バレットガールズIF ~もしも岬守学園が共学になったら~ 作:土居内司令官(陸自ヲタ)
雨の中、1人の少年が傘をさして歩いていた。
閑静な住宅地、家々に明かりが灯っているが、道を歩いているのは彼だけだった。
やがて、彼の家に着いた。しかし、その門の前に女性がうずくまっていた。
「もしもし? 家、間違えてません?」
彼が声を掛けると、その誰かは顔を上げた。整った顔、長い紫髪、同世代を凌駕するバストサイズ――
「麻衣姉?」
「千夏、ごめんね――」
「と、とにかく上がれって。びしょ濡れじゃないか。風邪を引いたら――」
「本当、お節介な所は変わらないのね」
家に上がり、彼はカバンを玄関に置いて脱衣所へ向かった。
「タオルは適当に使って。シャワーの使い方、分かる?」
「怪しいわ」
「ここにある給湯機のコントローラーの、[電源]っていうボタンを押してしばらくすれば、お湯が出る」
「ありがとう♪ それと、乙女を裸で歩かせるの?」
「……着替え取ってくる。服は洗濯機に放り込んで――あぁ、駄目だ。服を痛めちまう」
「気にしないわ。ここまでぐしょぐしょに濡れていたら――」
「あー、ここにハンガーがあるから、これで干して。扇風機を当てれば、多少早く乾くから」
「ねぇ?」
「何だよ?」
「私の身体、そんなに見たい?」
「出るよ! 出るから! 今ここで脱がないで!」
何だかんだで彼は脱衣所を出て、階段を昇る。そして、彼の部屋の押し入れを開け、適当にTシャツと短パンを選んだ。
「麻衣姉、廊下に着替え置いとくよ」
「どうせなら、脱衣所に置いてよ。覗いてもいいから♪」
「覗かないよ!」
その後、彼がリビングでテレビを見ていたら、彼女がリビングにやってきた。
「ありがとう♪ でも、あなたの服を着せるなんて、私にマーキングしたいの? それとも――私の匂いをオカズにするの?」
「どっちでもないよ!」
彼女は、ソファに座る彼の隣に座った。
「ねぇ?」
「何だよ?」
「理由、訊かないのね」
「訊いたら悪いでしょ」
「私、そんな態度を取った覚えは無いわ」
「――ココア、淹れようか?」
「優しいのね。訊かないなら、私が話すわ。独り言として聞いてちょうだい」
「…………」
「部活の事で、親とケンカしたのよ。私はレンジャー部を続けたいけど、父は吹奏楽部にさせようとしていたの。幸い、顧問が説得してくれたけど、今度は私に強く当たるようになっちゃって」
「――家を飛び出してきた?」
「ご名答。あなたには迷惑掛からないようにするけど――そういえば、ご両親は?」
「父さんは単身赴任、母さんは夜勤。だから、明日の朝までは帰ってこないよ」
「そう、せっかく挨拶出来ると思ったのに」
「何の挨拶!?」
「ふふっ、冗談よ♪ でも、4年後には冗談じゃないかもね」
――2年後、物語は始まる。