落第騎士と鬼神ちゃん   作:カモシカ

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なあ、青鬼勇華。お前は黒鉄のどこが気に入ったんだ?

なあ、青鬼勇華。お前はどうして独りなんだ?


なあ、青鬼勇華。お前は────




どうして、泣かないんだ?




 なんだか知らないが、一輝くんがまたやらかしたそうだ。

 相手はソードイーターだかなんだかの伐刀者。何が楽しいのか知らないけど道場破りをして夜な夜な徘徊する基地外らしい。まあ要するにバカだね。

 今ブーメランとか言った奴ぶん殴りに行くから震えて待ってろ。

 

 で、まあ、なんか色々あって合宿所に巨人退治に行くらしい。

 暇だし、私も行こうかな。

 

 

 

 ……ん?どしたの一輝くん。へ?私がセンパイになにかしたのかって?

 

 

「んーーーー…………ああ、そう言えばやったかも」

 

 

 

 

 ****

 

 

 

 青鬼勇華は、決して善では無い。どちらかと言えば悪に分類されるだろう。もちろん殺人やらを楽しんでいる訳では無いし、年齢相応の喜怒哀楽も持っている。

 それでも、その精神性は普通とは言えない。

 

 犯罪者とは言え人間を、大量に、なんの感慨もなく殺戮して、それを気に病むことも無く日常生活を送る。

 一般的な感覚で言えば、間違いなく狂っている。何人もの『善人』がそれを正そうとしては、彼女の更なる成長の糧にされた。文字通り、余す所など無く。

 

 

 彼女は人間では無い。人の心に似た何かを持った、紛うことなき『化け物』である。

 

 

 

 確かに、彼女は僕を助けて──向こうにその気が無いとはいえ──くれた。それでも、僕には彼女が理解出来ない。初めて会ったその時から、僕らは余りにもズレていた。

 

 

 

 

 

 未来の僕は、彼女と共に歩めるのだろうか。

 

 彼女の隣に立つ人は、現れるのだろうか。

 

 

 もし、彼女が『人間』にならないまま生きていくとして。

 もし、僕が『人間』のまま歩み続けるとして。

 

 何時か、僕らの道は、決定的に分かたれるのではないか。

 そんな予感を、覚えた。

 

 

 

 ****

 

 

 

「やま!!」

「うるさい黙れ」

 

 私は帰ってきたぞ!山に!別に山生まれでは無いけどな!

 そんな気持ちを込めて叫ぶと、なんか銀髪のショタに怒られた。解せぬ。

 

 なにやらカレーライスを作るらしい。山に来たならキャンプの定番カレーでしょって言ってる。私は知らないけどね。

 

 けども一輝くん。君がエプロン萌えだとは知らなかったよ。

 

「いや、そういう事じゃないからね!?」

「知らないよ、楽しそうなこと(道場破り破り)に誘ってくれなかった一輝くんなんてさ。でも、まあ、それで正解だったよ。誘われたら、私はきっと、殺さずにはいられなかった」

「…………」

 

 でもね、一輝くん。

 

 自分の価値を信じ続けるくせに、母性一つで不安がる、『人間』の一輝くん。

 私みたいな狂人と渡り合える、狂った一輝くん。

 

 私は、君の剣をより重い(もの)を、知らないな。

 

「だって君は──」

 

(狂っているから)

 

 

 

 ****

 

 

 

 狂人の剣の重さは、狂人にしか量れない。

 東堂刀華が家族の想いを剣に乗せるなら、狂人は狂気を乗せる。それが、狂人が持つ唯一のものだから。

 

 純粋に練り上げられた渇望は、剣気となって()に宿る。途方もない研鑽と、己の価値を信じ続ける狂信は、重い軽いでは量れない。

 

 それを、世界で最も狂っている鬼だけが、理解していた。

 

「ああ、まただ。またこれだ。鼻がねじ曲がるようなドブの腐った臭いだ。臭う。臭うぞ糞共───今度こそ死にたいか。汚物人形」

 

 ──そして、お前の魂を喰ってやろう。




珠雫が刀華に負けたことにも触れない勇華。それなりに気に入っていても、心配なんてするはずも無く、まして励ますなんてありえない。青鬼勇華とは、そういう存在なのだから。




原作15巻読み切ったので初投稿です。短くてごめんなさい。
15巻にしてようやく第五秘剣が出たので嬉しかったです。

そして勇華が誰かをロックオンしたようです。
……ドナドナ?

それはそれとして大往生した一輝くんがヒロアカの出久くんに第二人格みたいな感じで取り憑いて技量チートする夢を見たんだが疲れてるんだろうか。
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