超次元インフィニット ネプテューヌ・ストラトス 作:友(ユウ)
転移のトラブルで一夏達とは別の場所に飛ばされた箒、セシリア、鈴音の3人は大雪原の真っただ中にいた。
「ちょ、これ、シャレになんないわよ…………!」
鈴音が寒さで震えながら自分の体を抱きしめつつそう零す。
「か、確実に凍えてしまう寒さですわ……!」
「こ、これは流石に………拙いか…………?」
セシリアと箒もそう言いながら雪原の中を彷徨う。
この場の気温もそうだが、何よりも地球では夏真っ盛りだったため、3人は薄手の夏服だ。
それが3人の体温が奪われることに拍車をかけている。
「こ、こんな所で死ぬの…………? アタシ達……………」
「折角一夏と結ばれたというのに…………」
「わ、わたくしも眠くなってきましたわ……………」
諦めの考えが過る中……………
『差し出がましいようですが、1つ意見を申して宜しいでしょうか?』
鈴音の甲龍の待機状態からソウジの声がした。
「何よ? ソウジ」
意識が朦朧としてきた鈴音がそれに応えると、
『では僭越ながら……………我々を纏う事を推奨いたします』
「「「……………あ」」
ソウジの言葉に3人は呆気にとられた声を漏らした。
『知っての通りISは宇宙進出用のパワードスーツです。当然ながら操縦者の温度も快適に保たれます』
「も、もういいから! それ以上言わなくていい!!」
IS操縦者として当たり前のことを忘れていた鈴音はその事を誤魔化すように叫んだ。
「ソウジ! 展開よ!」
『心得ました』
「マリサ、頼む!」
『は~い』
「ティアラさん、お願いいたしますわ」
『よろしくってよ』
それぞれのパートナーが応えると3人は光に包まれてISを纏う。
「ふう、寒くなくなったわ…………」
「やはりISの操縦者保護機能は素晴らしいものですわ」
「まあ………流石は姉さんと言った所か………」
鈴音、セシリア、箒の順でそう評する。
「さてと、凍える心配は無くなったけど、これからどうする?」
鈴音がこれからの行動について皆に訊ねる。
「と、言われましてもここが何処だかも分かりませんし………」
「おそらくゲイムギョウ界であることは間違いないだろうがな…………」
箒が雪原の中をうろつくモンスターを眺めながら言う。
「まあ、こういう時は…………」
「「こういう時は?」」
「RPGの基本に則って街を探しましょう」
「街………ですか?」
「そうよ、ここがゲイムギョウ界である以上、女神が治める国があるはずよ。で、ここが何処の国に属するかは分からないけど、4つの国の何処かである事は間違いない筈。それなら街に行ってブランの国である『ルウィー』って国を目指せば一夏達と合流できるんじゃないかしら?」
「なるほど」
「鈴さんにしてはさえてますわね」
「ちょっと! アタシにしてはってどういう事よ!?」
思わず突っ込む鈴音。
「落ち着け鈴。とりあえずお前の言う通り街を探してみよう」
鈴音は釈然としなかったが、3人は空へ飛び立って辺りを探ることにした。
辺りを飛んでいると、街道らしき道を見つけたので、それに沿っていく。
暫くすると、大きな町が見えてくる。
その町は日本とは一風変わった街並みでやや古風なヨーロッパの街並みに似ていた。
色はカラフルだが。
その街の中央には小高い丘があり、その頂上に城のような建物がある。
「何て言うか…………古風な街ね」
「中世ヨーロッパに通じる街並みですわ」
「色は派手だがな」
空から鈴音達が見下ろすと、街道の先に街の門らしき場所が見える。
「ここはやっぱり街の入り口から行くべきかしらね?」
「まあ、最低限のマナーは守らなくては」
「運が良ければ街の名前ぐらいは教えてもらえるだろう」
3人はそのまま街道近くに降りてISを解除すると、街の門に向かって歩き出す。
門の前には門番らしき兵士が立っていた。
「えっと………こんにちは!」
鈴音は思い切って門番に声を掛けた。
すると、
「はい、こんにちは」
門番は笑みを浮かべて挨拶を返した。
「あの、すみませんが、わたくし達道に迷ってしまいましたの。宜しければこの街の名前を教えていただけませんか?」
セシリアがそう問いかけると、
「それは大変でしたね。ここは、女神ホワイトハート様の守護する国。夢見る白の大地、『ルウィー』です」
門番はそう答える。
「えっ!? ここがルウィー!? ブランの国の!?」
鈴音が驚いてそう言ってしまう。
「ちょ、ちょっと鈴さん! ブランさんはこの国を治める女神ですわ! いきなり呼び捨ては拙いですわよ!」
貴族としてのマナーを知っているセシリアは慌てて鈴音の口を塞ぐ。
「はっはっは! 構いませんよ。話の様子から察するに、あなた方はホワイトハート様とはお知り合いの御様子。ホワイトハート様が呼び捨てを許可されたのなら問題はありません」
「そ、そう? 良かったわ…………」
門番の様子にホッとする鈴音。
「ところで、つかぬ事をお聞きしますがあなた方はホワイトハート様とはどのような………?」
「私達はブランというよりも一夏の…………」
箒がそう答えようとした時、
「た、助けてくれぇーーーーーーーっ!!」
突如として悲鳴が聞こえた。
その声に箒達が振り向くと、トナカイのような動物に引かせた馬車が猛スピードで走ってきた。
しかも、その後ろからは3体のエンシェントドラゴンが追ってくる。
「なっ!? エンシェントドラゴンが3体も!?」
門番が驚愕する。
「くっ!? 馬車を受け入れたら門を閉めろ! それから教会に応援を頼め! 俺達は応援が来るまでここで持ちこたえる!」
「は、はいっ!」
もう1人の門番が大慌てで報告の為に駆けていく。
「君達は早く街の中へ!」
門番はそう言うと常駐していたであろう他の衛兵と共にエンシェントドラゴンへ向かって行く。
3人はエンシェントドラゴンを見ると、
「エンシェントドラゴンか…………そう言えば以前、あいつ等には成す術無く捕まったことがあったけ………」
鈴音は思い出したようにそう言う。
「そういえばそうですわね」
「フッ………ならば以前とは違う私達という事を証明してやろうではないか………!」
箒が自信を持ってそう言う。
そして、
「「「シェアリンク!!」」」
3人はそう叫ぶと共に駆け出した。
衛兵達は馬車を追うエンシェントドラゴンに向かって銃などを発砲していたが、その勢いは止まらない。
「くそ、拙い! 馬車との距離が近すぎる! このままでは門を閉める前にエンシェントドラゴンが街に…………!」
衛兵は最悪の展開を想像する。
しかし、その時だった。
「ぜらぁああああああああっ!!」
衛兵達を飛び越すように彼らの頭上から3人の少女が飛び出した。
両手にナックルグローブを付けた少女、鈴音が1体目のエンシェントドラゴンに殴りかかり、大鎌を持つ少女、箒が2体目のエンシェントドラゴンを斬り付け、両刃の薙刀を振るう少女、セシリアが3体目に斬りかかる。
3人の少女に攻撃されたエンシェントドラゴン達はたたらを踏み、その場で足を止める。
「き、君達は…………!」
先程の門番が驚いたように箒達を見つめながら呟く。
「ここがルウィーだというのなら、私達にも戦う義務がある」
「ですが、人を救うのに義務も何も関係ありませんわ」
「ここで逃げたら戦姫の名が廃るってもんよ!」
3人がそれぞれの意気込みを口にする。
「えっ……? 『戦姫』………?」
門番が呆気にとられたように口にすると、エンシェントドラゴンが箒達に向き直り、威嚇する様に咆哮を上げる。
「行くぞ!」
箒がそう叫ぶと、
「シェアライズ!」
箒が大鎌を空へと投げ放ち、一定の高さで反転。
箒を貫く。
すると、箒が光に包また。
箒は武者の鎧をイメージさせるプロテクターと和太鼓のような風貌のジェットブースターを装備した姿となる。
「戦姫ホウキ…………罷り通る!」
まるで武士のように堂々と言い放った。
「シェアライズ!」
セシリアが薙刀を空へと投げると、反転してセシリアを貫く。
箒と同じように光に包まれ、腰に一対のウイング型スタビライザー、および背面に巨大なリングを備えた姿となる。
「戦姫セシリア、参りますわ!」
優雅に言い放つセシリア。
「シェアライズ!」
鈴音が拳を天へ突きあげると、まるでロケットパンチのようにジャイロ回転しながらナックルグローブが射出され、Uターンして戻ってくると鈴音の腹に突き刺さる。
そのまま光に包まれると、歯車とツギハギをイメージさせるようなプロテクターを纏い、両肩には剣が突き刺さったかのような風貌となる。
「戦姫リンイン! 行っくわよー!!」
自信たっぷりに言い放つ鈴音。
それぞれがエンシェントドラゴンの前に立ち塞がる。
「魂狩り………切り裂け!」
ホウキが大鎌を振り抜くと2発の回転する風の刃が放たれエンシェントドラゴンを切り裂く。
更に力を籠めて大鎌を振り上げると、風の斬撃が飛び、エンシェントドラゴンに直撃。
更にその場で竜巻が発生してエンシェントドラゴンの身体中を切り刻む。
ボロボロになったエンシェントドラゴンに対し、ホウキはクラウチングスタートのような体勢をとると、
「リミットアタック………天上天下!」
その言葉と同時にロケットブースターが点火。
猛スピードで飛び出すと、その勢いのまま大鎌を振り抜き、2つの竜巻を発生させる。
その竜巻がエンシェントドラゴンを切り裂きながら吹き飛ばし、更に箒が合図のように大鎌を振り上げると2つの竜巻がエンシェントドラゴンを切り裂きながら空中へ舞い上げると共に、竜巻が1つとなって巨大化する。
竜巻に巻き込まれ行動不能になったエンシェントドラゴンに向かってホウキは飛び込み、
「切り裂く!!」
渾身の一撃を持って切り裂き、光へ帰した。
「行きますわよ!」
セシリアが薙刀を持ってエンシェントドラゴンに飛び掛かる。
「フローイングスラッシュ!」
セシリアは素早い動きで苛烈に。
それでいて何処か優雅に舞い踊る様な動きでエンシェントドラゴンを連続で斬りつけていく。
最後に突き抜けるように斬りつけるとすぐに振り返り、
「これで決めますわ! リミットアタック テンペスタワルツェ!!」
エンシェントドラゴンに向かって駆け出すと手の先で薙刀を高速回転させる。
そのまま何度もエンシェントドラゴンの脇をすり抜けながら回転による斬撃を喰らわせ、最後に薙刀の回転数を上げて、更にそれに水の魔力を纏わせるとエンシェントドラゴンに向かって投げつける。
それが当たると同時にエンシェントドラゴンが水球に閉じ込められた。
薙刀が回転しながらセシリアの手に戻ってくると同時に水球がエンシェントドラゴンと共に破裂し、
「他愛無いですわ」
エンシェントドラゴンは光となって消え去った。
「行くわよ! アマノムラクモノツルギ!!」
リンインがナックルグローブを大剣に変形させて構えると、その剣に雷が落ちる。
リンインはその剣を振りかぶり、
「たぁあああああああああっ!!」
投げつけると同時にリンインも駆け出す。
大剣がエンシェントドラゴンの胴体に突き刺さるが、更にリンインが駆け込んできて、
「どぉらぁああああああああああっ!!」
大剣の柄に拳を叩き込んで更に深く押し込む。
その瞬間雷のエネルギーが炸裂してエンシェントドラゴンに大ダメージを与えた。
「このまま止めよ!」
リンインは一旦エンシェントドラゴンから離れるように空中に飛び上がると、
「リミットアタック エクスカリバー!!」
足先にエネルギーを集中させると緑色の剣状となる。
「くらぇええええええええええっ!!」
リンインはそのまま飛び蹴りの要領でエンシェントドラゴンに急降下。
ど真ん中を貫き、一瞬遅れて雷撃がエンシェントドラゴンを襲う。
当然ながら、それに耐えきれなかったエンシェントドラゴンは光の粒子となって消え去った。
「ま、こんなものね」
リンインは、前回の借りを返せたことで気が済んだのかドヤ顔をして見せる。
因みに前回リンイン達が不覚を取ったエンシェントドラゴンは一夏達が倒しているため、今回のエンシェントドラゴンは当然ながら別個体である。
すると、
「失礼します! 助けていただきありがとうございました!」
衛兵の1人が敬礼をしながらそう述べる。
「へっ?」
「むっ?」
「えっ?」
突然姿勢を正して敬礼された3人は素っ頓狂な声を漏らした。
「改めて確認させていただきたいのですが、あなた様方はシャドウナイト様の新しい戦姫様で間違いないでしょうか!?」
「え、ええ………そうだけど………」
衛兵のテンションに若干引き気味になりながらも肯定する。
すると、
「おおっ! やはり! 改めて感謝いたします! そしてようこそルウィーへ! 我々はあなた様方を歓迎いたします!」
「う、うん………よろしく…………あと、私達は転送するときの事故で3人だけこの周辺に飛ばされたから、一夏やブラン達もこっちの世界に来てると思うんだけど………」
「なるほど………それでは、他の国にも連絡を取ってみましょう。ホワイトハート様達の情報が入っているかもしれません」
「え、ええ、頼むわ」
「それではこの国の教会へご案内いたします。国民達にも紹介しなければ…………!」
3人は流されるままに国民達に紹介されることになったが、
その事に本人は釈然としない気持ちになったそうな。
第33話です。
前回と似たような話になってしまった。
ルウィー組の戦姫のお話でした。
箒はフェアリーフェンサーエフADFのガルドのフェアライズ。
セシリアはティアラのフェアライズ。
鈴音はピピンのフェアライズのイメージを汲んだ鎧という事でお願いします。
流石にあのヘンテコヘルメットは………ねぇ……………
因みに何故この選択になったかと言えば、ガルドのフェアライズは和風な雰囲気を持っていたため。
ティアラのフェアライズは前回の後書きで言った通りティアーズ繋がり。
ピピンのフェアライズは消去法(爆)。
尚、鈴音とピピンの声優が同じだという事は、感想で教えていただいて知った全くの偶然です。
さて、次回は翡翠の出番。
一体彼女は何処に飛ばされたのか!?(すっとぼけ)