ロクでなし魔術講師と投影者(リメイク中につき凍結)   作:よこちょ

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アラン;……おい、作者。なんでこんなに投稿が遅れた?

作者;ふむ。テストがあることをすっかり忘れてて勉強し……もうひとつの作品を書いてさらに遅れ……そして興が乗らず書けなかったから……。そうか、私のせいだ。ハッハッハ!アラン君!全部私のせいだ!アッハッhブゴゥ!

アラン:ふぅ。ゴミはゴミ箱にっと。……というわけで遅れてしまって済まない。代わりと言ってはなんだが今回は少し長めだ。

グレン;筆が遅いのに作品掛け持ちすっからだ。やれやれ。

作者;すまない……

アラン;なんだ生きてたのか。まあいいや。

グレン;んじゃ、いつものいっときますか。

アラン&グレン;どうなる第27話、どうぞ!


第27話 逃げた先の背中

カツカツカツと、路地裏に固めの靴底が鳴る。

はぁはぁと息は切れているが、それでも足は止まらなかった。

 

(…………私、最低だ)

 

走っている人物──システィーナは、走りながら自己嫌悪抱いていた。

そもそもなぜ彼女がグレンと離れ走っているのか。

それは、端的に言えば「逃がされた」からである。

グレンとシスティーナは今回の事件の黒幕であるジャティス=ロウファンと対峙し、交戦しようとした。勿論なけなしの勇気を振り絞り戦おうとしたのだが、ジャティスの狂気に染まった目や殺気立ったグレンの表情を見てしまったシスティーナは、戦う選択ができなかったのだ。

しかもそれだけでなく、グレンの殺気と表情に怯え、あろうことかグレンを拒絶してしまったのである。

最後に言っていた「達者でな」という言葉が耳にこびりつき、反響する。

その結果、「これでいいんだろうか」と言う気持ちと、「仕方がない」という気持ちが心の中で混ざり合い、その感情が今でも足を動かし続けさせていた。

 

「だって仕方ないじゃない!あんな風だとは思わなかったんだもん!」

 

誰に言うでもなく、口から言い訳が零れる。

彼女には、同世代、同クラスの友人と比べても「力がある」という自負があった。それはグレンやアラン、ルミアやリィエル達と共に行動し、事件に巻き込まれて生還するという過去から裏打ちされたものであり、その自負は事実であった。

だが、彼女は知らなかったのだ。自分が矢面に立ち、先陣を切って相手に攻め込むということの恐ろしさを。

故に彼女は逃げ出してしまったのだ。自分を守るために今もジャティスと戦っているグレンを背に。

 

恐怖に追いかけられるが如く走り続けていると、進んでいる道の前方からギリギリと、まるで刃物を擦り合わせるような音が聞こえた。

 

(ッ!まさかアランが!)

 

自分達を行かせる為に単身でアビゲイルを請け負ったアランの後ろ姿が浮かび、足を急がせる。

さっきまで整っていなかったマナ・バイオリズムはいつの間にか整い、腕は自然と真っ直ぐ前に伸びていた。

 

────────────────────────

 

(どうにか抜け出さねえとな……)

 

そうは思うものの、酸欠の頭では思うように思考が纏まらず、疲労で身体も鉛のように重かった。それでも潰されるまいと抵抗してはいるが、剣も体力も一体どこまで持つか分かったものではなかった。

 

(くっそ………何か手はないのか!)

 

「『大いなる風よ』──!」

 

すると、本来聞こえないはずの声が聞こえた。

その声は、まるで実体を持ったように上に居たアビーを吹き飛ばし、壁に衝突させた。

その声の主は─

 

「アラン!!大丈夫!?」

 

─システィだった。

 

「ゴホッゴホッ、し、システィ!?何でここに!?」

 

急に肺に入ってきた空気に驚き咳き込みながらもそう尋ねずにはいられなかった。だってシスティはグレンと一緒に……まさか!

 

「お前グレンはどうした!?」

 

「そ、それは……」

 

アビーが吹っ飛んだ方向を警戒しながらも事情を聞く。すると、さっきよりもまずい状況になっているという事がわかった。否、分かってしまった。

 

「ふぅ……成程な。…………ふんっ!」

 

とりあえず一発システィの頭にチョップをかます。

 

「ぎゅむ!急に何すんのよ!」

 

「何すんのじゃねえ阿呆!助けてくれたのは有難いがさっさとグレンのとこに戻れ!」

 

「で、でも先生が来るなって!」

 

「そりゃお前逃がすために決まってんだろうが。」

 

「だ、だったら尚更!」

 

「それもそうだ。………だがな、システィ。」

 

確かにそうだ。グレンはせっかく逃がす時間を稼いでくれたのかもしれない。わざわざそこに戻っても出来ることはないのかもしれない。むしろ邪魔になるだけということもあるだろう。

だが……

 

「お前はそれで後悔しないのか?」

 

「ッ!」

 

理屈っぽいのは行動しなくていい理由にはならない。例え好意を仇で返すことになったとしても、自分の決めた道を進むべきだ。

システィが息を飲んだ直後、まだ土煙の残る壁から触手が襲ってきた。

双剣再投影し、切り付ける。吹っ飛んだせいで力が弱っているのか、一発で切り飛ばせた。

 

「私は……!」

 

「おいぼやっとすんな!」

 

システィを襲う触手の間に割り込み、こちらも斬り付ける。手応えから考えるに、そろそ復活してきそうだ。

 

「………しゃーない。おいシスティ。お前確か風魔術得意だったよな?」

 

「え?えぇ。そうだけど」

 

「じゃあちょっと頼みがある。『相手の動きを封じるように』風起こせるか?」

 

「できるわよ。」

 

「了解だ。タイミング合わせてくれ。」

 

「わかったわ。」

 

慎重に触手を切り裂きながら、機会を待つ。

1本、2本、3本と、次々斬り付ける。

 

すると、痺れを切らしたのか、相手がこちらへと突っ込んできた。だが、大量の触手もセットで。

 

「よし、今だ!」

 

「了解!『大いなる風よ、集い囲みて、吹き荒れろ』──!」

 

システィの手に魔力が集中し、一気に開放される。開放された魔力は路地裏を吹き荒れる風となり、俺の横を通り抜け、回転する。

 

「キャアァァァァァァァァ!!」

 

当然その風は今襲いかかろうと突っ込んできたアビーに直撃。その動きを封じた。

 

「ナイスだシスティ!」

 

それを合図に俺も駆け出し、黒魔「タイム・アクセラレイト」を発動。

風で動きを封じても尚自我を持って攻撃してくる触手を、更に魔力を流し込んで先ほどよりも擬似加速し、避ける。

 

「うおぉ……おぉぉぉぉ!」

 

全身に掛かる負荷を気合いで跳ね除け、歩を進める。狙いは当然背後の触手の根っこだ。

 

「『投影──開始』!」

 

干将莫耶を投影し、両手で構える。

そして、干将莫耶の使い手であったとある少女の技巧を自分の身に宿した。そして、その少女の宝具を発動する。

 

「『擬似展開 鶴翼三連』──!」

 

追加で2対の干将莫耶を投影し、投げつける。

綺麗に弧を描いて飛んでいく2対の夫婦刀。その軌道は真っ直ぐに首元──ではなく、数本の触手を巻き込んで爆発した。壊れた幻想〈ブロークンファンタズム〉である。

そしてその爆発を避けるように、アビーの背後上空へ瞬間跳躍。そのまま上空から勢いよく干将莫耶を振り下ろし、触手を根元から切断した。

 

「ギシャアァァァァァァァ!!」

 

ドロドロとした粘液を吐き散らしながら煙となり、消滅していく。

──どうやら、ようやく勝てたようだ。

が、気は抜けない。

その場に倒れ伏したアビーにちょっと失礼し、体を調べる。触手があった場所には痕跡すら残らず、また目立った傷も無かった。

 

「ふぅ………。まずは一安心だな。」

 

「アラン!大丈夫!?」

 

「あぁ。問題ない。」

 

ため息をひとつ吐き、ちょっと目を閉じて身体を休ませる。10秒ほどそうしていると、背後から別の足音がした。

すわ戦闘かと身構えると、走ってきたのはルミアとリィエルであった。

 

「アラン君!システィ!大丈夫!?」

 

「…………怪我してない?」

 

どうやら音を聞いて駆けつけてくれたらしい。いい友人を持ったもんだ。

 

「あぁ。俺らは問題ない。………すまんが、アビーを連れて帰っててくれないか?」

 

「うん。それはいいんだけど……先生は?」

 

ルミアが不安げな目をして尋ねてくる。やはりこの場にいないのが心配なんだろう。

 

「まだ戦ってる。今から加勢に行くから心配すんな。」

 

「……私も行っていい?」

 

「いや、リィエルはルミアとシスティ頼む。こっちは俺らでなんとかするさ。」

 

「ん。わかった。」

 

納得しててくれて何よりだ。

…………さて、と。

 

「時間もない。いくぞ、システィ!」

 

「ええ!行きましょう!」

 

「二人とも気をつけてね!」

 

「…………頑張って。」

 

「「おう(ええ)!!」」

 

そう言い、俺は魔力放出を、システィは『ラピット・ストリーム』を起動し、地面や壁を蹴って進む。

 

(待ってろよ………先生!!)

 




作者;アビゲイルファンのみなさんはほんとに済まない………。ちゃんと活躍の場は今後作るから許してくれ………。
あ、感想とか意見くれると嬉しいです。

んじゃ、次の投稿まで!

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