己の世界を守る楓   作:ふぁむな

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トロスト区奪還作戦

 4人はピクシスについて行き、現在壁の上にいる。

 

 エレンは父親から言われた話しを思い出した分だけピクシスに話した。

 

 

「そうか・・・君の家に行ってその地下を見ればすべてがわかると・・・」

 

「信じてもらえますか・・?」

 

 

「お主自身が確証を得られん以上は取り敢えず頭のなかに記憶しておく程度じゃの・・・

 しかし物事の真意を見極める程度のことはできるつもりじゃ

 お主らの命はワシが保証しよう」

 

 

 

4人はそれを聞いて少しほっとした。

 

 

「アルミン・アルレルト訓練兵・・・じゃったかの?」

 

「ハッ!!」

 

「お主は先ほどエレン訓練兵の持つ『巨人の力』でトロスト区を奪還できるといったな?それは本当なのか?」

 

「僕の考える案が成功するならば奪還は可能です」

 

「その案とは・・?」

 

「それは・・・エレンが巨人になってトロスト区の門から数百メートル手前にある大岩を持ち上げて超大型巨人があけた穴をその大岩で埋めることです」

 

 

「なんと!?」

 

 

 

 

 

 ピクシスはアルミンの案に驚き、大きく目を見開いた。そしてエレンの目の前に立った。

 

 

 

 

「エレン・イェーガー訓練兵よ・・・。お主あの大岩を運んで穴を埋めることができるのか・・・?」

 

 

 ピクシスのその言葉にエレンはピクシスの目をまっすぐ見る。

 

 

「やります!!必ず塞きます!!なにがあっても!!」

 

「そうか!! よく言った!!さっそく参謀を呼ぼう!!作戦をたてねば!!」

 

 

 そう言うとピクシスはすぐさま参謀を呼びに行った。

 

 

 

 

 

「そ・・・そんな!?ほとんど思いつきなのにすぐさま実行に移そうとするなんて!?」

 

「可能性があるなら実行する。それがピクシスさんのいいところだからね。でもちゃんとピクシスさんも考えてるんだよ?アルミン君はすごいよ・・・あの状況でそんなことを考えられたんだから」

 

 

 カエデはそんな驚くアルミンの頭の上に置き、参謀を呼びに行ったピクシスを見ながらアルミンに言った。

 

 

「そんなことは・・・」

 

 アルミンは褒められて照れたのか、空を見ながら頬を人差し指で掻いていた。

 

 

 

 

 

 

 数分後、ピクシスが参謀を連れて戻ってきた。

 参謀で連れてこられたのは長身で黒髪の男性――グスタフと栗色の髪を方まで伸ばした女性―アンカ・ラインベルガーの2人である。

 

 そして参謀であるグスタフとアンカ、それにアルミン、カエデ、ミカサの5人で作戦の話し合いをする。

 

 

「それで?君が考えた作戦を詳しく聞かせて欲しい」

 

 

グスタフが目の前にトロスト区の地図を広げながらアルミンに問うた。

 

 

「僕の考えた作戦は巨人の特性を利用します」

 

「巨人の特性を?」

 

 

「はい。巨人は多くの人間に寄って行く習性があるので、まずトロスト区の左端の壁の上に大勢の人間を配置して巨人をなるべく多く集めます」

 

「なるほど・・・。それから?」

 

「それから巨人をなるべく寄せ付けないために少数部隊の精鋭でトロスト区の右側の門の近くまで行き、大岩の前でエレンを巨人化させて大岩を運んでもらいます」

 

「うん・・・それなら行けるかもしれない。ただしエレン君がちゃんと自分を制御できればだけれど」

 

 

 グスタフが手を顎に当てながらそう言った。

 確かにその通りなのだ。トロスト区の左端の壁の方に巨人を寄せるためにはまず、いくつもの部隊がトロスト区に入り、巨人をおびき寄せなければならない。当然死者は少なからず出るだろう。おびき寄せたのに、エレンの巨人化が安定せずに壁を塞ぐことができないとなれば、この作戦で死んでしまった兵士は無駄死にになってしまうのだ。

 

 

「エレンはきっとやってくれると信じています。カエデさん・・・カエデさんは精鋭部隊に入ってもらってもいいかな?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私は・・・私は戦いたくない」

 

「「「えっ!?」」」

 

 

 カエデは絶対手伝ってくれると思っていたみんなはこの発言に驚いた。

 

 

「私はエレンみたいに前向きに生きているわけじゃない・・・。

 さっきあんなこと言われて・・・そんな人達と一緒に戦えるわけない!!

 そんな今の私ではきっと兵士達が殺されそうになっても見殺しにしてしまうよ。

 わたしはそんなことしたくない・・・だから私は置いていって」

 

「カエデさん・・・」

 

「カエデ・・・」

 

 

 ミカサは今にも泣きそうなカエデの手をぎゅっと握りカエデと目を合わせる。

 

 

「カエデ・・・私とエレンが大岩を運ぶために向かう。こんなことを言うのは卑怯かもしれない。でも・・・カエデ・・・私たちを守ってほしい」

 

 

 カエデは自分の手をギュッと握りながら言われたその言葉に、俯いた。

 

 

「うぅぅっ・・・。わ・・・分かった。でも私が行くのなら条件がある」

 

「それはなに?」

 

 

 

「私が・・・私が信頼している人とその作戦をやらせて」

 

 

「カエデさんがそういうのなら僕はそれでいいと思う。グスタフさん、アンカさん カエデさんがいるだけでエレンを守ることはできると思います。そして先ほどエレンを守ってもらう予定だった精鋭方々を中心におびき寄せてもらえば死者は限りなく減ります」

 

 

「カエデの実力は俺も知っている。その作戦に賛成しよう」

 

「私もそれでいいと思う」

 

 

 参謀の2人から許可が出たことでアルミンはカエデの方を向く。

 

 

「カエデさん その人たちは誰ですか?」

 

 

 

「その人達は―――」

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 ――ウォールローゼのトロスト区をつなぐ門の前、そこに大勢の兵士たちが集められていた。そして彼らは作戦の大雑把な内容を聞いてパニック状態になっていた。

 

「おい!聞いたか?トロスト区奪還作戦だとよ!!」

 

「う・・嘘だろ!?どうやって穴を塞ぐんだよ!!」

 

「俺達を巨人たちに餌として与える気かよ!!」

 

 

 大勢の兵士達の頭の中が恐怖で埋まっており、今までのことを考えればどう考えてもトロスト区奪還というありえないことなのだ。

 そんな状況に怯えて逃げ出そうとするもの、最後に家族に会いに行こうとするものが出てきていた。

 

 

 

 

 そんな時、大勢の兵士たちの前の壁の上にピクシスとエレンそしてカエデが立ち、ピクシスが大声を張り上げる。

 

 

「注!!もおおおおおおく!!」

 

 

ビクゥゥゥゥッ!!

 

 

 先程まで騒いでいた兵士もピクシスの大声によって背筋を伸ばし、壁の上の方を向いた。

 そして静かになったところをみたピクシスは作戦の内容を伝えるために口を開く。

 

 

「穴を塞ぐ手段じゃが・・・まず彼から紹介しよう。訓練兵所属エレン・イェーガーじゃ」

 

「え!?・・エレンおまえ!?」

 

 

 大勢の兵士の中にはエレン達と同じ104期訓練兵もいた。その中のコニーはエレンが巨人から出てくることを知らないので生きていることにまず驚いた。

 

 そして再びピクシスが説明を続ける。

 

 

「彼は我々が極秘に研究してきた巨人化生体実験の成功者である!!彼は巨人の体を精製し、意のままに操ることが可能である!!現に彼は何体もの巨人を倒している!!」

 

「おい・・・おいおいおい・・・。今の聞いたか!?俺の耳がおかしくなったのか!?決して俺がバカだからじゃねえよな!?」

 

「ちょっと黙っててくれねえか?このバカ」

 

 

 

 コニーは近くにいた同じ訓練兵の黒髪の皆からユミルと呼ばれている頬にそばかすがある女性に話しかける。しかしユミルはそれをうざそうに軽く流す。

 

 

 

「巨人化した彼はトロスト区の前門の右側付近にある大岩を持ち上げ、破壊された扉まで運んで穴を塞ぐ!! 諸君らの任務は彼が岩を運ぶまでの間、トロスト区右側のウォールローゼの壁際まで巨人をおびき寄せることである!!そして彼を壁際まで守るのは――」

 

 

 

 そこでカエデが奥から出てきてピクシスの続きの言葉を言う。

 

 

 

 

 

「――私、調査兵団所属カエデ・サクライが行います」

 

 

 カエデを見て大勢の兵士たちがまたざわめき出す。

 

 

「カエデちゃんは作戦にいったんじゃ?」

 

「今はそれはいいだろ・・・巨人の話が本当だとしたら?それに彼女がいればほぼ確実に成功する!!」

 

「それでも・・・巨人の話しは本当かわからないだろ!?」

 

 

 その様子を見てさらにカエデは言葉を続ける。

 

 

「私は!!私はエレンを信じます!!

そんなエレンを信じる私をみなさんは信じてください!!

 私がみなさんの期待に応えなかったことがありますか?」

 

 

 そのことに兵士達は思い返す・・・カエデはカエデという存在は常に希望の光であり、5年前もシガンシナ区の住民を多く救った。そして食糧難で大勢の人がウォールマリアに行かされるところを前もって解決していたことを。彼女は自分達が危険なときこうして助けてくれることを。

 

 

「私たちがトロスト区の壁を塞ぎます。そうしたらきっとウォールローゼの壁は破られることはないと思います。さあ!!あとはあなたたち次第です!!

あなたたちが覚悟を決めればウォールローゼの人々は巨人の恐怖を身をもって受けなくていいのです!!そうすればあなたたちの家族は失われることはない、食糧難になることもない!!

人類初の勝ち星を出しましょう!!力を合わせて巨人に勝つのです!!

 みなさん私に力を貸してください!!」

 

 

 数秒沈黙が走り、その数秒後に兵士達はざわめきではなく雄叫びをあげた。

 

 

「よしっ!!俺はやるぞ!!」

 

「俺もやる!!こうなったらやってやる!!

 

 お前はどうするんだ?」

 

「俺も・・・俺も家族を守るためにやってやる!!」

 

 

 ワーッと兵士たちがやる気の雄叫びを上げてる中、エレンはカエデの方へ行き話しかける。

 

 

「カエデ・・・お前すごいな。みんな巨人への恐怖で怯えていたのに今では逆に『やらせてくれ』とまで言わせている」

 

「私の今までの実績ですっ!!」

 

「ぷぷっ あぁ・・そうだな!!」

 

「なんで笑うの!?」

 

「なんでもねぇーよ!頬をふくらませても可愛いだけだぞカエデ」

 

「ぷしゅー」

 

 

 胸を張って言うカエデになんだか面白くなってエレンは笑う。そしてそのことに不満をもったカエデはエレンに可愛いと言われ、特に何も言い返せずに顔を真っ赤にして下を向いた。

 いろいろな人に可愛いとは言われていたが、友達に言われるのは違うらしく、頬を赤らめているカエデだが、まだ言っていないことがあったのを思い出して深呼吸をして自分を落ち着かせた。

 

 

「昔なら本当にあんなふうに思って言えたのだろうけど、今はそんなに思っていない私がいるんだけどね」

 

 

 そう小さく、そして悲しそうにエレンに聞こえる程度の独り言を言うと再び兵士たちの方を向いて言う。

 

 

「これから少数部隊の隊員を発表します!!」

 

 

 そう言うと兵士達は静かになり、緊張がはしる。

 

 

「私カエデ・サクライ

 そして第104期訓練兵――

 エレン・イェーガー

 ミカサ・アッカーマン

 ジャン・キルシュタイン

 アニ・レオンハート

 ライナー・ブラウン

 ベルトルト・フーバー

以上7名です」

 

 

 カエデは今ここにいる人間で最も信頼できる104期上位6名を指名した。アルミンはトロスト区全体を望遠鏡で見てもらい、参謀2人と様々な色の煙弾を使い、死者をなるべく出さないようにする大事な指名を任せている。

 

 

「そんな少数で・・!?」

 

「なんで訓練兵を使うんだ?」

 

「俺が少数部隊に・・・!?」

 

「・・・・」

 

 

 当然兵士たちからは疑問の声が上がり、指名された訓練兵も何故指名されたか分からないでいた。

 

 

「私がこの6名を選んだ理由はちゃんとあります。それは、私は彼らのことをよく知っており、最も信頼できて実力もあるからです。それに精鋭たちに囮役となる部隊の人たちの援護をしてもらい、死者をより少なくするという理由もあります。呼ばれた訓練兵の人達・・・強制はしません・・・。けれど来てくれたら私があなたたちを必ず生かしてここに返します。だから・・・お願いします」

 

 

 そういってカエデは深く頭を下げた。兵士達は納得して静かになり、呼ばれた訓練兵からは次々と声が上がった。

 

 

「チッ。しょうがねえなあ!!ちゃんと生きて返せよ?んでもってじゃんじゃん言うのはやめてもらうぞ!!」

 

「ジャン・・・それは無理じゃん・・」

 

「俺らはそんなに話したことないかもしれないがよ。そんなに信頼してくれてるんならやってやる」

 

「僕もライナーと同じ考えだよ。よろしくねカエデ」

 

「ライナー・・・ベルトルト・・・ありがとう」

 

 

 3人が言った後アニはアンカーを射出し、カエデのいるところまで登った。

 

 

「また一緒に訓練してもらうから・・・」

 

「うん!アニありがとう!」

 

 そして後ろからも声が掛けられる。

 

「カエデ・・・私は当然あなたについていく」

 

「ミカサ・・・頑張ろうね!」

 

「俺が必ず成功させる。だから岩を運んでいる間は俺の命を預ける・・・」

 

「エレン・・・必ず守るから」

 

 

 そこで一区切りし、ピクシスが再び作戦の中身を詳しく伝えるために話しだした。

 

「今回の作戦だが―――――――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 そうしてカエデ達少数部隊はトロスト区の周りを覆っている壁の上を走り、大岩から最も近い場所へ、兵士達は各自別れて巨人をおびき寄せるためにトロスト区の中へと走っていった。

 

 

 

 

 指定場所について30分後――様々な色の煙弾が上がる中、ほとんどの巨人をおびき寄せることに成功したのか大岩の周りはもちろんのこと、近くには巨人が見えなくなった。

 

 カエデは一回深呼吸をした後、エレンの顔を見る。

 

 

「エレン これから作戦を始めようと思う」

「・・・わかった」

 

「エレンはどうして調査兵団に入りたいの?」

 

「どうして今そんな事聞くんだ?」

 

「きっと大事なことだから・・・。だから教えて?」

 

「俺は・・・」

 

 

 エレンは目をつぶってよく考える。そしてしっかりとした目的を思い出したのか、目をあけてカエデに言う。

 

 

「俺は外の世界に行って見てみたいんだ。カエデにも初めて会ったとき言っただろ?この世界のほとんどが海で覆われている、そしてその海には塩水でできてるって」

 

「うん!聞いた!!」

 

「アルミンの話にはまだ続きがあってな?炎の水、氷の大地、砂の雪原!!そんなのを見てみたいんだ!!そしてそれをカエデ、ミカサ、アルミンと一緒に見てみたい!!」

 

 

 エレンの話しにニコニコしながら、うんうんと頷くカエデ。

 

 

「そっかぁ。私もその中に入れてくれてありがとエレン」

 

 

そこでカエデはエレンを正面からぎゅっと抱きしめた。

 

 

「カ・・・カエデ!?いったいなにを!?」

 

「さっきからずっと不安な顔してるのが悪いんだよ?大丈夫!!だってエレンだよ?ちゃんとした意志と夢を持っているエレンなら制御できるはず。自分が信じられないなら・・・私を信じて!!」

 

 

エレンは右手をグッと握り、しっかりとカエデの方を向いた。

 

 

「ありがとうカエデ・・・。たいぶ楽になった俺はやるよ!!自分のために、ここにいるみんなのために、人類のために!!」

 

「その意気込みだっ!!やったれエレン!!」

 

 そう言ってカエデはエレンから離れた。離れたあとのエレンの顔はやる気に満ち溢れていた。

 

 

 

それからカエデはついてきてくれた人達1人1人に声をかける。

 

 

「ジャン!!しっかりするじゃん?」

 

「俺はいつだってしっかりしてるじゃん!?」

 

「ぷぷっ ジャンが自分で最後にじゃんってつけたっ!!」

 

「ぐっ・・・・クソッ。カエデの言葉遣いがうつったじゃねえかよ!!」

 

「よし!! ジャンも大丈夫だね?私があなたを死なせないから安心しなさい!」

 

「カエデ・・・。なんか不思議だな。全然緊張しなくなったぜ」

 

 

 ジャンの頭を2回ぽんぽんと軽く叩くとアニの方へ向かう。

 

 

「アニ!!絶対すぐに笑顔になるように私が調教―ゴホンゴホン。笑わせてあげるからね!!だから巨人がきたら蹴りでもなんでもして倒しちゃえ!!」

 

「カエデ・・・蹴りで巨人倒せたら苦労しないよ・・・」

 

「もしかしたらアニならできるかも!?」

 

「カエデみたいに1m級なら・・・」

 

「グッ・・・。古傷がっ!!で・・・でも今の私は2m級の方が近いんだからね!!」

 

 

「うん・・・・そうだね・・。まぁ、いつかカエデを倒すためにも私はこんなところで死んだりしない」

 

「そうだね!!頑張ろうアニ!!」

 

 

 そして次はライナーの元へ。

 

 

「ライナー!! ちょっとしか話したことないけど私は知ってるよ!!あなたがどれほど優しい人か!!戻ったら慰めてもらおうかなー!」

 

「俺がやさしい・・?」

 

 

 思いがけない言葉に目を見開くライナー。

 

 

「うん!!初めて会ったときもそうだけど、エレンからの手紙でもあなたが優しいってことは少なくても私の中では揺るがない!!」

 

「そうか・・・ありがとう。俺でよかったら何があったかわからないが、いくらでも慰めてやる(ついでに結婚しよ)」

 

「ありがとライナー!!」

 

 

 次はベルトルト・・・身長が大きすぎて、見上げる形で話しかける。

 

 

「ベルトルトは自分のこと臆病だっていってるけど私はそんなことないと思うよ?心の中ではなにか強い信念があるように感じるし、補給本部の時だって他の訓練兵と違って私とミカサのところに来たでしょ?」

 

「あれはライナーもそっちへ行ったから・・・」

 

「それでもだよ!!無事に帰って私があなたが胸を張れるように手伝ってあげよう!!」

 

「あははっ。カエデってやっぱり面白いね。ありがとう勇気が出たよ」

 

「うん!」

 

 

 子供のように胸を張っていうカエデに「僕じゃなくてカエデが胸を張っているじゃないか」と言いたくなって、なんだか面白くなったベルトルトは笑いながらカエデにお礼を言った。

 

 

そして最後にミカサのところへ

 

 

「ミカサは大丈夫そうだね!!」

 

「大丈夫じゃない」

 

 そう言うミカサにカエデはエレンの時と同じように正面から抱きしめる。

 抱きしめられたミカサは作戦通りというように小さくガッツポーズをした。

 

「ミカサは強い!!だから必ず一緒に成功させよ?巨人たちに私の親友の力を見せつけてやるのだ!!」

 

「うん! がんばろう」

 

 

 ミカサから離れると、持ってきた小さい箱の中から作戦開始の合図になる緑色の煙弾を打ち上げる銃を取り出した。

 

 

「よしゃっ!みんな行くよ!!」

 

「「「了解!!」」」

 

 

 

バァン。

 

 みんながちゃんと準備したのを確認したあとにカエデは緑色の煙弾を打ち上げる。そしてカエデは壁の上から飛び降りながらガスを噴射させる。そしてある程度地面が近くなってきたところでアンカーを一度射出し、建物の上に飛び乗った。そしてそのまま目的地まで走りだす。それ以外の6人はアンカーを次々と建物に射出し、ガスを噴射させて大岩の前の建物まで移動した。

 

 

 

 

――俺は絶対に調査兵団に入って外の世界を見る!!俺、ミカサ、カエデ、アルミンの4人でいろいろなものを見るんだ!!そのためにも絶対に制御してやる!!カエデが信じてくれている。みんなが守ってくれる。大丈夫だ!!やってやる!!

 

 

 大岩の前まできたエレンは、そう強い意志を持ちながら左手の親指のつけねを噛んだ。

 そしてエレンの噛んだ左手から巨人の骨、肉、皮が精製され、黒髪の15m級の巨人へと巨人化した。

 

 

 

 

 

 しかし巨人化したエレンはその場から動かなかった。

 

 

 

「・・・エレン?」

 

 

 

 

 ミカサが様子がおかしいエレンを見て不安になる。

 

「ウオォォォォオオオオオ!!!」

 

 

 

 エレンが突然雄叫びをあげ思わず耳を塞ぐ一同。

 

 

「な・・・なんだ!?」

 

 

 思わずエレンの方を向いて剣を構えるジャン。

 他の皆も心配そうにエレンを見つめる。

 

 

 雄叫びで完全に制御したのかエレンはしゃがみ込み、首の根元を岩に付けて両手をしっかりと岩につけて掴むと、一気に大岩を持ち上げてしっかりと肩に岩をのせたエレンはゆっくりとだが着実と門の方へと歩き出す。

 

 

「よっしゃ!!エレンの奴やりやがった!!」

 

 

「ジャン?喜ぶのはいいけどエレンの今の雄叫びのせいで巨人がいっぱいこっちにきてるじゃん?

 

「うわっ!! エレン後できっちり話をしてやる」

 

「それじゃ、みんなやってやりましょうか!! エレンの周り半径20mくらいに囲むように円陣になって!私とミカサがエレンの前方すべてをやる!ジャン達は後方を担当して!!」

 

「「「了解!!」」」

 

「それじゃミカサやろっか!!」

 

「うん!」

 

 

 カエデは前方と後方全体を一気に見渡した。

 

 

――ここから門までの距離とエレンの進む速さを考えるとこれから戦闘になるのは奇行種が走ってこなければ前方に15体・・・後方に6体だね

 

 取り敢えず5体!!

 

 

「ミカサ!!一体目のとどめをよろしくっ!

 

「えっ?」

 

 

 ミカサがそういった時には既に隣りにはカエデはおらず、前を向くとカエデは巨人の足元にいた。

 

 カエデは縮地を3度ほど繰り返して1体目の巨人の足元まで着くと、すぐには再生しないように深く両足のアキレス腱を削ぎ落とした。

とどめは刺さずに次の右側の屋根をはさんだ道にいる、2体目の巨人へ向かうために自らの脚力と少量のガスで屋根に上る。

そこで屋根に上がったカエデは、迫ってきていた2体目の巨人の左手をジャンプで避けながらアンカーをこめかみに射出し、ワイヤーを戻しながらガスを噴射させて一気にうなじ部分まで到達すると通り過ぎながら体を横に一回転させ、その勢いでうなじを削ぎ落とした。

 

そして、その一回転で後方の様子を一瞬で見渡した。

 

 

――右後方でベルトルトとライナーで8m級と戦闘・・・この先頭もうすこしで終わりそうだね。やばいのは左後方だね・・・アニとジャンで10m級と戦闘・・・あと数秒で10m級がもう一体その場に着く。

 

 

そう空中で判断したカエデは、跳んだ住宅の屋根とは反対側の住宅の屋根に着地するまでに刀を鞘にもどし、すぐさま太ももに着いた短い刀身を操作装置に付け変えた。

そして着地と同時に50mも離れているジャンたちへと向かっている巨人の動きを予想し、巨人の目へと短い刀身を投擲し、結果を見ずにすぐさま3体目へと走り出した。

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 左側後方ではアニとジャンが10m級と戦闘をしていた。

 

 

「・・・・クソッ。こいつなかなか素早いっ!!」

 

 

 ジャンの目の前にいる10m級は普通の巨人にしては素早い動きで腕を次々とジャンとアニに繰り出していて、2人は苦戦していた。

 

 

「っ!?ジャン後ろ!!」

 

 

 前に集中しすぎていたジャンは、いつもの様子じゃありえないアニの焦った声によって後ろを振り返ると、腕を振り下ろしている新たな10m級がいた。

 

 

――やべえ!! これは避けられねえ!!

 

 

 アンカーは戻している最中で今のジャンには避けるすべがなく、避けられないと判断したジャンは腕をクロスさせて衝撃に備えようとする

 

 その時、急に何かがジャンの髪かすめながら通り過ぎ、巨人の目に突き刺さった。

 ジャンは驚き、巨人の目に何が刺さったのがをよく目を凝らして見た。

 

 

――これは・・・カエデが太ももに装着している短い刀身!?まじかよ・・・この距離で当てたのか!?というかいったいいつ投擲したんだよ!!

 

 

 ジャンがそう考えているうちに、アニが後方の視界を失った巨人の後ろへまわりうなじを削ぎ取った。

 

 

「ジャン。ぼーっとしている暇はない」

 

「お・・・おう!」

 

 

――これが調査兵団に所属し、死者を出さないカエデの援護・・・

 

関心しながらジャンは再び10m級の戦闘を開始する。

 

 

 

 

◆◆◆

 

 カエデが後方の援護をしながら10体、ミカサはカエデが殺し残したのを合わせて5体倒し、前方は最初に見えていた分を倒し終えたカエデとミカサは新たに門から入ってきた5体の巨人の相手をしていた。

 

 ちょうど新たに入ってきた巨人の1体目を倒し終えたカエデは、その巨人の肩の上から後方のエレンとジャン達の様子を見た。

 

――エレンと門の距離はおよそ100m・・・。ジャン達は最後の15m級を相手している・・・。周りには巨人はいないし、彼らのあの動きならもう終わるね

 

 

 そこで後ろから巨人が自分を掴かもうと手を伸ばしてきたのを感じとったカエデは大きく後ろに跳び、バク宙をしながら途中でアンカーをその手を伸ばした巨人の頭に射出した。

 そこからカエデはガスを噴射させて頭上に着地、そのまま縦にうなじを削ぎ落とし、後方の様子に目を向けながら地面へと降りた。

 カエデが飛び降りるときに少し見えた後方の様子は先ほどとは違っている所があった。

 それは突然現れた15m級の巨人だった。その巨人は引き締まった筋肉を持っており、その筋肉から引き出される走るスピードは、ものすごいものだった。

 

 

――15m級の巨人がジャン達の方へと走っている!?あんな大きい巨人を見落とすわけないのにどうして急に!?このままではジャンたちが!!

 

 

「ミカサ!!残りの巨人は任せる!!無理はしないでね!!」

 

 

 ちょうど1体の巨人を倒し終えたミカサにそう言い残すと、助走をつけて一気に住宅の屋根の上にあがり、着地すると同時にガスを噴射させながらジャンたちの方へと駆け出した。

 

 

――まずいっ!?

  普通の15m級に止めを刺そうと空中にいるジャンを狙ってる!!

 

 

 走ってきている巨人が右足のつま先を外側に向け、体を右に向けた。それを見たカエデはこれから空中にいるジャンを思い切り殴りつけようとしていることをよみ、カエデはガスを爆発的に噴射させ、さらに縮地を使う『瞬速』を使い、そこからさらにジャンに向かって跳躍した。

 

 

 

◆◆◆

 

「止めだっ!!」

 

 ジャンはアニが足の腱を切りつけ、ライナーとベルトルトが巨人の手からうまく避けたことで大きな隙を見せた巨人のうなじを削ぎ落そうと高い建物から巨人へと体を回転させながら飛び降りる。

 

 

「ジャン!!後ろから奇行種が走ってきてるぞ!!う・・・嘘だろ速すぎる!!ジャンすぐにガスを噴射させてよけろおぉぉ!!」

 

「なっ!?」

 

 

 ライナーの叫び声が聞こえ、回転しながらもジャンは後ろの様子を見る。

 ジャンが見た光景は15m級の巨人が左足を踏み込んでこちらに向かって拳を打ち出そうとしているところだった。

 

 

――さっきまでこんな奇行種いなかっただろ!?体を回転させているからガスを噴射させたらどこへ吹っ飛んでいくか・・・。でもやるしかっ!!

 

 

 ガスを噴射させる決断をしたジャンは操作装置を操作しようとしたとき、急に何かに思い切り踏まれるような、蹴り飛ばされるような痛みが背中に走った。

 でもその痛みは決して死ぬほど痛いわけではなく、大きなあざができる程度の痛みだった。

 

 

――いったいなにがっ!?

 

 

 吹っ飛んでいく体をライナーに受け止められて、巨人の方をみたときジャンは何があったのかを理解した。

 

――俺は・・・カエデに踏み台にされたのか・・・

 

 

◆◆◆

 

カエデは『瞬速』で巨人までの距離を一気に縮め、そのまま屋根を思い切り踏み込んで、今にも巨人の拳によって殺されようとしているジャンの方へと跳躍した。

 

そしてジャンを巨人の拳の軌道から逸らし、なおかつ自分もその拳から逃れ、そしてその奇行種を追撃できる方法――ジャンを踏み台にすることを実行する。

 

 回るジャンの背中にタイミングよく足を乗せ、そのまま踏み込んでライナーのところへ

飛ばし、自分は巨人の顔面へと飛ぶ。

 その結果、巨人の強烈な右の拳は空振りに終わり、ジャンはライナーに受け止められ、カエデはそのまま鼻にまたがるように顔面に飛びつき、巨人の眼球に刀を思い切り刺し込んだ。

 

 

「ガァァァアアアアアアア!!!」

 

 

 巨人が眼球を潰された痛みに堪えている隙にカエデはガスを噴射させ、巨人の顔面から頭上へと移動し、そのままうなじを削ぎ落そうとする。

 しかし、巨人は5年前の3体の巨人達と同じように、うなじ部分を左手をかぶせることで守ろうとする。さらに左手を巨人特有の能力である硬化によって完全なガードを作り上げた。

 

 

 

 

「5年前の巨人と違ってすごく強度の強い硬化の様だけど・・・。残念だったね・・・5年前の巨人が硬化をしていなかったら勝負は私の負けだったかもしれないけどね」

 

 

 そう言ってカエデは左手に刀を振りおろす。カエデにしては決して速くないスピードで振り下ろされた刀は巨人が硬化しているのにも関わらずあっさりと左手が切り落とされた。

 

 

「ガァァア!?」

 

 

 そしてカエデは予想外のことで混乱している巨人の隙を見逃さずに、硬化によって固くなっているが、がら空きになったうなじ部分も簡単にを削ぎ落とした。

 

 

「みんな大丈夫?怪我はしてない?おーい!なんでみんな放心状態なのさ!?」

 

 

 巨人から飛び降りて4人の状態を調べながら声をかけるが、4人とも放心状態で返答がないことにいじけるカエデ。

 

 

「もういいもん・・・。ちょうどエレンが門についたから私はエレンのところに戻るね」

 

 

 そう言ってカエデは再びエレンとミカサの元へと駆け出した。

 

 

 エレン達のいる門の方面から、ドォォォォオン という大きな音と共に、無理やり大岩を穴に押し込んだのだろう、ビシビシビシと壁にひびが入る音がした。

 

 

――よかった作戦は成功したんだね!!・・・すこし急ごう

 

 ほっとしながらも数体の巨人に対して、がんばって相手をしているミカサの援護をするために速度をあげようとする。

しかし、壁の上からこの数年の間、一番身近にいたであろう人物が降りてくるのを見て速度を落とした。

 

 

――やっと着いたんだねリヴァイ・・・

 

 

 リヴァイは壁から飛び降りながら1体、さらにアンカーを射出して素早くもう一体のうなじを体を回転させながら削ぎ落とした。

 

 その後リヴァイはミカサからエレンのことを聞いたのだろう。役目を終えて蒸発を始めて溶けてきている巨人のうなじに埋まっているエレンを見つけると、エレンの首を掴んで引っこ抜いた。

 

 

 その雑な扱いにミカサが今まで我慢していた分もあったのか少し遠くにいるカエデに聞こえるほどの声で言う。

 

 

「助けたことにはお礼を言います。しかし、そのエレンの扱いはひどい!」

 

「あぁ? 時間をかけたら巨人が群がってくるじゃねえかよ」

 

「うっ・・・。でももう少しやり方があったはず!それにあなたはいつもカエデのそばにいて・・・うらやましい」

 

 

 ミカサは最後の方は小さな声で言うが、近くにいたリヴァイには聞こえていたようで

 

 

「ふっ 羨ましいのか。ならお前も調査兵団に入ればいい。まあ、お前が俺と同じようにあいつの隣で戦えるかは別だけどな」

 

「言われなくてもっ!!それなら大丈夫、すぐに私はあなたを超える実力をつけてみせるから」

 

「はっ。言ってくれるじゃねえか。残念だがお前が強くなるあいだに俺も強くなる。ずっとあいつの隣りは俺だな」

 

「このっ!!」

 

 ミカサが珍しくムキになるリヴァイになにか言い返そうとしたところで、カエデが門のところへ着き、ミカサとリヴァイに声をかける。

 

「おーい!!ミカサお疲れ様!!リヴァイも来てくれてよかったよ!!」

 

「この人が来なくても私は巨人を倒せた」

 

「手伝ってもらってそれはねぇだろ」

 

「2人とももしかして仲がいい?」

 

「「どこが!?」」

 

 

 信じられないことを言うカエデに2人はカエデを睨みつけた。

 

 

「待って待って!!そんな鋭い目つきで2人ともこっち見ないでよ!!」

 

 

「あ・・・ごめんカエデ」

 

「・・・すまねえ」

 

 

「許してしんぜよう!!じゃあエレンとみんなを連れて戻ろうか!!」

 

「うん!」

 

「わかった」

 

 

それからカエデは大岩のところまでもどり、置いておいた箱の中から作戦成功の合図である黄色の煙弾を打ち上げた。

 

 

 

 

 こうしてカエデは2人と一緒にジャン達4人を途中で拾い、トロスト区後方の門のある壁の上のアルミン達がいるところへと戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

「アルミンくん・・・参謀のグスタフさんとアンカさん・・・お疲れ様でした。あなたたちの正確な指示で多くの命が救われたと思います」

 

「僕は僕が今できることを全力でやっただけだよ。それにしてもよくこの作戦思いついたね?」

 

 

「昔・・・クラウス隊長が生きていた時に何度かやったことのある作戦なんだよね」

 

「そう・・・なんだ」

 

 アルミンと参謀のグスタフとアンカは状況をみて、2つか3つの色の煙弾を打つことで的確な指示を出していた。

 右側を緑、中央を黄色、左側を青、精鋭班を濃いオレンジ色、援護を赤、撤退を黒として指示を出していた。指示の出し方はオレンジ、青、赤の煙弾があがった場合、精鋭班は左側を援護といった指示である。

 

 

 

 

 アルミン達と少し会話したあと、大勢の兵士達が集まっているウォールローゼのトロスト区後方の門の前へ顔を出すため、カエデは少数部隊とアルミン、参謀の2人、ピクシスと共に壁の上から再び姿を現した。

 

 

 

「今日、初めて人類は巨人に打ち勝ちました!!この勝利は巨人を引きつけてくれた皆さん、皆さんを助けるために指示を出してくれたの3人、そして壁を塞いだエレン・イェーガーと彼を門まで守り抜いた6人の私が信頼している実力のある訓練兵によってもたらされました!!」

 

 

 ワァァァーっと歓声が大勢の兵士達から歓声が上がる。

 

 

「俺たちはやったんだ!!巨人に勝ったんだ!!」

 

「まだ俺たちにも未来はある!!」

 

「家族を守れてよかった・・・!!」

 

「あの訓練兵たちもやるじゃないか!!呼ばれた6人全員生きて帰ってきたぞ!!」

 

「カエデちゃんのおかげだと思うけどな!!」

 

「まあそれもそうだと思うけど、やっぱりすげえよ!!」

 

 

 そんな歓声が上がり、エレン達はこの場で初めて自分たちがすごいことをやり遂げたと感じ、敬礼を取るために左胸に当てていた拳をさらにギュッと握り締めた。

 

 それからピクシスが少し演説をした後、カエデは調査兵団としてトロスト区内の残りの巨人の殲滅へ、訓練兵6名は取り敢えず解散と言う話になったのだがその話は憲兵団がきたことにより無効になってしまった。

 

「私は憲兵団の師団長、ナイル・ドークだ。エレン・イェーガー訓練兵を拘束させてもらう」

 

 

 その言葉を聞き、カエデは鞘に収められている刀に手そえてナイルを威嚇する。

 

 

「エレンに壁を閉じさせといてその後すぐに拘束?彼を利用しといて殺す気なの?」

 

「落ち着けカエデ・サクライ。私は彼を殺すように命令されてきたわけではない。拘束した後、審議所に彼を出頭させて彼の処遇を調査兵団か憲兵団かに任せるそうだ。それならば調査兵団であるお前がエレンを調査兵団に引き入れるように説得すればいい話だ」

 

 

「・・・わかりました」

 

 

 調査兵団に入れるように説得するのが最善だと判断したカエデは刀を下ろした

 

 

「ごめんエレン・・・。絶対説得してみせるから・・・」

 

「あぁ・・・。カエデがそう言うなら俺は大丈夫だ。大人しくしてるよ」

 

 

 申し訳なさそうにしているカエデにエレンはそう言ったあと憲兵団の師団長であるナイルに手錠をつけられて大人しくついていった。

 

 

その後、後ろで何も喋らなかったリヴァイはエレンが行ったのを見送ると、カエデの近くまで来て口を開いた。

 

 

「カエデ お前そんなに過剰に反応してどうしたんだ?さっきの演説をし終わって後ろにもどって来るときもだ。あの時のお前の顔はあの演説をしたとは思えない、自分の本心を隠している顔だったぞ?」

 

 

 後ろで何も喋らなかったリヴァイはエレンが行ったのを見送ると、カエデの近くまで来てそう言った。

 

 

「あはは・・・。リヴァイにはわかっちゃうか・・・。そんなにわかりやすかったかな私?」

 

「少なくても兵士達は全く気づいてないだろうな。ミカサというお前の親友とやらは気づいているとして、お前と一緒に戦った残り4人もなにか感じ取っている様ではあるな」

 

 

 そこでカエデは女の子座りをすると下を向き、右手で目元を隠しながらリヴァイに話し始めた。

 

 

 

「そっかぁ・・・。

 私さはっきり言われてさ・・・。今更だけど気づいちゃったんだよね・・・。

 調査兵団の半分以上の人や、仲の良いと思っていた住民のほとんどと駐屯兵団の兵士達、憲兵団の人達と何故か距離があったのは・・・みんな心の奥では私のことを自分たちとは違う存在で怖がってるんだって。

 だから私がみんなと本当の意味で仲良くなろうとしても、まるで磁石が反発するかのように距離があいていたんだ。」

 

 

「少なくても俺はそう思っていない。あのクソガキ、ミカサ、アルミン、お前が一緒に戦った他の4人もそうは思っていないぞ。言うまでもないが、イェルクとあの変人のハンジもな」

 

「うん・・・ありがとうリヴァイ。今ならなんで調査兵団でリヴァイやイェルクさん、ハンジさんとはいつも一緒にいれるのか分かったよ。そして直感でわかったからなのかな・・・あのエレン達以外の4人となら安心して一緒に戦えると思ったのは。

 だからさ・・・今の私は気づいてしまったことによって急に狭くなった自分の中の世界が欠けないようにするために必死で・・・自分を制御できてないみたい・・・」

 

 

 カエデは目元を隠しているが、頬を伝って顎から次々と涙が落ちているので泣いていることを隠しきれていない。

 

 

「その狭くなったお前の世界に俺がいるなら俺はお前を全力で支える。それはきっとお前の後ろにいる奴らも同じことを考えているはずだぞ」

 

「えっ?」

 

 

 優しくリヴァイに言われ、後ろを振り向くとミカサ、アルミン、ジャン、アニ、ライナー、ベルトルトが後ろに立っていた。

 

 

「私はずっとカエデを支える。カエデは親友だから」

 

「僕はエレンやミカサほどカエデさんのこと知らないけど。そんな僕でよければいつでも頼って欲しい!!」

 

「カエデには本当に感謝もしてるしな!!支えるなんて当然じゃん!!」

 

「カエデは私の友達だよ。私はカエデに出会ってから初めて心のそこから笑ったし、泣くこともできた。私がカエデに何をしてあげられるかは分からない。でも、何かしてあげられる時が来たらカエデの力になろう」

 

「俺はこのでかい図体の胸を貸してやる・・・。カエデにとって俺は優しい奴だからな!!

やばい・・・これ言ってて恥ずかしい・・・」

 

「僕は正直に言うとカエデを支えられる自信なんてない。だからカエデの力になれる存在になるために自分に自信が持てるように努力するよ」

 

「みんなぁ・・・ ありがとおぉ・・・。うあぁぁあああん」

 

 

 この友人たちは何があっても自分の味方でいてくれるような気がしたカエデは、今まで押し殺していたものを出すように泣き出す。

 

 それを見たライナーがここぞとばかりにカエデの前まで駆け寄ってカエデを包み込むように抱きしめた。

 

 それを一切嫌がらずにカエデはそのままライナーの胸の中で泣き続けた。

 しかし、カエデが良くてもその現状をよく思わない人達がいた。

 

 

「ライナー・・・。取り敢えず後で覚えといてね?」

 

「ミカサ・・・目が怖いぞ・・・」

 

「おい・・・図体でかいガキ・・・。あとでそのでかい図体が細くなるように肉をそいでやるよ」

 

「え・・・。リヴァイ兵長が言うとリアルだからやめてほしいのですが!?」

 

「ライナーあとで一発殴る!」

 

「よし!ジャンはカウンターでそのまま沈めてやろう!」

 

「私はライナーの関節を絞め技ではずそう」

 

「待った!アニはだめだ!!ホントにやりそう!!みんな別にいいじゃねえかよ!!俺はカエデの力になろうとしているだけなんだし!!(守ってあげたくなる女性・・・やばい可愛い・・・結婚しよ)」

 

「「「・・・チッ」」」

 

 

 4人は舌打ちすると、そのまま泣いているカエデを見守った。

 

 

 

 数分後、落ち着いたカエデの顔は以前のような明るい笑顔だった。

すべてを吐き出し、みんなの言葉で支えられたカエデはどこか吹っ切れたのだろう。

 

「ありがとねライナー!!それじゃあ私は最後の奪還作戦に行ってくるね!みんな・・・一緒に戦ってくれてありがとう!友達でいてくれてありがとう!それじゃあまた後で!! 行こっかリヴァイ!」

 

 

 カエデはふにゃりと笑ってそう言うと、調査兵団が集まっているであろう場所に行くため壁から飛び降りる。そのあとを追うようにリヴァイも飛び降りた。

 

 のだが、カエデはアンカーを壁の上の端に打ち込み上がると、壁の上部に顎をのせて顔だけ出すと、驚いている6人に言う。

 

 

「やっぱりみんなでいく?」

 

「「「「うん!!」」」」「「おう!!」」

 

 

 6人が一斉に答える。

 どうやらみんなはついて行きたかったようだ。

 

 

「カエデ・・・おまえエルヴィンに何言われるか分かんねえぞ?

 それにトロスト区前方の門へ行く途中にハンジがな・・・打ち上げていた多くの煙弾を見て『トロスト区奪還作戦をしているようだったら成功した時には巨人を数体生け捕りにして!』とか言ってたからハンジにもなにか言われるぞおまえ・・・」

 

 

 壁の中盤で止まっているリヴァイがそう言った。

 

 

「だいじょーぶだよ!トロスト区後方門のところにほとんどの巨人が集まっているわけだし、ここにいるみんなは今期訓練兵の上位6位以内だからそこらの調査兵団より腕がある!

 アルミンは私をあまり離れないようにすれば死ぬ心配はしなくていいし、いい経験になると思う!! でも・・・ハンジさんは・・・どーしよ」

 

「はぁ・・・。わかったよ。エルヴィンはお前が説得しろよ?ハンジの案は俺らがなんとかしてやる」

 

「もちろん!!」

 

 

 その後、カエデは6人を連れてエルヴィンの元へ行き、説得を試みるとエルヴィンは少し考える仕草をしたあと許可を出した。そして一時的にカエデを隊長としたトロスト区奪還作戦の小隊を作られた。

 

 

 

 

 奪還作戦時、リヴァイを隊長とした小隊――リヴァイ班と同等とはいかないもののかなりの活躍を見せた。

 

 

 

 

 すべて狩り終えた6人はその場で解散ということになった。理由はカエデがすぐにエレンの今の状態を見に行きたいと言ったためだ。

 

 

 カエデはきちんと6人にお礼を言い、エレンのいる審議所の地下へと向かった。

 その際、ミカサとアルミンが一緒に行くと言ったが、訓練兵の身分では入れないことを伝え、諦めてもらった。

 

 

 




リヴァイ優しい・・・(*´д`*)
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