超次元インフィニット ネプテューヌ・ストラトス   作:友(ユウ)

99 / 110
第34話 翡翠と緑の女神(グリーンハート)

 

 

 

 

「ふえ~~~~~ん! ここどこ~~~~~~~~~!?」

 

紫苑達とは別の場所に転移した翡翠はたった1人で森の中を彷徨っていた。

翡翠は独りぼっちな寂しさと見知らぬ場所である事の不安から情けなく声を上げる。

先程から歩き回っているが、近くに紫苑達の姿は見当たらず、途方に暮れる。

 

「お兄ちゃ~~ん! ネプお姉ちゃ~~ん! 刀奈ちゃ~~ん!」

 

紫苑達の名を呼びながら森の中を歩いていると、視線の先に森の切れ目が見える。

 

「あっ、出口!?」

 

翡翠は思わず駆け出してそこを目指す。

そしてそこで見たものは、

 

「うわ~~~……………!」

 

翡翠は思わず感嘆の息を漏らした。

翡翠の視界に広がるのは、大きな街並み。

しかもその街は地球よりも文明が進んでいるらしく、映画で見る近未来の世界のような街並みだった。

 

「これって街………だよね……?」

 

翡翠は問いかけるようにそう零す。

翡翠が辺りを見渡すと、翡翠が出てきた所から離れた所に道らしき場所が見えた。

その道が繋がる街の端から人が出入りしている。

 

「あそこが入り口かな?」

 

翡翠はとりあえずそこに向かって歩き出す。

その場所が近付くにつれ、人が行き来していることがハッキリと見えてきた。

 

「あっ、やっぱり入り口だ!」

 

少し速足になり、それと同時に人がいることにホッとする翡翠。

この街の入り口であろう門には門番らしき兵士のような人物が両脇に立っている。

翡翠はとりあえずその門番らしき兵士に話しかけた。

 

「あの、こんにちは!」

 

翡翠はハッキリとした声で挨拶する。

 

「はい、こんにちは。何か御用ですか?」

 

その門番の兵は笑みを浮かべながら翡翠の挨拶に答える。

 

「あのっ、いきなり変な事を聞くんですけど、この世界ってゲイムギョウ界…………ですよね?」

 

翡翠は少し自信無さげにそう問いかける。

 

「えっ? ええ…………そうですが…………」

 

翡翠の問いかけに一瞬呆気に取られるものの、兵士は頷く。

 

「そっか………ゲイムギョウ界には来れたんだ………良かった………」

 

まったく別の世界では無かったことに翡翠は安堵の息を漏らした。

すると兵士に向き直り、

 

「あの、もう一つ聞きたいんですけど、ここって何て国ですか?」

 

「ここですか? ここは女神グリーンハート様の治める国、雄大なる緑の大地『リーンボックス』です」

 

「リーン………ボックス……………」

 

聞き覚えのある名前に翡翠は呟く。

 

「どうかされましたか?」

 

「あっ! い、いいえ! そ、その………お願いがあるんですが…………」

 

「何でしょう?」

 

「女神様に…………」

 

翡翠がそう言いかけた瞬間、

 

「きゃぁあああああああああっ!?」

 

翡翠の後方で悲鳴が響いた。

翡翠が咄嗟に振り向くと、

 

「ママ~!」

 

「逃げなさい! 早く!」

 

母娘と思われる2人の内、母親がリザード系モンスターの手に囚われており、その足元に女の子が座り込んでいた。

 

「なっ!? あれは上位危険種のリザードキング!? どうしてこんな街の近くに!?」

 

翡翠と話をしていた門番が驚く。

リザードキングは今にも暴れ出しそうで、女の子が踏みつぶされそうだった。

 

「いけない!」

 

翡翠は瞬時に緑心を纏うと、瞬時加速(イグニッション・ブースト)で一気に飛び出す。

少女が踏みつぶされようとした瞬間、翡翠が横から少女を抱きかかえて離脱する。

 

「大丈夫?」

 

翡翠は優しく少女に語り掛けた。

 

「……………お姉ちゃん………誰?」

 

少女は突然の事に困惑しながらもそう尋ねた。

 

「う~ん………通りすがりの正義の味方?」

 

何故か疑問形でそう答える翡翠。

翡翠は少女を門番の前まで運んでくると、

 

「この子をお願いします」

 

そう言って少女を門番に託す。

 

「き、君は一体…………?」

 

門番は呆気にとられたようにそう問いかけると、翡翠は微笑むだけで背を向けた。

再びリザードキングに向かおうとした時、

 

「お姉ちゃん!」

 

少女が強い口調で翡翠を呼び止めた。

翡翠が顔だけ振り返ると、

 

「ママを………ママを助けて!」

 

泣きそうな顔でそう叫んだ。

それを聞くと翡翠は笑みを浮かべ、

 

「任せて!」

 

そう言って一気にリザードキングに接近した。

 

「たぁああああああっ!!」

 

翡翠は槍を突き出すがリザードキングは素手で槍の穂先を受け止める。

 

「くっ!」

 

緑心はスピードはあるもののパワーに劣る。

上位危険種であるリザードキングにとって、翡翠の一撃は軽いものだった。

 

「だけどっ!」

 

翡翠は突き出される腕を躱し、母親が捉えられている腕に素早く近付くと、

 

「レイニーラトナピュラ!!」

 

槍の連続突きを放つ。

流石にこれは効いたのか、リザードキングは母親を手放した。

翡翠はすかさず母親を拾うと少し離れて地面に降ろす。

 

「グ、グリーンハート様と同じ技………!?」

 

門番が驚いているが翡翠は気付いていない。

 

「さ、早く女の子の所に!」

 

翡翠は助けた母親にそう言うと、

 

「あ、ありがとうございます!」

 

母親は深々と頭を下げて少女の所へ駆けていった。

翡翠はそれを微笑んで見送ると、

 

「後はあいつを何とかしないと!」

 

表情を引き締めてリザードキングに向き直った。

そのリザードキングは腕に多少傷はあるが、殆ど堪えていなかった。

 

(…………どうしよう? 緑心の攻撃じゃあまり効いて無いみたいだし…………かといって逃げるわけにもいかないよね……………ここはちょっとずつ削っていくしかないか………!)

 

翡翠は長期戦を覚悟してリザードキングに立ち向かった。

 

「たぁあああああああっ!!」

 

翡翠は槍を繰り出すが、リザードキングは腕でその一撃を受け止め、反対の腕で攻撃してくる。

 

「っと………!」

 

槍の柄を軸に側転する様にその腕を躱すと翡翠はリザードキングの後ろに回り込む。

 

「レイニーラトナピュラ!!」

 

リザードキングの後頭部に向けて連撃を放つ。

 

「ガァアアアアッ!?」

 

これは効いたのかリザードキングは声を上げた。

 

「良し! もう一撃!」

 

行けると思った翡翠は怯んだリザードキングに飛び掛かり、

 

「………………ッ!? ガハッ!?」

 

不意に横殴りの衝撃を受けた。

地面に叩きつけられ息を吐き出す翡翠。

 

「な………何が…………!?」

 

訳も分からず攻撃を受けた翡翠が頭を上げると、リザードキングの尻尾がブンブンと振り回されていた。

翡翠は強烈な尾撃を受けたのだ。

 

「あ、あれで殴られたんだ…………」

 

翡翠は槍を杖代わりにして何とか立ち上がる。

シールドエネルギーを確認すると既に2桁まで減っている。

 

「一撃でシールドエネルギーが9割以上減らされた………」

 

相手の攻撃力に緑心の防御力の低さも相まって大ダメージを受けたのだ。

その時翡翠に影が掛かり、リザードキングが近付いていることに気付く。

 

「ッ………!」

 

後一撃まともに受ければ確実にISが強制解除。

いや、下手をすれば命に係わるかもしれない。

翡翠は項垂れる。

それを見たリザードキングはニヤリと笑みを浮かべた気がした。

そして翡翠に手を伸ばし、

 

「ッ!」

 

その瞬間顔を勢い良く上げると共にリザードキングを睨み付けた翡翠が一気に飛び出す。

 

「はぁああああああああああああっ!!」

 

渾身の一撃をリザードキングの顔面目掛けて繰り出した。

その一撃は吸い込まれる様にリザードキングの口へ。

端から見れば、その一撃はリザードキングの口を貫いたように見えた。

だが、

 

「なっ!?」

 

翡翠は驚愕の声を漏らす。

翡翠の渾身の一撃は、口に咥えられるように止められていた。

その事に驚愕した翡翠は一瞬動きを止めてしまう。

リザードキングは軽く頭を上げると首を下に軽く振り下ろし、翡翠を地面に叩きつけた。

 

「きゃぁああああっ!?」

 

ギリギリシールドエネルギーは1桁残ったが、翡翠の策は破られてしまった。

 

「くっ………まだ…………!」

 

翡翠は槍を杖代わりにして何とか立ち上がる。

そんな翡翠を嘲笑うかのようにリザードキングは口元を歪ませると、腕を振り上げた。

 

「負けるもんか…………」

 

翡翠は呟く。

 

「お前なんかに…………負けるもんかぁああああああっ!!」

 

翡翠は心を奮い立たせるかのように叫びながら、振り下ろされる腕に向かって槍を突き出した。

翡翠の攻撃が効かないことは先程までの戦いで証明済み。

翡翠の最後の力を振り絞った一撃も、容易く叩き潰される………………

筈だった。

次の瞬間、リザードキングの腕が大きく弾き飛ばされた。

その事実に翡翠も呆然としている。

何故ならば、翡翠が突き出した槍のすぐ横に、同じ形をした2本目の槍が突き出されていたからだ。

 

「よく頑張りましたわね…………」

 

翡翠の肩に手が置かれ、すぐ後ろから声が聞こえた。

 

「えっ…………?」

 

翡翠が声を漏らすと、

 

「あなたの諦めない姿…………わたくしの心に響きましたわ」

 

その声の主が前に進み出た。

翡翠が最初に気付いたのは腰まで届く流れるように靡く翠の髪。

その髪をポニーテールにして、露出面積の高いボディスーツを着て、その手には翡翠の緑心の槍と同じ形状の槍が握られている。

 

「後はわたくしに任せない」

 

そう言ったその女性は背中に剣のような形状の6枚の光の翼を発生させ宙に浮くと、

 

「リーンボックスの女神『グリーンハート』。これ以上の狼藉はこのわたくしが許しません!」

 

そう言い放つグリーンハート。

 

「女神………様………?」

 

翡翠は呆然と呟く。

リザードキングが警戒を露にして唸り声を上げると、グリーンハートに攻撃を仕掛ける。

だが、グリーンハートは舞うようにその攻撃を躱すと、

 

「狂瀾怒濤の槍、受けてみなさい! レイニーラトナピュラ!!」

 

必殺技を放った。

翡翠の緑心と同じ技。

しかし、グリーンハートが放つそれは威力、速さ、手数、全てにおいて遥かに上回っていた。

 

「ギッ!? ガァアアアアアアアアアアアアッ!?」

 

一撃ならば余裕で耐えられた。

だが、それが一瞬で無数に叩き込まれてくるなら話は別だ。

瞬く間にリザードキングは耐久力を減らされ、光の粒子となって四散した。

その光の中に佇むグリーンハート。

 

「あ……………綺麗………………」

 

翡翠はグリーンハートの姿を見ながら自然とそう呟くと、既に限界だったのか瞼が重くなっていく。

そしてそのまま翡翠は意識を手放した。

 

「あっ! 大丈夫!? しっかりしてください!」

 

そのことに気付いたグリーンハートが倒れそうになる翡翠を受け止めながら呼びかける。

 

「あなた達、すぐに医者を呼びなさい!」

 

「はっ!」

 

グリーンハートの言葉に衛兵は敬礼をして駆け出す。

それを見送ると、

 

「それにしても…………可愛い寝顔ですわね」

 

再び翡翠へ視線を落としたグリーンハートはそう呟き、笑みを零した。

 

 

 

 

 

 

 





第34話です。
さて、翡翠の居場所はリーンボックスでした。
でも女神でも戦姫でもないので上位危険種には勝てませんでした。
機体が紙装甲だったって言うのも理由の1つですが。
さて、そんな翡翠のピンチに現れたグリーンハート様。
このルートでも翡翠を妹にできるのか!?
次回をお楽しみに。




PS.家庭の事情やら社員旅行やらが重なって2月の更新は安定しません。
来週は恐らく更新出来ると思いますが、再来週とその次の週は更新できない可能性が高いです。
申し訳ありませんがご了承ください。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。