しかも、この世界には《伐刀者》なんて人達が居るらしい。
そして俺も、その一員で。
俺の《固有霊装》は、当然のように、筆だった。
「貴女が青鬼勇華さんですか・・・・・お兄様から聞いています。本当に、本当に、ありがとうございました!」
「・・・・・・・・・・へ?」
私、何か感謝されるようなことしたっけ?
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「取り敢えず、お茶どうぞ」
「ああ、ご丁寧にどうも」
銀髪が綺麗な可愛い娘が私部屋を訪ねてきた。
レズでもロリコンでも無いから興奮はしないけども。
「で、貴女は誰なの?」
「初めまして。お兄様からお聞きかもしれませんが、黒鉄一輝の妹、黒鉄珠雫です」
「ああ・・・・・貴女が例の・・・・・」
一輝くんからことある事に──下手をしなくても本人の事以上に──聞いていた。可愛い綺麗成長した姿を見るのが本当に楽しみだ、だって小さい頃でさえあんなに可愛かったんだから成長してどれだけ綺麗になっている事か云々・・・・・目を輝かせながら
うん。兄妹仲が良好なのは良いけどさ、うん。ぶっちゃけドン引きだよね。
「改めて、貴女には尽きぬ感謝を」
「いやいや、だから感謝されるようなことした覚えが無いんだけど」
「七星剣武祭こそ出場なされませんでしたが、Aランクの貴女が兄を気にかけている。その事実は、周りのゴミクズ共が最後の一線を超えない為のストッパーになっているのです」
「・・・・・うーん、そうなの?」
ランク至上主義の現代、Aランクの影響力は馬鹿みたいに大きい。私の場合は悪名も全国、下手すれば世界に轟いてるから余計に。
そう考えれば珠雫ちゃんの考えも間違ってはいないのかも。
「ま、私は一輝くんの事気に入ってるからね。それくらいの事はやるよ。一輝くんからしたら要らないかもしれないけど」
一輝くんは強い。贔屓目でも何でもなく客観的な事実だ。後数年もすれば
「ありがとうございます・・・・・所で、貴女に限ってとは思いますが、お兄様に(性的に)手を出したりなんかしていないでしょうね?」
「ん?毎日(模擬戦を)してるけど?」
「ま、毎日シてる!?」
「そーそー、初めてやった時に前から後ろから《陰鉄》ぶち込まれてさー、それにハマっちゃったんだよね」
「は、初めてで・・・・・前から後ろから・・・・・ぶち込まれる・・・・・」
「あんまり楽しかったもんだから刀華にも紹介して三人で入り乱れて(模擬戦を)やったりもしたんだよね」
「え!?《雷切》と、
何故だか虚ろな目になりながら、珠雫ちゃんは帰っていった。珠雫ちゃんから感じた威圧も結構良い感じだし、流石はBランクだよね。
ふふ・・・・・今年は二人も逸材を見つけられた。
ステラちゃんの重い一撃も、珠雫ちゃんの繊細な魔術も、今年は毎日感じられるんだ。
嗚呼・・・・・今から、凄くゾクゾクする。
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《雷切》東堂刀華にとって、青鬼勇華という存在は大きなものだ。畏怖、憧憬、羨望、そして少しの恐怖と親愛。尊敬、と言い換えても良いかもしれない。
けれどその二人の出会いは最悪とも言えるだろう。
二人が出会ったのは入学式当日、学園長室でだ。
聞けば、勇華が学園敷地内の小山を吹き飛ばし、寮の一部を破壊したと言うのだ。幸いというか何というか、勇華本人の高い建築技術と損壊した範囲が小さかった事もあり、寮は既に直っているという。
(流石に入学式当日は自重するだろうと油断した・・・・・要注意人物なのは分かっていたでしょうに)
「初めまして。破軍学園生徒会長の東堂刀華です」
「初めまして。青鬼勇華です・・・・・ねえ、刀華さん。
私と、戦ってよ」
嗚呼・・・・・この目だ。
この目が、私に呪いをかけた。
未だ見ぬ強者を求め爛々と輝く狂人の瞳。
覗き込まれ、また覗き返す深淵の如き澄み切った闇。
濡れた鴉の羽のように。月の無い夜の闇のように。純真にして無垢なる始原に最も近い黒に魅入り。
私は、その日、彼女に恐怖し、愛慕の情を抱いた。
そして私は、へし折られた刀を鍛え直す。
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「お兄様!珠雫は、珠雫は都合の良い女で構いません!《鬼神》や《雷切》には見劣りするかもしれませんが、私の事も抱いて下さい!」
「珠雫!?再会早々何言ってるの!?」
そんなやり取りがあったとか無かったとか。
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