ロクでなし魔術講師と投影者(リメイク中につき凍結) 作:よこちょ
あれは痛かった。
新学期早々テストがあったりして遅れました。
では、第3話目、どうぞ!
注意⚠今回の話から、FGOラスボスが姿だけ見せます。FGOのネタバレが嫌な人は読むのを辞めることをオススメします。まあ名前は出しませんが。
アラン「……少し昔話をしてもいいですか?」
グレン「ああ。」
了承をとった俺は上着を脱ぎ、シャツに手をかけた。
グレン「……え?なに?お前露出狂なのか?俺ちょっとそういう趣味は………」
アラン「誰がこのタイミングでそんな阿呆なことをするか。これ見せたかったんだよ。」
そう言ってシャツを脱ぎ、肌を見せる。
グレン「ッ!その傷は………!」
そう。俺は過去に巻き込まれた事件でこの傷を負った。
あの忌々しい事件で。
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アラン=ジョーゼフは、普通ではなかった。
普通じゃないといっても別に頭がおかしかったとかいうわけではない。
まず、生まれつき魔力量が多かった。
まぁ、これはたまにあることだった。
だが、もう1つは「たまにある」と言って済ませられる程軽いものではなかった。
彼は異能力者だったのだ。
異能の内容は「魔力増幅」。魔力のブースターのような役割を果たせるものだ。
普通は異能力者は忌み嫌われ、差別されても不思議じゃない。例えそれが生みの親であってもだ。
だが、アランの親は違った。
普通に接し、普通に育ててくれた。
「それもお前の個性だ」とアランに言い、普通の子供と同じように育てた。
アランにとって、それはとても幸せな日々だった。
朝学校に行って、友達と遊んで、魔術の練習をして、ご飯を食べて………。
そうやって普通に日常を過ごしていた。
「こんな毎日が続くといいな。」
アランはそう思っていた。
だが、そうやって過ごしてた普通の日常はなんの前触れもなく壊された。
それはアランが10歳の時。
いつもどおり家に帰ったアランを待っていたのはいつもどおりの家族の暖かい言葉ではなかった。
「アラン=ジョーゼフを捕獲せよ。」
「捕獲せよ。」
「捕獲せよ。」
機械的な声をあげて親の首を締めている謎の黒ずくめの兵士と、
???「うーん。この家じゃなかったっけ?まあいっか。処分しといて。」
それを指揮する白衣を着た眼鏡の男だった。
アラン「な───!」
絶句し、声が出せなくなった。
???「おや?なんだ、やっぱりあってたのか。全く。先に言ってくれよ。返り血で白衣が汚れうところだったじゃないか。」
男はこちらを振り返り、不満げに話しかけてくる。
アラン「あ、あ、あ────。」
???「まあ目的は達成したからいいんだけどね。ほら、こいつを連れてけ。処分はそのあとだ。」
「了承。捕獲する。」
床にゴミのように投げ捨てられた親は、必死にこちらを向いて口を動かしてくる。
に、げ、ろ
と。
だが、恐怖のあまり足がすくみ、尻もちをついてしまった。
アラン「な、なんなんだよ!お前らは!」
震えながらもそういうのが精一杯であった。
魔術師A「ただの魔術師だよ。天の知恵研究会のね。」
その言葉を最後に気を失わされ、目の前が真っ暗になった。
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アラン「う、うう。……ここはなんなんだ?」
埃っぽい部屋で目が覚めて最初に目に入ったのは、傷ついた己の肉体だった。
あちらこちらに切って魔術で治療した跡がある。
恐らく周りにいる魔術師がやったんだろう。
しかもなにかの術式まで身体に書かれていて、肌があまりみえない。
そしてアランを見ている魔術師らしき多くの人達や家で見た兵士の姿も多数確認出来た。
しかし、ここまで状況を分析してからふと疑問が浮かんだ。
『なぜ、己の肉体がこんなに見えるのか』と。
アラン「………っておい!そこのお前!なんで俺は全裸なんだ!」
そう。アラン=ジョーゼフは全裸だった。
それはもう一糸まとわぬ全裸だった。
魔術師B「……五月蝿いな。いいだろう?服くらい。」
近くにいた魔術師がそういうが、本人にとっては大問題だ。
アラン「いや、百歩譲って上着はいい。いや、そもそもこの状況が良くないんだが。せめてパンツくらい履かせてくれ。」
魔術師B「注文が多いな。」
アラン「いや1個しか頼んでねえから。パンツしか頼んでないから。」
魔術師B「仕方がない。おい、そこのパンツ取ってくれ。」
魔術師C「へいへい」
魔術師B「ほらよ。これでいいか?」
そう言ってパンツを渡す魔術師。
有るんだったら脱がさないで欲しかったと思いながらパンツを履く。履き終わったので、アランはこの状況の説明を求めた。
アラン「で、今どういう状況なんだ。俺の親をどうした。なぜ俺はここにいる!ここはどこだ!」
後半になるにつれ、語気が荒くなる。
魔術師B「質問は一つづつにしてくれ。まずここがどこかという質問には答えられない。」
アラン「なんで俺はここにいる。」
魔術師B「君を使うためだ。詳しくはあとで説明してやろう。そうすれば状況はわかるはずだ。」
アラン「……………俺の、俺の親をどうした。」
自分にとっての最重要項目について聞くと、
魔術師A「心配はいらない。ちゃんと燃やしておいたよ。」
アラン「…………は?」
燃やした………?
家にいた奴が、さも当然であるかのごとく言われたその言葉は、到底人間の発せるような内容ではなかった。
アラン「燃やしただと?」
魔術師A「ああ。邪魔だったのでね。家ごと燃やさせてもらったよ。」
アラン「お前……お前お前お前ェェェ!」
思わず立ち上がり、殴り掛かる。
だが、
魔術師A「はぁ……。【捕縛】。」
突如出てきた炎の縄で全身縛られ、口を塞がれる。
全身が焼けるように感じ、思わず叫ぶ。
アラン「─────!」
だが、口を塞がれているため声にならない。
魔術師A「まったく。これだから血の気の多い若者は………。しばらくは眠っててもらうよ。【おやすみ】。」
そう言いながら俺に触れる。
その瞬間強烈な眠気に襲われ、眠ってしまった。
魔術師A「全く。煩わしいったらありゃしない。さ、あとは生贄と魔法陣だな。準備に取り掛かるとしよう。」
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弱い光の点滅で目を覚ます。
いつの間にか移動させられていた自分の体を見て、やはり現実なのだと悟る。
アラン「…………夢じゃないんだな。」
つい、悪夢であることを祈ったが現実は非情であった。
アラン「もう家もないし、家族もいなくなったのか……。」
さっきまで強制的に眠らされていたためぼうっとしている頭で今までの人生を振り返る。
楽しかったこと。面白かったこと。辛かったこと。悲しかったこと。
ぼんやりとそんなことをしていると、さっきの魔術師が声を掛けてきた。
魔術師A「さ、準備が整った。君には冥土の土産に我々の計画を教えてやろう。」
アラン「…………。」
魔術師A「まず、君を連れてきた目的だ。簡単に言うと、君には魔力と魂の器になってもらう。」
それから魔術師の、まるで酔ってるかのような独白が続く。
ざっくりとまとめると、かつて古代魔術がまだあったころ、平行世界と呼ばれる世界との接触に成功したらしい。
そしてその平行世界には、「聖杯戦争」という儀式を用いて「聖杯」という万能の願望器を顕現させることができたらしい。
その聖杯は、七騎の「サーヴァント」と呼ばれる使い魔の魂を生贄とし、膨大な魔力で願いを叶えるのだとか。
魔術師A「で、我々はその聖杯を君の異能と生贄の魂、それに多くの魔力を使ってここに呼び出そうとしているわけ。名付けるなら『Project:Holy Grail』ってとこかな?」
アラン「………」
魔術師A「んで、君はその聖杯の器ってこと。つまり君が聖杯を呼んで、君が聖杯になる。名誉なことだろ?」
アラン「………」
魔術師A「まあ君は多分死ぬけど、あの世でも頑張ってね〜。あるかは知らんけど。」
アラン「……俺も死ぬのか。」
魔術師A「多分ね。じゃ、始めるよ。」
そう言ってなにか複雑な詠唱を始める。
アラン(家族もいなくなった。家もなくなった。ならもういいんじゃないかな。俺も死んで。)
そう思ったアランの頭に、ふと親の最期が浮かんだ。
親は俺に「助けろ」とも「一緒に来い」とも言わず、ただ「逃げろ」と言った。
勝手な想像かもしれないが………
親は俺に生きて欲しかったんじゃないか。
そう思うと、ぼうっとしていた頭が急にクリアになっていくのが分かった。
アラン(俺は………俺は死ぬわけには行かない。)
そう決意した。
それと同時に、詠唱を終えた魔術師がこちらをニコニコしながら見てきた。
詠唱が終わり、魔法陣が動き出す。
書かれた魔法陣が強い光を発し、浮かび上がって回転し始める。
魔術師A「ほら見ろよ!魔法陣は動いてる!これで成功だ!やっと「禁忌教典」に近づける!」
狂喜しながら成功の報告をしてくる。
魔法陣の回転が上がるにつれ、俺の頭になにかが流れ込んでくる。
──聖杯。セイバー。アーチャー。ランサー。アサシン。キャスター。ライダー。バーサーカー。ムーンセル。カルデア。グランドオーダー。
自分には全く分からないような単語が映像とともに次々と頭に流れ込んでくる。
………ついでと言わんばかりに全然関係ない情報も流れ込んでくるが、それはあっちの世界の知識だろう。
アラン「これは……『平行世界の記録』か?」
そうとしか考えられない。
流れ込んでくる情報の勢いに頭痛を覚えるが、まだまだ回転は止まらない。
魔術師A「ははっ!ははははははっ!成功だ!成功だァ!これで大魔道士様もお喜びになるぞ!」
どんどん頭痛が酷くなっていく一方で、魔術師は狂喜乱舞していた。
アラン(いや、ここで諦めるわけには行かない………。何か策は………。)
頭痛のひどい頭を駆使して考える。
アラン(………そういえば、この魔法陣は俺の増幅があって動いてるんだったな。)
一つ策を思いついた。
アラン(危険だが……やるしかない!)
意を決して、自身の異能をさらに開放する。
魔法陣の回転が余計に激しくなり、流れれくる情報量は先程よりももっと多くなった。
アラン(頭がっ………!でも魔法陣に限界が来てる!)
許容量以上の魔力が送り込まれた魔法陣はバチバチと音を立て、煙をあげる。
魔術師「なっ!貴様何をしている!」
アラン「なに、簡単な話だ。ここから逃げられない。このままだと死ぬ。ならば………ここごとぶっ壊しゃいいんじゃないか?ってね。」
魔術師「や、やめろ!そんなことしたら欠片分くらいの力の聖杯しか出せない!こいつを止めろーッ!」
魔術師が慌てて呪文を唱えるが、
アラン「もう遅いっ………てね。」
その言葉が合図になったかのように魔法陣が急速に光り、
ドゴォーーーーン!
盛大な爆発音を立てて周りの部屋や人間諸共吹っ飛ばした。
当然それには俺も含まれていて、
アラン「成功した………けど、こりゃ死んだな。」
真下で起こった爆発に巻き上げられ、上空へと吹っ飛ばされた。
アラン「あーあ。成功したんだけどな。………残念だ。」
どんどん地面が近づいてきて、どんどん死も目前に迫ってくる。
せめてもの抵抗として身体を大きく広げ、目を閉じる。
アラン「…………さよなら。俺の人生。」
そう言って地面にダイブしてそのまま死ぬ…………かと思っていたのだが、何故かそうはならなかった。
軽い衝撃はしたのだが、一向に痛みが襲ってこないのだ。
アラン「…………ついに神経までイかれて痛覚を感じなくったか。」
そうつぶやくと、
???「そんな訳があるか馬鹿者。目を開いて周りの状況を確認してから物を言え。」
上からそんな声が降ってきた。
目を開いて目に入ったのは、剣のように輝くように真っ白な髪だった。
シロウ「一応名乗っておこう。私はシロウ=エミヤだ。君を助けに来たのさ。」
そう、シロウさんは言った。
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アラン「んで、その時助けて貰った縁でそのまま引き取られて今に至るって訳。エミヤって名前もその時に貰ったんだ。」
グレン「やっぱりあの時の少年だったか……。んで?なんでそれを今話した?」
アラン「お礼ですよ。助けて貰った。」
グレン「いや俺は着いていってただけで実際助けたのはシロウだ。」
アラン「それでもですよ。」
そう。親も家も失くした俺にとっては「誰かが助けにきくれた」という事実だけで嬉しかったのだ。
アラン「ありがとうございました。」
グレン「…………まぁ、その。ああ。」
そう言って照れ臭そうにするグレン。
アラン「でも………」
グレン「んだよ?」
アラン「今日のあの発言はあんまりっすよ?」
グレン「ぐっ……!」
言葉を詰まらせるグレン。
アラン「魔術嫌いだからって魔術そのものを否定せんでもいいじゃないっすか。」
グレン「い、いや、あれはだな」
しどろもどろになりながら言い訳を言おうとするが、遮って喋る。
アラン「物事の1面だけ見ちゃダメっすよ?少なくとも………俺は魔術に助けられてここにいるんですから。」
グレン「…………。」
押し黙るグレン。
アラン「だからもっと学びたいんですよ。魔術のこと。」
グレン「…………ああ。」
アラン「明日の授業、期待してますからね?グレン先生。」
グレン「………あーもう分かったよ!すりゃいいんだろ!見てろよ?俺の本気を見せてやるよ。覚悟しとけ?」
グレンは頭をガシガシと掻きながら、『本気出す宣言』をした。
アラン「はいはい。期待してます。んじゃ、また明日。」
グレン「ああ。明日な。」
そう言って別れる俺達。
俺らの頭上では、夕焼けが綺麗に輝いていた。
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そのころ、とある平行世界では………
■■■■「聖杯が存在しない世界に聖杯を送り込む………か。まぁ、人理焼却の足しになるかどうか。面白くはあるがな。余興として見させてもらおうか。」
と、不吉に笑うモノが玉座に腰掛けていた。
はい。ちょっとFGO関連の話が出ましたね。
なので、下でちょっと補足します。
では、次の投稿まで!
──以下補足──
聖杯
本来は聖杯戦争の勝者に与えられる「万能の願望器」。
だが、これは魔術王■■■■が平行世界に送り込んだ物なので、どちらかというと「魔力炉」としての役割が大きい。
また、魔法陣が途中で破壊されたため完全には聖杯になりきっておらず、「アランの魔力量を莫大に増やす」くらいに留まっている。
サーヴァントを呼ぶ権限があるかは不明。