化け鮫転生放浪記   作:萌えないゴミ

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 アイスボーンのアップデートでザボアザギル追加待ってます


新天地はレンコンをそえて

 

 

 かれこれ三日程度泳いでいただろうか。行くあての検討さえなく、単純に勘に任せて泳いでいた。

 

 とはいえ全くの無策だったわけではない。氷海にいたころに魚を捕るために海に潜っていたからなんとなく知っていることなのだが、この世界にも海の流れはある。つまるところ海流だ。

 

 人間のころ海水浴なんざ行ってもそんなものは体感できなかったし、そもそも俺は海水浴なんて行ったことあったのか?如何せん昔々過ぎて忘れている。

 

 このザボアザギルの身体になったせいか、より敏感に感じ取れるようになったのだろう。とくせい〝さめはだ〟だな。・・・・・・ポケモンもやったことないんだった俺。

 

 その流れが向かう先に俺も向かっているわけなのだが・・・・・・、これがなかなか難しい。人間だったころに得た知識ですでに朧気な記憶なので正しいのかは分からんが、赤道付近で温められた海水は海面近くに浮上し、極付近へ流れていく。そして極付近で冷たくなった海水は深層深くへ沈み込み、また赤道近くで浮上する、と。

 

 モンハンの世界に極や赤道などが存在しているのかどうかは知らないが、寒冷地方と熱帯地方の区別くらいはあるはずだ。できれば氷海よりは暖かい地域へ行きたかったのだが、間違えば熱帯地方へ行ってしまう可能性もある。暑さに耐性が無いであろうザボアザギルでそんな場所に放り出されてしまえば、あっというまに特上フカヒレの完成だ。うまそう。

 

 そして海流に沿っていくのが難しい理由なのだが、氷海を出てから一つの海流に乗ってみたが、俺の予想通り、それが明らかに深層へ向かっている。このまま行けばいずれ深海へ行ってしまうかもしれない。そうなってしまえばいくらモンスターの身体とは言え深海の水圧に耐えられる保証はない。深海で目撃されたモンスターは過去二種類しかいない。ラギアクルス希少種とナバルデウスとその亜種のみ。強大な力を持つ彼らだからこそ耐えられるのであって、こんな鮫だかカエルだか分からないやつの住む世界じゃない。

 

 とりあえず限界ギリギリまでは海流に沿って進み、そろそろ危ないか、というところで海面に浮上した。そしてこうしてあとは勘に任せて泳いでいるわけなのだが。

 

 とりあえず太陽の昇る位置からおおよその方角は把握している。そうしなければ方角を誤ってまた氷海へ逆戻り、なんてことになりかねない。食料も問題ない。魚はたくさん見かけたし狩りもしやすい。氷海から離れるにつれて徐々に魚群も増えてきた印象だ。流石に魚も氷海の環境は厳しいのだろう。

 

 そして幸運なことに大型モンスターには一度も遭遇していない。まあ水棲のモンスターそのものが少ないから当然といえば当然なのだが、いまだに生態系の最高位捕食者でない俺にとっては死活問題なのでこれ以上ない幸運だ。

 

 眠くなれば浮きながら寝た。便利だよねこれ。俺も歩きながらとか仕事しながら寝たい。

 

 そしてよく晴れたある日、俺は水面に浮いている花を見つけた。

 

 

 種類は分からないが蓮?っぽいなこれ

 

 

 今まで海面に浮いているものはほとんどなかったのに。これは陸に近づいている証拠に他ならない。

 

 直ちに俺は花が流れてきたと思われる方向に泳ぎを進めた。するとどうだろう、明らかに水温が上昇しているのがはっきりと肌で感じられるようになった。

 

 俺は水面に顔を出して水平線を見つめる。ぼんやりと何かが見える。あれは陸地だろうか。

 すぐにでも近づきたい衝動をぐっとこらえて、慎重に泳いでいく。もしあれが町な可能性もあるので迂闊に近づけない。

 

 

 人や街並みは・・・・・・、見えないか。あれは森林か?

 

 

 どうやら町ではないらしい。砂浜があり、河口から俺が見た蓮のような花びらが流れてくる。やはりあの花の出どころはここで間違いないようだ。

 

 俺は海岸線にそって緩やかに移動し、目の前の陸地を観察する。

 

 砂浜は長く続かず、すぐに低木や茂みに覆われてしまっている。海岸からは陸地の奥まで確認することができない。が、パッと見たところ木々に覆われ、生物も豊富に生息していそうではある。

 

 しばらく観察していたが、どうにも早急に対応すべき危険がないようなので、俺はさらに内陸に入るためにとりあえず河口に泳ぎを進める。

 

 河口に入ってすぐに分かった。

 

 

 マングローブ林って感じか・・・・・・

 

 

 河口の入り口の幅は狭くなっていたが、狭いのはそこだけで、あとには広大なマングローブ林が広がっていた。水深は浅くはない、が流石に海とは違って俺の身体を完全に隠すほどはなく、残念ながら背びれが水面に飛び出している状況だ。よくあるサメ映画かよ、そのうち頭3つになったりして台風に乗って町襲うぞ。

 

 水温はかなり温かい、まぁ氷海と比べればどこでも温水みたいなものだが。

 

 魚もたくさんいたが、俺が近づくとあっという間にマングローブの根っこに姿を隠す。警戒心が強いのは生物としての基本ではあるが、もしかするとここには俺以上の高位捕食者が存在する可能性もある。そういやこのマングローブ林ってガノトトスの生態ムービーの場所に似てるな・・・・・・。あのアプトノスみたいにはなりたくねぇな。

 

 急にこのマングローブ林が誰かの狩場のように思えてきた俺は恐ろしくなってあたりを見渡すが、幸いなことにガノトトスのようなモンスターの影は見られなかった。

 

 

 新天地って喜んでる場合じゃないかもな・・・・・・

 

 

 氷海にいたころはその厳しい環境故に大型モンスターの数も少なかった。俺は生態系の下位捕食者であったが、より高位の捕食者の数そのものが少なかったこともあり、俺はこうして生き残れている。だがこの新天地ではそうもいかないだろう。豊富な水、木々、土壌などの条件がそろえば生態系はより複雑、かつ巨大になる。そうなれば俺の生態系ピラミッドの位置も、より下位へ転落することになる。

 

 下位の生物が生き残るためには戦略を用いるしかない。数を増やしたり、身を守る手段を持つなどだ。

 

 

 とりあえずはこのマングローブ林には俺以上の高位捕食者がいると考えたほうがいいな

 

 

 そう考えている俺の鼻先にあの蓮の花のようなものが触れた。

 

 

 そういやこの花どこから流れてくるんだ?マングローブの花じゃないよこれ

 

 

 マングローブ林の木々を眺めても花をつけている木はない。いったいどこから流れてきているのか?俺は鼻先で水の流れを感じ取り、そちらへと泳ぎを進めた。

 

 しばらくマングローブの根っこをすり抜けていくと、急に視界が開けた。

 

 川、という感じではなく、大きな湿地帯という感じで、一面にあの蓮の花のようなものが咲いている。遠い岸にはフラミンゴのような派手な色をした鳥が群れ、ケルビやアプケロスが水を飲んだり、体を休めている。

 

 

 おぉ、こいつはすごいな・・・・・・

 

 

 まさに圧巻といった光景だ。氷海の白い大地と灰色の雲に覆われた世界にはなかった光景に心を奪われて、惰性で泳いでいると足が地面に触れた。

 

 どうやらここから先は水深が深くないようだ。俺は陸に上がることもできるが、まだよく分からないこの地域ですぐに逃げられる逃げ道は用意しておいたほうが良い。ここを居を構えるのはいささか不安が残る。

 

 と俺の鼻先が別の水の流れをとらえた。

 

 

 なんだ?別の水の流れ道でもあるのか?

 

 

 好奇心に駆られ、少し後退してその道を探す。

 

 マングローブ林と湿地の境界の近くから水の流れを感じる。あたりを探ると下からの流れを感じるも出どころが分からない。

 

 底には朽ちたマングローブが積み重なっているので、どうやらそれが水流の出どころが分からない原因らしい。

 

 俺は大体の見当をつけて、前脚で底の朽ちたマングローブを一気にどける。

 

 あっという間に水が濁り、そこに隠れていた小エビやカニ、魚などが一気に逃げ出す。すまんね君たち。

 

 水の濁りが収まり、視界が回復した俺の目の前に穴が開いていた。広さとしては俺が余裕をもって通り抜けられるほどあり、それが斜め下に続いている。やはり水流はここからきている。

 

 

 にしてもきれいな穴だな、自然の浸食でここまできれいに円形の穴が開くものなのか?

 

 

 泥が固形化したのか、ここの地面だけ岩盤が突出しているのかは分からないが不自然なほどに整っている。

 

 違和感を感じるもここまできたら先を確かめないわけにもいかず、俺はその穴へ入っていった。

 

 穴の中には光が差さず、真っ暗だった。だがそこはモンスターの感覚でどうにでもなる範囲だったし、水流の流れをさかのぼるだけなので迷うはずもないし、そもそも道は枝分かれしていないようだった。

 

 道はやがて下向きから少しづつ傾斜を緩めていき、しまいには平らになったように感じる。

 

 そして少しづつ光が感じられるようになり、そろそろこの道も終わりが近いようだ。

 

 穴から出た俺はあたりを確認する。どうやらマングローブ林ではない。水深もかなりあるようで一瞬また海に戻ったのかと錯覚したほどだが、まだ淡水であるようだ。

 

 俺はゆっくりと水面に浮上し、慎重にあたりを探る。

 

 

 湖か池ってところか・・・・・・

 

 

 周囲をぐるりと見渡しても切れ目なくあの蓮の花のようなものが咲き乱れ、一部には樹木が張り出している場所もある。念のためぐるりと岸を一周してみたが、水の出どころはない。次にまた潜り、この池のような湖のような場所の形を探る。

 

 一通り観察し終えて分かったことだが、ここは大きな池のようだ。湖と呼ぶには少し小さい気がする。

 

 広さは・・・・・・正確には分からないが、まぁ狭くはない。そもそも泳ぎ回る目的ではないので、ある程度の広ささえ確保できているならそれでいい。水深はかなり深く、底にようやく光が差す程度だ。

 

 この池の形はすり鉢状であり、水源は底から水が湧いている。そして俺が通ってきた穴からマングローブ林へと抜けていくのだろう。

 

 俺にとって幸運だったのは、この池が閉ざされていたためか、水棲の大型モンスターがいないことだった。そして岸の一角に地面から突き出した岩が屋根になっていて、雨風をしのげる場所があったことだ。おまけにその周りには木や茂みがあり、天然の目隠しにもなっているので住処にするにはもってこいだ。

 

 とりあえずあたりに警戒すべき敵や脅威がないので俺はその場所に腰を下ろした。気候は暖かく、景色もよい。氷海に比べたら条件としてはよい。

 

 そして考えたことがある。いったいここはどこなのかということだ。

 

 

 まぁ見当はついてるんだどな・・・・・・

 

 

 蓮のような花、マングローブ林、豊富な動植物。心当たりがある。おそらくここは。

 

 

 原生林、だよな。多分

 

 

 モンスターハンター4で初登場したマップだ。湿地、森林、毒沼など様々な顔を持つマップで、それに応じて生態系も複雑化する。イーオスやゲネポス、ネルスキュラなど状態異常を使うモンスターやガララアジャラやリオレイアなどの高位捕食者も多く存在する。過ごしやすいフィールドではあるものの、その分脅威も大きい。

 

 水棲モンスターは確認されていないものの、相変わらずここでも俺は生態系の下位であることには変わりない。

 

 

 しばらくは様子見ってところか、ていうかすぐ隣マップじゃねぇか。あそこエリア3だろ

 

 

 俺が寝床に決めた場所から、林を挟んで滝と崖が見える。俺の見当違いでなければあそこがエリア3だろう。他の風景にも見覚えがある。意味不明なくらい巨大な骨なんて原生林特有のものだろう。

 

 

 グウウウゥ・・・・・・

 

 

 いろいろと現状整理が済んだら腹が減ってきた。腹の虫もご立腹の様子。何か食えるものを探しに行くとしますかね。

 

 俺は再び池に潜り、魚を探すも、いない。なんとなく予想はしていたが、この池は閉ざされていたため魚がいない。いるにはいるが、とても俺の腹の足しにはならない大きさだ。

 

 そんな俺の目に、何やら目に飛び込んできたものがある。

 

 

 あれは・・・・・・レンコン?

 

 

 蓮のような花から水面下に伸びている根っこの先、地面の近くに見覚えのある形を見つけた。

 

 試しに前脚で掻き寄せてみると、ずるずるっと抜けた。

 

 齧ってみると、あのポリポリとしたレンコンの食感だった。まぁ小さい魚よりかは腹の足しにはなるし、多少食っても食べ過ぎなければ、割と早く再生するか。

 

 俺は食べ過ぎないように注意して、食事をある程度にとどめてまた寝床にもどってうずくまる。

 

 ザボアザギルの身体とはいえ長距離を泳ぎ、疲れていたし、食後で気候は穏やか。おまけに暖かいとなれば、眠くなるのは仕方のないことだ。ましてさしたる脅威も認められなかったのだから。

 

 まぁ仮に脅威があっても、この条件なら眠ってしまっていただろう。

 

 俺は特に警戒もせず、あっという間に眠りについた。

 

 だから、俺を見つめる爛々と輝くたくさんの視線に気が付くことはなかった。

 

 その視線の主たちは何やら言葉を交わすと、一度姿を消した。

 

 後には大きな寝息を立てている俺が残されたのみ。

 

 

 




 投稿間隔が安定しないこと、大変申し訳ございません。

 誤字脱字、アドバイス等あればよろしくお願いします。
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