「次の方どうぞ―」
ガチャ
「へえ」
「番号13、鈴木
「あ、はい。ここは?というか俺はいったい…?」
「はい。ここは『かくかくしかじか』で、あなたはその転生者として神様に拾われた、というわけです」
「……いや、えっと、は? 俺死んだ記憶とかないんですけど?」
「事故死でしたからね。本棚が倒れてきて、眠ったまま亡くなられたということでしたが?」
「! (本棚の固定緩んでたな…っくそ!そんな、死んだ?俺が?こんな、こんな!)」
「お気持ちお察ししますが、後がつかえていますので、早速転生先を選んでいただけますでしょうか」
「(ちくしょう、他人事だからって急かしやがって。いや、でももう、死んだんだよな。怒っていてもしょうがない、か)はい」
「このサイコロで転生先を決めてもらいます。どうぞ」
「(たのむぞ)」
からんころん
⚅:⚃
「お!」
「おー!おめでとうございます! 6と4が出たので『自由』です。転生先を自由に選択していただきます」
「自由か………(悩む)」
「どういたしますか?」
「(急かすなっての。といっても、うむむ………やっぱり危険のない日常系か。特典選んだ後なら、まだ選択の余地はあるんだがな、わからないんじゃ日常系に行くしかないよな。ぬぅ………ひょっとしてエロ漫画的なのにも行けるのか? いやでもな、恥ずかしい…)」
「………」
「どういたしますか?」
「(急かすな!)じゃあ、えっと『心配ちゃんは今日も汗だく』で」
「ほうほう。それはまたなぜ」
「え、理由ですか?それはその…(言えない。ヒロインが好みだからとかあっさい理由で選んだなんて言えない)」
「(ほうほう)失礼しました。では転生特典の選択に移りましょー」
「は、はい」
「転生特典は2種類あります。概要は『かくかくしかじか』といった感じです。では早速サイコロで特典の数を決めていただきます」
「はい(まぁ、リラックスして…あの転生先なら武器は必要ない。リラックスリラックス)」
からんからから
⚂
「おー、出目は3ですね。ではくじを3枚引いてください」
「はい(意外とよかったな)」
ごそごそごそごそ
1841・・・577・・・570
「まずは1841番。これは『どくさいスイッチ
「はい…? (かっこ 改 かっことじ ?)」
「『どくさいスイッチ』はわかりますね?
そう、ドラえもんのひみつ道具の一つで「○○消えろ!」と思ってスイッチを押すとその人物を消してしまうことができ、消された人物は最初から存在しなかったことになるという道具です。因果律ごと消失させてしまいます。
原作ではこれは独裁者を懲らしめるための道具で、消してしまった人も復活しましたが、これはその機能をオミットしています。
つまり、本当にとり返しが付かないものになっています。
ただ、改
その欠点が改良され、うまく因果のすり合わせがなされるようになります」
「………」
「まぁ、こんなものは使わない方が健全でいいですよね」
「そうですね()」
「続いては577番『マルチステッキ:ステップバイステップとコスチューム(男性用スーツ)』です」
「マルチステッキ? コスチューム?」
「鈴木さんは西尾維新先生をご存知ですか?」
「はい」
「では<伝説>シリーズは?」
「あれは、その…分厚くって…」
「(チッ)そうですか。この特典はそのシリーズの第二巻『悲痛伝』に登場した、魔法少女ストロークこと「手袋
「魔法少女…」
「はい。ちなみに空も飛べます、念じるだけで簡単に。ステップバイステップというのは火星語で『光線』という意味で魔法はその名の通り「ビーム砲」です。
「スターラ〇トブレイカー」とまではいかないでも、「ディ〇インバスター」並みのビームを連発することができます。当然空に浮かんだままでも」
「(へー、でも使うことはないかなー。もったいないなー)」
「ちなみに『ストローク』は火星語で“
「(うわぁ………あっけなく地味に死んだんだろうな、その勘違いさん)」
「他には、コスチュームですが、特殊なものなので防御力も相当です。防弾キョッキなんか目じゃないくらいの防御力です。斬りつけられても全くダメージがありません」
「そして、これはデメリットなのですが、魔法を使用すると
「(ん?)」
「この魔法は一見何のエネルギーも消費していないように見えて、実際は『運命力』とでもいうべきエネルギーを消費しているのです。それにより、ステッキを使いすぎると死にやすくなり、「偶然死亡」なんていうことになりかねません。注意してください」
「はい(んだそれ!ぜってー使わねぇ!!)」
「最後、3個目の特典は570番『切断王』です」
「………それは?」
「はい、これは先ほど同様西尾維新先生の<伝説>シリーズ 第一作『悲鳴伝』に登場する、地球撲滅軍・第九機動部隊隊員コードネーム『恋愛相談』こと「
「地球撲滅軍? 防衛軍じゃなくて? 」
「はい。敵は〈大いなる悲鳴〉で人類の三分の一を殺害した「地球」ですので」
「(…なにそれ面白そう。くぅ~…死ぬ前に読んでおけば)」
「さて、『切断王』は三本一セットの手斧です。性能は一定の距離ならば投げるだけで必ず対象に当たること。それだけのただの武器です」
「はぁ(え?対人武器かよ。地球と戦うっていうからもっとこう…惑星を切断する刀とか、そんなのを想像してたのに…しょぼ)」
「何か質問はありますか?」
「いえ」
「ではこれにて“アイテム特典”は終了です。次は“能力特典”、サイコロをどうぞ」
「はい」
からからから
⚁
「おお」
「はい、出目は2ですね。では『鑑定』が特典として贈られます。おめでとうございます」
「ありがとうございます」
では転生です
あなたは3つと1つの神からの贈り物をもって別世界に転生します。
今のあなたの自我を保ったまま、赤ん坊からあなたは人生をやり直します。
これからあなたの生きる世界に私たちは関与しません。
あなたがこれから手にする力で何をしても、それはあなたの自由です。
私たちはあなたが亡くなった後に、あなたの人生を閲覧しますが、評価するわけではありません。
三度目はありません。二度目の人生を、後悔なく過ごせるかはあなた次第です。
転生を実行します。それではよき人生を
「ありがとうございました」
「はい、いってらっしゃいませ。心さんと、なかよくなれたらよいですね!」
「なっ!」
No.13 鈴木
転生し、大丈くん、心さんと幼馴染に。
色々やったが、結局小学校時代、心さんは大丈もとい
それで、2番目に仲が良かった鈴木さんを頼るように。
高校に入学し、風紀委員の木守さんやヤンキー(違)の花さんたちと色々あったりしながら、着実に距離を縮め、めんどくさい心さんに若干嫌気がさしながらも交際。
大学卒業後はサラリーマンになり、心さんと出来ちゃった婚した。仕事では嫌な上司や同僚を偶に消したりしていた。
35歳の時リストラされるも、心さんがもしもの時のためにと準備しておいてくれた再就職先に入ることができた。(リストラした会社の人間は大体消した)
定年後は夫婦そろって良い老人ホームに入って余生を過ごした。心さんは最期まで心配性だった。
はい。
この子悪気ないんです。人を消すこと何とも思ってないんです。怖いですね。死ぬまでの間で数百人は軽く消してるのに全く罪の意識感じていません。クズというか外れている人です。怖いですね。
今回の転生先『心配ちゃんは今日も汗だく』は稲葉誠先生作のアプリ「マガポケ」で連載されていた作品です。全16話。面白かったんですけどねー。なんで終わってしまったのか。やっぱりお色気描写がいけなかったのか?いやいやあれくらい、ねぇ?
一日で回復する無料チケットを活用することで14話までタダで読むことができるので気になった方は「マガポケ」をダウンロードして読んでみては?