俺の名前は。   作:kwhr2069

13 / 47
どうもこんにちは。
アニメ第十二話、見ましたよ。
光君の登場で火が点いた大吾君が奮闘し、見事勝ち越し点を挙げますが、アンディがフィールディングで足を怪我するという事態に。
このまま負けかと思いきや、光君の登板、そして受ける捕手は大吾君!
いや~、アツい、アツかったですね。
一回戦を突破し、次話からは二回戦に入るのでしょう、楽しみですね。
ふと思ったんですけど、7月からもメジャー2ndはアニメ放送続くんですかね?調べてないので分からないんですが。
まあでも、恐らく続くでしょうね、今終わるとなんか中途半端な気がしますし。

ではアニメ感想もこのあたりで終わって、小説の方へ。
全国大会予選の決勝戦、続きからです。
よろしくどうぞ。


第十二話

越えていけ

 

*牧篠美智琉、小学三年、秋頃

 

 この頃、俺はとある一つの悩みを抱えていた。

 

 それは、『なかなか試合で打たせてもらえない』というものだ。

 試合に少し出してもらえても、殆どが犠牲バントのシーン。

 

 バントだけは最初から何故かうまく出来たため、俺が試合に出るときは、代打でバント、ということが大抵だったのである。

 

 やはり、野球をやっている身としては、打ちたい、という欲がどうしても大きくなる。

 小学三年生で、始めたばかりなら、なおさらだと思う。

 

 だからこの頃、俺は代打でバントの場面で、バントをあえて成功させず、最終的には普通に打つ、というクソみたいなことをやっていた。

 

 

 とある日。

 俺は、ある事に気が付いた。

 

 この頃打線で2番に座っていた茅ヶ谷先輩は、1番を打つ六年生の先輩の出塁率が非常に高かったため、ほとんどの打席で犠牲バントをしていたのである。

 

 俺は、気になったので聞いたのだ。

『いつもバントばっかりで、つまらなくないですか?』と。

 

 すると先輩は、こう答えた。

『バントをしてチームのためになるなら、それは嬉しいことだろう』と。

 

 

 俺は、ビックリした。

 野球は、自分が楽しんでなんぼのものではないのか、と思っていたから。

 

 

 そして先輩は、驚いた顔をしている自分にこう続けた。

 

「…まあ、打ちたい気持ちがないか、と言われたら確かに嘘になるかも。

 でも、俺は、先輩たちと比べるとまだまだヘタクソだから。

 自分が出しゃばっちゃいけない、って思うようにしてるんだ」

 

 

 更に、俺は驚いた。

「先輩は、十分うまいでしょ?!」

 

「いやいや、そんなことないよ」

 

「…先輩は、まだまだ自分が下手な方だって、そう思ってるんですか?」

 

 こう聞くと先輩は、少し首をかしげるようにしながら、こう言ったのだ。

「そうだよ。俺は自分の事、ヘタクソだと思ってるよ」

 

 

 先輩は、当時五年生の先輩たちの中でも、特に上手かった。

 そんな人が、ここまで謙虚に自分の事を見つめられるものなのか、と、ただただすごいと感じた。

 

「自分の事下手だって思ってるから、割り切って犠牲バントもできるのかもな」

 

 

 

 先輩は、すごい。

 今でも俺の中で、常にキャプテンとしてあり続けている。

 

 俺は、これからどうしていけばいいのか、どうすれば皆を引っ張っていくことができるのか、分からないときは、いつも先輩に頼りきりだ。

 

 このままじゃダメな気が、しないでもないけど、どうしても頼ってしまう。

 

 

 今回も、そうだ。

 自分の実力を過信することなく、自分が出来ることを精一杯頑張る。

 

 だからこそできた、あの場面でのセーフティバントという行動。

 

 先輩と交わした、あの日の会話。

 それがヒントとなり、今の自分がある。

 

 

 いつか俺が、綜先輩を超えることは、果たしてあるのだろうか。

 

 分からないけど、その日は限りなく遠い未来のことだということだけは、はっきりと言えるだろう。

 

* * * * * *

 

「…セーーフ!!」

 

「よっしゃ!ナイス盗塁、牧篠ー!」

「ヒット一本でホームまで帰ってこい!」

「よ~し、間宮―!打て―!!」

 

 ツーアウトから1番牧篠がバント安打で出塁し、直後に盗塁を決める。

 これにより、湧き上がる鹿瀬側ベンチ。

 その雰囲気だけ見れば、試合で優位を握っているのが鹿瀬だと、勘違いしそうになる。

 

 その押せ押せムードに乗った2番間宮。

 二球目のインコースのボールをうまく打ち、打球は三塁線を...抜ける!

 

「しゃあ!回れ回れ!」

「ナイスバッティン、間宮!」

 

 打った間宮は、二塁へスライディング、そして、ガッツポーズ。

 二塁ランナー牧篠は、悠々と本塁に生還。

 これで一点を返したことになる、だがまだ一点ビハインド。

 

 しかし、彼らにはもうそんなものは関係なかった。

 

 続く柳沢が四球を選び、ツーアウト一、二塁とする。

 

 そして、4番筒本。

 相手が一旦タイムを取り間を空けたが、それも意味はなかった。

 

 初球、一閃。

 打球はぐんぐんと伸び、ライトの頭を越える。

 

 間宮、柳沢と本塁に還り、見事逆転。

 更に、筒本自身も本塁を狙う。

 

 が、流石に走力が足りず、本塁でタッチアウトとなってしまった。

 

 

 しかし。

 ツーアウトからキャプテン牧篠の出塁を皮切りに、一挙三得点。

 

 これで、3-2。

 遂に、逆転することに成功した。

 

 

 六回のウラ。

 逆転された直後の縄森ファルコンズの攻撃。

 先頭は、9番キャッチャーの若宮。

 ショートゴロに倒れ、出塁することはできず。

 

 続く1番ショートの登坂。

 センターライナーで、早くもツーアウトとなってしまう。

 

 しかしここから、2番サードの幡川が、11球粘る意地を見せて、四球で出塁。

 すると、3番のセカンド田山に対し、大屋はストレートのフォアボールを与えてしまう。

 

 ツーアウト一、二塁のピンチで、打席には先程ホームランの高山が入る。

 

 その初球だった。

 

 鋭いスイングとともに飛んだ打球が、センター前へ...

 

 

 

 

 

 抜けなかった。

 華麗に跳んだセカンドの菊地原が、ライナーで打球をキャッチ。

 

 アウト。

 

 ファイプレーに対し、盛り上がる鹿瀬サイドと、驚きを隠せない縄森サイド。

 

 

 セカンド菊地原のプレーに救われ、失点は免れた鹿瀬少年野球クラブ。

 

 一方、逆転の余地はきっとあると、最終回の攻撃に望みを託す縄森ファルコンズ。

 

 

 両者の思惑が揺れ動く中で、試合はとうとう、終焉を迎えようとしていた。

 




もう少し続きます。
長引かせて間延び感出てる気もしないでもないですが、それは気にしない方向で笑。
次話で決着はつきますので、それまでどうかお楽しみに。

では、今回はこの辺で失礼します。
ここまで読んで下さり、ありがとうございました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。