早速アニメの方に触れていきますが...いやぁ、原作を知らなかった方はまさかの幕切れと思ったことでしょう。展開を知ってる自分も、やはり一瞬固まってしまいました。
選手同士の激突…意外と見かけることが多いような気もしますが、いつ見ても嫌なものは嫌ですね...。
恐らく今月で一旦区切りとなってアニメは終わるでしょうが、今日を含めて残り三話。果たしてどうなるんでしょうね...?
しっかり見守っていこうと思います。
では、この辺で感想も区切りとしまして本編のほうへ。
少年野球最後の大会を終えた美智琉の視点で展開されるストーリーです。よろしくどうぞ。
次の舞台へ…
俺が所属する鹿瀬少年野球クラブは、最後の大会を無事優勝で締めくくり、最高の形で一年を終えた。
来年からは、エースの茅ヶ谷滉を中心に守り勝っていくチームを作るのだと、監督は言った。
滉は、全国大会でのピッチングでも感じたが確実に力がある。
だからきっと、来年からも鹿瀬は色んな大会でその活躍を見せてくれることだろう。
そして俺は、念願の風林中学校への入学が決まった。
推薦入試という形で、学力とスポーツでの実績から、見事選ばれることができた。
たったの一年だけど、これでまた先輩たちと野球ができる。
これ以上嬉しいことはない。
ちなみに一、二度、野球部の練習を見に行った。
その時グラウンドで活動していたのは約10人。少数精鋭という感じで、皆動きはすごかった。
果たして俺は、風林中学でどこまでやれるのか。
そして今の俺が、中学の野球のレベルにどこまで追いついているのか、ついていけるのか。
すごく興味があり、今からすでに楽しみな気持ちでいっぱいだ。
ちなみに、俺と同じ鹿瀬少年野球クラブに入っていたメンバーたちはそれぞれの道を進む。
多くは、中学では硬式野球のクラブに所属する予定だと言っていたが、一人だけ、菊地原だけは、中学の軟式野球をやると言っていた。
まあ確かに、女子が硬式野球をやるのはなかなか珍しい事だろうから、そう考えると普通のことかもしれないが。
なんにせよ、今度はあの守備を相手にしないといけなくなったわけで。
それはなんだか辛い気もするが、いつかきっと再戦しようと、そう誓った。
俺が隣の県にある風林中学校に進み、そこで軟式野球をやると言った時。
チームメイトたちは、”寂しくなる”と言ってくれた。
俺が家庭の事情を考えてこのような選択をしたことを、理解してくれた。
高校生になったら絶対に、硬式野球の世界に踏み出して、そこでまた再び会おうと、そう約束した。
きっと皆、何段階も進化していくだろうから、自分も負けないように努力し続けなければと、そう強く心に決めた。
そういえば今更かもしれないが、俺が試合で道塁ちゃんと戦ったあの後、なんと東斗ボーイズは全国大会で準優勝に輝いた。
試合をすべて見たわけではないため詳しくは知らないが、道塁ちゃんがとてつもなく調子が良く、三回戦ではノーノーを達成したということもあったらしい。
だが最終的に、投球制限や色々な要因が絡み合った結果。
決勝で道塁ちゃんに対して、ファールで粘ったりバントで揺さぶったりして徹底的に球数やスタミナを消費させ、五回の途中にマウンドから降ろし、その後控え投手を打ち崩すことで最終的に、5-3で東斗ボーイズを下した才京レンジャーズが、全国大会優勝を果たした。
一度対戦したことのあるカードでの全国大会決勝戦だったわけだが、再び才京レンジャーズに勝ち星がつくという結果に終わった。
俺たち鹿瀬少年野球クラブも一度才京とは戦ったことがあるが、やはり強いのか、と。
あの東斗ボーイズでも、好調な道塁ちゃんを擁しても、リベンジを果たせないのか、と。
そんな思いに駆られた。
大会終了後のインタビューで、東斗ボーイズの監督がこう言っていた。
『エースが好調だったからこそ、監督として”欲”が出てしまった』と。
分かるようでわからない言葉だったが、鹿瀬少年野球クラブの楢崎監督はこれを聞いて、分かるというような納得の表情を浮かべていた。
監督の言うところによると、三回戦が分かれ目だったのでは、ということだった。
つまり、好調で大記録の達成が見えている状況でも、大会全体を見通して思い切って降板させる、というようなことをしなければならなかったと後悔しているのだろうと。
ただ、その三回戦も二点差での勝利と厳しい戦いだったから、実際その監督を責めることなんてできないけどな、と楢崎監督は笑っていた。
そんな監督を見ながら俺はふと、自分を変える大きなきっかけになった、あの北畠シャークとの試合を思い返していた。
その瞬間、なんとなく将来は指導者の側にも立ってみたいな、なんてことを考えたりもしたけど。
こんなことを言うと監督は、自慢げになり始めるからこれは俺の胸にしまっておいた。
そんなこんなで、俺の少年野球生活は終わりを迎えた。
明日からはまたワンステップ上がった舞台、中学野球に飛び込むことになる。
その始まりに期待を馳せながら、俺はいつもより早い時間に眠りにつくのだった。
* * * *
『クソ、遅れちまった!昨日あんなに早く寝たのに!このままだと時間ギリギリじゃん』
タッタッタッ...(道を駆ける音)
ドンッ!(人がぶつかる音)
『『わあ!!??』』
バサッバサッ...(荷物が落ちる音)
『すみません、急いでて...!』
『いえいえ、私の方こそ...ってその制服...!』
『えっ...!?』
キュン...(恋に落ちる音)
…なんて、こんなふざけたくらいテンプレな入学式イベントなんて起きるわけもなく。
信じられないくらい普通に学校に到着した俺、牧篠美智琉。
玄関まで進んだところで、大きな紙が一枚貼ってあるのを見かける。
どうやら、クラス名簿のようで、俺は一年二組に入っていた。
自分用の下駄箱に靴を入れようとしたところで、後ろを歩いてきた男子にぶつかってしまう。
「あ、ごめんなさい」
「いや、平気平気。俺が見てなかっただけだから」
相手のその顔は、なんだか見覚えがあるような気がしたけどまあ気のせいだろう。
同じクラスらしく、俺よりも早い番号のところに靴を入れた彼は、教室へ向かっていく。
その時だった。
俺の横を追い抜くようにして、小走りで駆ける女子が一人。
なんとその女子はあろうことか、俺とさっき軽くぶつかった男子の横で止まると、彼と何やら話し始めた。
「(…入学式の日だっていうのに仲良い女子がいるとか男子の敵か...?
大抵の人間は今日という日に半生分の緊張を持ってきてるっていうのに、全く。
ああ、なんかお腹痛くなってきた...)」
なんて、こんなことを考えた。
…自分以外の大抵の人たちがこの県出身であり、同じ小学校から上がってきている人もいるということなんて、頭からすっかり抜け落ちたままで。
自分は数少ない他県からの来訪者なのに、自分と同じような気持ちをしている人は周りにもたくさんいるのだと、そんな錯覚を抱いたまま、俺の中学校生活がとうとう始まろうとしていた。
無事(?)に中学生編に突入していく...というこの場面で、章の区切りとさせてもらいます。
…が、次話はこれまでとは少し変わった感じになっており、一応そこまでは第一章に入ることになりますので、どうぞよろしくです。
では今回は短めに、このあたりで失礼させてもらいます。
ここまで読んで下さり、ありがとうございました。