超次元インフィニット ネプテューヌ・ストラトス 作:友(ユウ)
ラウラと模擬戦がしたいという刀奈の発案によって、関係者はアリーナに集まっていた。
この模擬戦は完全非公開で、刀奈の生徒会長権限と千冬への口利きで関係者以外は立ち会えないことになっている。
尚、この模擬戦を見ることが出来るのは紫苑やネプテューヌ、プルルートの他に、ネプギアや一夏、ブラン、ロム、ラム、フィナンシェ、ミナ、ピーシェのゲイムギョウ界関係者。
紫苑の妹の翡翠と一夏の妹のマドカ。
簪、シャルロット、箒、セシリア、鈴音の戦姫候補者。
それにISのコア人格であるアリン、エミリ、更にマリアノ。
そしてゲイムギョウ界の事を知る千冬と真耶だった。
アリーナの中央で向かい合うラウラと刀奈。
「受けてくれてありがとね、ラウラちゃん」
「かまわん。私もこの力を使いこなすのに互角の力を持つ相手と戦ってみたいと思っていた所だ」
刀奈の言葉にラウラはそう答える。
「そういえばラウラちゃんは、もうその力で実戦を経験してたっけ。じゃあ、胸を借りるつもりで臨まなきゃね」
「実戦と言っても雑魚を相手にしていただけだ。この力を使いこなしたとは言い難い」
冗談めかして言う刀奈と自惚れないラウラ。
「……………それじゃあそろそろ」
「始めるとしよう…………!」
2人は右手を前に突き出すと、
「「シェアリンク!」」
同時に叫んだ。
その瞬間2人の右手に光が集い、ラウラの右手には銀色の銃が、刀奈の右手には赤黒い刀身を持つランスが握られた。
「先ずはこの状態でどれだけ動けるかを知らなきゃね!」
「異論は無い…………!」
ラウラは銃を刀奈に向け、刀奈はランスを構えた状態で静止する。
「「………………………」」
2人の間に静寂が流れる。
それを見ていた者達は、
「銃と槍…………」
「一見ラウラの方が有利に見えるけど…………」
簪がぼそりと呟き、シャルロットが状況を分析する。
「ですが戦姫の武器は守護者の武器と同じようにいくつかの形態を持ちます。基本形態に囚われていてはいけません」
ミナがそう言う。
そのまま数秒経過した後、ラウラが引き金を引いた。
銃声と共に撃ち出される弾丸。
「ッ!」
だがその瞬間、刀奈が射線軸上から身体を逸らして弾丸を回避すると、地面を蹴って一気に接近した。
「…………!」
ラウラは慌てずに標準を修正すると、再び引き金を引く。
刀奈は弾丸が放たれる寸前に地を蹴って跳び、空中からラウラに攻撃した。
「はぁああああああっ!!」
空中からランスを突き下ろす。
「その程度!」
ラウラは武器を大鎌に変形させるとランスを刀奈の体ごと空中へ弾き飛ばす。
宙を舞う刀奈だったが、器用に空中で体勢を整えつつ、武器を変形させた。
その形は弓。
「ッ!」
ラウラは目を見開く。
刀奈は魔力で出来た矢を番い、それを放つ。
「くっ!」
ラウラは左手を突き出して防御用の魔方陣を張る。
矢は弾かれるがラウラは声を漏らした。
そのまま刀奈は地面に着地すると、
「やるわね、ラウラちゃん」
「銃弾を涼しい顔で躱しておいてよく言う………!」
刀奈は笑みを浮かべてそう言い、ラウラは刀奈の技量の高さに戦慄を覚える。
(…………紫苑ほどでは無いが、この者もずば抜けた技量を持っているな…………)
刀奈をそう評するラウラ。
再び武器を銃へ変形させると、再び発砲する。
「そんな単調な射撃じゃ当たってあげられないわよ!」
強化された脚力は狙いを定めさせないようにするには十分すぎた。
連続で放たれる弾丸は全て外れる。
そのままラウラの懐に飛び込み、それと同時にランスが変形し、剣となった。
「この距離なら大鎌も間に合わない!」
そのまま剣が振り抜かれようとした瞬間、
「かかった!」
ラウラは口元を吊り上げた。
「ッ!?」
刀奈がそれに気付いた瞬間、ラウラの武器がナックルグローブへと変形する。
「はぁああああああっ!!」
そのままボディーブローを叩き込む。
「くっ!?」
その瞬間、刀奈は剣を盾代わりにして受けるが、衝撃は止めることが出来ずにそのまま後ろに吹き飛ぶ。
その勢いで数回地面を転がるが、最終的に手を着いて体勢を立て直し、すぐに立ち上がる。
「……………今のタイミングで防がれるとはな…………」
「流石の私も今のはヒヤリとしたわよ…………」
刀奈の頬に一筋の冷や汗が流れる。
ラウラは武器を銃形態に戻した。
「「…………………………」」
またしばらく向かい合う2人だったが、
「さて…………そろそろ本気でやり合おうと思うのだが…………いいだろうか?」
ラウラがそう口を開く。
「ええ、望むところよ」
刀奈も笑みを浮かべてそう答えた。
そして、
「シェアライズ!」
ラウラが天へ向けて一発の弾丸を放つ。
光を纏って放たれたそれは、空中で弧を描いて方向転換。
ラウラへ向かってターンしてきた。
しかし、ラウラはその弾丸を避けようともせずに受け入れ、光に包まれた。
そして、臨海学校の時と同じ、は頭部を覆う大型の背部ユニットと両腕と両足に銀のプロテクターを装着した姿となり、右目に女神の証を浮かび上がらせた。
「戦姫ラウラ、戦闘を開始する!」
そう言い放った。
一方、
「シェアライズ!」
刀奈はランスを空へ投げ放ち、そのランスが一定の高さで向きを変えて刀奈に突き進んでくる。
刀奈も同じようにその刃を受け入れ、ランスに貫かれた。
その瞬間光を放ち、後光のように展開した翼と、左右に独立して浮遊する一対の目玉のようなものが浮遊し、両側の側頭部から角が生えた様に見えるフェイスガードと、腕とスカートのように展開されたプロテクターを装着した。
「戦姫カタナ、変身完了!」
そう言って顔を上げた刀奈の右目にも、女神の証が浮かび上がる。
「あれが………お姉ちゃんの変身…………」
簪が姉の姿に声を漏らす。
ラウラと刀奈が向かい合うと、
「行くぞ!」
ラウラが銃を向け、
「ホロウダーク!」
闇のエネルギーを込めた弾丸を放った。
「っと!」
刀奈は空中に退避する。
放たれた弾丸は先程まで刀奈が居た場所に着弾し、闇のエネルギーを開放させてその周囲を吹き飛ばした。
それを見ても刀奈は慌てずに、左手をラウラに向けて、
「マジカルエフェクト ストム!」
ラウラを中心に小さな竜巻を発生させる。
ラウラは共に巻き起こった砂煙に覆い隠されるが、その直後に飛び出し、
「お返しだ! マジカルエフェクト ダクネス!」
そう唱えると、刀奈の足元から闇のエネルギーが噴出した。
その闇が一瞬刀奈を覆い隠すが、直後に閃光が奔って闇を切り裂く。
そのまま刀奈が飛び出してラウラに接近し、
「これが見切れるかしら?」
ランスを剣のように操って乱撃を叩き込む。
「ラフィングシニカル!!」
最後の一閃にはエネルギーが込められており、強力な一撃となった。
「うぐあっ!?」
ラウラはまともに受けて後退するが、何とか耐えた。
「マジカルエフェクト ブロードネス!」
ラウラはそのまま中級の呪文を唱える。
刀奈の足元から闇が半球状に呑み込もうとしていたので刀奈は飛び退こうとした。
だが、
「ッ!?」
足が動かなかった。
見れば、足に光の輪が括りつけられており、刀奈の動きを封じていた。
「マジカルエフェクト バインド………先程攻撃を受けた時に唱えておいた」
ラウラがそう言った瞬間、闇が刀奈を呑み込んだ。
「くぅぅぅぅぅぅっ!?」
闇の中から刀奈の苦しそうな声が聞こえる。
闇が消えると、かなりのダメージを受けた刀奈が姿を見せた。
「はぁ………はぁ………今のは痛かったわね………でも、まだまだ行けるわ!」
「フッ、そう来なくては面白くない…………!」
ラウラも表面上は余裕を伺わせているが、先ほどの刀奈の攻撃で同じぐらいのダメージは受けている。
「「行くぞ(わよ)!!」」
お互いが同時に飛び出し、ラウラが銃弾を放てば刀奈が弾き、刀奈の突きもラウラは紙一重で回避する。
ラウラは銃形態を基本に大鎌とナックルを使い分け、刀奈はランスを基本に、剣、大鎌、銃、弓とラウラよりも多彩な武器形態を使い分けている。
更にラウラは闇属性の攻撃魔法を使い、デバフ系も得意とするのに対し、刀奈は風と雷の攻撃魔法に加え、回復を得意としている様だ。
「はぁああああああああああっ!!」
「おおおおおおおおおおおおっ!!」
慣れていなかった力に慣れていくためか、2人の戦いはどんどんとヒートアップしていく。
既に模擬戦の域を超え、真剣勝負と言っても過言ではない。
既にアリーナの地面は戦いの余波によって穴だらけだ。
「次で決める!」
「全力よ!」
2人は最後の激突へ向かう。
「エンド…………!」
「モーメンタリア………!」
2人が最強の技をぶつけ合おうとした瞬間、2人の中央に爆炎が走った。
「「ッ!?」」
突然の事に2人は激突を中断する。
2人は爆炎が走ってきた方を振り向くと、
「そこまでだ、2人とも」
いつの間にか変身したバーニングナイトがナックルグローブを地面に叩きつけた状態でそこにいた。
「やり過ぎだ」
バーニングナイトの言葉で頭の冷えた2人が辺りを見渡すと、とてもそのままでは使えそうもない穴だらけのアリーナの地面。
「「………………!」」
その事に気付いた2人に、
『馬鹿者! 模擬戦だという事を忘れおって! 2人とも罰として自分でアリーナのグラウンドを整備しろ!!』
千冬が放送でそう叫んだ。
すると、2人は助けを請うようにバーニングナイトに視線を向け、
「……………はぁ、手伝ってやるからそんな目をするな」
呆れた様にそう呟くのだった。
第30話です。
何とか年内には間に合ったけど短いです。
本当は前の話でここまで行く予定だったので…………
ラウラと刀奈の模擬戦でした。
それでは、今回はここまで。
それでは皆様、良いお年を。