ノーゲーム・ノーリライフ   作:ライム酒

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家族~ファミリー~

「はっ!ちょっと待つですの」

 

失意の境地から無事脱することができたらしいステファニーは、何かに気がついたらしい。

 

「どうしてリクは、チョキではなく、パーを出したんですの?そうすれば勝てたはずですわ」

どうやら彼女は俺の行動に疑問を抱いてしまったらしい。

 

「今更だが、ステファニーは長いしステフでいいか?」

「え、えぇ。別に愛称なんて気にしませんわ」

「んじゃ、ステフ。今回のゲームだが宣言のイカサマを抜きにして、どういうものだったのか、わかったか?」

 

ということで、ステファニー改め、ステフに今回のネタバレをしてやることにしよう。

 

「それは……、私の覚悟、を試したかったのでしょう?それぐらい、わかりますわ」

またあの時の焦燥を思い出したのだろうかと、意気消沈していくステフ。

「ああ、そうだ。じゃあ、俺の目標って何だったと思う?」

「それは、(わたくし)の命令権が欲しかったんじゃ?」

「だが俺はパーを出した。確実に勝てるだろうと思われる、チョキではなく、な」

 

「――やっぱり、わかりませんわ」

しばらく頭を悩ませ、うんうんと考えていたステフがどうやら降参したみたいだ。

「そうだな、じゃあ考えを変えてみろ。俺はどうなったらこのゲームに負ける?」

「えっ?それはもちろん、(わたくし)が勝ったらではないんですの?」

「いや違う、このゲームの俺の敗北はアイコになった時だ」

「どっ、どういうことですの?なら今、このゲームはアイコになったから、リクは負けたことになるんじゃありませんのっ!?」

「はぁ、もうちっと頭を使え。なら俺はアイコになって、その後何をした?」

「そ、それは、えぇと、そう!アイコのときの賭けを決めましたわ!」

何やら、自信満々にそんなことを言ってきたが、こいつホントにバカなんじゃないのか、と俺は思ってしまった。

 

「はぁ、そうだな。何をそんな偉そうに言ってるからわからんが、そういうことだ」

「べ、別に偉そうにだなんて。そ、そんなことはいいんですわ。つまりどういうことですの?」

ダメだ、こいつはバカだった。

姉さんの血から、こんなのが生まれるなんて、ホント人類の神秘だな。

 

「もういい、説明してやる。このゲーム、俺の敗北条件はステフ、お前自身がアイコを選択することだ。あのゲームでアイコを選択するってことはつまり、このゲームの欠陥に気がついたっていう事だからな。そうなりゃ、俺はゲームが無効になって、敗北ってわけだ」

「ゲームの欠陥、ですの?」

「ああ。このゲームはそもそも、アイコの時にどうするか決めてないんだ。当然ジャンケンならアイコは三分の一で起こりうる、だが後出し可なんて条件をつけて、アイコの時にどうするかなんて、話題に出したら、やる前に怪しまれちまう。ゆえに、何も言わず、気が付かせないようにしたってわけだ」

「なるほど!つまり、私がアイコにしたら私の賭け物が通ってしまうってことですわね!」

「ちっげぇよ、バカ!」

「バ、バカとは何ですの!バカとは!」

「いいか?そもそも盟約に同意したあと、賭け物は容易に変更できない。そして、盟約に誓った以外の終局が起きた時、賭け物はどうなると思う?」

「それは、お互いの合意で決める、とか?」

「ああ、そうだ。それを踏まえて話を戻すが、お前がもし、このゲームに勝つことを諦め、まぁ今のお前じゃ到底考え至らないであろう、その欠陥にもし、もう万でも億でも兆分の一の確率でたどり着いたら、俺はお前がグーを出すだろうと予想したってわけだ。ついてこれてるか?」

「ええ!(わたくし)をとことんバカにしていることにも、ついてこれてますわ!それで、続きをどうぞですの!」

「結果、アイコになってしまった場合、俺達は揉めて、無効試合になってしまうってことだ。以上、猿でもわかる説明だ」

「ふ、ふふふ。もうどこまで馬鹿にされればいいんですの」

と、もう何度目かの意気消沈をするステフだが、ホっと安心した俺を感じる。

ステフはやはり、最後におちゃらかしてごまかしたので気が付かなかったみたいだかこの説明、ホントはまだ半分しか話していない。

俺が話したのは敗北を避けるための方法であって、なぜチョキではなくパーを出したかは説明していない。

そこには俺のちょっとした叔父の心が混ざった、少し恥ずかしいものだからな。

決してばらすわけにはいかない。

 

しかし、それもシュヴィの前では無意味らしく、優しく見守ってくる鬱陶しい視線が届いた。

 

「ちょっ、ちょっと待つですの!」

先ほどと同じように失意の境地から無事脱することができたらしいステフは、また何かに気がついたらしい。

「結局、御爺様の政策への弁護が通ったってことじゃないん、です、の…」

やっとそこまで至ったバカステフは、今度はそれが未だ履行されず、何も弁護されていないことに思い至り、再び落ち込んだようだ。

「ああそれな。別に気にすんな。俺らが今からその爺さんの愚かと思われてた行いを、意味のあるものだったと変えてやるからさ」

そう、特に気負わず冷静に言ってのけ、そして尊大に宣言する。

「これから俺達は、あの『次期国王選出』のゲームに勝って、王になってやるからな」

言いながら、シュヴィの肩を抱き引き寄せ、高らかに言い放った。

「お前にはそこの一番いい席で、前王の為したことはちゃんと意味があったということを見してやる!」

「め、めちゃくちゃですわ!何一つ根拠なんてありませんわ!」

「そりゃそうだろ。なにせ俺らが先駆者だ。前例がなけりゃ作ればいい。それだけだ」

 

そう言うと、俺はまたこの世界から光が見えた気がした。

それは最初に見ていた眩しすぎるものではなく、どこか温かい、そんな光だった。

「それと、お前の家に住まわせて?」

と、何でもないことを尋ねながら、そう感じた。

 

 

 

 

酒場の宿を一泊もせずチェックアウトし、俺達は人類種(イマニティ)の最大にして最後の都市、エルキアの、聞くところによると西部区画三番地にある、ステファニー・ドーラ邸で快適な一夜を過ごした。

覚悟だなんだと、勝手に決めていたが、そもそも俺たちは五徹明けの状態で、ここまでの道のりを通ってきたのだ。

いくら興奮して疲れが飛んで行っていたとしても、もう限界だったのだ。

そしてシュヴィと並んで寝ているところを、ステフが「いつまで寝ているつもりですのー」って感じで、俺らが借りた部屋に乗り込んできた。

うるさい、黙れと言ったが、無理やり起こされ、使用人から水の入っ容器を渡されたので礼を言って、顔に水をかけ目を覚ました。

ちなみに、同じく五徹したはずのシュヴィさんは、寝ても寝なくても大丈夫な、チートな体を手にいれたおかげでぴんぴんしている。

 

どうもちょっと早めの昼、つまりブランチの支度をしたから、そろそろ起きろ、ということらしくステフに案内され、食堂を目指す。

どうやら俺は、昨日の夕方から、今日の昼近くまで寝ていたらしい。

――ゲーマー空、失格だな。

なんて、もう捨てた名前で少しおどけた考えをする。

 

それにしても、王族の家ってものはやはりどの時代も立派なもので、たとえ石造りの時代でも、それが大理石に変わるとなるとやはり圧倒される。

「へぇー、こりゃすごいなー。外見だけはホント立派だ」

「はぁ、素直に感心できないんですの?でも、否定はできないのが悲しいですわ…」

そう、よろろと落ち込むかのように先導しながら、ステフは答える。

「……」

そしてずっといるが、ほとんど喋っておらず、俺の手を握りながら付いて来るシュヴィ。

その光景を立ち直って微笑ましそうに、うざったらしく眺めてくるステフに俺は先を急がせた。

 

 

とりあえず、食事はうまかったことは認めてやろう。

食事中話していいかはわからなかったので、とりあえずは様子見で黙っていたが、普通にステフは話しかけてきたので、特にそういう作法はなかったらしい。

そこで俺は、今知りえているクラミー・チェルの情報を教えといた。

このままいけば、彼女が【森精種(エルフ)】の力で勝ち、この国が乗っ取られるという、全く面白くない情報だが。

それと信じるかどうか怪しかったが、俺たちは異世界から召喚されたとも教えてみたが、意外とすんなり受け入れられた。

しかしステフが言った、召喚魔法の理論では、シュヴィは小さく首を振り不可能と教えてくれた。

無知は救いだな。

一応過去から来たってことも匂わせてはみたものの、バカなステフは気が付かなかったので、またの機会にした。

 

食事も終わり、ひと段落したところで、ステフが地雷原に突っ込んできた。

「それで、お風呂はどうするんですの?一応、沸かしていますから、すぐ入ることはできますわ」

「……!」

シュヴィは何かに気が付いたらしく、隣にいる俺にはかすかにモーター音が聞こえる程度には、何かを検討しているようだ。

 

ステフは信じられるが、バカだからもしもの時にバラしてしまう可能性があるため、シュヴィの機凱種(エクスマキナ)のことを知られるのはまずい。

だがこの時代、たしかに国は困窮しているみたいだが、水事情も悪いわけではなく、風呂にみんなで入るわけではないだろう。

簡単に乗り切れると踏んで俺は油断していた。

「……リク、お風呂……一緒に入、ろ?」

――ふむ、やばいな。

そう思い、怪しい風向きを断ち切るために、どうするか素早く考えていたが

「あら~。妹さんにそこまで思われてるなんて、兄冥利に尽きることですわね~」

そう、いままでの意趣返しのつもりだろうか、こちらをつついてくるステフだったが、しかしそれは地雷の信管だろう。

「……ちがう、もう兄妹じゃ、ない。……リクと、シュヴィは、夫婦」

もちろん対俺の。

「はぁっ!?リ、リリリリ、リクゥ!?あなたまさかこんな小さな子を!?そ、それに、その言い方だと元兄妹ってことじゃないですの!兄妹に今も元もありませんわっ!」

「いやいやいやいや、落ち着け、ステフ。誤解だ!」

「……誤解、違う…ホント」

「おねがいします。待ってください、シュヴィさん。いや、そんな悲しい顔をしないで俺の話を聞いてください」

「リク!いくら『十の盟約』があるからって、こんな小さな子を嫁にするなんて最低(さいってい)ですわ!」

「……違う、リク……最高」

「二人共…頼む。後生だ。黙ってくれ…」

「……その言葉、二回目……もしかして……まだ、後生ある?」

 

そんなバカみたいな会話をしたが、結局俺たち二人で風呂に入ることになった。

 




展開雑なので気が向いたら作り直します
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