニングナイトは変身を解くと元の姿に戻る。
「さて、改めて自己紹介するけどマリアノよ。ミステリアス・レイディのコア人格でそっちの子とは同類って事になるのかしら?」
マリアノはそう言って自己紹介する。
「ええ、そうみたいね。私はアリンよ。よろしくねマリアノ。あと、エミリって言う子もいるから後で紹介するわ」
「そう、楽しみにしておくわ」
同じコア人格同士気が合うのかアリンとマリアノはすぐに打ち解け合っている。
紫苑と刀奈は少々いたたまれない気持ちになっていると、ガチャッと部屋の扉が開き、
「やっほー! シオン! 終わったみたいだね!」
鍵を持ち出していたのか遠慮なく部屋に入ってくるネプテューヌ。
そのまま部屋の中の『4人』に目を向けると、
「ねぷっ!? また知らない女の子が増えてる!?」
マリアノの姿にオーバーリアクションで驚愕するネプテューヌ。
「この姿に慣れる前の自我は希薄だけど、記憶としては残ってるわ。あなたが女神ね。私はミステリアス・レイディのコア人格のマリアノ。お見知りおきを」
何処かのお嬢様のように優雅にお辞儀をするマリアノ。
「ミステリアスなんとかって、カタナちゃんのISの?」
「ええ。その通りです。そっちのアリンと同じような存在と思ってくれて構いませんわ」
「…………何でアンタ言葉使いが丁寧になってるの?」
アリンがマリアノに問いかける。
「あら? あの方の存在が無ければ私達がこうして存在することも無かった…………言わば『母』………いいえ、その名の通り『女神』ね。そんな存在に敬意を払うのは当然じゃないかしら?」
「……………言いたいことは分からなくもないけど………」
普段のネプテューヌの姿を知るアリンにとって、ネプテューヌはとても敬う対象とは思えない。
気兼ねなく付き合える友人といった感覚だ。
まあ、パープルハートに変身した時は別だが。
「………まあ、好きにするといいわ」
アリンはマリアノの好きにさせることにした。
そしてネプテューヌに続いてプルルート、ラウラが入室してくる。
「カタナちゃん~、おめでと~!」
プルルートが純粋に刀奈を祝福する。
「………ありがとう、プルちゃん」
そう答える刀奈。
「ふむ、これでお前も私と同じ紫苑の『戦姫』という訳だ。よろしく頼む」
「ええ」
ラウラと刀奈は握手を交わす。
すると、
「あ、ラウラちゃん。よろしく序に頼みたいことがあるんだけど………」
「何だ?」
刀奈がそう言うとラウラが聞き返す。
「ええ、私と模擬戦してくれないかしら?」
そんなラウラに刀奈が思い掛けない言葉を投げかけるのだった。
第29話です。
今週の土日は忙しかったので短いです。
本当は次回に回した模擬戦まで書きたかった。
とりあえず刀奈が正式に戦姫となりました。
序にミステリアス・レイディのコア人格がマリアノとして登場。
マリアノは相も変わらずフェアリーフェンサーエフADFに出てくるキャラクターです。
刀奈の戦姫の姿は次回。
まあ、刀奈の武器とマリアノが出てきた事でフェアリーフェンサーエフADFを知ってる人は想像つくと思いますが………
では、次も頑張ります。