俺の名前は。   作:kwhr2069

27 / 47
約半月ぶりのこんにちは!でございます。

一週間あけたのは事故だったんですが、結果的にはなんか逆に上手い感じになった(後書きで説明します)ので結果オーライと思ってます。笑(自己解決)
毎週楽しみにして下さる有難い読者様方には、予告なしで休んだことをお詫びするとともに、感謝に尽きません。誠にありがとうございます!!
これからも温かい目で見守っていただければありがたい限りです。
(ちなみに...休みます報告は一応、Twitterの方ではしました...@wakiwaki_2069という垢です。よろしければなんなりと)

それではそろそろ本編へ参りましょう。
主人公に、誰かからの何やらのお誘いの電話がかかってきたところからです。よろしくどうぞ。


第二十五話

懐かしの面々

 

 土曜、昼過ぎ。

 約束した場所に、俺は立っていた。

 

 

 そして――。

 

「よう、牧篠。もう来てたか、早いな」

 

 俺の方に歩いてきながら声をかけてくるのが一人。

 

「おう、つうか俺が早いんじゃなくてお前が遅いんだろ...」

 

 そう返しながら目を合わせる。

 目の前には、野球のユニフォームを着た親友が。

 

「勝一」

 

 

*  *  *  *

 

「それじゃ。俺はチームの方にそろそろ行かなきゃだから」

 

 電話では伝えられていなかった分を補足説明する勝一。

 一通り話し終えたということなのか、席から立ちあがる。

 

「おう、頑張れよ試合」

 

「まあ、出られたらな」

 

 俺の呼びかけに、軽く肩を竦め返答しながら去っていった。

 

 勝一のいなくなったその場で、俺は前の方に目をやる。

 そこでは今も、シニアチーム同士の練習試合が繰り広げられていた。

 

 

 

 そもそも今日、なぜ勝一に呼ばれてわざわざ来たのか。

 中学校へ進んだ後、鹿瀬の大半の面々と一緒のシニアに入った勝一。

 

 一昨日、俺に電話をかけてきた張本人であるのだが。

 その初陣となる、練習試合が近くあるから見に来ないか?というのが始まりだった。

 勿論昔のチームメイトに会いたかったというのもあるが、何よりも決め手になったのは、その練習試合の相手が”横浜シニア”だと聞いてのことだ。

 

 横浜シニアと言えば、地方でも屈指の強さを誇るチーム。

 そこと試合をやるというのだ。見ておいて損はないし退屈しないはず。

 

 だが、これはあくまで建前に近い。

 

 横浜シニアには、一つのウワサがあった。

 それは、眉村姉弟が加わった、というもの。

 

 俺は、シニアで戦っている道塁ちゃんの姿が気になった。

 なんだかんだ言って、やっぱりまだ好きなんだな...と、思う。

 

 それはまあいい。

 

 とにかく、その話を勝一から聞き、勝一が俺の真の気持ちに気付いているかどうかは置いといて、俺はその場で了承の返事をし、それで今日、この場に来た...という訳だ。

 

 

 今試合をしているのは、その横浜シニアと、俊足軍団で有名な西山シニア。

 西山シニアは、あの西山チーターズの、言ってみれば上のチーム。

 西山チーターズを卒した選手の多くは西山シニアに進む。

 まあ風中野球部には、例外的に軟式に進んできた先輩が二人もいるわけだけど。

 

 試合展開としては現在、1-0で横浜シニアがリードしている。

 

 …が、四回表。

 この回先頭の2番ファースト富士見が粘って四球を選び、盗塁を決めて進塁打から一死三塁のチャンス。

 打席には、4番センターの兼橋。

 少年野球の頃から規格外なプレイを見せていて、俺にも試合をした記憶が刻まれているその人。

 右中間を破る打球を放ち同点タイムリー。更に自身は快足を飛ばして三塁まで。

 続く打者がスクイズを決め、西山シニアは逆転に成功する。

 

 その後も、どちらが勝つか分からない展開に。

 最後は、横浜シニアのクリーンナップが六回裏に三連打で突き放し、試合は6-3で終わった。

 

 

 

 続いて始まるのが横浜シニアと、勝一のいる嵐海(らんかい)シニアとの試合。

 一回表、嵐海シニア先発のマウンドに上がったのは予想外なことに、勝一だった。

 また他のスタメンの中にも、懐かしい同級生たちが多く入っていた。

 

 そしてそれは、横浜シニアも。

 道塁ちゃんはファーストとして先発出場。

 それだけでなく、その双子の弟である渉は先発投手だったし、その他にも知った顔が少し。

 知った顔...というのは、東斗ボーイズのメンバーが何人か、横浜シニアにそのまま入ったからだろう。

 

 ちなみに後で聞いたのだが、両チームの監督の取り決めによって、一年生メインのメンバーで試合をすることになっていたそうだ。

 

 そうとも知らず興奮冷めやらぬ中、俺は試合を見つめることに。

 

 試合は、勝一と渉、両投手の意地がぶつかり合う投手戦になった。

 先にチャンスを作ったのは横浜シニア。

 三回表ツーアウトから9番打者が四球をもぎ取り、この試合通じて初となる出塁。

 1番の打席で、カウント1-1からエンドランがキレイに決まり、ライト前ヒットで一、三塁。

 ここでバッターは2番の道塁ちゃん。

 …が、ここは勝一が力強いストレートで内野フライに打ち取る。

 

 嵐海シニアの反撃は四回裏。

 この回先頭の1番センター柳沢が、初球インコースのストレートを豪快にライト前ヒット。

 その後2番ショート間宮の送りバント、3番ファースト内樺はファーストゴロでツーアウト三塁。

 このチャンスに、4番レフト筒本が左中間を破るツーベースヒットを放ち、先取点を挙げる。

 更に5番ライト糸魚川がセンター前ヒットで続くと、相手のエラーも絡んで二点目。

 

 しかし、横浜シニアも流石強豪。

 直後の五回表、ワンナウトから死球とヒット、加えてエラーに付け込み一点を返す。

 

 ランナーが出つつも点の入らないイニングがその後は続き、迎えた最終回。横浜シニアの攻撃。

 先頭の9番打者は勝一が三振に抑え、まずワンナウト。

 続いて1番が左打席へ。カウント2-2の七球目、打球は三遊間へ飛ぶ。

 間宮が追いつき強肩を活かして送球...が、足の方が一瞬早く、セーフ。

 ワンナウト一塁で、打席には道塁ちゃん。

 二球目の外のボールを逆らわずに打ち返し、レフト前ヒット。これで一、二塁。

 

 さっきから、勝一も限界が近付いているのか、全体的にボールが高い気がする。

 このままだと、逆転されてしまうことだってあり得る。

 迎えたピンチに対し、マウンドに集まっているかつてのチームメイトたち。

 散っていく直前、なんだか俺の方を見てきたような感じがしたが気のせいだろうか。

 

 試合は再開し、ワンナウト一、二塁で3番が右打席へ入る。

 初球、息を吹き返したようなボールがインローへ決まる。

 これならいけるかも、と思った直後の二球目。変化球が甘めに入るが、間一髪ファールボール。

 続くストレートは外れ、更にストレートはカットされる。

 そんな五球目、バッテリーの選択は、なんとカーブ。

 タイミングを外されボテボテのゴロになる。

 サード前に転がり、バッターランナーはアウトに。

 ただ、進塁打となってツーアウト二、三塁とピンチは続く。

 

 この場面で、4番ピッチャーの眉村渉が打席へ。

 嫌なバッターを嫌な場面で迎えることになってしまった。

 そして、その初球。

 快音を残すバット。打球はセカンドの頭を越えていく。

 サードランナーは勿論のこと、セカンドランナーもホームを狙う。

 

 

 …狙ったが。

 

 センターの柳沢から、矢のような送球。

 道塁ちゃんも足が決して遅いわけではなかったのだろうが、まさかまさかの本塁アウト。

 

 横浜シニアの反撃は一点止まりで、試合は2-2の同点となって最終回の裏、嵐海シニアの攻撃を残して進んでいくのだった。

 

 

*  *  *  *

 

「いや~惜しかった。な?」

 

「そうだな勝一。横浜シニア、一年生相手とは言えあそこまで良い試合になるとは」

 

「どうだったよ?見てて」

 

「正直ヒヤヒヤしてた。特に最終回」

 

「あーマジで勇気の強肩には助けられてんだよ毎回毎回」

 

「だろうな、1番としても良いし、やっぱ柳沢は相変わらずだったわ」

 

「…他の皆も、変わってないさ。ずっとあの頃のまんまだ」

 

「…そっか」

 

 試合後、勝一とまた話す。

 あの後展開としては、嵐海シニアの6番キャッチャー森戸がワンナウトから長打を打ってチャンスを作ったが、後続はしっかりと抑えられ、結果2-2の引き分けで試合は終わる形となった。

 

 ちなみに試合直後、他の鹿瀬時代のチームメイトとも少し話せた。

 懐かしい顔ばかりで、ちょっと昔に戻りたくもなったけど。

 

 

「…それで?そっちの調子はどうなんだよ?」

 

「ん~ぼちぼち...かな?」

 

「同級生とか、どんなのがいるんだ?」

 

「そうだな...まず、女子が多くて、そんで...」

 

「いや、ちょっと待て。女子が多いって...どれくらい?」

 

「一年生6人のうち4人は女子」

 

「マジか」

 

「マジだ」

 

「…やりづらくない?」

 

「そうでもないぞ。

 一人の初心者を除けば実力は俺とも変わんないし、むしろ負けないように頑張ってる」

 

「そういうものなのか」

 

「そういうもんだな」

 

「他には?」

 

「あと、茂野吾郎選手の息子さんが一人」

 

「おお。てことは男子はその二人だけか...上手い?」

 

「キャッチャーだから俺には分かんない」

 

「あ、逃げた」

 

「そもそも、俺が言えた立場ではないと思うんだけど...。

 …まあ、今の実力だけで言ったら横浜リトル出身の女子二人と並んでるくらいかな」

 

()()実力、ってか」

 

「まあな、成長期ですし」

 

「お前は何で一人だけ熟した感じ出してんだ」

 

「それは勝一がそういう流れにしたからだろ」

 

「いや...そんなつもりはなかったが」

 

 久々に会うと、会話が止まらないなんて言うのはよくある話で。

 他の人が聞いたらどうでもいいと思うであろう、そんな会話を俺たちはその後も、楽しく続けたのであった。

 

 

 




本作品で初めて、本文の文字数が3000を超えました。(これまでが少なすぎる定期)

今週水曜(11/21)に発売された単行本16巻を購読したことにより、今回の話を自信をもって送り出すことが出来たということで、ある意味奇跡だと思っています。先週の俺ナイス!(笑)
(…まあ、ある程度予想はしていたので元々こんな感じの話になる予定ではあったんですが)

また、11月も終わりということで、あらすじ文とタイトルについて色々と、少しではありますが変更しております。
今年ももう終わりと考えると時間の流れが早い、早すぎる...。

それでは。
後書きもこのあたりで締めさせていただき、今回はこのあたりで失礼します。
ここまで読んで下さり、ありがとうございました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。