ロクでなし魔術講師と投影者(リメイク中につき凍結) 作:よこちょ
UA9000突破ありがとうございます!非常に励みになります!1万行ったら記念に何か書こうかな………(皮算用)
あとはお知らせをば。
新たにアンケートを取りたいと思います!
内容は「オリジナルボトル、オリジナルベストマッチ」です。
どんなボトル、ベストマッチでも大丈夫です!ボトルだけでも書いてくれれば出すかも……?
是非お願いしますという宣伝とともに、どうなる第16話、どうぞ!
追記 Twitter初めました!@yokotyoyokotyoで検索してください!基本フォロバします。
王都に着いた俺らは、親衛隊隊長であるレイジ=フロイスさんに先導されて、王宮の応接室に通されていた。
周りにはいかにも高そうな絵画や壺、剣や盾が飾られておりシスティと俺はガチガチに緊張している。
一方のルミアは、昔のことを思い出しているのか、懐かしそうな顔を浮かべ、リィエルは背もたれにもたれて爆睡し、グレンは座ってこそいるものの、隠す気もなく欠伸をしている。
アルフォネア教授はというと、大胆にも自分で女王陛下の所へと行ってしまった。
第7階位と聞いていたのだが、実態はもしやアホなのではないだろうか。
そんなこんなで待ってると、アルフォネア教授が戻ってきた。
「おし、アリス〜。入ってきていいぞ〜。」
ちゃっかりと女王陛下のことを渾名で呼んでるし……
開いたドアから入ってきたアリシア陛下も満更じゃ無さそうだし、まぁ、いいか(思考放棄)
「お久しぶりですね。皆さん。」
品のある声でそう言われると、どうしても背筋が伸びてしまう。
その拍子に、尻ポケットに入れていたボトルが落ちて転がってしまった。
慌てて拾おうと身を捩ると、レイジさんが拾ってくれた。
礼を言って向き直ると、アリシア陛下が日程について話してくれていた。
簡潔にまとめると、明日1日は観光をして、その次に受勲式があるそうだ。今日は1日城内でゆっくりしてくれとのことである。
全員が日程を確認し終えたところで、それぞれ部屋へと案内された。
全員に個室が当てられており、その個室の作りもかなりゴージャスだった。
「ふひぃ〜〜。疲れたなぁ。」
そう思ってベットへとダイブする。
柔らかいシーツとマットレスが体を包み込んでくれて、それだけで力が抜けていく。
思わず感嘆と安らぎのため息を吐いていると、
コンコンッ!と、ドアがノックされた。
誰だろうか。グレンならば躊躇なく勝手に入ってくるだろうし………
「どうぞ〜」
考えながらそう言うと、意外な人物が入ってきた。
「やぁ。今ちょっといいかな?」
入ってきたのは、レイジさんだったのだ。
「確認したいことがあってね。ちょっと場所を変えようか。」
そう言って外へ出ていく。どうやら着いてこいということらしい。
仕方ないのでベットちゃんとしばしの別れをすることにして、後を着いていく。
レイジさんはどんどん廊下を進んでいき、とある部屋の前で立ち止まった。
「とりあえず入っておいてくれ。」
言われたとおりに入り、適当な椅子に掛ける。
レイジさんは反対の椅子に座った。
「さて…………。どこから話そうかな。」
────────────────────────
「まず、君がさっき落としたもの。あれ、どこで手に入れたんだい?」
あれ……とは、フルボトルのことだろうか。
「これですか?」
「そうだ。」
合ってるらしい。しかし……どう説明しようか。
まさか敵対組織の一員から貰いましたなんて言っても信じてもらえそうもないしな。
「…………もしかして、エレノア=シャーレットかい?」
「……なぜそれを?」
これは驚いた。
まだ何も説明してないのにエレノアの名前が出てくるとは。
「だろうと思ったよ。それを持ってる君にならば、話してもいいかも知れない。そう思って呼んだんだ。」
「話……ですか?」
「そうだ。ひとまず、これを読んで欲しい。」
そう言って渡してきたのは、古びた1冊の本だった。
なんらかの魔術的阻害が施されていた跡があるが、今は機能していないようだ。
表紙には『エレノア=シャーレット』という名前以外何も書いていない。
読み進めると、日々の記録のようなものが書かれていた。
「エレノアの日記か?」
だが、とある日を境に、全く書かれなくなっていた。
途切れ途切れに書かれた内容からは、悲痛さが漂っていた。
─ 月─日
最近、意識が急に途切れる。
今日もまた途切れた。
途切れているのに、私は動いているらしい。
何故だろうか。
─月─日
日付を確認すると、私の意識が途切れてから2日間が過ぎていた。
その間仕事をしていなかったことを陛下にお詫びしに行くと、「貴方はちゃんと仕事をしていましたよ?」と、怪訝そうな顔をされた。
原因が不明なのが、気味が悪い。
─月─日
呪いの類かと調べてもらったが、異常がなかった。
今日は意識が途切れなかった。
─月─日
目が覚めると、机の上に奇妙なボトルが置いてあった。
不気味だったが、なぜか捨てる気にはならなかった。
─月─日
私は操られている。
そう実感出来た。
私の中にナニか別のものが巣食っている。
痛みも苦しみもないが、私が私でいられる時間がどんどん減っていっている。
いやだ。怖い。誰か助けて。
─月─日
『エボルト』。
私の頭の中に浮かんできた言葉だ。
それがなんなのかはわからない。
だが、重要なもののようなことがしたので、記しておく。
─月─日
もうダメだ。私は私で居られない。
日に日に見たことないものが増えていく。
日に日に自分が消えていく。
私が居たという証拠は、もはやこの日記だけなのだろうか。
私は増えたものを森に埋めてきた。
これで少しは自分なるだろうか。
日記はここで終わっていた。
いつの間にか、俺の目には涙が溜まり、日記を持つ腕は震えていた。
「『エボルト』。お前はそいつのことを知っているのか?」
「………はい。」
聖杯に混ざりこんだ余計な知識。
その中に、『エボルト』という名前はあった。
「火星」という星を滅ぼし、平行世界の地球を滅ぼそうとした悪。
その悪は、俺の持つフルボトルと似たようなボトルで姿を変えて戦う「仮面ライダー」という存在によって打ち倒された。
だが、この世界にはフルボトルはあってもベルトはない。
もし、エレノアの中に巣食っているのがエボルトだとするならば、一体どうやってそんな奴らと戦えばいいのか。
そう思案していると、レイジさんが懐から何かを取り出し、机に置いた。
「……ッ!これは!」
それは、黒い本体に多数の歯車、2つの穴にハンドルの付いた、「ビルドドライバー」と呼ばれるドライバーと、中身のない透明なボトル、「エンプティボトル」だった。
「なぜレイジさんがこれを?」
「エレノアが森に埋めていたものだ。俺がその現場から掘り起こしてきた。」
どうやらエレノアが隠していたのは、ビルドドライバーとエンプティボトルだったらしい。
「それはお前に託そう。一応魔道具だから、慎重に扱え。」
そう言って、外へでようとする。
「………なんで俺に渡したんですか。」
「……………お前なら、扱えるからだ。それに、あのグレン=レーダスも使えるだろうな。だからだ。」
そう言って去っていった。
俺は無言でドライバーとボトル、それにエレノアの日記帳を手に取り、部屋へとゆっくり戻って行った。
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レイジが外へ出て暫くすると、アリシアが待っていた。
「…………彼には、無事に渡せた?」
「ん?ああ。渡せたぞ。普通に受け取ってくれた。」
「でも………よかったの?」
「別に。使うか使わないかはあいつ次第だしな。俺は選択肢を増やしてやっただけだ。」
「そうじゃなくて。あなたのことよ。貴方も『知ってる』んでしょ?」
「……………まぁ、時が来たら、な。」
そう言い残し、去っていく。
だが、レイジの口は固く閉じられていた。
まるで、「話したくない」と駄々をこねる子供のように。
そんな後ろ姿を見ながら、アリシアは思う。
「………言える時が来るといいのだけれど。『記録を持ってる』って。」
今回はレイジ回でしたね。
最後に出てきた「記録」とは一体何についてなのか……。
そのへんも推察してみてください。
では、次回の投稿まで!チャ〜オ〜