落第騎士と鬼神ちゃん   作:カモシカ

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水無瀬白峰

俺が前世で憧れていた人の名前だ。

初めて読んだライトノベルの登場人物で、二巻にしか出てこないし二巻で死んでしまうけれど、何もかもに絶望していた俺には、彼の生き方は、眩しくて────




(ユーカ・・・・・ユーカ・・・・・あたしと同じ、Aランクの伐刀者)

 

 一輝に『規格外』扱いされた紅蓮の皇女は、真剣な顔をしながら食堂にてバカ食いしていた。

 

(むう・・・・・イッキから聞く限り、とんでもない馬鹿力なのは確かだけど・・・・・)

 

 ステラは来るべき勇華との戦いに備え、勇華の異能について考察をしていた。一輝との模擬戦で考察による情報の獲得の重要性を学んだのだ。

 

(イッキによれば、『鬼』というのは日本に於ける妖魔の最強格。その拳は山をも震わせ、英雄クラスでさえ泥酔させて騙し討ちをしなければ倒せない程の存在。

 通力等の異能の力も伝承には語られ、鬼神と同一視される事もある・・・・・能力でどの程度まで伝承通りの事が出来るのかは分からないけれど、油断なんて絶対に出来ないわね)

 

 強者を求めて留学しておきながら、破軍学園最強を知らなかったりするステラだが、一輝から『鬼』というモノについて聞き出していたのだ。

 流石に青鬼勇華本人の異能については教えてくれなかったが。

 

「アオキ・・・・・ユーカ・・・・・!」

「随分と熱烈に呼んでくれるね。ステラちゃんみたいに可愛い娘からのラブコールは嬉しいよ」

「え・・・・・!?」

 

 ステラは驚愕する。自身の文字通り目の前に現れた青鬼勇華の存在に。

 食事中とは言え、ステラは才能に努力を重ねた強者であるのだから、ここまで近づかれて気付かない筈が無いのである。

 それを平然と掻い潜ってきたこの小さな少女は、一体どんな隠行を身につけているのか。ステラには、まだ想像も出来なかった。

 

「どうどう?いきなり現れてびっくりした?」

「え、えぇ・・・・・まあ」

 

 もっとも、近づいてきた犯人には、ステラをどうこうしようという思惑は全く無いのだが。

 

「貴女が・・・・・アオキユーカ、なの?」

「うん。私が勇華。『鬼』の伐刀者、【鬼神】青鬼勇華だよ」

「そう。ならユーカ・・・・・私と、戦いなさい」

 

 有益な情報は無い。一輝程の経験も知識も無いステラには、これだけの情報で勇華の能力を推し量る事は出来なかった。けれどステラは、ただ目の前の鬼と()りあいたいと感じたのだ。

 

 どうあっても敵わない、そんな強者を探して遠く日本にまでやって来たステラの前に立ちはだかった『鬼』は、静かに荒々しく闘志を燃やすステラを前にして、ただ、呵った。

 

 

 

 ****

 

 

 

 

(『鬼』とは『おに』、つまりは『(おぬ)』の訛った言葉だ。本来鬼は目に見えないモノ。勇華が全く認識されず姿を現すのはそういう理屈の筈だ)

 

 一輝はかつて、勇華の隠行をそういう理屈で理解した。そしてそれは正しい。勇華は原初の『鬼』の本分に立ち返ることで、他人に全く認識されなくなる。勇華の異能は、『鬼』という概念が持つ領分の全てを網羅し、体現するものである。

 

「ぐぅ・・・・・」

 

 だからこそ、()()()()程度では勝てる筈も無く。例えばその炎が()()()()()()()であったなら兎も角、ステラの炎は竜の物だ。それも本来の姿とは比べるべくも無いチンケなものでは勝ち目など欠けらも無い。

 

「ねえねえ・・・・・Aランクだってのにその程度なの?」

「ぐんぬぅぅぅ、うっさいわね!喰らいなさい!────《天壌焼き焦がす竜王の焔(カルサリティオ・サラマンドラ)》ッッッ!!!」

「おおぉ・・・・・あー、悪くはないんだけど・・・・・まあ、切り替えるかな───霊装変化:伊吹童子・伊吹萃香」

 

 瞬間、莫大な熱量を前に勇華の姿が変化する。

 髪色と同じ夜の様な漆黒の角は、その小さな体躯に似合わず捻じれ長大なものになる。セミロングだった髪型は背中にまで伸び、両手首と腰から鎖に結ばれた三種の分銅が伸びる。

 その姿は勇華の兄が()()()()()鬼の姿に瓜二つであった。

 

「───《密と疎を操る程度の能力》」

「へぇっ!?」

 

 勇華がそう告げると共に、ステラの《妃竜の罪剣》に集まっていた焔が散る。

 己の全力とまでは行かないものの、間違いなく最高の一撃を無力化される所か発動すら出来ない事実に、ステラは暫し呆然とする。

 

「ちょっと、余所見しないでよ!」

「がっ、はっ!」

 

 ステラの頑強さを持ってしても、勇華の怪力は防ぎきれない。それも、一瞬とは言え無防備になっていれば尚更である。

 

「ねえ、もっと本気でやってよ」

「・・・・・分かってるわよ」

 

(舐めてた訳じゃ無いけど、こいつ、明らかに今までの伐刀者とは違う。やっぱり、今の私じゃどうしようも・・・・・)

 

「ねえ・・・・・まさか、勝てる訳ない、とか、考えて無いよね?」

「え・・・・・?」

 

 勇華に心境を言い当てられ、動揺を隠せないステラ。

 そして諦め(それ)は、勇華が世界で一番嫌いな物の一つであった。

 

「私ね、私が認めた人が目の前で何かを諦めるのが、大っ嫌いなんだ。嘘を吐かれる事よりも、ずぅっとね」

「諦め・・・・・」

「その点、一輝くんは最高だよ。どんな逆境にあろうと決して自分の価値を諦めず、私という特大の化け物に何度も何度も傷を付ける・・・・・ステラちゃんは、一輝くんに無いものを持ってる癖に、すぅっっっっっごく!」

 

 

 

 

 ──────弱いね

 

 

 

 

 ぶちん、と、何かがぶっ千切れた音が聞こえた。

 そして同時に溢れる魔力の奔流・・・・・いや、爆発或いは暴発とでも言うべきか。

 

 ステラは、ステラ・ヴァーミリオンは、友人の危機を救う為でも愛する者を守る為でも無く、怒りにより覚醒を果たした。

 不完全であるし、そもそも無意識下の事だ。しかしそれでも、竜の力の一端をステラは体現したのである。

 

「えぇ。ええ。確かに私はイッキに負けたわ。でもねぇ・・・・・ここまで言われて諦められる程、物分りが良くないの、よ!」

 

 無駄の少ない踏み込みにより、地面を砕き撃ち出される。歓びに口角を上げる勇華に、ステラは()()で妃竜の罪剣を打ち下ろし────

 

 次の瞬間、訓練場の天井に突き刺さった。

 

 

 

 

 ****

 

 

 

 

 ふぉぉぉおおおおお!!!

 ステラちゃん可愛ええぇぇえええええ!!!

 そしてエロいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃイイ!!!

 

 なんやあのボンッキュッボンは!ブルンブルン揺れすぎやろあれは何か!?その乳の揺れるさまはビックバンの如し!はっ、つまりはおっぱいとは宇宙開闢だったんだ・・・・・(錯乱)

 

 

 

 

 ・・・・・ふう。お目汚し失礼しました。

 けどこれに関してはステラちゃんのわがままボディが悪い。肌とかモッチモチだし。赤ちゃんかよマジで。しかも同室とか一輝くんうらやま。

 

 まあそれは置いといて。

 何故かこちらを若干敵視しているステラちゃんに模擬戦を持ち掛けられ、勿論私が勝った訳だが・・・・・

 ありゃあ化けるね。私の拳を二回も受けておきながら、軽くふらつく程度で立ち上がる。しかも最後は私でも喰らったら痛そうだった。もしかしたら、ステラちゃんの異能は『炎』の自然干渉系じゃ無いのかも。

 

 一輝くんとは別の意味で、十年後が待ち遠しいよ。




ちなみに、ステラの覚醒は《覚醒(プルートソウル)》では無いです。分かってるでしょうが。

星10評価を頂いてしまいまして、投稿です。分不相応な評価ですが、評価して頂いたからにはちまちま続けていこうと思う所存です。
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