テレビ放映版は見たんですけどねー。親戚の当時5歳の子と。どうせなら見に行きたいけど、劇場が遠くて、お金がナー。
あ、輪廻の方は公開初日に見に行きます。
「次がつかえてますよっと。はいはい。では次の方どうぞ―」
ガチャ
「なぜ、俺は死んだはず…」
「(逆にないタイプのテンプレ)どうも、番号札2番 川上朝陽さんですね。ご着席ください」
「………」
「はい、いろいろ疑問に思われていると思いますが、あなたは死にました。そして、転生者として転生していただきます。詳しく説明すると『かくかくしかじか』というわけです」
「なるほど、大体わかった。つまり『まるまるうまうま』なわけだな」
「はいそういうわけです。ということでまずは転生先を決めます。サイコロをどうぞ」
「こんなサイコロに来世の運命がかかっているなんて なっ!」
からん! からから
⚅:⚂
「『なんちゃってファンタジー世界』ですね。これははずれですね」
「はずれなのか?」
「それはそうでしょう。なにせ文明が未発達で道徳も行き届いていない世界なわけですから。力のないものは淘汰され搾取される世界ですよ」
「説明をお願いする」
「はい。川上さんの転生する世界は、剣と魔法・勇者と魔王の存在するファンタジー世界です。魔王が復活する混沌の時代に、勇者の生まれる田舎の村に転生していただきます」
「他に情報は………うーん、生活魔法と呼ばれる魔法が一般に普及しているので、病気になるリスクはそこまででないってことくらいでしょうか、あと日本語じゃないとか」
「他に何かないのか? 」
「すみません。転生先については、他の既存の作品世界でも詳しい説明はしてはいけないことになっているんです。神様いわく『知らないのは仕方ないよね、知らないなら知らないなりにどう生きるのか楽しいし』とのことで」
「………」
「すみません」
「では次は特典の選択ですが『かくかくしかじか』です」
「『まるまるうまうま』。ではサイコロを返す。
いけっ! 」
からっ! かつ! かつ!
⚄
「よし」
「おめでとうございます。ではくじを引いてください。5枚まとめてでも、1枚ずつ5回でもOKですよ」
がさごそがさごそがさごそ
1969・・・1013・・・1691・・・728・・・1493
「はい、ではまず1969番これは『実物カメラ』です」
「『実物カメラ』?」
「はい。ドラえもんのひみつ道具の一つで、なかなかに驚異的な道具です。当たりですね」
「当たり、ですか…その『実物カメラ』は何ができるものなので?」
「『フエルミラー』って知ってますか?」
「聞いたことがあるような…なんだったか」
「写した物を、鏡の中から取り出せるひみつ道具です。いくらでも複製品が生み出せるというわけですね。ただ鏡なので、取り出したものは文字やらが反転してしまうという欠点があり、しかもスイッチを切っておかないと鏡の中の自分が抜け出してしまう恐れもありますが」
「これはその『フエルミラー』の完全上位互換です」
「もしかしてカメラで撮った物が複製されるとか?」
「まさにその通りです。“アイテム特典”なのでメモリーやフィルムにあたる部分も際限ありませんし、他の道具を複製することも可能です」
「は? それは、いいのか? そんな、掟破りな」
「OKですよ。どうせ気づくでしょうし。なら今教えた方が川上さんの来世にいい影響を与えることになるでしょうし」
「………ありがとう」
「いえいえ―――さて、二個目は1013番『なんでもなおし×∞個』ですね」
「ポケモンのどうぐ・・・だったか?」
「はい。使うと手持ちのポケモン一体の状態異常をすべて回復させるアイテムです」
「ポケモン今のところいないが………はずれか?」
「いえいえいえ! とんでもない! 当たりですよ、大当たり。これはヒトにも使用可能です。そういうふうに設定変更がなされています」
「まじか」
「マジです。神様が『ポケモン引けなかったやつからしたら大外れじゃん。おもしろくもないしねー。あ、効果範囲拡大すれば逆におおあたりじゃね? よしそうしよう』と」
「つまりこれは無限の万能薬ということか」
「ですね。おめでとうございます」
「………」(無言のガッツポーズ)
「では、次行きましょう次もいいものきそうですね。1691番これは………」
「なにか」
「いえ、1691番は『キカイソダテール』です」
「またドラえもんのひみつ道具か 効力は? 」
「『機械を育てることのできる液状の薬剤。機械にひと液垂らすと大きくなる。単に大きさが変わるだけではなく成長し、玩具のミニカーを本物の自動車にまで成長させることもできる。』です。つまり、その………ファンタジー世界では全くの役立たずというか………」
「そう、か……(…ま、まぁまだ2つある、そもそも前の2つだけでも破格の特典だ)」
「4つ目は723番で、えっと『
「それは、どっちの? 」
「あ、はい。剣の方です」
「フェルグスさんのか…(というか宝具。俺受け取っていいのか? 英雄の生きた証、歴史そのもの、そんなものを俺の武器として振るっていいのか? いいわけがない、いや、しかし………)」
「(悩んでる! こういうタイプは頑固だからなぁ)大丈夫ですよ。説明した通りコピー品ですから。元にしてそれらしいものを神様が作っただけですから」
「………………………………………………そうか」
「はい。説明は必要ですか? 」
「いや、問題ない。FGO materialで読んだから知っている」
「そうですか。では最後の特典を」
「最後は1493番『オレガノ』です」
「?」
「えっと、正しくは漫画『そらのおとしもの』に登場する医療用エンジェロイド「Oregano」(オレガノ)です」
「『そらのおとしもの』?なんか聞いたことあるような…」
「そらおとは『かくかくしかじか』というお話で、その作中に出てくるシナプス人の作ったロボットのような天使のようなもの、量産型の一体です。作中で仲間になったオレガノ、別名ミニイカロスは発声機能を後付けされましたが、このオレガノはオリジナルにのっとり、発声器官を持っていません」
「その名の通りオレガノは医療用、つまり傷を治療することに長けています。その力は瀕死の重傷を負った主人公桜井智樹をあっさり回復させたほどです」
「他に特筆すべきは………エンジェロイドなので泳げない、飛べる、感情が極端に希薄、ヒトに比べて力が強い、と言ったところでしょうか」
「なるほど、ありがとうございました」
「あ、忘れてました」
「ん?」
「おっぱい、やわらかいですよ」
「」ブッ!!
「あはははははは」
「…さて気を取り直して、次は“能力特典”です」
「………」
「そうすねないでください。さぁ、振って」
「………くっ! 」
から、からから
⚅
「む………」
「6、ですね。つまり『はずれ』………」
「………」
では転生に移ります
あなたは5つの神からの贈り物をもって別世界に転生します。
今のあなたの自我を保ったまま、赤ん坊からあなたは人生をやり直します。
これからあなたの生きる世界に私たちは関与しません。
あなたがこれから手にする力で何をしても、それはあなたの自由です。
私たちはあなたが亡くなった後に、あなたの人生を閲覧しますが、評価するわけではありません。
三度目はありません。二度目の人生を、後悔なく過ごせるかはあなた次第です。
転生を実行します。それではよき人生を
「行ってらっしゃいませ、川上朝陽さん」
「お世話になりました」
No.2 川上朝陽
転生してからの幼児期は普通の子どもとして過ごした。というか言語を必死で学んだ。
少年期、圧倒的主人公力の幼馴染(後の勇者)とは関わらず、良い両親のもと手伝いをしながらすくすくと育つ。←この時点では「魔王?勇者?勝手にやってろ」前世の両親がアレだったので転生とか物語とかどうでもよくなってる。家族大事。弟も生まれた。
青年期、村を魔物が襲った―――村は焼かれ、人は食い殺され、アサヒの故郷は消えてなくなった。(慣習に従い、アサヒを含めた若者は都市に行って冒険者登録をしに行っていた。アサヒは関わる気がなかったから、こうなるだろうという予測ができなかった。メタ的に考えれば、勇者のイベント事に事件が起こるのは当然だろうに、気づくことができなかった)
帰り、惨状を目にしたアサヒは茫然自失となり、家へ向かった。
きっと生きているきっと生きて、俺の帰りを迎えてくれる
―――そんな願いも空しく、
厳しいけどやさしく、たくましく尊敬できる男だった父は家の外で首をもがれ死んでいた。
少し頼りなくはあったけど、優しい微笑みで愛を与えてくれた最愛の母は背中を裂かれ、苦悶の表情で絶命していた。腕を抱えて、おそらくは弟を守って死んだのだろうと思わせた。
そして弟は、腹から食い破られ臓物をまき散らし四肢を食い散らかされ、目を抉り食われ転がっていた。母親の行為をあざ笑うように、むごたらしく食われていた。アサヒのことを「アサヒ兄ちゃん」と呼び慕ってくれた大切な弟の、やんちゃな姿はそこにはなかった。
しばらく呆然としていると、外が騒がしくなっていて、出てみると、悪魔に自分以外の若者が襲われていた。ぼんやり見ていると、勇者がなんかして倒した。末期に「四天王の一人が主犯」と吐いて消滅した。
そして、勇者の家族が駆け寄って勇者を抱きしめた。
―――気が付いたら、勇者とその家族を、『
反動でボロボロになり、このまま死ぬものいいか、と思ったが、復讐を思い立ち、オレガノを初めて呼び出し、『
家族を埋葬し、金目のものと食糧をまとめ、名前も知らぬ悪魔を探して復讐の旅に出た。
旅をして、悪魔の噂を聞けば向かい、殺し、尋問し、殺した。
そしてその道中において病に倒れたもの、怪我を負ったものを見つけると、まるで罪滅ぼしのように癒していった。
いつしか行く先々で悪魔を滅し、怪我人や病人を癒して回る二人組として有名になり、彼らを勇者と呼ぶものも現れた。
そして、時がたち、ようやく仇の情報を掴み、乗り込み、戦闘の末仇をとった。
魔王に「部下にならないか」と誘われたが断り、激しい戦闘の末、宝具の全力開放『
魔王の称賛を受け、緊張の糸も切れ、意識が遠くなる。明らかに致命傷さすがにオレガノでも治療不可能な傷。全てを終えた復讐鬼は、剣に寄りかかることもできなくなり、倒れ、目を閉じる。
残った左のほほに柔らかい感触を受け、なくなったはずの右ほほに何か当たったように感じる。
柔らかな感触はオレガノの膝の柔らかさ。当たった感触は錯覚だった。戦闘で鋭くなった感覚が、まだ右半身があったなら、感じるはずの感触を伝えただけだった。
―――オレガノが泣いていた。アサヒを見下ろして、泣いていた。
必死に治療しようとして、彼女の機能は“コレ”を処置無し、半死人とみなしているのに。
アサヒは驚いて、うれしくなって、そういえば と思って、最後の力を振り絞り
―――今までありがとう
と感謝を告げて、鎖を握りしめて生涯を終えた。
オレガノは無音の慟哭と共に消失し、後には半身を失いながら、幸せそうに眠る男の遺体があるだけだった。
はい。
ちなみにアサヒさんは左利きです。
オレガノの参考画像
http://blog-imgs-45.fc2.com/a/h/u/ahuro3/settei_mokusiroku_iryoyous.jpg
以下蛇足。余韻を感じたい人はここで終わってください。
いいですか?
『アイアンマン』面白かったです。
これはAルート。『キカイソダテール』を使うことを思いつかなかったルートです。
Bルートではオレガノは成長し、能力向上、魔王討伐後アサヒ回復。発声機能と感情制御を獲得したオレガノとラブラブ余生を送りました。治療院を開き、好々爺として92歳まで生きました。死因は心筋梗塞。オレガノと笑いあいながら永眠しました。
今回は後書きから読む人も、できれば上からスクロールして、後書きを呼んでほしいです。なので、『ページ最下部へ』で来た人はバックお願いします。きっとそっちの方が楽しめます。