ロクでなし魔術講師と投影者(リメイク中につき凍結) 作:よこちょ
レイジ;さすがにな。
アラン;うおっ!レイジさん!?なにゆえここに?
レイジ;まえがき、よやらの代役だ。グレンは今居ないんだろう?本当はもう1人、ちっこいのを呼ぶ予定だったんだがな。
アラン;ちっこいの……?
レイジ;ああ。なんでも、「まだ仕事が片付いでないから儂は行けぬ。」だそうだ。
アラン;ちっこいのにジジイ言葉か………謎すぎるぜ。っと、喋りすぎたか。そろそろあれ、言っとくか。
レイジ;了解だ。さて、どうなる第26話。
アラン&レイジ;どうぞ!
????;そろそろ出番くるかの?
作者;もうちょっと待っててください。(土下座)
そして漸く長い長い回想が終わった。
俺は結婚式が行われていた会場を単身で飛び出し、グレンが走っていったと思われる方向へと走っていた。
「クソっ………。流石にわからん。」
だが、この近辺は裏路地や細い道が多く、完全に追跡しきることは不可能であった。
「ハァハァ……一旦休憩すっか。」
そう思って壁を背にし、息を整え、思考も整える。
(グレンはシスティを抱えてるからそう遠くには行けないはずだ。それに、この事件に天使の塵が関わってるとすれば…………)
そう思って辺りを見渡し、集音の魔術を起動させ、耳を澄ます。
10秒ほどそうしていると、少し遠くの方から細い女性の悲鳴と、何者かの咆哮が聞こえた。
「あっちか!」
即座に【フィジカル・バースト】の呪文を紡ぎ、壁を次々に蹴って天井へと移動する。
そのまま直進し、2つ先の路地裏へと飛び降りた。
飛び降りた先には、グレンとシスティが天使の塵の中毒者複数名を相手取りながら走っている姿が見えた。
だが、状況は全くと言っていいほど良くなさそうだった。
システィは突然の状況に気が動転しているのか、見た時から一切呪文を唱えようとしていない。しかも呼吸も乱れており、マナ・バイオリズムも最悪に近いであろう。あんな状態では咄嗟に対応することができなさそうだ。
一方のグレンは【ウエポン・エンチャント】で強化した拳や飛び道具やら銃やらの魔術に頼らない武器で応戦してはいるものの、体力的にも残りの道具の量的にも限界が来そうである。
(なら………取る行動は一つだ!)
「『投影、開始!』」
屋根から飛び降りつつ、弓矢を投影して限界まで引き絞り、中毒者の頭目掛けて素早く放つ。
完全な死角である上からの攻撃に対応出来ず、中毒者は頭に矢が刺さって倒れ伏し、そのまま死亡した。
「っしょっと。おい、無事か?」
「ああ。サンキューな。」
「だ、大丈夫よ。」
「………いや、グレンは兎も角、システィは大丈夫じゃなくないか?顔色悪いし。」
マナ欠乏症になる程魔術を行使していないはずのシスティの顔は真っ青になっていた。加えて両腕で己を抱えており、全身は少し震えていた。
その様子は、何かに怯えているようであった。
「だ、大丈夫よ!ちょっと驚いただけ。」
「そう言われても………ッ!危ない!」
頭上から殺気を感じゅ、ドンッとシスティをグレンの方へと突き飛ばし、自分もその反動でその場を離れる。
すると、離れた場所へと紫色の大きな触手が接近し、石畳をまるでウエハースの様に砕きながら突き刺さった。
「あっぶねぇな!誰だ!」
そう叫びながら上を見ると───完全に予想外な人物が立っていた。
「あ、アビー!?」
髪や肌の色に差異はあれど、そこにいたのは紛れもなくアビーことアビゲイル=ウィリアムズ=クライトスであった。
「見つけたわ!さぁ死んで!今すぐ死んで!早く死んでぇぇぇぇ!」
(なんだこれ!?今までと全然様子が違うぞ!?)
だが、そこにいたアビーは前までの優しく元気な様子はなく、代わりに狂気に満ちた悪魔のような様子だった。まるでバーサーカーのようだった。
「先生!早くシスティ連れて走ってくれ!」
「で、でもお前一人じゃ!」
「俺はこれ使うから問題ない!」
腰にビルドドライバー装着しながらそう言うと、渋々ではあるが納得してくれたようで、システィと一緒に更に路地の奥へと走っていった。
「さて、と。気は進まないが………やるしかないか。」
迫り来る触手をステップで避けつつ、フルボトルを振ってビルドドライバーへと刺す。
『ラビット!タンク!ベストマッチ!』
『Are you Ready?』
「変身!」
『鋼のムーンサルト!ラビットタンク!イエーイ!』
「さぁ、戦闘開始だ!」
赤と青の戦士─仮面ライダービルド ラビットタンクフォームへと変身し、彼我の距離を詰めるべく走り出す。
強化された脚力で一気に距離を詰め、まずは軽くパンチを放つ。
だが、その拳は何か硬い物質によって防がれた。
「ってその服、触手で編んであんのかよ……道理で硬いわけだぜ。」
そう。防いだのは触手によって編まれた強固な服であった。
素材が何で出来ているかは分からないが、恐ろしく硬いということは事実だ。
ならば──
「切断を試すか!」
触手とて肉でできていることには変わりない。
ならば斬ってみよう。
そう決め、即座に「ビートクローザー」と「四コマ忍法刀」を出し、二刀流で斬り掛かる。
「アァァァァァァァァ!!」
おぉ。効いてるっぽい。
触手の何処に口があるのかは分からないが、悲鳴を上げているところを見るに拳打よりも斬撃の方が効くと見た。
そうして何度も斬りつけていると、漸く1本触手を切断できた。
「ギャアァァァァァァァ!」
金属を擦り合わせた様な怪音と粘液らしき液体を吐き散らし、滅茶苦茶に暴れ回る触手。
辺りの建物の壁を破壊しながらも俺と距離を取った。
「ちっ。そう簡単に殺らせちゃくれないか。」
早いところあの触手を倒してアビーを救出しなければ俺は兎も角、アビーの体力が持たないだろう。
だが、情報のない今、下手に動きすぎて倒す手段を失っては元も子もない。
ならば、接近して弱点ないし打開策を見つけなければ。
そう考えて剣の柄を握り直し、再び接近を試みる。
迫り来る触手を切り払い、時に投影魔術で爆晶石を叩きつけてぶっ飛ばしながら進み、アビー本人に組み付く。
そして弱点を探すべく身体中を見渡す。
(弱点らしい部分…………。あ、これって!)
探してみると、触手は服の上から生えている─要は強化外装のようなもの─であると分かった。
つまり、この付け根さえ破壊できればアビー本人は無傷とは言えずとも無事に救出できるという事だ。
(なら…………後ろに回り込むしかないな。)
後ろに周り込むならば、小回りが効くほうがいい。ビルドでは若干不利だ。
そう考え、距離を取ってから変身を解除。
防御面がかなり不安にはなるが、これで後ろには回り込みやすいはずだ。
「『投影、開始!』」
干将莫耶を投影し、先ほどよりも数段遅い動きで肉薄する。
それを好機と見たか、触手が俺にしっかり狙いを付けて襲いかかってきた。
だが──
「想定内だ!」
速度が遅くなれば集中攻撃してくるのは目に見えていた。
ならばどうするか。
「『我、時の頸木より、解放されたし』!」
黒魔「タイム・アクセラレイト」を使用した反動で視界がモノクロへ反転し、周囲がゆっくりと動く。
当然触手もゆっくりと俺へ狭ってくるので、対処は簡単だ。
迫る触手を紙一重で避けつつ先へ進み、後ろへ回り込む。
が、回り込んだ時点で「タイム・アクセラレイト」の効果が切れ、反動で今度は自分の時間が遅くなる。
その隙を逃すはずもなく、再び触手が迫ってきた。
(くっ………若干時間が足りなかったか!)
先程より素早く見える速度に対応できず、触手に絡み取られ、地面へと組み伏されてしまった。
「グゥッ!」
生身で締め付けられているせいで気道と肺が圧迫され、空気が押し出された。
呼吸もままならず、頭もふらふらしてきた。
触手は相変わらず気持ちの悪い声を上げている。どっからこんな声出してんだか。
(………なんて考えてる暇ねぇな。どうにか抜け出さねえと。)
若干切りが悪いですが、ここで切らないと長くなりそうなので切らせていただきます。すみません。
あと、もう1人のお借りしたキャラ(一応名前伏せ)はもう少し後に出てきますので、お待ちください。
では、次の投稿まで!