現在時刻17:27。急いで前書きを書いております(笑)
前回の続きになってます。
ということで早速、よろしくどうぞ。
風中野球部②
練習が再開する。
綜先輩がノックを打ち始め、内野手は構え、ランナー役も準備をする。
最初に打球が飛ぶのは、ショート正面。
ライナー性の当たりだが、手前でバウンドしたそれを、ショートの相楽は難なく処理。
そのまま慌てることなく一塁へ送球し、アウトとした。
相楽は、なんだかんだ言ってもやっぱり上手い。
有名なチーム出身だし先輩たちの期待も大きかっただろうが、見事それに応える技術があった。
パワーこそ物足りないが、バットコントロールは悪くないし足だってある。
ちなみに、お調子者的な雰囲気を醸し出してると初めて会った時には思ったが、意外とクールで落ち着いていることの方が多いのは正直驚きだ。
次の打球は、サード前のゴロ。
思いっきり前進しながら捕り、なるべく早く送球。アウトになる。
次はセカンド寄りの二遊間への打球。
これを捕ったのは沢さん。
逆シングルで捕球後、少し遠い一塁へノーバウンドで的確に送球。アウトだ。
相楽と同チーム出身の沢さん。もちろん同様に、上手い。
女子ながらパワーのあるバッティングが持ち味で、また守備も十二分に出来る。
なんだかミステリアスな雰囲気を醸し出す沢さんは、口数少なめで相楽よりも飄々としている。
それでいて淡々と色んなことをこなしていて、俺は侮れない底深さを何となく感じる。
その後もノックは続く。
途中、後ろにいた関鳥と交代し、先輩に言われたように様子を見る。
関鳥は、以前にも言ったが野球初心者。
ただ、肩は元々ある感じで、サードの位置からの送球は難なくこなす。
あとこれは本人には言えないけど、身体がデカいからか、打球を止めることができるのは大きい。
サードは比較的右打者の引っ張る速い打球がよく飛んでくるポジション。
それを抜かさずに身体で止め、なかなかにある肩で送球すれば、関鳥だって十分三塁手だ。
だが、サード前ボテボテのゴロなどは未だ動きがおぼつかないところがあり、練習が必要だろう。
それと関鳥は、何故かファーストだとぎこちないように見える。
まあ、これは関鳥自身にしか分からない問題だし、俺にもはっきりとは言えないけど。
その後。
内野間での、併殺や挟殺の連係プレーについてももちろん確認する。
一年生中心の内野陣に、ファーストのケン先輩とピッチャーの綾部先輩が加わっての連携。
俺たち後輩のふとしたミスも、上手くリカバーしてくれる先輩たち。流石に上手い。
そんなこんなでノックの時間も過ぎていく。
内野ノックの後は、また休憩をはさんでから外野ノックへ移る。
俺ももちろん守備に就いた。
内野ノックの後に外野ノックを受けるのは正直変な感じだ。
でもまあ、それは自分が外野守備に慣れてないのもあるのだろう。
俺は、上手な先輩たちの動きを見ながら勉強しつつ。
そして、18:30といういつもの時刻。野球部の練習は終わるのだった。
「皆、お疲れ様。あとは素振りのノルマ各個人で振るだけだから、よろしくな」
「「はい!!」」
今日の練習メニューは全部消化したようで、綜先輩が皆を集めてそう言った。
ちなみに素振りノルマは、帰宅後やっても良い事になっているから、実質これで練習は終わりだ。
家が遠かったり、バスの都合があったりする人は、このタイミングで帰宅する。
最近は、部活動の規制とかで、活動時間もだんだんと減ってきている。
その対策...とまではいかないかもしれないが、うちの野球部はこんな形をとっている。
できるだけ夜遅い時間までやらないように、という方針だ。
お先に失礼します、と何人かが帰っていく。
俺は、お疲れ様ですと言いながら、練習でのことを少し振り返る。
何となく考えるのは、来年からのことについて。
サードとファーストを関鳥と丹波先輩が守るとすれば、俺は必然的に外野へ回ることになる。
…というか、二人は外野練習をやってないから俺しか今のところ外野は出来ないわけだし。
でも、まだ全然経験も少ないし感覚分からないんだよなあ...。
てか、ピッチャー練習やりたいなあ、なんて。
「何、また考え事してんの、ミチル」
「わっ、ビックリした...相楽、まだ残ってたんだな」
突然かけられた声に驚くと、そこには見慣れたチームメイトの姿が。
「そりゃあね、家でバット振るのなんかイヤだし」
…ああ、それすげえ相楽っぽい。
「それで、何考えてたのよ?真剣な表情してさ」
「…別に、何でもねえよ」
直前の『ピッチャー練習やりたいなあ』を思い出し、何となく恥ずかしくなったのでとりあえず誤魔化す。
「ふ~ん。ま、どーでもいいけどね」
「なんだよそれ。てか相楽、今更だけどまた俺のことミチルって呼んで」
「聞こえない聞こえな~い」
ミチル呼びを指摘すると耳をふさぎそんなことを言う相楽。
中途半端に可愛いから、余計に困る。
そして以前よりも、名前呼びされることにもはや慣れてきているような気もする。
…恐ろしいものだ、全く。
「そんじゃ、また。ミチルも早めに帰んなよ~」
そう言い、手を振って背中を向ける相楽。
お疲れさん、と俺が言うと、歩きながら右手を上げる。
でも言われてみれば確かに、俺もそろそろ帰らないと。
いつまでも学校にいるわけにはいかないしな。
* * * *
帰宅後、家でのんびりしていると電話が鳴る。
俺しかいないので電話を取ると、そこからはとても懐かしい声が。
「…それで?どうしたんだよ、急に電話なんて」
ひとしきり話した後で俺が尋ねると、電話先の相手は何やら意味ありげに溜めた後。
少し予想外なことを口にした。
「…マジなのか!?それで...それはいつ?」
驚きつつ、予定を聞く。
「…は?明後日!?おい、それならもう少し早く言ってくれよ...」
予想以上に近い出来事であることに面食らったが、まあ暇だしいいか。
「いいぞ、見に行くよ。
…おう。じゃ、また明後日な」
相手との約束を取り付け、電話を切る。
明後日の土曜、か...。
後書きもスピーディに。
次話への微妙な繋ぎ。果たしてどんな展開になるのでしょうか。
楽しみにしていただければな、と思います。
では、今回は短めにこのあたりで。
ここまで読んで下さり、ありがとうございました。
※11月10日17:45、色々と粗が目立っていたのでその辺りを修正致しました。
何でも、ギリギリでやろうとすると駄目だなあ、と。一分間反省。
…それでは、また。