次の目標はひとまず、お気に入り数100越えでしょうか(かなり目の前ではありますが笑)
とにかく、これからも頑張っていきます!
ではでは、本編へと参りましょう。
よろしくどうぞ。
奇抜な策略
ツーアウトで、ランナーは三塁。
左打席には、1番の近江先輩。
打席に入るや否や、先輩は何故か――バントの構えをした。
先程も確認したが、今はツーアウト。
あり得るのならセーフティバントなのに、最初からバントの構えをする意味はあるのか。
ということで俺は、これをバスターなのだと解釈。
先輩の一打席目の時と同じ位置に立って打球に備える。
綾部先輩が振りかぶるのに合わせ、近江先輩もバットを引く。
…が、すぐにバットを戻すと、インコースのボールに合わせて一塁線へバント。
一塁線あたりには人数の都合上守ってる人がいない。
まずい、と思いボールの行方を見守っていると、ラインを切ってファールに。
とりあえず良かった。
あのままフェアだったら、ほぼ確実にセーフだっただろう。
それにしても、バントをされたら太刀打ちできないような気がしてきたんだけど...。
「お~い、ちょっとミチル来て」
なにやらマウンドに内野陣が集まっている。
相楽に呼ばれ、手招きされている...って、また下の方で呼ばれてるし。
外野の佐倉さんも呼んでいて、皆で話し合うようだ。
「今のままじゃ、バントで点取られちゃうじゃない?」
綾部先輩が話し出す。
「てかまあ、こんなルールなのに克彰がバントしてくるのもどうかと思ったんだけど」
近江先輩の下の名前は克彰という。先輩はそっちで呼んでいるみたいだ。
バントはどうなのか、って...それはまあ同学年だから言えることだろう。
「それはそうと、皆守備位置どうする?って思って」
「うーん...自分自身は今の位置にいないといけないですかね」
「そうね。サードがいないと、今度はそっちにバントするかもしれないし」
「…ちょっといいですかね?」
茂野が切り出す、何か考えがあるのか。
「沢さんがファースト、相楽さんがセカンドに入って、佐倉にはレフトあたりで守ったらどうかな、と」
…ショートがら空きだけど?
「ほう」
変な相槌を打つ綾部先輩。
「一応聞くけれど、ショートはどうするの?」
沢さんが尋ねる。
当然だ、ショートが空いたらそこが狙われちゃうじゃん...って、そうか。
「…狙わせるのか」
ぼそっと呟く。
皆が発言主である俺の方を見た。
「狙わせる?それだと三塁ランナー還っちゃうじゃん」
相楽の言うことももっとも。
確かにそうだけど、俺はなんとなく茂野の考えが分かった。
「…相楽、左バッターがショート方向に打ちたいときって、どういう感じで打席に立つ?」
「流し打ちってこと?う~ん、外角のボールを逆らわず...って、もしかしてそういうこと?」
あ、分かったのか。
流石名門リトルにいただけのことはある、って感じだ。
「え、何?どういうこと?」
佐倉さんだけはまだ把握しきれてないみたいだ。
「佐倉、外角のボールを思いっきり外野に飛ばすことって簡単だと思う?」
「え、外角の球?私は外野フライが精いっぱいだけど...」
「でしょ?ついでにバッターは1番打者。長打力は、あまりないと考えてもいいと思う」
「…克彰かわいそう(笑)」
…いやいや、それを聞いて笑ってる綾部先輩の方が酷い気が。
「だから佐倉には、投球と一緒に思いっきりショートの位置あたりまで前進してきてほしいんだ」
「ええっ...それはなんか...怖いなぁ。
しかも外野いなくなっちゃうじゃんそれだと。頭越えられたらどうするの?」
「そこはまあ、私が頑張るから」
「先輩...。分かりました、レフトあたりから一気に前に来ればいいんだよね?」
「うん。ごめんね、走らせちゃうことになって悪いんだけど」
「少し思ったけど、私は普通にファーストでいいのかしら?少し前に出るべき?」
「うーん、もしバントされた時は打球次第で判断をお願いできるかな?」
「守備隊形が結構偏ってるから、打ってくる可能性高いしな」
「あっ、そこも考えてたのね」
「それはまあ、先輩の考え次第でもあるんだけど」
「ま、とにかくこの回抑えて、次に反撃といこうぜ!」
「なんでそこでミチルが仕切るのさ」
「ああ、つい...って、ミチル呼びやめてって何回言えば」
「あ~はいはい、その話はあとね」
俺の抗議は遮られ、相楽のその一言で皆が守備位置に散っていく。
最後は色々あったが、とにかく守りだ。
この回を凌いで、反撃しないといけない。
守備位置を大胆に変え、少し考えたような顔をする先輩。
カウントはワンストライク。
再開後の最初のボールは、外角のストレート。ボールの判定。
近江先輩は、佐倉さんの動きを見て、また少し考えるような顔を見せる。
次のボールは、アウトコースのシンカー。
振りかけたバットが止まり、これでワンストライクツーボール。
次に投げたのは同じようなボール。
これを打ちにいった近江先輩。打球は一塁線を切れてファール。
「(無理に引っ張りにいってる?確かに、流して外野に飛ばすのは難しいけど...)」
次はアウトローのストレート。
良いところに投げたように見えたが、コースが分かっているように振る先輩。
しかし、後ろの方に飛ぶファール。
再び考え始めた近江先輩。
そろそろ、無理に打ちにいくのをやめるつもりだろうか。
正直、打席に立ってる人の心理なんて全然分からないけど。
「(どちらにせよ、踏み込まれて打たれたらきついぞ。
てか今さら気付いたけど...
佐倉さんって内野守備やったことなさそうだし、普通に流し打ちされたらやばいんじゃ?)」
運命の六球目。
俺は、ミットを構える茂野に違和感を覚えた。
なぜなら、茂野は――
綾部先輩が振りかぶり、投げる。
外角を狙ったのか、踏み込むようにして打とうとする近江先輩。
そして、ボールは。
インコースに構えた茂野のミットにビシッと決まった。
のけ反り、驚いたようにキャッチャーを見るのは近江先輩。
そんな先輩に、どうだと言わんばかりの顔をするのは綾部先輩。
見逃し三振。
これでスリーアウトチェンジ。
無事、無失点でこの回を乗り越えることができた。
「おい、茂野。あの配球、最初から決めてたのか?」
戻るや否や俺は、真意を問いただした。
「まあ、一応な」
「…はあ、なるほど?」
「それより、最終回だぞ?牧篠が出てくれないと、勝つの正直きついんだけど」
…おお、なかなか辛辣。
「OK。まあ確かにその通りだし、頑張ってくるわ」
「頼むよ~リードオフマン」
「私を差し置いて1番打ってるんだし、しっかりね」
…皆さんプレッシャーかけすぎじゃありません?
そして口数の少ない沢さんがなんだか女神に見えてきたぞ...。
ちなみにここで一応言っておくと、佐倉さんは一塁コーチズボックスにいる。
俺たちは三塁側のベンチにいるため、三塁コーチャーは人数の問題上省き、一塁コーチャーだけは置いたという形になっている。
さて。
とにかく、だ。
最終回となるこの回の攻撃、なんとかして先頭打者の俺が出なければ。
…となるとやはり、アレだろうか。
そんなことを考えながら打席に立つ。
初球を投げようとケン先輩が振りかぶるのに合わせて――
俺はバントの構えをし、ボールに合わせて膝を動かしつつ、すぐ一塁へ走り出せるよう備えた。
なんと...今話で進んだのワンナウト分だけ!?(笑)
大吾が頑張ってるところは、これからもじゃんじゃん出していきたいです。
でもそれに、こっちの主人公が負けないようにせねば...善処します。
それでは短めに、今回はこのあたりで失礼します。
ここまで読んで下さり、ありがとうございました。