『えー、次のニュースです。今日の午後2時、千葉県千葉市の26歳の男性がネットゲームにログインした際に、昏睡状態に陥り…』
オレはボーッとテレビを眺めていた。そして、ハアとため息をつく。
「また『プレイヤー消失事件』か…。」
『プレイヤー消失事件』。今、世間を騒がせている大事件だ。
どういう事件か?起き始めたのは5か月前のことだ。プレイヤーがそのゲームにログインしている状態にも関わらず、そのゲームから消えてしまう。つまり、行方不明になってしまう事件だ。また、それは現実世界にも影響し、行方不明になってしまったプレイヤーは現実世界では嘗てのSAOと同じく昏睡した状態となる。この事件が起きる原因は未だに解明されていない。
事件が起きた当初は他人事のように感じていたオレだが、この5か月間でこの事件の規模は大規模といえるほどになっていた。
流石にこの事件が大きくなってからはしょっちゅうALOにログインしているオレもログインの回数を減らすようにしている。
「また、この事件?何なんだろうね?この事件……」
ニュースを見ていたオレのところに割り込むように入り込んでくる直葉。
「ああ。」
オレは愛想のない返事を返す。
「お兄ちゃん、今日もログインするのはやめとく?」
「まあ、こんなニュースの後だから、ログインしない方がいいんだろうけど…」
オレは下を向いてうつむく。確かにこんな事件の後だからログインしない方が良いに決まっている。しかし…。
「今日アスナと午後の6時くらいに約束してるんだよな~」
「アスナさんと?」
何故か睨むように喋る直葉。何か悪いこと言ったかな…?
「ふーん…。まあいいや。お兄ちゃんとアスナさん恋人だもんね」
「え!?ああ、いや、まァ…」
オレはぎこちなく返事をする。直葉の睨むような表情が怖いせいだろうか…?
「でも、今、午後の5時53分だよ?そろそろ言った方が良いんじゃないの?」
「え!?ほ、ホントだ!じゃあ、悪い直葉。オレ、行ってくるよ。」
「うん」
あと7分…。間に合えば良いが。
オレは急いで部屋に向かう。そして、急いでログインしようとしたその時だった…。
「お兄ちゃん、電話来たんだけどー!」
「え…?」
下の階からオレを呼ぶ直葉。
「あー、もう…!」
時間が押し迫る中、電話が来るなんてタイミングが悪すぎる。
仕方なく下に降りて電話を受け取る。
「はい、もしもし。」
「ああ、桐ケ谷君。」
「え、結城さん!?」
電話の主はアスナの父親だった。一体オレに何の用だろう…?
「ど、どうしたんですか?」
オレが恐る恐る尋ねる。が、暫く沈黙の時間が訪れる。そして、
「アスナが昏睡状態に陥った」
「…え!?」
あまりの予想外の言葉にオレは絶句する。