一体何日眠っていたのだろうか。モンスターでの睡眠の感覚が分からないので目が覚めれば毎回こんなことを考えている気がする。太陽は既に沈んではいるが、それが何日後の夜なのかさえ分からない。不便なことこの上ない。
お?そういえば胸の痛みが無ぇな
睡眠時から感じていた胸の痛みがもう無い。ということは大したことではなかったということか、いやいやまだ分からん。一応気は抜かないようにしておかなくては。まぁ気を抜いてもできることなんてなんですがね、ええはい。
ともかく腹が減ったし、何か食えるものを探しに行くとするか。寒いしラーメンとかチャーハンとか食いたいよね☆
まさかモンハンの世界の氷海に中華料理が落ちてるわけはないんだけどね?そんなことは絶対にありえないけど一応言っておけば実現するかもしれないじゃん!さすがにマジで落ちてると思うほど馬鹿じゃないよ!ちょっと頭がおかしくなってるだけなの!
脳内独り言とはいえこんなことを考えているのだから俺の思考がおかしいことなどは自明の理、太陽が東の空に昇りに西に沈むがごとく明白で周知の事実なのだが問題ない。なぜかってそりゃ俺の思考が誰かに覗かれてることなんてないんだしねペロペロ。
ともかく俺はエリア7から移動を開始した。目指すは隣のエリア2。そこには釣りポイントがあるし魚が大量に氷の下にいるポイントでもある。一度潜って確認したから間違いない。にしても氷海の海水の寒さは異常だ。寒さに耐性のあるザボアザギルでも寒さを痛烈に感じるくらいの寒さと言えば分かるだろうか。そして問題なのが海から上がった後だ、晴れで無風ならまだいいが吹雪いてた日なんかの悪天候だった日にはマジで凍り付くだろう。まぁもっともザボアザギルは水生種のモンスターだし鮫とカエルっぽいのだから流石に全身凍ってしまうことはありえないだろうが。とにかく注意は必要だ。
大した時間もかけずにエリア2に到達。早速海に飛び込んで魚の群れを探す。人間だったころには考えられないほどの速度と泳力に最初は戸惑ったが慣れてしまえば快適極まりない。肺活量も当然モンスターサイズでほとんど苦しくなることはない。
そういやモンスターの中で一番速く泳げるのはどいつなんだろうな。この泳力なら俺もトップ3くらいになら入れそう。でも流石にガノスとかには負けるんだろうなぁ、あいつはマジの魚だし。ラギアとかロアルも結構早いかもしれないしライバルは多いな。競争する気は全く無いんだけどもね。ラギアからしたら俺なんてちょいと大きめのステーキってところだろうし。
そんなこんなで魚群を発見した俺は気づかれぬよう下に回り込み、中でもとりわけ大きな数匹のいるあたりを目掛けて急上昇した。
氷海の氷をぶち破り、綺麗に着地まで決めたところで俺の上から水が雨のごとく降り注ぐ。その海水の水しぶきが収まった後に氷の上を見渡すと何匹かの魚の死体が落ちていた。数えてみるとその数7匹。おいおい少ないぇぞ、こんな数で足りるわけねぇだろ大型モンスターの食欲なめんな。誰が悪いって自分自身なんですけどもねええ。まぁライオンの狩りだって7割くらいは失敗っていうし三割打てれば優秀なバッターだし逆説的に言えばちゃんと狩りを成功させた俺は勝ち組なのでは?
というかこの方法で魚捕るの二回目なんだよねぇ、さも当然のようにこんな方法でやってるけどこれゲーム内のザボアザギルの行動真似しただけだし。
俺は獲物の数の少なさに落ち込みながらも仕方なくその魚を丁寧に食べた。中には破裂する魚もあるが口の中で炸裂しても身が無くなるわけじゃないし、なにより成長した今なら多少の爆発なんて痛みにさえ感じない。小さいときに魚を敬遠していたのはこのためなのだ。
まぁ当然腹が膨れるわけねぇよなぁ・・・・・・
俺はもう少し食料を求めてエリア移動をすることにした。具体的にはやっぱりラーメンとチャーハンが食いたい。
エリア1には行かずに俺は3に向かうことにした。大体ポポがいるのはエリア1だが何となくキャンプの近くには行きたくない。こちらに来てからハンターの姿を見たのは最初にティガレックスに遭遇した時だけだが気を付けるに越したことはない。そういえばあの俺の尻尾を捕まえて宙づりにしたハンターに燃えないゴミと虫の死骸のプレゼントはどうやって送り付けようか、配達してもらえるなら是非着払いでお願いしたい。
ささやかな復讐心を燃やしながら俺はエリア7に戻り、エリア9を通って向かうことにした。本当ならゲームのように一発で移動したいのだが現実は非情である。潜ってエリア3に行くには硬い氷と岩盤を掘り進まなくてはいけない。どう考えても無茶である、どうやって移動してたんだよゲームのザボアザギルは。俺も一回チャレンジしてみたけど無理だと分かったよ。というか氷纏状態なまだしも通常のザボアザギルの頭では絶対無理だろ何考えて設計してんだカプコ(ry
そんなこんなでエリア3に着いた俺が見たものはポポではなかった。
碧い甲殻にたなびく白銀の体毛、強靭に発達した前脚とそれに備わる鋭い爪。硬質な甲殻に守られたしなやかで丈夫な尾。威圧するかのような鋭い眼光を放つ頭部には角が二本。ここまで言えばだれでも分かる。モンハン界屈指の人気モンスター、雷狼竜ジンオウガ。それだった。とういうかこいつも氷弱点なのになんで氷海来てんだ、ラージャンもそうだし氷弱点のくせして寒冷地法に進出させすぎだろカ(ry
それにしても驚いたのはこちらである。ポポを探しに来たのにジンオウガとエンカウントとかどんだけ徳積んでないんだって話ですよ!確かに徳なんてミリも積んでないけどこんなのってあんまりじゃない?あんまりだぁぁぁあ!!
しかも結構大きいしあのジンオウガ、俺の2倍弱くらいあるんじゃねぇかなぁ。
とにかく気付かれないうちに逃げるしかないので俺はこっそり逃げようとしたのだが・・・・・・・。
うわめっちゃこっち見てるよ・・・、バリバリ闘る気だよこのジンオウガ。こんな格下のモンスターいじめて楽しいかよぉ!
逃がしてくれそうにない。確実に逃げるのコマンド選択しようものなら、しかし回り込まれた!ってなる。
逃げられないなら戦うしかないが勝ち目がほぼない。というか俺が今まで勝ち目のある戦いしたことあった?ないよね?なんで?なんで勝率ほぼゼロばっかの試合してんの俺?しかも命賭けて?というか勝率ゼロがいつも通りならこれもいつも通りだな。気負わず行こうか。(思考停止)
とにかくやるのは逃げと防御に徹した戦い方だ。いうなればこれは拠点防衛のラオシャンロン戦。こっから相手の体力を減らし撃退させる。いいぜ来いよ!言っとくがおれは拠点防衛型のクエストは得意なほうだぜ?
俺はジンオウガに向き直り相手を見つめる。決してこっちからは威嚇はしない。何もしないで帰ってもらうのが一番なのだ。というか俺を帰らせてくれればいいのだ。
だがジンオウガはこちらを見据えたまま歩みを進めてくる。そして急に立ち止まったかと思うと。
グォオオオオオオオ!
突然咆哮し、あろうことかいきなり超帯電状態に移行した。
驚いたのは俺である。
急に超帯電なんて聞いてねぇよぉぉぉ!!こんなことあってたまるか、こんな氷海に雷光虫がたくさんいるわけねぇだろ!いい加減にしろ!こんなのラオ拠点防衛なのにいきなり最終砦の真ん前からスタートするようなもんじゃねぇか、しかも撃龍槍は使用済みで大砲とバリスタもないようなもんである。
俺の脳内に「拠点の耐久度が30パーセントを切りました」と表示された気がした。
ジンオウガが一瞬力を溜めるようなようなモーションを見せたかと思うと、一気に俺目掛けて飛び掛かってきた。とっさに俺は横に飛び退いてさらに距離をとる。さっきまで俺がいたところに電撃とともに爪が振り下ろされ地面を抉られる。
おいおいあんなの食らっちまったらひとたまりもねぇぞ・・・・・・
俺は内心冷や汗ダラッダラかきながら相手の一挙一動に集中する。ちょっとでも攻撃を食らえば連続して攻撃をもらってしまうことはゲーム内で経験済みだが、ゲームと違うところは痛みがあり、死んでも三回まで復活させてもらえないし、なにより命がかかっているということだ。
ジンオウガは素早くこちらを向き、間合いが遠くなったからか雷光虫弾を発射してきた。ゲーム内ではある程度曲線を描きながら超帯電状態なら二発づつだがここでも俺の予想を覆すことが起きた。
三発!?
そう、二発ではなく三発。ゲームならこんなのバグ案件なのだがこればっかりはバグだの何だの言ってられない。もしかしたら個体によって発電器官の強弱があるのかもしれないな、さっきも一発で超帯電に移行してたし。
あれ?じゃあこいつ強個体?マジでヤバくね!?
打ち出された雷光虫の数に面食らった俺はあろうことか3発全弾食らってしまった。フルフルの時にも食らったあの痺れと焼けるような痛みが俺の身体を襲う。
雷光虫弾を食らいながらもなんとか体勢と意識を保った俺の上に影が差し、あの硬い尻尾が振り下ろされる。
ほとんど転ぶように横に転がって躱すと息つく暇も無く雷光虫弾が襲う。しかも今度は途中で尻尾叩きつけに派生することなく二連続で、つまり六発。なんとかして腕で受けることはできたが完全にダメージを消せるわけではなく、俺は痛みに顔をしかめる。
そして俺はあることに気が付いた。そう、恐らく鉄分沈着とかなんとかによって俺の身体を覆っているこの鉄の鱗のことだ。鉄というのは人体よりも雷をよく通すというのを聞いたことがある。今はモンスターの身体だが人間と比べても構成要素的にはそう変わらないだろう。
つまり、俺の鱗、もとい身体は通常のザボアザギルよりもより多くの電気を通すのでは?あいにく理系じゃないし専門的な知識は持ち合わせてはいないので事の真偽ははっきりしないが、もし俺の仮設通りだとしたらおれとジンオウガとの相性は最悪ということだ。ポケモンでいうと、こうかはばつぐんだ。
俺を間合いに捉えたジンオウガは今度はショルダータックルを繰り出してきた。ただでさえ体格の差が激しいのに雷光中の被弾直後に合わせられたら踏ん張ることなどできるはずもなく、電撃と衝撃を食らって吹っ飛ばされる。
ゴロゴロと雪煙を上げながら転がって体勢を立て直して相手を見据える。ジンオウガは電撃を迸らせながら余裕しゃくしゃくといった様子でこちらを見下ろしている。
一方こちらはさっきからハメられているかのように一方的に攻撃ばかり食らっているので内心穏やかではない。というかもう激怒していた。闘争本能が刺激されて息が荒くなり、アドレナリンが分泌されて今までの痛みが消える。今すぐ目の前のジンオウガをバラバラにしてやりたい衝動に駆られ、それ以外は何も考えられなかった。
それと同時に同時に俺の身体の表面に氷が生成され始め、瞬く間に氷の鎧が完成した。
俺が戦闘態勢に入ってもジンオウガは驚いたりする素振りなど一切見せずに相変わらず余裕の表情である。その態度が俺の怒りをさらに引き上げた。
さっきまで拠点防衛だの逃げるだの言っていたことさえ忘れて俺は大きく咆哮を上げ、ジンオウガに向かっていった。
誤字脱字、アドバイス等がありましたらお願いします。もうちょい戦闘回は続くと思います。