と、いうことで久しぶりの投稿になります。
どうぞ、よろしくお願いします!
それぞれの気持ち
『女の子なのに野球なんて』
ずっと前から、周りに言われ続けてきた言葉。
言われるたび、返すのは苦笑いの表情。
始めは、どうでもいいと思っていた。気にすることじゃないと。
実際、野球に打ち込んで男子にも勝つことで、私はそのような言葉を跳ね返してきた。そんな自負が心の底にある。
でも。最近は。
なんだか、突き刺さる。
少しずつだけど感じ始めて来た、明らかな男女の力の差。成長の差。
それは、どうやっても埋められないものであり、感じずにはいられないもの。
向き合いたくなかった、考えたくなかった。
むしろ、考えないようにしていたのかもしれない。
その”感じ”は、一年生の後半頃から何となく抱いていた…けど、認めたくなかったもの。
それが確たる認識になったのは、言うまでもなく、私が進級して後輩が出来てから。
その一人の少年の愚直な成長に、私は嫉妬した。
同時に、悟ったのだ。
もう昔のように、軽々しく男子に勝てるなんて、そんな甘くはないのだと。
だから、この中学最後の大会。
私の持てるすべての力を出して終わってやろう、散ってやろう、と決めた。
そんな決意で迎えた二回戦。
先発のマウンドを託されたのは…私。
相手は当山中、打撃の強いチーム。
ピンチは作られたけど、なんとか粘り続けて迎えた五回ウラの守り。
一人は、同級生で、私の中学での投手生活を半壊させた男子。
一人は、後輩なのに、私の心を壊す契機になった男子。
このまま、負けていいのか。
ずるずるといいようにやられて、何もできずに降板していいのか。
…いや、そんなはずがない。
私にだって、プライドがある。
これまでずっと男子に追い抜かれながらも進んできた、そういうプライドが。
だから、出し切るんだ。
自分の全てを。今ここで。
五回と、六回の相手の攻撃。
出し切る力を全て発揮して、無事無失点で切り抜けた。
お疲れさまです、と何も知らない後輩に言われる。
私は、少しの敗北感と試合への満足感を胸に込め――。
* * * * * *
「ありがと、後はよろしくね」
…と。
そう、椿先輩に言われ送り出された、この試合最終回のマウンド。
その言葉に込められた本当の意味は、分からないけど。
とにかく今は、先輩が繋げてくれたこの試合を不意にしないために、全力で応えるだけ。それしかない。
相手の打順は、8番から。
自分が投げられるのは、ストレートと、一つの変化球。
変化球といっても、ケン先輩のカーブだったり、椿先輩のスライダーであったり、そんな出来の良いものでもないんだけど。
俺の一番の憧れ、野球を始めるきっかけになったその人は、実際直球勝負が主だった。
だから俺も、どちらかと言うとそのスタイルでピッチャーをやっていきたいと思っている。
打席に入った右打者と対峙する。
その奥で構える翔助先輩とサインを交わし、振りかぶって投げる。
初球、いきなり振り抜かれた打球は俺の頭を越えて外野へ…が、センター定位置へのフライだ。
綜先輩がしっかりと掴み、これでワンナウト。
次のバッターは左打席に入った。
先輩のミットはアウトコースに構えた。
俺は、先輩を信じて腕を振るう。
これまた初球攻撃で、打球は俺の右を抜けてショート方向へ。
孝央先輩が流れるように処理し、一塁の沢さんへ送球。これで、ツーアウト。
一旦、気持ちを落ち着ける。
このままあと一人、抑えられれば勝利だ。
でも、どうなるか分からない。何が起こるか分からない。
相手の打順は1番に還ったし、まだ諦めの表情がない以上何とか食らいついてくるに決まってる。
俺は、覚悟が出来ているか?
…言うまでもない。
この回、この試合の最終回の、このマウンドに立ったときから、その強い気持ちだけはしっかり忘れずに持ってきたつもりだ。
絶対に、抑える。
相手の1番は右バッター。
翔助先輩とのサインから、初球に投じるのは俺が唯一投げる変化球。
インコースに構えられたミットに向け、これまで以上に強く腕を振る。
そのボールは、ホームベース当たりで、打者に近づくように変化し、先輩のミットに収まる。
ワンストライクだ。
先輩が、ナイスボールだと言いながら返球してくれて、少しホッとする。
さっきの球は、シュートボール。
自分が投手になると決めたその日、直球勝負中心の俺に合いそうな変化球を探して…見つけた。
もちろん、フォークなどの落ちる球で三振を取るスタイルも憧れはあった。
でも、何となく違う気がした。
あの人の真似だけではダメだ、あくまでも自分のスタイルというのを見つけなければ、と思った。
だからこそ見つけた、俺のスタイル。
二球目の要求も、インコースのボール。今度は、ストレートだが。
それに応えてしっかりと投げきる。
相手バッターは強い目をしながら、でも少し内への攻めに恐れているように見えた。
三球目は、初球に投げたのと同じボール。
投げると、相手は打ってきた。ただ、バットに当たっただけのファールボール。
そして四球目、先輩の要求は外角へのストレート。
さすがに俺でも、意図が分かる配球。
内角攻めから一転、外角球で見逃しを狙う。
俺は、今日一番の力を込め、制球にも配慮して渾身の一球を投げる。
力なく打たれた打球は、ふらふらと内野に打ち上がった。
飛球を、セカンドの海洋先輩が掴む。
これでゲームセット。俺たちの勝ちだ!
ホームベースに沿って向かい合い、整列する。
グラウンドに、ありがとうございました、という声が響いた。
一週間空いた割に文字数少なくてすみません...期待されていた方には味気ない内容だったかもですね。。
そして、ここで一つ。
急にはなりますが、これまで毎週投稿を基本的に続けてきたところ、今後は不定期にしようと思っています。
未だに原作にすら届いていませんが、ちょっと最近は書く力が弱まってきてまして...(汗)
月に二回は最低でも投稿しようと思っているので、宜しくお願いしたいです!
そして頻度が減る分、文字数であったりクオリティであったりというものを、もっともっと良くしていければと思っています。
ですので良ければ、辛口でもいいので評価や感想等をより貰えると嬉しい限りです。
…という事で、日ごろからご愛読して頂いている皆様には、今後ともご贔屓にして下さればと願うばかりです。
それでは今回はこのあたりで。
ここまで読んで下さり、ありがとうございました。