ノーゲーム・ノーリライフ   作:ライム酒

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ゲーマー兄妹は夫嫁となり、もう一度世界に挑むそうです
プロローグ


あの神様は言った。

『この世界に輪廻転生はない』と。

 

死ぬと魂は器から抜け、精霊回廊に溶け込むらしい。

 

俺は最期のとき、本来人類は見ることができない精霊回廊を星の核から直接吹き出した高濃度な精霊によって眩い光として知覚し、そして呑まれた。

おそらく器も魂も関係なく、放出された精霊によって溶解されたことだろう。

 

いや、この世界で学んだ科学用語としては、精霊は目に見えない気体として考え、精霊に溶けたのだから、固体から気体に変わる昇華が正しいのか?

いやいや待てよ。あの時の吹き出した精霊は過剰エネルギーによる臨界状態だろうから、気体というよりプラズマに近いんじゃないか?

 

とするとあの時の現象は、気体ではなくプラズマに転移するイオン化のほうが近いのか。

 

定義し直すとつまり、俺の器と魂は臨界状態の精霊によってイオン化された。

そして、そのまま精霊回廊に生物としてではなく、物質として永遠と流れることになっていたのだろう。

 

 

だがしかし現実ではそうならず、あまつさえあの神様が否定した輪廻転生をして、俺は異世界に産まれたわけだ。

 

 

おいおい神様よ。輪廻転生はないんじゃなかったのか?異世界だからノーカンってか?

 

まあ、意識も遠のいてたし、本当に神様がそう言ったかも確かではないからわからんけども。

むしろ聞こえたというより、感じたのほうが近かった気もするな。

「――……リ……ク?」

 

…………。

さ、さて、そろそろこんなわけのわからん前世のことを思い返すことで冷静さを取り戻す作業を終わらして、現実に戻るとするか。

 

 

輪廻転生という超自然現象的なことを体験した俺の産まれ直された世界は、人類が生物の頂点に君臨して地上に溢れかえっており、先進国ならば滅多なことがない限り命が無意味に奪われない平和な場所で、あの世界では考えられないほどに進んだ科学もあった。

 

そして、おそらく社会一般的ではない両親が不仲な家庭で育った俺は幼いながらもその科学へとのめり込み、いつしか神童と呼ばれることになり、順風満帆な異世界再人生が始まった。

 

ところが不仲な家庭は俺の努力の甲斐なく離婚という結果に終わり、今日、これまたバツが付いた女性と俺の親父は結婚するらしい。

親父よ、フットワークが軽すぎやしないかと思ったが、笑顔で上機嫌にそれを迎えた。

 

そしてさっきまで、その新たな母さんと極めて好意的な自己紹介を済ませたが、聞くところによると、どうやら母さんには俺より七つ下の小さい娘がいると言う。

 

その子はかなりの知的障害があるらしく、最近はあまりしゃべらなくなったが、言葉を話し始めたころはわけのわからないことを呟いていたらしい。

しかし知的障害と言っても、発達指数であるDQ値も、知的指数値であるIQ値もともに異常に高いサヴァン症候群に分類されるもので、さらに会話ができないほどでもないというそうだ。

 

そして覚悟を決め、さあ扉を開け、奥にいるその子と仲良くするぞ、と意気込んだのが冒頭の数瞬前のことであった。

 

「やあ、初めまして。リクじゃなくて、空だよ。これからよろしくね」

努めて笑顔で乗り切ったと思う。

多少、言葉も棒読みでぶっきらぼうだったかもしれんが、過去未来全ての時間軸加えて異時間軸の俺も全会一致で褒める出来だったと自負できる。

 

――ふむ、なるほど……

神様ぁああああっ?!!

何!?この世界はボーナスステージだったの!?

夢か?永い走馬灯か何か?

と、とりあえず、神様ありがとう!

 

「…………」

先の言葉を聞いて、これから俺の妹となる純白で癖の強い、長い髪をした可愛らしいこの子、というかもろシュヴィは、疑惑と少しの失望が混ざった目で俺を注視している。

 

いきなりの脈絡のない言葉に苦笑いをしている親父と居心地の悪そうな母さんが横にいるが、俺はこの場で何とか『俺がリクである』ことを周りに知られないように伝える方法を考えていた。

 

「……リク――」

「ゲームが得意なんだって?君の母さんから教えてもらったんだ。テーブルの上にチェスがあるみたいだし、一局どうかな?」

シュヴィがそれ以上何かを言う前に俺は彼女をゲームに誘った。

 

――さっき「初めまして」って、わざわざ強調して言ったのに構わず続けるなよ!そりゃこんな演技もできないようなら、知的障害って判断されるわ!

 

「……わか、った」

失望から少しの期待へと変わった目で彼女はそう答えた。

 

 

まあ、結果は俺から見れば満面の笑みの彼女が勝った。

 

あの世界よりも平和な分、より研究が進んだ高度なチェス理論を7年も前に産まれた故に、より学び、さらに今度は同じ人類だというのに、完封された。

「もう一回だ!」

その言葉は、おそらくこの世界に産まれ始めて出た心からの言葉だっただろう。

 

そんな子供のように遊ぶ、しかし内容が大人顔負けのゲームをしている俺たちを見た親父と母さんはゲームの途中でそそくさと逃げていった。

 

これが、俺たちがこの世界で再開した、そしてこれから始まる物語の最初の話。

 




この小説は、ある小説から着想を得て書いております。
その小説の作者様には許可を得ていませんが、丸パクリしていいという旨が書かれてありましたので、投稿しています。
もし作者様に不快な思いをさせてしまっているならば、感想等で教えていただけると幸いです。
即刻削除いたしますので、よろしくお願いします。

偉大な先駆者の方に敬意をもって、執筆させていただきます。
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