俺の名前は。   作:kwhr2069

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こんにちは、アニメ第十一話、見ましたよ。
活躍して乗っていたところでのエラー...。
気分が下がっていた大吾君でしたが、最後のシーン、そこにはいないはずの光君が!
果たして、大会初戦、どういう結末を迎えるのでしょうか、楽しみですね。

そしてこの小説は、全国大会出場をかけての大会の決勝戦真っ只中です。
ということで、よろしくどうぞ。


第十一話

責任感

 

 カキィィン、とグラウンドに快音が響く。

 それは、誰が見てもわかる、完璧な当たりだった。

 

 悠々とダイヤモンドを一周する、縄森の四番高山。

 

 対照的に、マウンドで悔しさをにじませるのは、鹿瀬の投手大屋。

 

* * * * *

 

 失投だった。

 細心の注意を払っていたはずなのに、やられてしまった。

 

 三番打者に、セーフティバントで意表を突かれ、初めて走者を出した。

 それだけで、簡単に動揺して、失投してしまった。

 

 接戦になってくると、先制点を取った方へと流れが傾く。

 それを、相手に与えてしまった。しかも、ツーランホームランという形で。

 エースとして、情けない。

 チームに、申し訳ない気持ちでいっぱいだ。

 

「…おい、勝一、顔上げろ」

 

 見ると、サードの牧篠が来ていた。

 

「まだ試合は半分しか進んでないんだ。逆転する機会は、あるさ」

 

「……」

 

 僕は、何も言えなかった。

 

『頼んだ』?...なんだか無責任すぎる気がする。

 

 打たれてしまった以上、言い訳はできないし、するつもりもない。

 ただ今は、とにかく失投を放ってしまったことを悔いていた。

 

「勝一、これだけは言っておくぞ。

 …俺たちが勝ち上がってこられたのは、お前のおかげだって」

 

「…いや、それは、皆が援護してくれたからで...」

 

「…はぁ」

 

 僕の言ったことに対してため息をつく牧篠。

 

「まぁ、いいや。お前がそういう性格だっていうのは、分かってたことだしな。

 …じゃあ、これまで勝ってきたのは俺たち皆が頑張ってきたから、ってことだな」

 

 牧篠が、何のために自分のところに来たかがイマイチ分からない。

「それで?結局何が言いたかったの?」

 

「いいか?勝つのが皆のおかげなら、負けるのも皆の責任ってことだ。

 だからよ、勝一。お前ひとりだけで責任を背負い込むことだけは絶対にするな」

 

「……」

 

「それに、負けた時のことは負けてから考えればいい。

 今はとにかく、この試合に勝てるように頑張るしかないんだよ

 

 

 

 …なあ、皆?」

 

 そう言われて振り返ると、内野の皆が集まってきていた。

 

「そうだぞ、皆で勝つから楽しいんだろ?野球は」

「守りは任せてね、勝一くんを盛り立ててみせるから」

「絶対逆転してやる、俺たちに任せとけ」

 

 内樺、菊地原、間宮がこう言ってくれた。

 

「今日の勝一、調子良いんだ。次からも、自信もって投げてくれ」

 

 相棒の森戸が、こう言ってくれる。

 

 

 …僕は、一人じゃない。

 

 

「…よし、じゃあ、この回残りを抑えて、次の回逆転するぞ!」

 

「「オー!!」」

 

 牧篠の掛け声で、それぞれ散っていく内野陣。

 

 

 なんだかさっきので、自分の肩も少し軽くなった気がする。

 …僕、背負い込みすぎてたのかな。

 

 まあ、なんにせよ。

 これからは、誰にも打たせないくらいの気持ちで投げるしかない!

 

* * * * *

 

 四回のウラ、ツーアウトから痛い先制点、それも二点を失った鹿瀬少年野球クラブ。

 後続は断ち、試合は後半戦へと進んでいく。

 

 しかし五回の表、鹿瀬はランナーを出すことはできずに三者凡退。

 未だに、縄森のエース池から、ヒット一本すら打てておらず、死球による一つの出塁のみと、完璧に抑えられている。

 

 だが。

 何故か、鹿瀬の面々に焦ったような様子は見られない。

 

 マウンドに上がった大屋も、先程の回の失点を忘れたかのような投球に。

 センターフライ、セカンドゴロ、見逃し三振。見事な三者凡退。

 

 かわって六回表、先頭打者はキャッチャーの森戸。

 8番に入っているが、パワーは非常にある選手。

 1-1からの三球目、良い当たりを放つも、ライトフライでワンナウト。

 

 9番はセカンドの菊地原。

 初球、インコース低めのボールを捉えるが、ショート正面のライナーとなり凡退。

 

 そして打席には、1番サード、キャプテンの牧篠が入る。

 

* * * * * *

 

「(…ここまで、池からヒット一本すら打ててない。

 このままじゃダメだ。とにかく何とかして、勝たなきゃならないんだ!)」

 

 初球。

 バットを横にして、ボールにコツンと軽く当てる。

 セーフティバント。

 

 相手の意表をついての出塁を狙ったが。

 

「…ファール!」

 

 三塁線を切れてしまった。

 

「(…くそ、惜しい。しかもこれで、意表を突くのはできなくなっちまった)」

 

 二球目は、高めに外れる、ボール。

 

「(やっぱり、打つしかないよな...。

 でも、どうやって?これまでずっと、抑えられてきた相手をどう打つ?)」

 

 三球目、インコースへの際どいボール。

 手が出ない、そして、ストライクに。

 これで、追い込まれてしまった。

 

「(ああ、こんな時、綜先輩ならどうする?俺の憧れ、茅ヶ谷綜先輩なら...。

 

 …って、ダメだダメだ。こんなこと考えてる暇はねえよ!)」

 

 四球目、五球目はうまくカットし、六球目は外に外れるボール球。

 カウント2-2だ。

 

「(…ダメだ、ヒットを打てるイメージが、わかねえ...。

 やっぱ俺は、キャプテン失格だな...。先輩みたく、うまくないし...)」

 

 

 

 

 

『そうだよ、俺は自分の事、ヘタクソだと思ってるよ』

 

 

「……!!」

 

 ふと、とある時に先輩が言った一言を思い出す。

 

「(…そうだ。俺は、まだまだ下手なんだ。だから...)」

 

 ピッチャーの池が振りかぶる。

 

 投じられた七球目。

 

 

 俺は、この打席の初めにやったのと同じ体勢になる。

 

 

 セーフティバント。

 

 通常ありえないカウントからの俺の行動に、反応が遅れる相手内野手。

 

 

 軽く転がして、一塁へと全力で走る。

 そのままの勢いで、俺は一塁ベースを駆け抜けた。

 




試合の最終回の模様は、次話に持ち越しとなりました。
どうぞ、お楽しみに。

では。
ここまで読んで下さり、ありがとうございました。

※11月10日18:25、一部分に修正を加えました...が、本筋の部分とは特に関わりもないのでお気になさらず。修正ラッシュについてもお気になさらず。笑
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