落第騎士と鬼神ちゃん   作:カモシカ

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魔人(デスペラード)
己が意思のみで神が定めた運命の鎖を引きちぎり、運命に対する優位性を持つ者。

3年間のあいつとの研鑽は、俺をその領域に連れていった。




たまたま中庭に通りかかると、恋仲のステラちゃんの前で他の女の子の太腿を真剣な表情でベタベタ触っている一輝くんを見つけた。

 

「・・・・・・・・・・うわぁ」

 

引いた。

 

 

 

****

 

 

 

「なーんだ。剣術指南かー、新手のプレイかと思った」

「プ、プレイって、勇華は僕を何だと思ってるのさ」

「変態(剣術家)」

「お兄さま・・・・・やっぱり」

「イッキ・・・・・あんた勇華に何したの」

「いや誤解だから!」

「・・・・・もう、初めてを奪ったくせに」

 

初めての(刀に刺された)経験を奪われたのだ。

嘘は言ってない。

 

頬を赤く染めて、けれど少しだけ陰を感じさせる表情がポイント。

こう、遊び人の妻的な。

 

「イッキ・・・・・やっぱり、私より勇華みたいなのが好みなのね」

「いやいや嘘だからあれ!勇華もふざけすぎだよほんとにやめて!!!」

「てへぺろ☆」

 

一輝くんの額に青筋が浮かんだ。しかし私の崩れない笑顔を見て諦めたのか、大きなため息を吐いて疲れた表情をする。

 

(いつか出し抜いてやる)

 

・・・・・なんか諦めてないような気がするんだけど。

まあいいか。

 

「・・・・・あの時は誤魔化されましたが、もしかしなくてもお兄様が《鬼神(あなた)》や《雷切》と乱交パーティをしたなんて嘘ですよね?」

「私は、三人で試合をしたって言ったんだよ。勝手に勘違いしたのは珠雫ちゃんじゃない」

「・・・・・・・・・・ぐぬぬ」

「やーん可愛い」

「やめてくださいアリス」

 

珠雫ちゃんとアリスちゃん(くん?)のゆる・・・・・ゆり?を見てから色々際どいワードで真っ赤になっているセンパイに視線を移す。

 

「こんにちは、センパイ。お父さんには大変お世話になりました」

「え、あ、こ、こんにちは・・・・・?って!父さんを知ってるの!?」

 

センパイ・・・・・綾辻綾瀬はぐわっと目を見開きずいっと寄ってくる。見た目とは裏腹になかなかアグレッシブな反応をする人だ。

 

「まあねー。初めて私を負かした人だし」

「勇華を!?それはすごいな。流石は《最後の侍(ラストサムライ)》だ・・・・・」

「で、でも、父さんは非伐刀者だ。いくら父さんでも《鬼神》相手じゃ流石に・・・・・」

「どうどう、負けたと言っても六歳の頃の話だし、その頃は《四天王》は無いし、《名前持ち》だって不完全だったんだよ。つまりは多少の超能力と馬鹿力しか無かったんだ」

 

そう。それはまだ、私の()()()()()()()()()()()()()()()。兄の存在さえ知らなかった頃。

 

私が、()()()()姿()()()()()()()

 

 

まあ、そんな事はどうでも良い。

 

 

「その話はいいでしょ。一輝くんも空いてないみたいだし、私は別の場所に行くとするよ」

 

そうして、まだ好奇心が治まらない様子の一輝くん達を置いて、私は中庭を去っていった。

 

 

 

****

 

 

 

「私にとって一番大切なのはお兄様が幸せであること。お兄様が幸せになってくれるのであれば、その相手は別に私で無くとも構いません。その人が、お兄様に幸せを与えてくれるのであれば。お兄様を裏切らず、悲しませないのであれば、私は喜んで祝福するつもりです」

 

──もっとも、私以外にそんな事が出来る人間がいるとは到底思えませんけどね。

 

そう言って、目の前の少女は挑戦的な笑みを浮かべた。

分からなかった。何故、何よりも愛しているであろうイッキを、他人に渡しても良いと思えるのか。

理解できなかった。大抵の相手には我を通せる能力(ちから)を持ちながらも、イッキを手に入れようとしないのか。

力があるのだから、やりたいように───

 

 

そうして、はたと気付く。

 

この思考は、危険だ。とんでもない傲慢だ。独りよがりだ。例えば、本当にただの例えだが──ヴァーミリオンの権力を使って、イッキを手に入れたとして、自分はそれを幸せと思えるのか?

 

そんな筈がない。有り得ない。あってはならない。

 

(勇華に、毒されてるのかしら)

 

「・・・・・その相手が、ユーカであっても?」

 

気になった。あの、清々しいまでにエゴ塗れの、それでいて純粋な少女がイッキと結ばれたとして、目の前の少女はそれを祝福するのかどうか。

 

「あの女性(ひと)は・・・・・よく、分かりません。貴女のように切り伏せたいとは思いませんし、そもそも私程度では傷一つ付けられないでしょう。あの女性(ひと)は単純ですから、仮にお兄様に愛を向けるような事があれば、病的なまでに愛するでしょうね。そしてお兄様は比較的鈍感ですが、それほどの好意を向けられて無視するようなお人ではありません。そして私は、少なくとも今の私は、そのような関係になったお兄様達の間に割り込むなんて不可能です」

「そ、そう・・・・・」

 

話が長い。そしてこいつ、私を切り伏せたいなんて思ってたのか。

・・・・・まあ、今は見逃して上げましょう。

 

 

「そこまで、なの?ユーカは。確かに私も負けたけど・・・・・《天壌焼き焦がす竜王の焔(カルサリティオ・サラマンドラ)》は警戒されたみたいだし」

「有り得ません。確かに貴女は人類最大の魔力量を持っているんでしょうが、貴女如きの技を、彼女が警戒する可能性はゼロです」

「んなっ!」

 

「良い機会ですから、外様のあなたに教えて上げましょう。青木勇華という、《化け物》について」

 

 

****

 

 

まず、前提として彼女を人間だとは思わないでください。彼女は、霊装を展開した状態で産まれてきた、産まれながらの化け物です。・・・・・いえ、彼女に限って言えば、霊装とは態々展開する物ではなく、()()()()()()()。彼女にとって言えば、霊装を隠さなければならない日本は窮屈極まりないでしょう。何故、彼女が日本に留まるのかは知りませんが。

 

ああ、分かりましたから。何故、彼女が貴女如きを警戒する筈が無いと言えるのか、と言いますと・・・・・

彼女と貴女の間には、比べるのも烏滸がましい力量差があるからです。分かりやすく言いますと、彼女の戦闘能力は《比翼》を凌駕します。私自身、詳しい事は知りませんが・・・・・

ええ、勿論、私が黒鉄だから知り得た情報です。ヴァーミリオンである貴女なら、遅かれ早かれ知らされたでしょう。

そして、この情報はそこまで隠されては居ない。一定以上の実力や地位がある者なら知る事が出来る。なぜだと思いますか?

それは、彼女に喧嘩をふっかけて、()()()()()()()()()()()

 

分かりますか?彼女は、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()




あるべき姿(覚醒超過)
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