俺の名前は。   作:kwhr2069

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祝・通算UA数10000突破!!本当に嬉しいです、ありがとうございます!!
次の目標はひとまず、お気に入り数100越えでしょうか(かなり目の前ではありますが笑)
とにかく、これからも頑張っていきます!

ではでは、本編へと参りましょう。
よろしくどうぞ。


第二十一話

奇抜な策略

 

 ツーアウトで、ランナーは三塁。

 左打席には、1番の近江先輩。

 

 打席に入るや否や、先輩は何故か――バントの構えをした。

 

 先程も確認したが、今はツーアウト。

 あり得るのならセーフティバントなのに、最初からバントの構えをする意味はあるのか。

 

 ということで俺は、これをバスターなのだと解釈。

 先輩の一打席目の時と同じ位置に立って打球に備える。

 

 綾部先輩が振りかぶるのに合わせ、近江先輩もバットを引く。

 

 

 

 …が、すぐにバットを戻すと、インコースのボールに合わせて一塁線へバント。

 

 

 一塁線あたりには人数の都合上守ってる人がいない。

 まずい、と思いボールの行方を見守っていると、ラインを切ってファールに。

 

 とりあえず良かった。

 あのままフェアだったら、ほぼ確実にセーフだっただろう。

 それにしても、バントをされたら太刀打ちできないような気がしてきたんだけど...。

 

「お~い、ちょっとミチル来て」

 

 なにやらマウンドに内野陣が集まっている。

 相楽に呼ばれ、手招きされている...って、また下の方で呼ばれてるし。

 

 外野の佐倉さんも呼んでいて、皆で話し合うようだ。

 

「今のままじゃ、バントで点取られちゃうじゃない?」

 

 綾部先輩が話し出す。

 

「てかまあ、こんなルールなのに克彰がバントしてくるのもどうかと思ったんだけど」

 

 近江先輩の下の名前は克彰という。先輩はそっちで呼んでいるみたいだ。

 バントはどうなのか、って...それはまあ同学年だから言えることだろう。

 

「それはそうと、皆守備位置どうする?って思って」

 

「うーん...自分自身は今の位置にいないといけないですかね」

 

「そうね。サードがいないと、今度はそっちにバントするかもしれないし」

 

「…ちょっといいですかね?」

 

 茂野が切り出す、何か考えがあるのか。

 

「沢さんがファースト、相楽さんがセカンドに入って、佐倉にはレフトあたりで守ったらどうかな、と」

 

 …ショートがら空きだけど?

 

「ほう」

 

 変な相槌を打つ綾部先輩。

 

「一応聞くけれど、ショートはどうするの?」

 

 沢さんが尋ねる。

 当然だ、ショートが空いたらそこが狙われちゃうじゃん...って、そうか。

 

「…狙わせるのか」

 

 ぼそっと呟く。

 皆が発言主である俺の方を見た。

 

「狙わせる?それだと三塁ランナー還っちゃうじゃん」

 

 相楽の言うことももっとも。

 確かにそうだけど、俺はなんとなく茂野の考えが分かった。

 

「…相楽、左バッターがショート方向に打ちたいときって、どういう感じで打席に立つ?」

 

「流し打ちってこと?う~ん、外角のボールを逆らわず...って、もしかしてそういうこと?」

 

 あ、分かったのか。

 流石名門リトルにいただけのことはある、って感じだ。

 

「え、何?どういうこと?」

 

 佐倉さんだけはまだ把握しきれてないみたいだ。

 

「佐倉、外角のボールを思いっきり外野に飛ばすことって簡単だと思う?」

 

「え、外角の球?私は外野フライが精いっぱいだけど...」

 

「でしょ?ついでにバッターは1番打者。長打力は、あまりないと考えてもいいと思う」

 

「…克彰かわいそう(笑)」

 

 …いやいや、それを聞いて笑ってる綾部先輩の方が酷い気が。

 

「だから佐倉には、投球と一緒に思いっきりショートの位置あたりまで前進してきてほしいんだ」

 

「ええっ...それはなんか...怖いなぁ。

 しかも外野いなくなっちゃうじゃんそれだと。頭越えられたらどうするの?」

 

「そこはまあ、私が頑張るから」

 

「先輩...。分かりました、レフトあたりから一気に前に来ればいいんだよね?」

 

「うん。ごめんね、走らせちゃうことになって悪いんだけど」

 

「少し思ったけど、私は普通にファーストでいいのかしら?少し前に出るべき?」

 

「うーん、もしバントされた時は打球次第で判断をお願いできるかな?」

 

「守備隊形が結構偏ってるから、打ってくる可能性高いしな」

 

「あっ、そこも考えてたのね」

 

「それはまあ、先輩の考え次第でもあるんだけど」

 

「ま、とにかくこの回抑えて、次に反撃といこうぜ!」

 

「なんでそこでミチルが仕切るのさ」

 

「ああ、つい...って、ミチル呼びやめてって何回言えば」

 

「あ~はいはい、その話はあとね」

 

 俺の抗議は遮られ、相楽のその一言で皆が守備位置に散っていく。

 

 最後は色々あったが、とにかく守りだ。

 この回を凌いで、反撃しないといけない。

 

 守備位置を大胆に変え、少し考えたような顔をする先輩。

 

 カウントはワンストライク。

 再開後の最初のボールは、外角のストレート。ボールの判定。

 

 近江先輩は、佐倉さんの動きを見て、また少し考えるような顔を見せる。

 

 次のボールは、アウトコースのシンカー。

 振りかけたバットが止まり、これでワンストライクツーボール。

 次に投げたのは同じようなボール。

 これを打ちにいった近江先輩。打球は一塁線を切れてファール。

 

「(無理に引っ張りにいってる?確かに、流して外野に飛ばすのは難しいけど...)」

 

 次はアウトローのストレート。

 良いところに投げたように見えたが、コースが分かっているように振る先輩。

 しかし、後ろの方に飛ぶファール。

 

 再び考え始めた近江先輩。

 そろそろ、無理に打ちにいくのをやめるつもりだろうか。

 

 正直、打席に立ってる人の心理なんて全然分からないけど。

 

「(どちらにせよ、踏み込まれて打たれたらきついぞ。

 てか今さら気付いたけど...

 

 

 佐倉さんって内野守備やったことなさそうだし、普通に流し打ちされたらやばいんじゃ?)」

 

 

 

 運命の六球目。

 

 俺は、ミットを構える茂野に違和感を覚えた。

 なぜなら、茂野は――

 

 

 綾部先輩が振りかぶり、投げる。

 

 外角を狙ったのか、踏み込むようにして打とうとする近江先輩。

 

 そして、ボールは。

 

 

 

 インコースに構えた茂野のミットにビシッと決まった。

 

 のけ反り、驚いたようにキャッチャーを見るのは近江先輩。

 そんな先輩に、どうだと言わんばかりの顔をするのは綾部先輩。

 

 見逃し三振。

 これでスリーアウトチェンジ。

 

 無事、無失点でこの回を乗り越えることができた。

 

「おい、茂野。あの配球、最初から決めてたのか?」

 

 戻るや否や俺は、真意を問いただした。

 

「まあ、一応な」

 

「…はあ、なるほど?」

 

「それより、最終回だぞ?牧篠が出てくれないと、勝つの正直きついんだけど」

 

 …おお、なかなか辛辣。

 

「OK。まあ確かにその通りだし、頑張ってくるわ」

 

「頼むよ~リードオフマン」

 

「私を差し置いて1番打ってるんだし、しっかりね」

 

 …皆さんプレッシャーかけすぎじゃありません?

 そして口数の少ない沢さんがなんだか女神に見えてきたぞ...。

 

 ちなみにここで一応言っておくと、佐倉さんは一塁コーチズボックスにいる。

 俺たちは三塁側のベンチにいるため、三塁コーチャーは人数の問題上省き、一塁コーチャーだけは置いたという形になっている。

 

 

 さて。

 とにかく、だ。

 

 最終回となるこの回の攻撃、なんとかして先頭打者の俺が出なければ。

 

 …となるとやはり、アレだろうか。

 

 

 そんなことを考えながら打席に立つ。

 初球を投げようとケン先輩が振りかぶるのに合わせて――

 

 

 

 俺はバントの構えをし、ボールに合わせて膝を動かしつつ、すぐ一塁へ走り出せるよう備えた。

 




なんと...今話で進んだのワンナウト分だけ!?(笑)

大吾が頑張ってるところは、これからもじゃんじゃん出していきたいです。
でもそれに、こっちの主人公が負けないようにせねば...善処します。

それでは短めに、今回はこのあたりで失礼します。
ここまで読んで下さり、ありがとうございました。
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