俺の名前は。   作:kwhr2069

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こんにちは。

一昨日はプロ野球ドラフト会議の日でしたね。
今年は個人的に、高校生の入団先が結構気になっていましたが...「ほ~」という結果になりました(意味不明)
来年への期待も高まっておりますが、その前に日本シリーズ。はてさて鯉と鷹、どちらが勝つのか。楽しみです!

ではでは前書きはこの辺で、本編へ。
歓迎試合、三回表1番牧篠のシーンからでございます。
どうぞ、よろしくです。


第二十二話

決着.そして始動

 

 瞬間。

 

 左側から、強い気配を感じる。

 

 慌ててバットを引いた。

 ボールは低めに決まってストライク。

 

 いや、今はちょっとそれは良い。

 

 

 

 …どうして綜先輩は、サードから猛チャージをかけてきたんだ?

 もしかして、先輩は俺がセーフティバントをしてくると読んだのか?

 

 このチャージは、明らかに最初からしてくると分かっていないとできないものだ。

 

 困っていると、ふと綜先輩と目が合う。

 

『お見通しだよ』

 

 そう言われた気がした。

 

 

 俺は...この後どうする?

 

 このままバントで無理矢理押し切るか?

 確かに、相手の守備隊形的には一塁線方向に決めれば問題はないはずだ。

 

 しかし、先程バントの構えを見せてしまったことで、確実に警戒されてしまう。

 

 セーフティバントは、そもそもアウトになる確率もある。

 そんな中、上手いバントを初見でやるからこそ、出塁できる。

 だが、ある程度相手の頭に入ってしまえば、それはただのアウトの献上に成り下がる。

 

 セーフティをやるなら、相手が警戒を解くタイミングが最適で、それが初球。

 綜先輩のあのチャージでやめてしまった時点で、もう一度試みるのはかなりきついのだ。

 

 

 じゃあ、打ちにいくか?

 

 しかしこれも、簡単な話ではない。

 

 ケン先輩のボールは、今までやっていた少年野球とは格が違う。

 そんな簡単には打てるはずがない。

 だからこそ俺は、セーフティをすることを考えたわけだし...。

 

 

 こんな感じで色々悩んでいる間に。

 二球目にアウトローのストレートを投げ込まれ、ツーストライク、追い込まれた。

 

「(…とにかく一旦、バントはやめだ。スローカーブをここまで、投げられてない。

 追い込まれてるし、そのボールが来たらもう一回考えよう。

 見慣れてない軌道のボールをツーストライクでバントするとか、絶対無理だし)」

 

 果たして。

 次に投じられたのは、インハイへのストレート。

 一瞬出しかけたバットを止め、見送る。ボールだ。

 そこから、アウトコースに二球ストレートが続けられ、どちらもカット。

 次は高めの釣り球気味のストレートで、反応はしたが見送ってボール。

 

「(来ないな...)」

 

 更にそこから、アウトコース、インコース、アウトコースとストレートが続く。

 全てファールになったが、最後のボールは結構捉えられた感じがあった。

 

「(…カーブが来ない。意識させておいて、このままずっと投げないのか?

 いや、この調子なら次のストレートは捉えられる...気がする。

 先輩もそれは分かっているだろう。恐らく、俺がスローカーブを意識し続けていることも。)」

 

 そこで初めて、マウンドのケン先輩がサイン交換で首を振った。

 少し時間がかかったのち、サインが決まる。

 

「(何かが、来る...!)」

 

 先輩が振りかぶり、投げる。

 

 一度見たスローカーブのような軌道ではない。

 軌道は、ストレートと同じ...じゃない?!

 

 先輩の投げたそれは、ストレートと同じように見えて、違っていて。

 ベース付近で力強く縦に落ちる。

 

 なんとかバットに当てたが、サード正面ボテボテのゴロ。

 懸命に走るも、サードゴロで凡退という結果に終わってしまった。

 

 

 その後。

 新たな変化球”ドロップカーブ”も見せつけられた新入生チーム。

 2番の相楽はピッチャーゴロ、3番の沢さんは内野フライに倒れてしまった。

 

 

 更に。

 三回の裏、先頭の綜先輩が低めのシンカーを捉えてツーベースヒットを打つと、続く打者の徳地先輩が外角球を上手く打って綜先輩が生還する。

 

 そして、俺たち新入生チームの負けで試合終了となった。

 

 

*  *  *  *

 

「皆、お疲れ様!」

 

 試合後、綜先輩が話す。

 

「いや~俺は、こんなに有望な後輩がたくさん入ってきてくれたことがすごく嬉しいよ」

 

 有望?完封負けしちゃったのに、か?

 

「なあ、ケン?」

 

「…バレてたか。まさか、ドロップカーブまで使うことになるとは思ってなかったよ。

 あそこでスローカーブを投げて、正直抑えられたかどうか...。

 先制点取られたら負けそうだなって感じたから、もう使うしかないって思ってな」

 

 綜先輩に振られ、笑いながら俺たちにそう言うケン先輩。

 

 俺たちはそれでも、負けたという現実に悔しさが止められない。

 

 

「…あれ?もう歓迎試合終わった感じですかね、コレ?」

 

「いや、怜伊。お前が来るのが遅いんだよ」

 

「そっか~、オレも新入生の実力見たかったのに...っておいおい、女の子めっちゃいるやん!」

 

 怜伊、と呼ばれた先輩は、新入生の半分以上が女子である事に気付き、少し目を光らせると、

「オレの名前は、渡 怜伊(わたり れい)ね。これからよろしく~」

 

 …チャラい系、という人だろうか。

 先輩だからそんなこと絶対言えないけど。

 

「渡先輩は、」

 

「レイ、って呼んでくれていいよ~」

 

 茂野が話しかけるとそう言う先輩。軽い。これは確実に軽い。

 

「…レイ先輩は、どこを守ってらっしゃるんですか?」

 

「う~ん、この世の全ての女のkッ!」

 

「…レイ、新入生に引かれたくなかったら真面目に答えなさいよ」

 

「椿!俺途中までしか言えてない」

 

「アンタの言おうとしてることくらい分かるわよ」

 

「えっ、何それ...もしかして告は、って痛ッ!」

 

 綾部先輩...やっぱり一人だけ女子で野球部にいるからか何だか強いな。

 

「ごめんね、めんどくさいやつでさ。ちなみにこんなだけど2番ライトのレギュラーなのよ...」

 

「おい、なんだよその言い方!オレが使えないヤツみたいじゃねえか!」

 

「違うの?じゃあ、春休みの課題を出さずに居残りさせられたのは誰だったかしら?」

 

「新入部員の前でそれ言っちゃう?ねえ、言っちゃっていいの?」

 

 ああ、いなかったのはそういうことなのか。理解。

 

 …いや『理解。』じゃないだろ俺!先輩は敬うのが筋なんだから!

 

 う~ん、でもなんか、無理な気がする...すみません、レイ先輩!

 心の中で先輩に謝った後、俺は気になっていたことを尋ねることにする。

 

「あの、今ここにいる先輩方って皆さん三年生ですよね?」

 

「そうだが?

 …ああ、二年のことか、気になってるのは。」

 

「はい、知っておきたくて」

 

「どう思うかは分からんが...二年は一人だけだ」

 

「一人...」

 

「ああ、丹波 広夢(たんば ひろむ)と言う。

 だが何せ、生徒会に入っているからな...あまり部活動には出てこられない可能性がある」

 

 なるほど、生徒会か...。

 

「まあ何はともあれ、明日からは本格的に部としての練習が始まっていくことになる。

 新入生の皆、これからよろしくな!…では今日は、これで解散!お疲れさま!」

 

「「お疲れ様でした!!」」

 

 綜先輩が締めて、他の皆が声を合わせて答える。

 

 明日からの期待が高まる、すごく有意義な一日だったように思う。

 

 そしてこれで俺は、ようやく念願の風林中学校野球部に入部できた。

 明日からは一部員として、少しでも早く中学野球という舞台に慣れられるように頑張っていくだけだ。

 




ということで歓迎試合、最後はすんなりと片付けることにはなりましたが...これにて終了。ゲームセットです。

次話は、とりあえずオリキャラの先輩たちについて詳しめに紹介していきたいなと。
実は一人、鹿瀬出身者以外で一度以前に名前の出ているキャラがいるのですが、皆様はお気づきになられたでしょうか...?
まあ詳しくは、次回へのお楽しみという事にしておきますが(笑)

では今回は、このあたりで失礼します。
ここまで読んで下さり、ありがとうございました。

※11月10日19:00、この話のサブタイトル(?)を変更しました。
 ただただ、修正ラッシュしてる中でちょっと気になった...て感じなので、特に深い意味はないですが、一応報告。
 (旧:この先への()()()→→ 現:決着.そして始動)
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