バレットガールズIF ~もしも岬守学園が共学になったら~   作:土居内司令官(陸自ヲタ)

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sortie3 ウォッチドッグス

「今日のおやつは……和菓子か。しかし、サボリか遅刻やな」

 突然レンジャー部部室に入ってきた、陸上自衛隊の女性自衛官用制服(冬)っぽい服を着た女性が、壁に貼ってある紙を見ながら呟いた。

 そして、千夏がその女性に話し掛けた。

「星川先生、今日の部活って――」

「おー、千夏、来てたんか。今日の集合時間については、LINEで知らせたはずやけど?」

「え」

 そう言われ、千夏はブレザーのポケットからスマートフォンを取り出し、[緑の吹き出し]アプリを開いた。[レンジャー部]と記されたコミュニティーをタッチすると、

 

[めいか:今日は4時に点呼な。その後は自由に練習しなはれ]

 

 とあった。

「隣のは、火乃本 彩やったな?」

「は、はい! それで、どちら様で?」

 彩にそう問われ、女性ははっとした。

「自己紹介してへんかったな……星川 冥香、ここの顧問や。一応、3年 A組の担任と英語を教えとるもんや」

 そう女性は名乗った。すると、彩が質問をした。

「あの〜、おやつって一体?」

「ん? 3時に食べる軽食以外に何があるんや?」

「いや、それは分かるんですけど……」

「ま、このレンジャー部では、おやつが義務やからな」

「義務なんですか!?」

 驚く彩に対し、冥香が突然千夏に話を振った。

「千夏なら理由は知ってるやろ?」

「ええ、まぁ。彩さん、アメリカ軍のMREって知ってる?」

 千夏にそう問われ、無い知識を絞る彩。

「MRE? ……健康診断の?」

「それはMRI。しかも定期検診の。……まぁ、『Meal Ready to Eat』、『手間なしで食べられる食事』という、アメリカ軍のレトルト食品さ。『エチオピア難民すら食べない食いもん』とか『食べ物に似た何か別の物体』とか言われていたけど」

「千夏、それは古い話や」

「……まぁ、その中にチョコレートが入っている訳だ」

「えぇ!? アメリカの兵隊さんって、チョコレートを携帯しているの!?」

 すると、冥香が口を開いた。

「だいぶ古い話やが、進駐軍の兵隊に『Give me chocolate!』とおねだりするとチョコくれたって、うちのお袋が話しとったなぁ」

「かなり古いですし、年バレますよ?」

 冥香の思い出話に千夏がつっこむと、冥香が特製ハリセンで千夏の頭を思いっきりひっぱたいた。

「黙らんかい! 今度年の事を口にしたら、容赦せんで!?」

 そう言って、冥香は腰に下げたヒップホルスターを叩いた。そこには、かなり大型のM29回転拳銃が収まっていた。

「すんません……」

 目の前の即行コントにたじろぎながら、彩が話題を戻した。

「それで、アメリカの兵隊さんは占領地の子供達を手懐けるためにチョコレートを持っていたの?」

 その言葉で、千夏ははっとした。

「あぁ、いや、それもあるかもしれないけど、一番の目的は『疲労回復』のためだ。ほら、頭や身体を激しく動かした後、甘い物が欲しくなるだろ?」

「確かに……つらいトレーニングを終えたら、無性にパフェが欲しくなるんだよね〜」

「そういう事。軍人だって甘い物が欲しくなるんだよ」

「だから、おやつが義務なんだ!」

 彩、ようやく納得する。

「せやろ? 成績アップに繋がるんなら、お菓子の携帯も認めとるしな」

 するとそこで、部室の扉が開いた。

「すみません、遅くなりました……」

「どーもー、いきなり遅刻して申し訳ありません!」

「……すまない」

 

 

 

 いきなり入ってきた3人に、彩と千夏が驚く。

 1人は、長くてウェーブがかった栗色の髪の女子。1人はエメラルドグリーンの短髪の男子。1人は白髪ショートボブの女子だった。

「1年 D組の金園 優里奈です……」

「1年 I組、牛飼 文彦です! 弾幕仕事なら任せてください!」

「I組、鷹田 織乃。狙撃させてもらえるなら、それでいい」

 3人それぞれが自己紹介し、彩達も自己紹介した。

「ここの顧問の、星川 冥香や」

「1年 I組の鳥尾 千夏です」

「D組の火乃本 彩です! 金園さん、レンジャー部だったんだ!」

「……優里奈」

「え?」

 優里奈の小さな声に、彩が反応した。

「優里奈、でいいです……」

「そっか、じゃあ優里奈ちゃんって呼ばせてもらうね?」

「はい、彩ちゃん」

 するとそこへ、またもう1人やってきた。

「さぁて、新入部員はと……5人全員いるな?」

 それは、オレンジ色のショートヘアのボーイッシュな女子高生だった。

「お久しぶりです、陽希さん」

「お! 千夏じゃないか! だいぶ背伸びたな〜! 昔みたいに『陽希姉ちゃん』って呼んでもいいんだぞ?」

「あの時から6cmしか伸びてませんよ。それに、その呼び方恥ずかしいですし」

「いいじゃねぇか、あたしとの仲だろ〜?」

 そこで、オレンジショートヘアがはっとした。

「ああそうだ……早乙女 陽希、ここの副部長だ。千夏とは、古くから付き合いがあってな。いわゆる幼馴染って奴だ」

 そう自己紹介し、1年生達も各々自己紹介した。

 

 自己紹介が終わり、陽希はオレンジ色のロッカーから、かなり長めのライフル――H&K HK417――を取り出し、チェストリグを身に着けて予備弾倉を手に取った。

「じゃ、早速技能テストといくか!」

「あの、ちょっと待ってください!」

 彩の声に、陽希が止まった。

「何だ?」

「あの、成績とかって――」

 すると、冥香が口を挟んだ。

「あのな、彩は救護部志望やったんや」

「つまり、転部のための成績という事か。悪いな、夏まで待て」

 陽希の言葉に、彩はショックを受けた。

「そ、そんな〜!」

「そりゃそうだろ? 新兵をいきなり戦場に放り込む時代はベトナムで終わったんだ。今は充分訓練を行ってからだ。まず第一に戦場が少なくなっているけどな」

 すると、優里奈が口を開いた。

「彩ちゃんは……レンジャー部が嫌なんですか?」

 その問い掛けに、彩は慌てた。

「いや、そんなんじゃないんだけど……」

「彩、レンジャー部に入って残念って思ってるだろ?」

「いや、その……」

 陽希の問い掛けに、彩はしどろもどろになる。

「言っとくが、救護部も生易しくないぞ。高校の救護部は、敵地に取り残された味方を救出する、いわゆるパラジャンパーを担うんだ。当然高いスキルが要る。ここでの経験は、決してマイナスにはならない。むしろプラスになると思うぜ?」

「そう……ですか?」

「ああ。ま、頑張ろうぜ?」

「は、はい!」

 

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